93 Once upon a time...
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[テントの外。 沸き立つ歓声をBGMに、月がひっそりと輝いている。 夜は更けていくばかり。
幕が閉じるまで、あと少し。 率いる者を欠いた御伽噺が、よろめきながらもハッピーエンドを迎えるまで、あと少し]
(239) 2014/10/13(Mon) 23時頃
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[観客は背中から聞こえるバンドネオンに振り返るだろうか。 ―――否、この時音楽は添え物。 目の前に繰り広げられる猛獣たちの振る舞いに 目も、心も奪われるに決まっている]
此処が特等席 ……だよね?
[囁きを笑みにのせ、 後ろから、ステージ上から テント全体を使って観客を包み込む]
(249) 2014/10/13(Mon) 23時半頃
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― 公演後、空気は未だ、熱を孕み ―
[全てのショーが終わり、観客が総立ちになる頃 奏者は頭上から姿を消し、地に降り立つ。 見送りの曲に哀しさ残る音はいらない。 華やかで、景気のいいやつでいこう。
「また、見にこようね」
無邪気な声が耳に届いた。 裏方は早くも片づけを始めている。 奏者は月を見上げ、首を傾げた]
(262) 2014/10/13(Mon) 23時半頃
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おなか、すいたなぁ
(*18) 2014/10/13(Mon) 23時半頃
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[奏者は今日、何も口にしていない。 水を飲むことすらなく、公演を終えて今、 手のひらで冷たく乾いた芋を遊ばせている。
赤い星を縫いこんだスーツが月の光を反射する。 一人、また一人と大テントから出ていくのを見守り]
どこ、だろうね
[ぽん、と高く跳ねさせた芋を受け止めて、 土汚れた皮のまま、大きく口をあけて齧り付いた]
(269) 2014/10/14(Tue) 00時頃
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まだ中にいるようだよ 見つけたら……教えて
[月を見上げる瞳に赤が混じる。 揺れる赤。 瞼を伏せて――それを隠す]
(*20) 2014/10/14(Tue) 00時頃
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[声が聞こえた方に顔を向ける]
悲しい、声だねぇ おなか減ってるのかな
[半分よりももっと少なくなってしまった芋を眺める。 あげようと、思っていたことを思い出した。
だって芋はいらない。 こんなんじゃ、腹も満たされないし、喉の渇きも癒されない。 嬉しくもないし、悲しくもない]
(284) 2014/10/14(Tue) 00時頃
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