84 Es 3rd -Test days-
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[戦争が、まだこの国を覆っていた頃。 僕は時々――夢を、見た。
偵察隊が持ち帰った情報と、僕が実際に"見"た光景と。 複雑に絡み合い、実際の風景のように、僕は自由に其処を歩いていた。 敵の将である男は、明日になれば仲間の一人や二人、簡単に捕らえてしまうだろう。そして、死よりも辛い拷問とも呼べる実験が、彼らを襲う。 それは過去において事実だった。
僕は、そうならない。 だって僕は、自分の身体を動かさない。 ただ後ろから、見ているだけ。 見ているだけで………殺せてしまえればいいのに。 僕の手が、誰かを救えればいいのに]
(195) 茄子 2014/08/01(Fri) 23時半頃
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[戦争が終わり、僕は本当の意味で一人になった。 僕が作戦の青写真を描いた作戦は、敵方に不可解な死者が出ることが多かった。僕の前では、誰もがそれを「幸運」と呼ぶ。
「死神」と、呼ばれていたのも知っている。 それでも僕は笑っていた。 勝利の影に潜む負傷者は、きっと少ない。 救えたのだ。 そう、思い込んでいたから。
それが僕の"力"だったのかもしれない。 その"力"は
一体、何を"贄"として奪っていったのだろう。 何も持たない僕は、未だにそれがわからない。 わからないままでいい。 今はもう、夢を見ないから]
(196) 茄子 2014/08/01(Fri) 23時半頃
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[ ]
(197) 茄子 2014/08/01(Fri) 23時半頃
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[夢を、見た。 知らない男の背中を、僕は少し上から眺めていた。 夢でも質量ってあるのかな? 男はふと振り返って、何か言った――ように見えた。
それでわかったんだ。 こいつは吸血主だ、って。 でも、僕の守るべき、仲間じゃないって。
いつもそうだ。 夢の中では、知らないはずのことが、僕には見える。 夢から覚めて、調べると、それが本当だってわかるんだ。 答えを決め付けて調査するなんて、愚か者のすることだけれど。僕は、自分がそうだと知ってるから、躊躇なんて最後にはなくなていた。
だから、そう。 僕はいつもみたいに言ったんだ]
(198) 茄子 2014/08/01(Fri) 23時半頃
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いなくなっちゃえ
(199) 茄子 2014/08/01(Fri) 23時半頃
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[ぱちん。 夢が弾ける。目を開ける。
僕はまだ、いなくなっていない。 なんでだろう。なんでかな。 ああいう夢を見た日は、いつだって酷く喉が渇く。 僕は立ち上がり、窓を開く。 外は眩しくて、目を閉じた。
夢の中の知らない男。 顔なんてもう覚えていない。 知らない、知らない相手を、僕はきっと
あれは、夢だ。 夢に*決まっている*]
(200) 茄子 2014/08/01(Fri) 23時半頃
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[太陽の下、腕をゆっくりと伸ばしてみた。 すぐ目の前にあるような、木の枝にすら 僕の細すぎる手は届かない。 白すぎる手は、幽霊のよう]
幽霊、だって
[小さく笑って、手を下ろした。 そろそろ、この街を出ようか。 昨日は知った顔に二つも出会ってしまった。 声をかけて、かけられて
ああ、ほらまた 甘い匂いが、僕を包み込む]
お茶会、楽しんで
[僕は行かない、と首を振って、足を踏み出した。 目的はなく、喉は渇いたまま]
(216) 茄子 2014/08/02(Sat) 00時頃
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― 数日後>>118 ―
[あの、太陽が眩しかった日。 僕は結局、また人を襲い血を啜った。 喉の渇きは、一日くらいなら耐えられないほどじゃない。 死ぬわけもない。わかっていても、僕は望んで、手を伸ばした]
鈴………
[今。伸ばした先の、ガラスケース。 バイオリンの横に、飾りだろうか。 きらきら光る鈴が、僕の心を捉えた。 音楽なんて、わからない。 歌も歌えないし、曲もひとつとして知らないし。
数日前に聞いた音が、よみがえる。 悲しい曲だなんて。 あの時弾きたかった曲を聞けばよかった。 振り向いた先。 今まさに思い出していた相手に、僅か目を見張って]
(225) 茄子 2014/08/02(Sat) 00時半頃
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……何も?
僕はまた、そう笑って やっぱりもう、もうすぐにこの街を出ようとそう決めた。
だからといって彼の誘いを、渡りに船――そうは思えない。 僕はまた、首を振る。 ごめんね。心の中でだけ、謝った]
元気で また、ね
[死ななければ、きっとまた、いつか出会う。 会わなければ、それはもしかしたら"幸福"? 僕か、彼か。 もしくは、他の誰かか]
(228) 茄子 2014/08/02(Sat) 00時半頃
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[きっとみんな、いつか"幸せ"になるだろう。 戦争はもうないのだから。 悲しい曲なんて、もう弾かなくてもいいのだから]
みんな、死ねばいいのに
[悪態めいた ……違う。これはただの悪態だ。 誰にも聞かれてないかな、そう辺りを見回して
一人に決まっていた。 夢を見ないよう、僕は今日も*一人になる*]
(230) 茄子 2014/08/02(Sat) 00時半頃
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