28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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[丸々と太ったふてぶてしい風体の三毛猫だ。 墓地で見たものと同じに違いない。
そして── 声が聞こえた。>>#1]
(21) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[ゆらりゆらりと国谷が見えぬ者には湯のみが宙に浮いているように見えたことだろう]
ッ……アチチ――
[まだ熱いとでも言うかのように息を吹きかける。 >>13 源蔵の言葉にそういう数え方もあるかと頷いていると、>>16 聞こえた植頭の声にそちらを向き――]
えー、冗談きついなー いつも珈琲を御馳走になってるじゃん
[からからと笑いながら、漸く一口目の緑茶を啜った]
(@4) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[ 植頭さん>>16の言葉に、私は困ったような表情を浮かべる。彼とはつかず離れず、隣人としてそれなりの付き合いをさせてもらっていたと思うが、こんなに噛み合わない会話をしたのは初めてだ。夏目漱石がイギリスへ渡った時もこんな気分だったのだろうか。そうであるなら、あちらで引きこもってしまった気持ちも分からなくはない。 私は戸惑いの表情のまま、国谷君へと視線を移す。するとおや、福原君と顔が近いようだが、私の部屋で愛を育むとは、近頃の若者は随分と積極的なものだ。]
国谷君、福原君にそんな顔を近づけてないで、君からも言ってやったらどうだい。 それとも君たちは喧嘩か何かでもしてるのかな?
[ 年齢の大分離れた二人の喧嘩など想像もつかないが、他にこの現状を説明する理由が見つからない。私は湯呑を床に置いて、軽く腕を組んだ。]
(22) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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…欲しい物。 Marxxlixxのチョコレートか、思い出。
[(>>15)お言葉に甘えて。 ちょっと高くて自分では買わないお菓子。 もしくは形の無い何か。選択は彼に任せて。]
誰 ?
[(>>@3)髪が揺れた。空気に圧をかけられて。
誰にともなく問いかける声は、 植頭の言葉(>>16)に重なったかしら。]
(23) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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もちろん、いらっしゃいな。 何かリクエストは? アタシの備蓄の範囲内で答えるわよ。
[尻すぼみになるお願い>>8は、ばっちり届いている。 出て行くジャニス>>9にも、約束よ、アナタの分も作っちゃうから、と先に口約束を取り付けた。 合計5人分。適当に声をかけただけでほいほい集まるこの住人の気安さが好きだ。
宝生がもう入っていっただろうか、部屋のドアを開けた先は、ひと通りの家財道具くらいしかないシンプルな部屋。 趣味も込みでキッチン周りと小物には凝るけれど、あとはソファとTVと、パソコンと小さな本棚、ガラステーブルがあるくらいの物の少なさだ。]
適当にしてて。 って言っても、特に何もないけど。
[何にしようかしらね、とエプロン手に、キッチンを見回した。 作り置きも何かあったような、なかったような。 冷蔵庫を開けて、検分中。]
(24) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[寡黙な男は何も答えない。 分厚い眼鏡の奥からじっと三毛猫を見て、その上に重なるように漂う影を見つめ、真意を問うように目を眇める。
猫とフランクの睨み合いは、1分にも満たない短い間であったろう。 目に見えない緊張の糸を、最初に断ち切ったのはフランクの方。
ふっと視線を猫から外し、隣合う墓地を見て、困ったように肩を竦めた。]
(25) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[宙を浮く湯呑>>@4に流石の私も湯呑を落し掛けた。 これはどう言った現象だろう。 初見の促し>>22を聞くと、どうやら彼には何かみえているらしい。 研究で籠り過ぎで幻想でも見えているのだろうか。 放置と指摘で悩んだが、彼に教わる生徒の未来もある それに湯呑が浮いているのは事実だが]
失礼ですが、不可思議な現象だけは確認していますよ。 福原さんの隣で、誰もいないのに湯呑だけが浮いています。 付喪神とはこう言うものを言うんでしょうか?
福原さんの隣には、誰もいませんよ。ほら?
[少し意地になっているかも知れないが、 湯呑へと手を伸ばし、その空間に誰もいないと言おうとした]
(26) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[軽くうなじをさすり、庭から談話室の中を見る。 まだ、声を聞いた者はいないらしい。
数秒考えこむように俯いている間に、三毛猫はのそりのそりとどこかへ去っていった。]
…………。
[談話室の中の住人は誰かフランクに気付いただろうか。もし、誰かと目が合えば、軽く手を上げて口端を上げる。]
(27) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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ウェーズリーは、Marxxlixxのチョコレートを覚えるのに舌を噛みそうになった。
2013/09/03(Tue) 02時頃
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成仏しないで欲しかったの。 完成されたあの美しい死体が。
概要は調べた。物語の。 でも、実際に読んでくだらなかったら、 それってあんまりでしょう? 憧れたのに。
[(>>19)初見の語る絵は瑠美の好きな絵。 共感で繋がれた瞬間は表情が緩む。少しだけ。
眼鏡のレンズ越しに初見の瞼の動きを見た目は、 間近で浮遊する湯呑みに驚き見開かれ。 そのまま、死体のように暫く硬直する。
植頭の説明(>>26)に、黙ったまま頷いて見せる。 確かにそこには、誰も居ない。誰も。何も。
なのに空気のゆらめきに何かの存在を感じる。 声はそこから聞こえている。]
(28) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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不思議な現象? 私はそう言ったものにとんと疎いんだ。
[ 植頭さん>>26は何を言っているのだろうか。福原君>>23までそこまで顔を近づけておきながら誰とは、やはり最近の若者はよく分からない。国谷君は挨拶の口調こそ軽いが、至って普通の好青年だ。彼が無視されるとは、何と嘆かわしい世の中だろう。 植頭さんが伸ばす手を見つめ、国谷君の言葉を待つ。]
(29) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[フランクは、そのまま談話室へと入らず、玄関から入って廊下を進む。 途中でジャニスを見つければ、三毛猫──と言うより、それに取り付いた亡霊──に気付いたかどうか、問うような視線を向け]
……まだ、いいよ。
[ぽつりと、それだけを告げた**]
(30) 2013/09/03(Tue) 02時頃
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[新居の返事>>24が聞こえて、変な緊張がほっと解けた。
まだ唇をむぐむぐしていただろうか。 服の裾を掴む立花の顔を、下から覗き込むようにして告げる。]
一緒に、……ごはん。食べよ? ちょっと待ってて。
[一旦部屋の中に入り、鍵を持って出てきたなら、 立花にもらったラムネを手に、お隣の新居の部屋へと向かった。 …立花の服をくいくい、と引っ張りながら。
リクエストを乞われたなら、]
おむ、らいす……食べたいです。 しばらく食べてない、から。
[遠慮がちに、応えた。**]
(31) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[ 福原君>>28の言葉に浮かぶのは、芥川龍之介の『地獄変』芸術に生き、芸術が完成した故に死んだ男の姿が僅かに被って、彼女が消えてしまわないように祈った。]
憧れは憧れのまま残っていれば美しいかもしれない。 けれどそれは、永遠に渇きに苦しむことにもなる。
読んだら是非、私に感想を聞かせておくれ。 福原君の見た世界を、私も見てみたい。
[ 驚きに見開かれる目を見ても尚、溢れる願いを口にする。約束が成らずとも構わない。偶然に阻まれる前に思いは口にすると、あの人に誓ったのだから。]
(32) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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名乗ってなかったか? 国谷利右衛門信綱、いずれ世界王者になる男だ
[>>23 瑠美の問いかけに、にやりと笑って答え、 >>22 源蔵に言われ顔を離せば困ったように眉根を下げた]
喧嘩なんてしてないさ
[源蔵にそう答えると、>>26 「付喪神」の言葉には小さく笑い声をもらした]
見ての通り、俺は人間だよ? 冗談はそろそろ止してくれよ なぁ――
(@5) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[>>28 振り返れば硬直し頷く瑠美の姿]
なんだよ、まるで人を"幽霊か何かのように"……ッ!
[言葉を口にした瞬間、世界が歪み出す。
痛い、痛い――頭が割れるように痛い……]
俺は……違う、んだ!
[手で頭を押さえ、何度も何度も横に振る。 首から先が抜けそうなくらいに首を振り、止まった時には額から一筋の紅が流れ落ちていた]
(@6) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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お、れは……
[腕に力が入らなくなり、持っていた湯のみから手を離してしまう]
俺は――ッ!
[湯のみが床に落ちるよりも早く、国谷は駆けだし部屋から出ていった。 扉も、何も、全てを無視して"突き抜けて"]
(@7) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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はぁ。ではこの湯呑が宙に浮く現象は日常茶飯事と言う事ですか。 ではこの湯呑の名前が「国谷」さんですか。
[うっとりと彼女の想いを語る福原の瞳が突然見開かれる>>28 それで彼女にもこの現象に覚えが無いと確信して、 それならこれは初見の部屋だけで起きる現象で、 あの湯呑の名前が「国谷」なら納得出来ると 1人結論付けた]
国谷さん、割れてませんか?
[だから吹き通った温かな風より、床に落ちた湯呑>>@7の 具合を心配してしまった]
(33) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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時間がかかると思うけど。 話したくなったら、話すわ。
何にせよ半年後には。また来る。
[(>>32)お茶は美味しくいただきました。 ごちそうさま、と湯呑みを置いて。
次の本整理の約束を確かめる。 そろそろお暇しようかと立ち上がって、 大切に本を抱いて。初見と植頭へ会釈して。]
( 国谷…信 綱 世界王者 人間 … 幽霊、 幽霊………? )
[痛々しい声が遠ざかっていく。 それを聴きながら。 瑠美もまた、この部屋を辞する。**]
(34) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[ 嗚呼、高さがそんなになかったから、湯呑は砕け散らなかったのか。そんな関係ないことを思考する程に、私は混乱していた。文字通り全てをすり抜けた国谷君>>@7の姿に唖然とする。植頭さんを見、福原君を見、魚が呼吸するように喘いで、2回その動作を繰り返した後、ようやく声を出し方を思い出す。]
……見ました?
[ 何を、とも言わなかったが、きっと彼らと私の"見えている"ものは違ったのだろう。そのことに寒気を覚え、冷房を入れたのは誰だと心の中で悪態をついた。私だ。]
(35) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[どうやら湯呑の国谷さんは無事だった>>35 零れたお湯が広がらないように、 ティッシュを何枚も引き出して拭き取る。 そんな中、今迄見たことの無い表情の初見さんが 私達を何度か見て聞き返した]
………何をです?
[宙に浮いた国谷さんの事だろうかと、問い返した 私の表情はかなり怪訝なもの。 いつの間にか福原も辞する中>>34、2人のおじさんは まさにお互い化かされた様な表情で見合っていた**]
(36) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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いや、国谷さんなら今――、
[ 植頭さん>>33の言葉と齟齬を感じる。「壁をすり抜けて行きました」なんて口にすれば、私の積み上げてきた世界が崩れてしまうようで、声にすることはできなかった。代わりに湯呑を手に取り、台所へと向かう。]
大丈夫ですよ。もう、大丈夫です。
[ それは植頭さんと福原君にかけた言葉か、私自身に言い聞かせた言葉か。台拭きを手に取り、零れたお茶を拭う。さて、あまり負荷をかけることの出来ない私の頭から煙が溢れそうになる。これは一度、情報を整理しなければならない。 福原君>>34が部屋を辞したのを見送った後、私もまた立ち上がる。]
私は少し、散歩に行ってきます。 植頭さんはどうぞお好きに過ごしてください。 特に取られるものはありませんし、施錠もお気になさらず。 用事が終われば、そのまま帰っていただいて構いませんので。
[ 動揺を抑える為に仕事時の口調で話しかけて、雪駄を引っ掻けると返事も待たずに部屋を出ようとした。]
(37) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[幼い頃、母親は裕に女の子の洋服を着せて 写真を撮るのが趣味だった。 童顔で可憐な容姿を持つ母に似て、 裕はまるで女児のように愛らしい顔立ちをしていた。
可愛らしいドールを集めて、手作りの洋服を着せて 同じ趣味の仲間にお披露目をして楽しむ。 そんな趣味を持つ母だったから、 女っぽい容姿の息子に少女の格好をさせたのも ほんの他愛ない戯れだったのだろう。
それがまさか、 後の裕の性癖に影響を及ぼすなんて きっと、予想もしていない。]
(38) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[実際、小学校、中学校と進学するにつれ、 少し華奢で中性的な顔立ちは相変わらずだったけれど 変わった趣味を持つこともなく、 裕は真っ当な男の子としての道を歩んでいた。
ある時、母親がアルバム整理と称して 過去の写真を広げているのを、 ──偶然、見てしまうまでは。]
(39) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[真っ白いレースを重ねて作った ひらひらふわふわと揺れるワンピースを着て 長く伸ばした髪にリボンを飾り カメラに向かって無垢な笑顔を見せる、幼い自分。]
それを見た瞬間、裕の胸の奥で 何かがキュ、と甘く疼いた。
女の格好をした写真なんて 恥ずかしいから広げるなと母親には頼み、 すぐにしまわせた、 けれど。
自分でも気が付かないうちに、 裕の手は、写真の一枚を抜き取り、 そっと、学生鞄に忍ばせていた。]
(40) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[それから、だ。 裕が時々、自室で化粧をしてみるようになったのは。
鏡に映った自分は、まるで本当の女の子のようで ずっと鏡を見つめていると、ドキドキした。
そのうち化粧だけでなく、 女性の洋服も買ってみることにした。 たくさん買ってはしまう場所に困るので、一着だけ。
洋服の次は、子供の頃伸ばしていたような、長い髪。 自前の髪は、もうそこまで伸ばせないので、 通販でウィッグを購入した。
すべてを身につけて、再び鏡の前に立った時、 そこに、越智裕という少年はいなかった。]
(41) 2013/09/03(Tue) 02時半頃
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[自分だけが会える、
鏡の中の少女──。
それを他の人にも見て貰いたくなるまで そう時間はかからなかった。]
(42) 2013/09/03(Tue) 03時頃
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[中学を卒業して高校に入学し、 何食わぬ顔をして仲間たちと過ごす毎日。
少女に会えるのは、 鍵のかかった自室の中でだけ。
どこか満たされぬものを感じながらの日々を変えたのは 友人が聞いて来た、あるアパートの噂。]
(43) 2013/09/03(Tue) 03時頃
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……いえ、お互い忘れた方がいいかもしれません。
[ 植頭さん>>36に背を向けたまま、私は一言だけ言葉を発する。こういった場面はおじさん二人では絵にならない。そう思える余裕がまだある自身の逞しさに無性に笑いたくなって、口元を押さえながら戸へ背を預けた。]
全く、私のようなおじさんが動揺するとはお恥ずかしい。 なあに、芥川の『河童』に比べたら、何てことないじゃないか。
[ くつくつと喉を鳴らして、植頭さんにねえ、と相槌を求める。慌てて動いたためにずり落ちた眼鏡を指の背で押し上げて、植頭さんを見つめれば、彼はどんな表情をしていただろうか。私は生来の落ち着きを取り戻し、首の後ろに手を当て口角を上げる。]
いえね、少し悪戯な客人が来ていた、ただそれだけのことですよ。
[ 謎かけのような問いを投げかけられたのは、話し相手が植頭さんだからだ。そんな悪戯心を忘れていなかった私は、彼がどんな反応を返そうと、私は数瞬も待たずに噴き出す自信がある**]
(44) 2013/09/03(Tue) 03時頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2013/09/03(Tue) 03時頃
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[変わったアパートがあると言う。
不便だけれど、見晴らしが良くて、 街中からは離れているからひと気は少なくて、 それでいて建物は小洒落ていて、リフォームも自由。
隣が墓地になっていて、 そのせいか、不思議な声が聞こえたり 物が勝手に動いていたりするという、 曰くつきの物件だそうだ。
肝試しに行くか? と、一緒に話を聞いた友人は笑って言った。 この年頃の男女は、こうした怪奇現象に目がない。
けれど、裕が注目したのは、別のポイント。
そのアパートの管理人は、 どんな事情の者だろうと、 深く詮索せず、受け入れてくれるのだと言う。]
(45) 2013/09/03(Tue) 03時頃
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[そのアパートの名前は、『わかば荘』。
そこなら──。 もしかしたら──。
鏡の中から出て来れない、“少女”の自分を 誰かに、見てもらえるのではないか──。
期待に胸膨らませた裕が、 驚くほどの熱意で両親を説得するまでに それから、さほどの時間は掛からなかった。]
(46) 2013/09/03(Tue) 03時頃
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