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64 さよならのひとつまえ
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[十文字が固まったことも気に留めず、隣に掛けていいかも聞かず、パンをテーブルの上に置いて腰を下ろす。 少しずつ鼓動が早まっている気がするが、大丈夫だ。]
なー。
お前さ、やっぱ、今夜とかって忙しいか。
[明日の朝、寮を去るのだから、やらなくてはならないことは沢山あるかもしれない。 そうは思うのだが、つまりそれなら自分にも時間がない。]
何時でもいいんだけど。
[パンを囓り、十文字の顔を見ぬままで話しかける。]
(471) 2014/03/28(Fri) 23時頃
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……そうか。
[返答>>477に、フッと肩の力が抜けた。 知らないうちに、かなり緊張していたらしい。
それにしても、後ろの席がざわざわ煩い。 屋上での騒ぎといい、この大事な日に、なぜこんな騒がしいか。 それとも彼らも彼らなりに、退寮を前に、やり残したことを消化しているのだろうか。 などと軽く考えていたが、明らかにそうでない言葉の幾つかが耳に届く。
漸く和らいだ表情が再び固まりかけたが、そのタイミングで、十文字に山本からのメールが届いたらしく、自分も行かなくてはと立ち上がる。]
ちょっとな。 俺も行かなくちゃなんねーから。
[立ち上がったのは、十文字より少し遅いタイミング。]
(488) 2014/03/28(Fri) 23時半頃
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………。
[残ったカレーパンを口に押し込み、苺牛乳で流し込む。 十文字と目が合った。>>484 他の連中の視線も、こちらへと向いている。 その中に、屋上で見た面々のうち4人の顔を見つければ、事情は大体察せるというもの。
───もし、1年前だったなら。 きっと自分は、向こう側にいたのだろうな。
そう思うと、この気持ちに気付いてしまったのは、ある意味、とても良かったのかもしれない。
噂話を肥大させ、中傷を振りまき、嘲る声は、とても醜い。 あそこにいることがなくて、本当に良かった。]
(493) 2014/03/28(Fri) 23時半頃
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[スマホが山本からのメールを受信する。 内容を確認すると、早足で食堂出入り口へ向かった。]
待て、俺もそっち行く。
[十文字に呼び止める声を掛けてから、一度振り返り]
男が妊娠なんかするかよ、タコ。
[無表情、無体温で言い放ち、それ以上の言葉など聞く気はないというように、片手にコーンマヨネーズパンと飲みかけの苺牛乳を持ったまま、食堂を後にした。]
(498) 2014/03/28(Fri) 23時半頃
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TO:朔太郎 FROM:頼児 TITLE:Re.どこじゃ〜い>>*61 本文: 丞と食堂板 分かったうえから見る
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[歩きながらのメールは、いつも以上に短く、誤変換もそのままだった。]
(*64) 2014/03/28(Fri) 23時半頃
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─ 屋上 ─
[こちら側を選んだのは正解だったかもしれない。 ここからなら、他の皆が書いた文字も良く見える。]
朔太郎がな、お前と、怜二にって。
[手摺に身を預け、校庭にいる山本へと大きく手を振る。 明智が相変わらずカメラを持っていたので、そちらにも手を振った。]
あれな、俺から怜二へ。 ……眼鏡の絵、やっぱあれ眼鏡に見えねーなー。
[屋上から、自分から怜二へ宛てたメッセージを見て、絵心の無さを改めて思い知らされ、肩を竦めた。]
(510) 2014/03/29(Sat) 00時頃
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[十文字に宛てたものはどれなのか。 それを直接言うことはなかった。
かわりに、スマホの壁紙にしている画像を見せる。 少しぼやけた下弦の月は、十文字なら、絶対に見覚えがあるはずだ。]
これ。
俺が、思ってる通りの意味なら。 消灯後に、東棟の屋上来い。
[できれば、ここに呼び出したかったのだが、中央棟は施錠されてしまうから。 大丈夫だ、その為に、東棟からでも見えるギリギリのところに描いたのだ。]
絶対に来い。
[ほぼ命令口調で告げて……]
(514) 2014/03/29(Sat) 00時半頃
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………。
[十文字の袖口が濡れていることに気付き、ハンカチを出そうとしたが、そういえば今はなかった。]
すす……
[拭おうと、指を伸ばそうとした。 けれどその前に、声>>512が響いたので、引っ込めて、ジャージのポケットに突っ込んだ。
さよならはまだ言わない。 ギリギリまで、言うつもりはない。]
(521) 2014/03/29(Sat) 00時半頃
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[返答>>531があるまで、とても長い時間が経ったような気がした。 その間、何事もないかのように、校庭へ向けて手を振ったりしていた。]
約束、したからな。
[漸く短い返事を聞くと、念を押してから、柵から身体を離し、屋上をあとにする。
まずは校庭にいる皆の元へ走って、特に山本に、労いの声をかけなくては。 それから、怜二を探してボールペンを返して。 それから……消灯までに、ひとつ準備をしないといけない。]
(536) 2014/03/29(Sat) 00時半頃
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─ →校庭 ─
[息せき切って校庭へ向かうと、屋上にいた時と同じく、大きく手を振り、駆け寄った。]
お疲れーーー!
それと朔太郎……サンキュー。
悪い、折角なんで俺も上から見せてもらった。 すげーぞ、お前らも一回見ておけよ。
[楽しげに告げながら屋上を見上げれば、まだ、大きな影はそこにあったろうか……*]
(539) 2014/03/29(Sat) 00時半頃
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[それから、消灯時間までに、紐井屋を掴まえることは叶ったか。 見つけたら、ずっと借りっぱなしだった4色ボールペンを押しつけて「元気でな」と言葉を添える。
それからすぐに校庭へ向かい、再びラインカーを走らせる。 色の濃い土の上なら、きっと夜中でも、この白はよく見えるはずだ。
それから、部屋に誰もいないタイミングを見計らい……
……隠し持って、一足先に東棟の屋上へ向かった。]
(551) 2014/03/29(Sat) 01時頃
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─ 深夜の屋上 ─
[羽織ったコートのポケットには、コーンポタージュと、トリプル焙煎の缶コーヒー。
そろそろ消灯の時間。
待っている間、不思議と、やけに冷静だった。*]
(562) 2014/03/29(Sat) 01時頃
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─ 少し前の校庭 ─
あー、凄かったよ、本当に。
……あ、片付けんならさ、悪いんだけど、俺のコレだけ、ちょっと残しておいてくんねー? 勿論俺も片付け手伝うし、こいつはちゃんと、用が済んだら俺が消すから。
[謎の半円は残してくれと。 そう皆に願い出た。*]
(565) 2014/03/29(Sat) 01時頃
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