93 Once upon a time...
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鉛玉なら、……… 現実的?
[水晶玉に関しては 公演に使うものではないらしい、と、判じた程度の知識で。
手許に残していた小銃を、そっとポケットに忍ばせながら ブローリン>>31の苦笑う口に声だけを、重ねた。 軽口のようでいて、隠せない本気が滲む。
視線は、物置テントを潜る、アントニーの背を追い掛けて。 華形を守らなければ――― 指先はまだ冷たかった。]
(35) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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――動物檻――
……がんばろうな。 行ってくるな。 お前も、行くんだろ。 火の輪、しっぽ、焦がすなよ。おれのは焦げたからな。
[動物檻一つ一つに声を掛ける。 トランポリンからの火の輪くぐりを、虎と交互に交わす訓練の時、頭の鳥尾羽根を焼いたことがあるのは、観客は知らないふたりと団員だけの秘密だ。 檻の並ぶテントの中は、動物たちが何頭もいるのに、静かで――夜のはじまりを、否応なしに伝えてくる。]
(36) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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/* >>35 お、おう
(-19) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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俺も、(そう思うよ)
[大切を増やすと失う時に辛いから、 なるべくそうしないために壁を作ってきていた筈だった。 けれど、団長が壊した壁は、少し歪な形になった。 そんなこと自分ですら気づかないまま。]
……ん。
[皿洗いは任せてしまって、着替えに行こうと席を立つ。 炊事場へ向かうスージーの背中を少しだけ見てから、 何故か真っ赤な海に広がる金色の美しさを思い出していた。
少し目を細めてからジリヤの元へと急ぐ。]
(37) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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[しかし、自分たちは観客からして見れば ひと時の夢を紡ぐ夢の世界の住人でもあるという 夢と現を漂っているあわいの者 外を支配している黄昏のような]
…俺も、毒されてたのかね
[出し物の話題で盛り上がるジャニスとトニーとルリ 初舞台を前に人懐こくトニーに戯れる小猿とプードル 目を細めて彼らを眺めながら]
ああ、いっておいで きっと、団長もどこかで見ているさ
[笑顔でトニーを見送った]
(38) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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[ステージ裏、最初の役割を終えれば 次に想いを奏でるのは、打って変わって陽気な曲。 今は沈黙のまま。抱えた楽器ひとつ、撫で 慌しい周囲を見渡した。
椅子はアクロバットに使われるのか、もう手元にない。 色濃く縁取られた目じりを、下げるように指で押さえた。 舞台装置の準備にと、目の前をゆく一人を捕まえ、潜めた声で問いかける]
ねぇ、皆いるよね?
[一拍置いて、頷きが返る。 公演に穴はあけられない。 皆いる。まだ………大丈夫。 頷きをさらに返して、掴んでいた手を離した**]
(39) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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――――おれは、ここには入ってないけど。 狼になったら、隣にいられるのかな。
……おれは、いたいのかな。
[ここにいる動物たちにすら、聞こえないはずの緋い独り言。 テントに住む皆も、檻の中の動物たちも、一様に仲間だと思う。 それは自分が人間でもあって、狼でもあるから、だが。 皆は団長が死んだのを狼のせいにしたがっていて、狼は怖がられていなくて。 自分はこの檻に入っているのが似合いなのではないかと――思う。]
(*2) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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トニー、そこはね、檻の中だよ そこにいる彼らは、跳ぶことを、知らないんだ
[いてほしくない。願いは楽器を通さない今、声にのらない。 いられるわけがない。それは失望。諦め。あるいはもしくは、呆れ。 囁きはただ、奏者にとっての真実だけを、言葉にのせる]
それで、いいの
(*3) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 01時頃
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行くか。
[動物檻のテントを抜ける。 金輪を重ねなければいけないから、出番が後でも早めにテントに居なければいけないのに、今日は遅くなってしまった。 最終日なのに、これではよくない。 音楽が鳴り響くテントに、駆けていく。]
(40) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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―― 大テント:ステージ裏 ――
[照明から、視線から、 その他リング上に立つ演者が晒される全てのものから いち早くホワイトフェイスは身を退けて。 舞台袖へと姿を現した。
>>26エフェドラへ手を掲げて見せる。]
……、
[そのまま、何を言えばいいか、 どの顔を作るべきか、忘れてしまったような空白を開けて]
(41) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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[俺も、と返すトリノスの言葉>>37を聞けば 微か嬉しそうに目許を緩ませた。
カチャリ、食器が音を立てる。 足音が薄いのは綱渡りでの癖がついているから。 炊事場で食器を洗い片付けて 控え用のテントで着替えとメイクを済ませる。]
(42) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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[はは。 と唇を開けた。口端を上げた。 けれど目尻が下がらない。 そんな出来損ないの表情をする。]
……、エフィーの、 エフィーの演技、楽しみにしてんね。
[>>20『後継者はお前だ、って』 出る前に告げられた言葉にも何も返せずに。 クラウンらしい顔もメイク頼みのままにして、 舞台袖を次の演者の為に開けんとその場を離れた]
(43) 2014/10/12(Sun) 01時頃
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[檻のなかの獣たちは、大人しい。 獣の匂いと、これから訪れる覚えのある興奮と、――覚えのない緊張感。人間と同等かそれ以上に敏感な獣には、団長の死から始まった不協和音が、確かに届いている。]
………… ふ、それは、朗報だね。
[―――…毒された。 そう口にする猛獣使い>>38に、男が、笑う。]
君の出番も、……始まるよ。
シェロのデビューを、 …………… 団長の目が正しかったことを、伝えてあげよう。
[団長に押し付けられたと言う、気立ての良い子猿。 口許が僅かながら寂しさに歪んだが その事実は、今は、首を振ることで隠して。促して、歩き出す。]
(44) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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理髪師 ザックは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 01時半頃
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いやだ。 みんなと――ニコとも、いっしょにいたい。 けど、
[似合わないネガティブは、自分が巻き起こしたこのメルヘンの歪みのせい。 大きな歪みが、子狼の心も揺らしていた。 が。]
ううん、隠れてれば、みんなといられる。 おれは、隠れてる。
[仲間の、ニコラスの言葉に考えを切り替える。 自分は狼ではない。このメルヘンの鳥なのだと、ジャニスが言っていた。 跳びたい。テントから漏れる音楽につられるように歩を早めた。]
(*4) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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[客引きや開演の手伝いはしない、というより出来ない。 黙っていればいいブランコとは違うから、 笑顔を作れない自分は飾りにもならないのだ。
引っかかるものがないような細身の衣装は、 サーカスの目玉らしく派手なもの。 メイクは薄くても髪は少し撫で付けて後ろに流す。 それだけで少し年上に見える、らしい。]
(45) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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スージーが可愛くて殺したい我慢。我慢。あとで爆発しそう。
(-20) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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何かあったら、僕が……… 守ってあげるからさ。
[プードル・カットを抱いた 不自由な指先が、ポケットの膨らみに触れる。
――― ブローリンに告げているようであり ――― テント内のアントニーに告げているようであり
自分に、言い聞かせるようでもあった。 そうして熱狂の渦の裏手に向けて、団員、幾人とも擦れ違う。 メイクの必要はなかったが プードル・カットに蝶ネクタイと、派手なベスト、衣替えが必要なのはこちら側だった。星柄が、眩しい。]
始まった。
[団長のものではない、ザックの織り成す前口上>>16>>17>>18 裏手でそれを聞きながら、さて、犬を離す。 ―――― 余興の成功を*祈って*]
(46) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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――ステージ裏――
[駆け入ってきた小鳥に、衣装係が目を見開いた。 叱る暇もないと、金を重ねていく。 しゃん、しゃん、足環が揺れるたびに鈴が鳴った。 そしてしゅるりと白いシルクが床に這う頃には、怒るのも忘れて衣装係は見栄えに満足して笑顔を見せていた。 ザックの謳う前口上を耳にして、その笑顔の色は僅かに苦そうだったが。]
(47) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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[白を基調とした衣装。 首元から胸元にはアクセントのようにオレンジ色。 くっきりと浮く鎖骨が豊かな胸をより強調するよう。 短いスカートの裾からはすらりとした脚が覗く。 バレエシューズのようなぺたんとした底の靴から伸びる紐が 足首でリボン結びにされている。
猫目を少しだけ強調するようなメイクは 客席から見ても見栄えするように。]
――…これでよし、と。
[落ち着いて用意が出来るのは傍に居てくれた人がいたから。]
(48) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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トリノス。トリノス。
[髪を撫で付け、裏手で準備を済ませたトリノス>>45に声を掛ける。]
あのさ。ジャニスがさ。 おれのことも鳥みたいだって言ったんだ。
おれもさ、トリノスとか、フィーとも、いっしょに跳べるかな。 今日じゃなくても、今度にも。
[それは、今度の公演も"いつも通り"に続くのだろうという、今後の憂いを忘れたような提案。]
(49) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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うん、一緒にいられるよ
[団長にとっての御伽噺はバッドエンドで終わってしまった。 悲しみが団員に影をさしていても、大丈夫]
終わりよければ、全てよし、って言うだろう? だからきっと ……大丈夫さ
[団長に牙を向ける彼を、もし止めることができたならば 狼としての自覚を十分に持った奏者だけだったろう。 そうしなかったのは――――
大丈夫、きっと大丈夫。 ちゃんと、ハッピーエンドに向かっている**]
(*5) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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[出番でない道具や檻が並ぶ裏手、 ステージのざわつきが遠くで聞こえるそこは不思議と落ち着く。 ザックの口上が聞こえる、やはり団長でないのが 少しだけ違和感を感じるけれど。]
一緒に、飛ぶ? ……いいよ。
[同じように待っていたのだろうアントニーに声をかけられ 少し首を傾けて考えたような顔。 公演の技の変更はこれから先、誰にしたらいいんだろう? ともかく身軽な小鳥が一羽加わったら、 きっともっと、注目されるものになるだろう。]
練習、すれば。
[フィリップがいつもブランコに乗っているのは知っているだろう。]
(50) 2014/10/12(Sun) 01時半頃
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理髪師 ザックは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 02時頃
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うん。 幸せに終わったら、ハッピーエンド、だ。
[大丈夫。その言葉に、頷きを重ねる。 ハッピーエンドはこれからはじまる。]
そうだ、ニコ。 ルリが、狼なんて丸呑みだって言うんだ。 呑まれたら、檻の中より会えない。
[ハッピーエンドに向けて、子狼なりの警告のつもりだ。 聡く美しい狼には不要な話かも、しれなかった。]
(*6) 2014/10/12(Sun) 02時頃
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…鉛玉? それは、随分と穏やかじゃない
[アントニーへ視線を向けたままのジャニスから ぽろりと漏れた言葉に返しつつ]
銀の弾丸なら、もっとメルヘンチックだったな
[彼から滲み出るものに悲愴感を覚えたが 上手い言葉も返せないまま]
…ありがとう、そろそろ行ってくる
[彼の仕込んでくれた小猿と一緒に 音楽のする方を目指して歩く
一度だけ、振り返るとプードルを抱いた姿は 他の団員たちの中に紛れてしまう 湧き起こる不安を振り払うべく足を速めて
そろそろ、前口上も終わり*メルヘンが始まる*]
(51) 2014/10/12(Sun) 02時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 02時頃
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うん。 跳ぼう。
[いいよ、と返ったのに、表情を明るくして頷く。 首を傾げた理由まではわからない。あまり技の変更に対して団長を自ら頼ったことはなかった。]
ん。 練習する。
そのためにも、今日、頑張る。な。
[明日を迎えるため、今日のハッピーエンドを迎えなくては**]
(52) 2014/10/12(Sun) 02時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 02時頃
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[用意が出来るとステージ裏に移動する。 その頃には団長のしていた前口上がザック>>15の口から紡がれていた。]
さまになってる。
[思いのほか馴染み響く声音に耳を傾けてぽつと呟く。 ふと後ろに気配を感じ振り向けば指導役の隻眼が其処に居た。]
――…心配しなくても大丈夫。 愛弟子が信じられないの?
[不安げに見える隻眼に声を掛ければ 彼は首を振り金糸へと手を伸ばす。 曰く、跳ねてる、と別の問題が指摘された。]
……癖っ毛なんだもん。 仕方ないのっ。
[言い遣るうちに乱れを整える器用な指先が髪に絡む。]
(53) 2014/10/12(Sun) 02時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 03時頃
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[跳ねていた毛先は幾度か馴染ませられるうちにまとまり 指導役の手指も髪から離れる。 身長差から見上げるかたちとなるものの スーザンの眼差しには甘えのようなものはなく、 舞台に立つ者の凛とした気配が既に滲む。]
大丈夫。 失敗しない。
[言い聞かせるように言葉としてステージへと顔を向ける。**]
(54) 2014/10/12(Sun) 03時半頃
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[客が集う。 演奏が、口上が、響く。 ああ、ごらん、サーカスの幕が開く]
[開演が近付いて。男は、普段通りの面持ちと佇まいで、其処に在った。やはり普段通りにお喋りに、団員に声をかけてみたり、笑ってみたりとして、その時までを待ち過ごしていた]
[――ナイフ投げに必要なものは何か? まずは勿論、ナイフを飛ばす、刺す、狙いを達成する、技術だ。それがなければお話にならない。 では他に必要なものは何か? それは、精神力、集中力だ。どんな状況でも、状態でも、晴れの日も雨の日も、健やかなる時も病める時も、毎演技、毎投擲、確実に的中させなければならない、それを達成する力だ]
(55) 2014/10/12(Sun) 04時半頃
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[他の芸にても多く同じだろう、その要を、男は無論理解していた。だからこそ、男はこのサーカスでナイフ投げの一番を出来ているのだ。故に平静を努めるのも、慣れたもので]
[慣れたものだったが。 それでもこの日の予行練習において、男は一本だけナイフを彼方に飛ばしたのだった。 未熟な時以降は片手で十分過ぎる程しか失敗していなかった、お喋りとナイフ投げのために生まれてきたと揶揄されるような男にしては、極めて、珍しく**]
(56) 2014/10/12(Sun) 05時頃
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………ほぇ。
[名前を呼ばれて顔を上げた。視界に入ったのは、草色のシャツと、浮き出た鎖骨。違う、もっと上。目線が上がるにつれて滑車のごとく、カップを持った手は降りて行く。磁器とテーブルがぶつかる小さな音と同時に、灰色と黒の視線が、交差した。
無言。クラウン・ザックの無表情に圧倒され始めたペギーが瞬きをした瞬間、彼の長い腕が彼女に伸びた。]
ふに。に。ににににに。
[頬をつまんだ指が上下左右に引っ張られ、ペギーは目を白黒させた。 クラウンのアドバイスには、素直に頷く。]
……ひゃい。
[クラウン・メイクは嫌だな、と。そう思った。 立ち去るクラウンに小さく手を振って、それから、甘いカフェオレを一気に、飲み干した。]
(57) 2014/10/12(Sun) 12時頃
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