108 Persona外典−影の海・月の影−
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[剛力を誇る龍の鉤爪を前に、鋼の結界が綻びを見せる>>292。 内側へ傾ぐ剣を、崩した瞬間、龍の掌は腕を引くよりも速く、剣士の大剣に斬り裂かれた]
つぐっ、うあああ!?
[ペルソナの傷は連鎖し、右掌に激痛が走り、拳が痺れた様に自由を無くす]
…っう… …なら…先人の偉大な言葉…。
勝てないならっ…。 レベルを上げて叩き潰すだけっ!!
[然し剣士は鋼の加護から抜けてきた。その為に剣を崩していた。 右掌の激痛に耐えてでも、左腕を振り上げた。再び振り下ろされる龍の腕。 直下に向けて突き出される四本の鉤爪が、鋼の結界に退く前に、剣士の身体を狙い、断頭刃の様に急落した]
(296) 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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… ペルソナっ!
[鉤爪の一撃が、剣士を貫いたか、どうか。その成否を確かめた直後に青い蝶が舞う。 『隠者』のアルカナが砕け、剣士と対峙していた巨龍が、鎧の鍛冶神へと変貌する]
…それに。 レベルが上がれば物理以外にステ振りも出来る。
[鍛冶神の金槌の柄が喉元に宛がわれ、守る様に鎧鍛冶に抱かれる。 そして距離を取る後退と共に、牽制程度でしかない土礫が放たれた]
(297) 2015/02/21(Sat) 23時半頃
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…これでもネトゲ廃人暦二年半…ただいま休止中。
[友達が半引退しているし。くは、と妙な笑いをするサムに返しながらも。 確かな手応えと同時に、黒い靄と化して消え去る剣士に、ひとつ頷く>>305]
… … … …血じゃ…ないんだ…。
[砕ける眼鏡。額から流れる黒い体液をみて、ぽつりと>>306]
…あはは、それは確かに、ね。 だけど、俺はリツキに負けるつもりは…
[然し、小さな雷を操る、白い猿が現れた時、息を詰めた。
…実は、昔から唯ひとつだけ苦手な物がある。 それが反映されたかの様に、龍も、鎧鍛冶も、唯ひとつだけ、共通した弱点が存在する。
――それが、稲妻。地を這う稲光が、主を庇う鎧鍛冶を包んだ]
(315) 2015/02/22(Sun) 00時頃
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ぅ ああああぁぁああああっ!!?
[身体中に走る鋭い苦痛、電雷の痺れが身体中を支配する]
…うっ。 あつ…っ…。
[弱点である雷を突かれた鎧鍛冶が体勢を崩した。痺れに倒れこむ使い手ごと。 ぷす、と煙を吹く稲妻の名残、だがその身体を蒼い燐光が包んでいる>>301]
(316) 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[痺れに苛まれる頭上で、煽る影の声が響く。
…始めの原因は知らない。然し気付いた時分から、神鳴りだけは落ちると身が竦み動きが止まる。 たぶん物心付く前にでも大きな稲妻が落ちたのがトラウマ。そんな所。 でもそれを理解した所で克服は難しかった。
…嵐の日は、何でもないと笑って明には誤魔化していた。 勿論、神鳴りが苦手だなんて、恥ずかしくて絶対に云えないから。
だけど今は、それでも勝たないと…]
(330) 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[地面を跳ね回る白い猿に対して、鎧鍛冶はその姿を消していた。 電撃に体勢を崩した身体はまだまともに身動ぎを許さない。
…だからだろうか。 その時、感じていた影からの意識が完全に外れた事に気付いたのは>>322]
… … … …。
[リツキの云う通り、雷に勝てなければ、自分は此処までだ。 だから、何とかして雷に勝たなければいけない。でもどうやって? 心は難しい。今すぐ雷を苦手でなくなれと云われて出来る物でもない。
…なら…どうして雷に勝てばいいか…]
(331) 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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… … … ペル … ソナ … … 。
[囁く様な呻き声で、倒れこんだまま、地面の先に左掌を延ばした。 地面に並べられ、そしてゆっくりと浮遊するアルカナの数は、二枚。 ふたつのアルカナとアルカナが、磁石に寄せられる様引き合う…]
(332) 2015/02/22(Sun) 00時半頃
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[引かれ合うのは相反する動と静。
暴虐に無思慮に、然し全ての意志を即決してきた麻夜と。 無縁に無気力に、静かに過去を顧みていた二年の麻夜と。
まるで正反対の様に対比していたふたつの自分を象徴するアルカナが。 青い閃光の煌きと共に、ひとつの新たなアルカナと化す。 描き出されるは第十四。調和する水瓶の乙女]
(340) 2015/02/22(Sun) 01時頃
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… … ペルソナッ 。
[倒れ付したままの頭上で、『節制』のアルカナが砕け散る。 表出したペルソナは。尾に大蛇宿す、巨大な亀]
(341) 2015/02/22(Sun) 01時頃
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[現れた剛亀の姿に、影が口元を歪める、だけど後少し。 後少し、身体を動かす隙を見出そうとする]
そう、だね。どうにもならない。 融合しただけじゃ、雷にも弱いままだ。
…だけど…。
[白い猿が舞い、その身の力を束ねられる。 次の一撃は間違いなく膨大。確実に自分を潰しに来ると理解できた>>347]
(353) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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(恐いものは仕方がない。それが俺。
だけど考えろ、所詮、雷は物理現象。 良く見ろ。落ちる雷、走る稲妻。
良く見て、捌き切れ。
それがどれだけ迅い雷鳴だろうがなんだろうが…
… … … 完全に 見切れ !!)
[誰かの叫び声>>350と、蒼い光が浮かぶと同時に、巨大な雷鳴は放たれた]
(354) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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[雷に、複雑な軌道などない。唯速く、真直ぐに、自分を狙い落とされる]
ゲンブーーッ!!!
[側転し、立ち上がりながら、叫んだ。周囲の地材が巻き上げられ、ひとつの岩塊となった。 太い稲妻の光に耐え切れず、蒼い盾が砕かれたのはその直後。そして。
大地を司る剛亀の岩塊が、雷鳴の真下にすべりこみ、砕ける。 その豪快な破砕音が響き渡る中で…]
(355) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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… … そこっ !!!
[蒼い盾と大地の岩壁、二枚の護りを砕いて大地に突き刺さる直前に。 鋭い跳躍で、雷を見切り、そして避けた。 直前まで居た場所を貫き、灼き焦がす雷鳴の音が、すぐ隣で耳を激しく打ち鳴らしたけれど]
(356) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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リツ … … キ … … !!
[今しかないから、駆ける。リツキに飛び込む様に。 薄く感覚の戻りだした右手、強く強く、握り締めた拳で。 大地の剛亀が振るう、その大蛇の顎で]
… これ で … … … … っ!!
[拳は、友達の姿をした影の胸を。 大蛇の顎は、隙を晒しているのだろう、白い猿の心臓を砕くべく。 持てる力を、その全霊を込めて、強く放たれた]
(357) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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[リツキはもう、いない。 一撃の寸前、乾いた、でも胸が寂しくなる様な声が心を打ったから。 ほんの少し、表情はくしゃりと歪んだ…]
(372) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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[打ち抜く様な衝撃に影は吹き飛ばない。 拳と全身の勢いは、視界を覆いそうに近くまで表情を寄せて>>365。
その時の表情は、たぶん、虚しさだ。 これで守れた物はある。でも失くし物もした、無表情にも近い空虚。 まるで力を失くして脱力した様に。
ごぷりと黒い液体を流して、嗤う影の表情がすぐ近くにある。
…頬にすこし飛んだ黒い液体は、色こそ黒だとしても。 リツキの。友達の血と違わない。その思いに抱かれた]
(374) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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… … … … 俺の せいなのかな … …。
(375) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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… … リツキは ね。
[ぽつりと。影に、友達の名残に、零した]
友達として、居心地が良かった。 傍にいて…話もして…遠慮なくて…空気読まなくて…。 イラつきもメンドくさくも感じなくて話してて楽しい…。
でも…悩みとか…寂しさとか…。 …踏み込んだ気持ちをぶつけたり…。 …感じた事を分けたり…そういう友達とは…ちょっとちがった…。
… … … …もっと… そういう気持ちを聞けてたら…。 … … … …もっと… リツキの寂しさを理解できたら…。
… … 良かったのかな … …
[ぽたりと、零れ行く血の変わりである黒い体液の様に。 ぽたりと、ぽたりと、呟く様に小さい声は、影の耳元で囁かれた]
(376) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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… … … リツキの … … バカやろ … … …。
(377) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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オスカーは、リッキィの代わりに、影に、弱い呟きを吐いた ◇
2015/02/22(Sun) 02時半頃
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[胸元で握りこんだままの拳が、ひやりとした手に包まれた>>383。 人の体温と無縁な、一月の空気通りに冷えたその手の冷たさ]
…え… … 。
庇った… それって…。
[大事に抱えられていた記憶。それはとても昔の。 自分にとっては、切欠の中のひとつでしか無かった昔の思い出。
冷たい手で、拳には強い力がぐぐ、と込められていた>>384]
(392) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[どういう想いが、その指先の力に込められていたんだろう。 それは影が込めた物か、それとも、リツキの。
影の背後に現れた血塗れの剣士は、その剣を薙ぎ]
… … … … !!!
[次の瞬間に、影の首は過たず刃を受けていた]
(393) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[例え影でも、友達の姿で、これ以上無く明確に。 死の瞬間をみせつけるみたいに、自ら断ち切ったのは何故だ]
… あ … …
[首が飛んだと思った。だけど肉体の外傷は全くなかった。 剣士の姿は掻き消え、影は消えたのだろう。
…始めの満月の晩、倒した人型のシャドウを見た時から無意識に。 シャドウを倒せば、後には何も残されないと思い込んでいた。 だから、その肉体も、死と同時に消えると]
(394) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[だけど、残されたのは抜け殻の様な身体ひとつだ。
とても重い、その身体が伸し掛かる。 受け止めて支えるのにも、すこし気を抜けば倒れそうな位に。 冷たくて、重くて、ぬくもりの残されていない身体だった。
重すぎる位に重い。リツキの身体だった]
(395) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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… … … …ぁ … …ぅあ… … …。
[覚悟はしていた。殺し合う事、友達の心を踏んでいく事。 理解していたけど、身体の重さを感じた途端、震えが止まらなくなった]
(396) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[リツキの身体を抱き止めていた肩に、そっと、後ろから手が触れる>>402]
… っ あ 。
[それに連動する様に、留まると思われたリツキの体が崩れていく。 その重みを残して、黒い霧の様に、指先から消えていく。 重みは失われていき、やがて跡も残さず、ゼロになる]
(408) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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ま… … リッ !!
[サァ、と夜の風に浚われて、黒い霧が満月に融けていく。 その黒霧のひとつぶを追いかける様に手を伸ばしたが。手は空を切る。 黒い本と。リツキが掛けていた眼鏡の欠片だけ残して。 死者を見守る似姿に、静かに見送られて]
(409) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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[結局、跡には何も残されずにいた。何故身体は少し遅れたんだろう]
… … …ね… サム。 …これで… よかったよね… …。
…呑まれたく…ない…。 …これ…以上呑ませたくもない…。
…だから俺…リツキ…"消した"よ… … 。
リツキの云った通り…俺…追いかけ…たよ… … 。
…俺しか…できな…て… …俺が…やらな…と…て… …。
[重みも何も残されない。逆にスカスカな気持ちの両腕を眺めて。 震える、声も心も、目に映る景色も、震えている]
(410) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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…ちゃんと…友達の…こと……止めた…よ… … っ。
[決壊した感情の中から、ぼろぼろ零れていく。 ぺたりと地面に、黒いマフラーの裾が情けなく垂れた。 ペルソナは気付けば消え、膝は地面に崩れて、何も無い両腕を眺めて]
(412) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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…あぅ……ぅぁぁ… …ッキ… ……うあ……ぁぁ……ぁ……
[黒い霧は風に紛れ夜に紛れ、どこへ伴い月の影へと流されて。 頬に飛んで汚していた黒い液体が、最期に、涙に流されて、薄れて云った。 ただ黙って立つ、男の傍らで、押し殺す呻きが、漏れ続けていた]
(413) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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[――… 一月の末。寒い雪も積もりかけた、十六歳の日に。 俺は、大事な親友を、失くした… …**]
(414) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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