28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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[ 宝生君>>5の口から出た「ブーム」という言葉に、成程最近の若者は不思議な考えをすると、件の青年に対する認識を改めることにした。]
ふむ、そうか。勘違いだったようですまなかったね。 君には他の趣味がある、それで十分と言ったところか。
[ 去って行く宝生君>>6の姿を見送りながら、私は納得した旨を言葉に乗せた。そして件のペット君へ視線を向けると、自然と眼鏡の奥の目元が緩む。]
宝生君のところに世話になるんだね。 私は初見という。202号室に住んでいるんだ。よろしく頼むよ。
[ 平凡な私は自己紹介と言うものがあまり得意ではない。毎年新年度になると新入生の授業で自己紹介などする先生もいるが、私はそのようなことはしない。故に謎の多い先生などと言われたこともあったが、謎にするようなこともない、ただのおじさんである。芥川の『人間失格』のような人生でも歩めば、少しは話の種でも増えるだろうか。いやしかし、私にはああいう波乱万丈な人生は似合わない気もする。 人生のほろ苦さによく似た珈琲を口に含み、わかば荘の面々が勢ぞろいした談話室をぼんやりと見つめた。]
(14) toimoi 2013/09/07(Sat) 15時半頃
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[ 太宰だよ太宰。何を言っているのだ私は。いや、口にしていなかっただけ僥倖だろうか。珈琲を啜りながら動揺している私に気付く者はそういないだろう。ミルクも砂糖も入れてない珈琲が、先程よりも苦く感じた。]
(15) toimoi 2013/09/07(Sat) 16時頃
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[ 私はあまり野球に詳しい訳ではないが、宝生君>>17を例えるなら変化球よりも真っ直ぐな球が似合う。余談だが、ストレートを投げる時の腕はまっすぐではないらしい。ある程度捻らないと真っ直ぐな回転がかからないのだということで、人とは本来捻くれているものなのだ。故に彼のような存在は貴重なのだと常々思っている。私はといえば有象無象に分類される身、もれなく捻くれているのだろう。]
いや、私もさすがに皆がいる場で告げるのは憚られるよ。 もちろん誰にも言わないから、安心してもらっていいからね。
[ 直球の質問に直球で返すことが出来ないとは、何とも面倒なものだ。わかば荘の住人は大抵のことは受け入れてくれると思うが、本人の許可なく全てを大っぴらにするのは遠慮しておくとしよう。]
(18) toimoi 2013/09/07(Sat) 20時頃
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[ 私が宝生君に向かって珈琲を持っていない手を振っていると、背に僅かな振動が伝わってきた。何ごとかと見やれば、病沢君>>16の旋毛が見える。あまり人と関わらないような印象を受けたのだが、私の知らない内に彼にも小さな変化が訪れたらしい。私は思わず目を細めると、机の上に置かれた駄菓子>>2:321からキャラメルを手に取り、彼の視界に入るように差し出した。]
はい、甘くて美味しいよ。
[ 儚くて消え入りそうだと思っていたが、どうやら不器用さを付け加えなければならないらしい。私の本棚に仕舞われた、彼をイメージして購入した日本語の音を表した本を思い、仄かに口角を上げた。]
(19) toimoi 2013/09/07(Sat) 20時頃
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ん? 嗚呼、構わないよ。 私も君に本を届けたかったんだ。
[ 宝生君>>25の言葉に頷きを返したが、はてさて何か用事でもあったのだろうか。私は心の内で首を傾げながらも、この場で言及することは避けた。何か大人の事情があるのかもしれないし、はたまた子どものような照れがあるのかもしれない。それを知ることができるのは宝生君だけであるからして、私はただ彼の意思を尊重するまでだ。]
……ん?
[ そうして話をしてまた手元に視線を落とすと、丁度病沢君>>29がキャラメルを口で受け取るところだった。包装はそのままだったから、銀紙がついていたと思うのだが、ただ咥えただけだろうか。私の位置からは、彼の表情まで覗き見ることは出来ない。 それにしても病沢君は猫のようだ。猫と言うものは渡来品で、天皇も溺愛したと言われている生き物だ。清少納言の『枕草子』には、帝の猫に飛びついてしまい痛い目を見る犬の姿が記されていたりする。結局何が言いたいかと言えば、私の目にも猫のような病沢君は大変愛らしく思えたということだ。空になった掌を返して、病沢君の頭へと伸ばした。]
(35) toimoi 2013/09/08(Sun) 00時頃
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[ 普段誰かの頭を撫でることがないため、触れた感触をどう表現すればいいのか分からない。強いて言うなら、病沢君>>40の毛並みもとい髪は、原稿に追われて何日も缶詰になった後しっかりと洗った、私の髪に似ているだろうか。嗚呼、文字を扱う者として、何と貧相な比喩だろう。もっと見聞を広めなくてはならない。手始めに、今度学生の髪を触らせてもらおうか。]
……通報される気がするな。
[ こうして自重できるのが大人だ。が、自重しないのもまた選択である。病沢君からどこか安心した雰囲気を感じるのは、私の都合のいい頭が見せる幻想だろうか。目元が緩むのを感じながら、私は病沢君の頭を撫で続ける。 せっかく綺麗な色をしているのに、あまり指通りがいいようには思えない。今度女子学生たちに髪の調子を良くするものでも聞いてみようかと考え、彼女たちの驚く顔が安易に想像出来て、私は小さく笑みを零した。]
他に欲しい物はあるかい?
[ 病沢君が椅子に腰かけないことが僅かに気にかかったが、彼がそうしたいのならそれも構わないだろう。『小公女』のおじさんにでもなった気分で、私は彼に優しく問いかけた。]
(41) toimoi 2013/09/08(Sun) 01時頃
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[ 病沢君>>42の言葉に、一瞬彼を撫でていた手が止まる。それはとても細やかで、けれど贅沢な願い。その望みは決して永遠ではないことに、彼は気づいているだろうか。若さ故の純粋さが生む痛みに懐かしさが込み上げて、私は笑みを深める。再び髪を梳きながら、ゆっくりと口を開いた。]
ならば、今を大切にしなさい。 積み上げる思い出が、一枚の頁になるように。
[ 説教臭かっただろうか。まあいい。年齢のせいにしてしまおう。病沢君が何やらごそごそと作業をしている姿に目を留め、次いで聞こえてきた軽やかな音に瞬きをする。]
嗚呼、夏の音だね。 透き通っていて、とても綺麗だ。
[ まるで君の心のようだとは、さすがに胸の内に留めておくことにした。水晶のような彼の心に、わかば荘の思い出が染み渡ることを祈って、私はただ静かに珈琲を飲む。先程よりずっと甘く感じたのは、きっと彼のおかげだ。]
(44) toimoi 2013/09/08(Sun) 02時頃
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― それから ―
[ わかば荘の日々は、空に浮かぶ雲のように少しずつ変化を遂げて行った。宝生君を誤解していたことに気づいたり、病沢君――いや、柳沢君は長い髪を揺らしている。他の皆もまた何か一歩を踏み出したり、それぞれの関係もどこか、暖かなものを感じる。 私はといえば相変わらず、本に埋もれ文字に浸る日々だ。皆とは違い、変化という変化は起きていない。それでも胸の内に宿る感情が優しいのは、この場所とその住人への想いが深まったからだろうか。]
ふう、お茶でも飲もうか。
[ ここで一度、私は筆を置くことにしよう。これからもきっと、私が書き残すべきことが多く訪れるだろう。その時はまた、こうして筆を執るつもりだ。 夏の終わりの風が部屋に吹き込む。「わかば荘の奇々怪々な日常」と書かれた頁が、そっと風に揺れた*]
(147) toimoi 2013/09/09(Mon) 21時頃
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