78 わかば荘の薔薇色の日常
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[話す前と変わらない、今まで通りの優しい手つきで頭を撫でられてまた少し泣いてしまったけど、お陰で少し落ち着きを取り戻せた気がする
声音に怒りが滲んでいるのが解れば、ますます顔を見るのが怖い]
…うん。解ってるよ。徳仁さんは悟さんとは違う 今は、あん時の徳仁さんが、ほんまに俺のために…その、色々考えて気ぃ遣うてくれたんがようわかって [嫌わない、怖がらなくていいという声にやっと顔を上げる。――いつもより少し痛々し気だけど、想像したよりずっと優しい顔があって]
(=281) 2014/07/02(Wed) 20時頃
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[急に物騒な事を言いだす徳仁に少し驚く]
…あかん。そんなんしたら大事な徳仁さんの手が 痛くなるやん ――俺はもうええねん。お蔭で未練も木端微塵やで
[言ってからちゃう、"徳仁さんの大事な手"が正解やったなあなんて考えるほどには、落ち着いて涙も止まった]
ほんま?…良かった…それだけが、怖かってん
[再度嫌わないし側にいてくれると言われて、笑顔まで取戻してお茶を飲み干す ようやく胸のつかえが取れたつもりでいたけど、その時の俺は徳仁に、もう一つ嘘をついていることをすっかり忘れていた]
(599) 2014/07/02(Wed) 20時頃
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サミュエルは、ドナルドの選ぶ一夜限りの相手ってどんな人やろか…
2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[頬杖をついたまま、南方は物語を読み続けた。 律儀を自称する南方は、読み飛ばすこともなく、急ぐわけでもなく、熱でぼんやりとした顔を、四角いモニターに向けている。 途中寒いと言って、持ち帰った白衣を羽織り、油絵具の臭いを部屋の主に謝った。 長いと間中が言ったとおりで、時間は、相応にかかった。 喉が乾いて、水をちまちまと飲み続けていたので、グラスの中身はいつの間にか空になっていた。]
(600) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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そりゃ。好きな相手だからなあ……
[気を使うのは当然だというように頷き。 顔をあげた瑛士に笑みが戻っているのを見て、ほっとした。
未練がなくなったという瑛士>>589にそれはよかった、と思い]
んな怖がることないだろうに。
[やれやれと肩をすくめて。 じっと瑛士を見る。
しかし今更なんてきこうかと悩んでいるから、うっかり口にした言葉は意識していない]
(601) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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――― 昼の、ウッドデッキ ―――
[さあさあ さあさあ 降り注ぐ小雨が髪を濡らす。 何処が濡れてんだか最早境界線が分からない。 濡れ鼠の肩が、シャツが、紺地を深くしていた。
スマートフォンの画面にも水滴が点いて 時間経過 消える画面 三次元に引き摺り出される。 ―――此処は、談話室の陰。徹津も一緒の、濡れ鼠。]
ん。
["風邪"二文字と、伸ばされた手。 理解が追い付かねーのは、隣人と過ごした時間の、足りなさで。 驚いて、理解して、雨を弾く目蓋が何度も開閉繰り返す。]
馬鹿は風邪引かないのでありますー、ッてか 徹津くんのが濡れて、んじゃ、 て、
(602) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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読み慣れてないと、二時間くらい──
…──いや、もっと、掛かるかな。
[読み始める直前におおよその所要時間を告げて、 クッションを使っていなければクッションを押し付ける。
読み易い言い回しや表現を使用した大衆小説だから 引っ掛かるところはない──だろう、きっと。]
(603) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[間中に告げられたおおよその所要時間どおりになった。 南方がぽつりと、白く光る四角に視線を向けたまま尋ねたのは、小説の中の青年が、台風の後、濡れた牧草地に一人佇み、雲間から射し込む朝日浴びて――……というシーンに差し掛かってからだった。]
――……これ、何かに出すの?
[物語に、ではなく、別の意味でのどんでん返しがあったなら、もしかしてその第一声にはならなかったかもしれないなと、言ってから思った。 それを尋ねるもっと前の段階から感じていた印象は、最後までずっとそこにあった。 南方の絵画を見て「コンクールに出さないのか」と間中が尋ねたのは、これが要因ではないかと感じてしまうような印象が。]
(604) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[駆けて行こうとする背中>>434
二次元にどっぷり浸かってる俺の脳味噌が 動き出した三次元を理解しようと、瞬く。 ぱちぱち。]
徹津くんと話せてるじゃん。 俺。
[携帯端末ごと、唇に手を充てて、滲んだのは喜色だ。 更にそこに降って湧く声、永利>>435のもの。 大人の優しさが具現化したような、タオル、の単語。 言葉で重なるタオルが、擽たくて、無意識にこめかみを掻く。]
徹津くんも、永利さんも、さー…… んもー…
[痒くもねーのに掻き毟る、照れ隠しの露呈。]
(605) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[樹の幹をキューブ状に削りだしたものに 針を付けただけの時計が、パソコンの少し奥に置いてある。
南方が帰った時点で九時半を過ぎていた時計は、 今はもう十時半を回ろうとしている。
>>591怠そうに姿勢を崩すのは身体が辛い証拠だろう。 >>593ゴミは手で受け取って部屋の隅の屑籠に捨てた。]
──
[ありがとう──。 南方に言われるのは何度目だろう。 数えるほどか、初めてのような気がする。
無理をさせているこんな時に言われるなんて。]
(606) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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……あ、…
[『好きな相手』という言葉に、そうだった。わかば荘内に他に好きな人がいる、と言ってしまったことを思い出す。 よくよく考えれば自分も、永利を代わりにしてしまっていたのだ。知らなかったとはいえあんな最悪な変態と一瞬でも重ねてしまったことに心から申し訳なく思う]
…お茶漬け、冷めてしもうたな
[ここからがまた難しい。どうしたものかと考えて、とりあえず時間稼ぎにたいして食べたくもない茶碗を手元に寄せる。自分のついた嘘についてテンパっていて、徳仁の言葉の主語には思い至れず]
(607) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[時間が掛かると言われて、 この状態の客人を放置して行けるほど 遊はまだ人間離れしていない。
言葉なく頷いて、大人しくしている。
少しして、雨の匂いに混じって油の匂いが鼻を掠め 床の上の畳まれた白衣に目をやった。 手を伸ばして引き寄せ、鼻を寄せる。
染み付いた油の匂い。 飛んだ絵の具。 夢の一幕を思い出す。
すぐに戻したけれど、 夢の終わりに見た故郷の風景が、淡く印象を残した。]
(608) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[せっかく笑顔になったのに、またテンションが下がった瑛士>>607を見やり。 さっきの口にした言葉を思い返して、余計なことをいってしまったと悔やむ]
冷めたら美味しくないかもしれないから、作り直してもらうか?
[瑛士がわかば荘で気にしてる相手は誰だろう。 徹のことは気にかけていたようにも見えるけれど、親しいのは翔平だとも思えるわけで。 まあ誰が相手であっても、断られたうえにテンション下がる様子を見れば己惚たりはできないわけで]
瑛士の好きなやつが誰かは知らんが、 あそこに住んでるやつらならきっと大丈夫だろ。
[打ち明けても、と見当違いに励ました]
(609) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[―――…うおん、と>>435 犬の鳴き真似のように鳴くのは、驚愕や、深夜帯の不測事態。 部屋が近けりゃ近いほど、聞かせる頻度が高いもの。
テレビ画面の、LOSE画面は、今も昨日も見ていない。]
お、お気遣い頂きい、有難うございます?
[濡れ鼠は、受け取るタオルに、礼を言う。 好き勝手するのにゃ慣れてるが、こういう気遣いに 触れるのはとんと慣れていない。 子供、だった。
―――…わしゃわしゃ、濡れそぼった髪を拭いちまう。]
(610) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[途中で座っているのに飽いて、 ベランダから外を見たり床の袋を片付けたり。
それも飽きると、南方のすぐ後ろで横になった。
寒い>>600と訴えるのを聞くと 大きめのカーディガンと夏布団を取り出し掛けてやる。 空になったグラスに水を注ぎ足し、 ミネラルウォーターのボトルを隣に置いた。]
(611) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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――少し戻って:昼――
[馬鹿は風邪引かない、と進は言うけれど、自分は進が馬鹿かどうかを判断する材料を持たないし、そんなもの自分が判断していいものだとも思えなかった。だから、]
駄目。
[自分を構いもせずに、タオルが持ってこられたら、自分も進>>610の髪を肩を拭こうとしただろう。]
(612) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[そうして、タオルの隙間から窺い知る世界。
管理人>>372が、生暖かいような、優しいような 形容し難い視線を、此方に向けていた。 部屋に篭もりきりで、外に出るのはバイトの時だけ。 イベントはベランダから覗き見る、それが初年度。 年上のゲーム仲間が出来て、バイトの後輩とも絡んで ちょいちょい顔を出すようになった一年目、そして、今年。
亀の足並みながら、二次元から三次元に、前向け倣え。]
………、 うっひっひ。
[しかし、まあ、管理人の細やかな機微まで察せる俺でもねー。 照れ臭い心地を覚えるに留めて、笑っちまう。]
(613) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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や、大丈夫やよ。冷ましてしもたんは俺のせいやし 食べる食べる…美味いよ。大丈夫
[ここで永利と言うわけにはいかない。素直に謝って、…謝って、]
……あの、な。…もひとつ謝ることがあったわ その、好きな人について、なんやけど …それも、嘘やねん。や、全部と違うて…
[ああやっぱり。違う誰かだと思っている。あんな話をした後に、言っていいものかどうか、どう伝えるといいのかと考えて]
打ち明け、は、したかな……今
[酔いはとっくに醒めていて。もう少しアルコールが回っていたらもっとさらっと言えたのかもしれないけれど、しどろもどろに赤くなりながら今、と徳仁の顔を、じっと見つめる]
(614) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[結果だけ見りゃあ小雨の中、一頻りはしゃいだ顛末。 頬や剥き出しの腕にタオルを滑らせて、檀>>450に、視線。 傍の三毛猫は、檀を如何、認識することに変えたのか 逃げ出さずに傍に居て、くりくり、目を丸めてんの。]
今日は、夜までバイトがあんですよう。 …ひーるーまーッて忙しいもんですか。
[店に顔を出したことは、一度の経験も無かった。 なのにすらすらスケジュールを調整出来ちまう、不思議。]
早起き出来たら、朝から道菅隊員、突撃しますよん!
[行ってらっしゃい!
その背中を見送ってから、時計確認、出勤時間間近! 俺がなんとかまんなら赤いランプが点滅してるところだ。]
(615) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[あかん、恥ずかしい 告白てこんな恥ずかしいもんやったんか?
今まで女にはさらっとお断りしてきたし 男から言い寄られたんは最近やし ずーっと悟さん一筋やったし、あん時もあっちから言うてきたし
何?なんていうんが正しいん? ていうか解らへんもんなん?好きでもない相手にこんな事言えるわけないやんか。そんな、一夜限りどーこー言うくらい経験あるんやったら解るもんちゃうん? 徳仁さん鈍いんか鋭いんかようわからん]
(=282) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[それからまた、南方の後ろから 南方とその向こうの白を重ねて見える位置で横になり いつの間にかうとうとしていた。
この部屋で、パソコンを開いたまま 自然な眠気が訪れるのは久しぶりだった。
恐らくは、南方が羽織った白衣の匂いと 朝、部屋にいることを許してくれた 人の気配があったからだろう。
声は、眠りかけていた意識を唐突に現実に引き戻す>>604]
──…
……今月、新人賞の締め切りがある。 それに……応募する。
[少し眠そうな声が、起き上がる気配と共に答える。]
(616) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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――― タオルと葛藤>>612 ―――
[徹津の手が、タオル被った俺の視界に迫る。 確かに俺の比じゃあないが 濡れ鼠ッて意味じゃあ同条件、だのに、髪を拭いて貰ってる。
躊躇うみたく視線を彷徨わせて んでも、結局、手を助ける為に、屈んでしまった。]
ありがとねん。
[タオルの隙間から窺い見る顔に。 ひっそり ひっそり 小声に 謝意を籠めた*]
(617) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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……え?
[しどろもどろに告げられた言葉に、驚いて声をあげる。
瑛士の赤い顔をまじまじと見つめて。 好きな人がいると告げたときの瑛士の言葉を思い返し]
えー、と。 ……つまり、瑛士は、俺が好き、だと?
[いや断られたのに?とかは思う。 さっき聞いた打ち明け話がトラウマというか縛りになっていてなにか幸せになっちゃいけないとか言う思い込みでもしていたのだろうかとまで考え。 しかしまだ信じられないように、幾度か瞬きを繰り返しじっと瑛士を見つめた]
(618) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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――……。
[読みやすく、一般的にウケそうな要素の入った話から、なんとなく、要領のよさを感じた。その感想をそのまま言うのは憚られた。 それは常識から、または自分が言われてきたからだろうか。 読み進めやすい、或いは誰かの目線で頷きやすい要素が並べ示されて、物語は止まっている。 若しかしたら、これで文章の世界の正解であるのかもしれないが、その世界のセオリーなど、南方の知るところではない。]
(=283) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[別段、つまらないとかをいう気も起こらなかった。 つまらない、という感想に鈍感になっているだけだろうか? こういうものは、こういうものとして、あるような気もして。 気が利いているとか、技巧というものには好意がある。 だから、それを用いて何かやろうとしているのなら、それでもいいのだろうと思える。 退屈をさせない配慮、層を意識した展開。 王道やお約束に対して、不満を言いたいと思えるほど、新しもの好きでもない。 スクロールをしようとしても、先の展開は、読めない。 無いのだから。]
(=284) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[ここに間中があるとしたら、何だろう。 単に思いつくのは、全て間中が言葉を選んだ言葉の集合体であること。 それ以上は、正直なところ、分からなかった。 間中はここからどうする気なのだろう。 最後までお約束のピースを嵌めるのだろうか。 結局、なにがしたいんだろう。]
(=285) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[遊びのスキルと本気の恋愛というのはまた別で。 なにより一度振られたと思っていたからこそ気づくわけもなく。
恥ずかしがっている瑛士を見れば嘘じゃないとはわかるから。 自然と顔が赤くなって、口元をおおった]
(=286) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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…そう、やね…… ちょおごめん、今あんま、見んといて [驚いてる。そりゃあそうだろう。俺だって驚いてる 無事に意図が伝わったと解ったら、徳仁までこちらを凝視してきて思わずタオルで顔を隠した 今なら恥ずかしさでしねるんじゃないだろうか]
(619) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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[今のように習作を作るだけになるもっと前から言われ続けていた事を思う。 ――提出した作品と、賞をとった作品が、展示位置の関係で近くに並んでいた。 せめて結果に納得出来なければよかった。 「自分の方が優れている」と思える物があればよかった。 けれど、ただ納得した。 ぐうの音も出なかった。 その時の、自分の要領がいいだけの絵が、絵画の世界に平然と在り続ける、熱量をもった、人間を圧倒する美しさという暴力の中で、ひどく、つまらなく、ちっぽけで、ありがちに見えることが、あまりにも、当然で自然に思えた。 そして、それを思うのは、その時が一度目ではなかった。]
(=287) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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―談話室― [思い思いに談話室で過ごす住人達にそれぞれ声を掛けようとはせず、徹津の髪が拭われるのを待ってからアルバムを開いた。 わざわざプリントアウトしてくれたのかそれとも元々打ち出して持っていたものか、どちらにしてもカメラの画面を覗くより見やすくてありがたい。
並ぶ写真はどれもこれからの季節を思わせるモチーフのものばかりで、昨日の会話から選んで持ってきてくれたのだということがわかった。]
…ありがとね。
[そのことに感謝を告げると、徹津の姿をちらりと見下ろす。あまり感想を口にする性質ではないしきっと全て見終えるのには時間が掛かるだろうけれどもその間徹津は時間を持て余したりしないか、少し気になって。]
(620) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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…着替えとか、 行ってもいいからね?
[自由に席を外しても構わないのだと言外に伝えてからアルバムのページを捲る。雨の日、晴れの日、空の写真、地面にとても近いもの、草木の写真、どれも涼しげなのに、どれもこの近所で撮られているものの筈なのに、1枚1枚が全く違う世界だ。
幾つかページを捲って、それからページを捲り戻してアルバムから1枚写真を取り出すと、その写真を掲げて見上げるように長く眺めた。昼と夜の青が混じり合った星の写真。
じっと見つめて、眼鏡を指先で上げて裸眼でも見る。]
(621) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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