108 Persona外典−影の海・月の影−
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… … そこっ !!!
[蒼い盾と大地の岩壁、二枚の護りを砕いて大地に突き刺さる直前に。 鋭い跳躍で、雷を見切り、そして避けた。 直前まで居た場所を貫き、灼き焦がす雷鳴の音が、すぐ隣で耳を激しく打ち鳴らしたけれど]
(356) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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リツ … … キ … … !!
[今しかないから、駆ける。リツキに飛び込む様に。 薄く感覚の戻りだした右手、強く強く、握り締めた拳で。 大地の剛亀が振るう、その大蛇の顎で]
… これ で … … … … っ!!
[拳は、友達の姿をした影の胸を。 大蛇の顎は、隙を晒しているのだろう、白い猿の心臓を砕くべく。 持てる力を、その全霊を込めて、強く放たれた]
(357) 2015/02/22(Sun) 02時頃
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[リツキはもう、いない。 一撃の寸前、乾いた、でも胸が寂しくなる様な声が心を打ったから。 ほんの少し、表情はくしゃりと歪んだ…]
(372) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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[打ち抜く様な衝撃に影は吹き飛ばない。 拳と全身の勢いは、視界を覆いそうに近くまで表情を寄せて>>365。
その時の表情は、たぶん、虚しさだ。 これで守れた物はある。でも失くし物もした、無表情にも近い空虚。 まるで力を失くして脱力した様に。
ごぷりと黒い液体を流して、嗤う影の表情がすぐ近くにある。
…頬にすこし飛んだ黒い液体は、色こそ黒だとしても。 リツキの。友達の血と違わない。その思いに抱かれた]
(374) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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… … … … 俺の せいなのかな … …。
(375) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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… … リツキは ね。
[ぽつりと。影に、友達の名残に、零した]
友達として、居心地が良かった。 傍にいて…話もして…遠慮なくて…空気読まなくて…。 イラつきもメンドくさくも感じなくて話してて楽しい…。
でも…悩みとか…寂しさとか…。 …踏み込んだ気持ちをぶつけたり…。 …感じた事を分けたり…そういう友達とは…ちょっとちがった…。
… … … …もっと… そういう気持ちを聞けてたら…。 … … … …もっと… リツキの寂しさを理解できたら…。
… … 良かったのかな … …
[ぽたりと、零れ行く血の変わりである黒い体液の様に。 ぽたりと、ぽたりと、呟く様に小さい声は、影の耳元で囁かれた]
(376) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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… … … リツキの … … バカやろ … … …。
(377) 2015/02/22(Sun) 02時半頃
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オスカーは、リッキィの代わりに、影に、弱い呟きを吐いた ◇
2015/02/22(Sun) 02時半頃
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[胸元で握りこんだままの拳が、ひやりとした手に包まれた>>383。 人の体温と無縁な、一月の空気通りに冷えたその手の冷たさ]
…え… … 。
庇った… それって…。
[大事に抱えられていた記憶。それはとても昔の。 自分にとっては、切欠の中のひとつでしか無かった昔の思い出。
冷たい手で、拳には強い力がぐぐ、と込められていた>>384]
(392) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[どういう想いが、その指先の力に込められていたんだろう。 それは影が込めた物か、それとも、リツキの。
影の背後に現れた血塗れの剣士は、その剣を薙ぎ]
… … … … !!!
[次の瞬間に、影の首は過たず刃を受けていた]
(393) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[例え影でも、友達の姿で、これ以上無く明確に。 死の瞬間をみせつけるみたいに、自ら断ち切ったのは何故だ]
… あ … …
[首が飛んだと思った。だけど肉体の外傷は全くなかった。 剣士の姿は掻き消え、影は消えたのだろう。
…始めの満月の晩、倒した人型のシャドウを見た時から無意識に。 シャドウを倒せば、後には何も残されないと思い込んでいた。 だから、その肉体も、死と同時に消えると]
(394) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[だけど、残されたのは抜け殻の様な身体ひとつだ。
とても重い、その身体が伸し掛かる。 受け止めて支えるのにも、すこし気を抜けば倒れそうな位に。 冷たくて、重くて、ぬくもりの残されていない身体だった。
重すぎる位に重い。リツキの身体だった]
(395) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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… … … …ぁ … …ぅあ… … …。
[覚悟はしていた。殺し合う事、友達の心を踏んでいく事。 理解していたけど、身体の重さを感じた途端、震えが止まらなくなった]
(396) 2015/02/22(Sun) 03時半頃
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[リツキの身体を抱き止めていた肩に、そっと、後ろから手が触れる>>402]
… っ あ 。
[それに連動する様に、留まると思われたリツキの体が崩れていく。 その重みを残して、黒い霧の様に、指先から消えていく。 重みは失われていき、やがて跡も残さず、ゼロになる]
(408) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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ま… … リッ !!
[サァ、と夜の風に浚われて、黒い霧が満月に融けていく。 その黒霧のひとつぶを追いかける様に手を伸ばしたが。手は空を切る。 黒い本と。リツキが掛けていた眼鏡の欠片だけ残して。 死者を見守る似姿に、静かに見送られて]
(409) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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[結局、跡には何も残されずにいた。何故身体は少し遅れたんだろう]
… … …ね… サム。 …これで… よかったよね… …。
…呑まれたく…ない…。 …これ…以上呑ませたくもない…。
…だから俺…リツキ…"消した"よ… … 。
リツキの云った通り…俺…追いかけ…たよ… … 。
…俺しか…できな…て… …俺が…やらな…と…て… …。
[重みも何も残されない。逆にスカスカな気持ちの両腕を眺めて。 震える、声も心も、目に映る景色も、震えている]
(410) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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…ちゃんと…友達の…こと……止めた…よ… … っ。
[決壊した感情の中から、ぼろぼろ零れていく。 ぺたりと地面に、黒いマフラーの裾が情けなく垂れた。 ペルソナは気付けば消え、膝は地面に崩れて、何も無い両腕を眺めて]
(412) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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…あぅ……ぅぁぁ… …ッキ… ……うあ……ぁぁ……ぁ……
[黒い霧は風に紛れ夜に紛れ、どこへ伴い月の影へと流されて。 頬に飛んで汚していた黒い液体が、最期に、涙に流されて、薄れて云った。 ただ黙って立つ、男の傍らで、押し殺す呻きが、漏れ続けていた]
(413) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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[――… 一月の末。寒い雪も積もりかけた、十六歳の日に。 俺は、大事な親友を、失くした… …**]
(414) 2015/02/22(Sun) 04時頃
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