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21 ─明日も、薔薇の木の下で。
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[嵐に手折られた白薔薇は 固い蕾を残したまま 茨だけが伸びて、伸びて]
(*22) 2013/08/05(Mon) 22時頃
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…多分
[まさか音楽室にあるとも思わなかったのだが、 街の音楽関係の店にだって中々ないものをよく見つけてくれたと思う。
背中にはもう壁がぴったりとくっついてしまっている。 耳の横で聞こえた大きな音に怯えと共に肩を竦めた。 目を瞑ってしまうほどに至近で聞こえる大きい音は、苦手だ。 昨日聞こえた雷のほうがよっぽどましだと思う]
どうして、って
[上手く答えられる自信が無くて言葉がすぼむ。 何を言っても、きっと彼の機嫌は直りそうに見えなかったからだ。 恐る恐る、目を開ける。喉が震えて、声が、出ない。 ただ引き攣れた空気だけが零れる]
(312) 2013/08/05(Mon) 22時頃
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セシル先輩、やめて
[手首を掴まれて抱えていた本が落ちる。 背表紙から落ちて、ごとん、と言う音のあとにページが開く。 押し付けられる関節が、気持ち悪くて苦しい]
や、だ
[ユリウスが音楽室に現れたときと同じだ。 頭が朦朧として、薔薇の匂いがする。 ねっとりとした感触と人の体温が、怖い]
(313) 2013/08/05(Mon) 22時頃
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[皮膚が切れる感触に記憶はあっても 穴を空けられるという行為は体験したことがない。 腸詰に歯を立てたら同じような感じになるのだろうか。 殴れば、と示す声が聞こえた。 痛みに表情は顰めていてもどうにか視線ぐらいは投げられた]
…殴ったら、それで解決しますか。
[振り上げた拳で解決するとは思えない。 それが少年の考え。 たとえ、与えられた傷であったとしても全てを]
先輩には、俺が、そう見えますか。
[問いかける。 ただ、問いかけて──負荷が消えたことと、鳥の羽音に驚く。 拘束が消えたことで床に身体が崩れ落ちた]
(324) 2013/08/05(Mon) 23時頃
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[枯れたくない。 もうすぐ、咲くはずだったのに。 大輪ではないけれど、小さいけれど]
足り、ない。
[もっと、もっと。 小さな白薔薇を咲かせるには、足りない。
桜の下には死が埋まり 柳の下に御霊があるなら]
ほしい。
[薔薇の根深くには、欲望がきっと眠っている。 茨を伸ばし、香を煮詰め、自分を咲かせるために足りないものを ──想いと言う名の水が満ちるのを待っている]
(*28) 2013/08/05(Mon) 23時頃
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もっと もっと
[白い花は望む]
愛して。ゆるして。
[咲いて。咲かせて]
満たして。いっぱいに。
[自分が、枯れてしまう前に]
(*29) 2013/08/05(Mon) 23時頃
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[サミュエルが現れたことで セシルの気配ががらりと変わる。 力が抜けたまま、虚ろな視線が二人のやりとりを 暫くの間は見ていたが]
…、
[薔薇の香りは濃く広がったまま。 苦しいと思えば、もう緊張の糸が切れた今 瞼は勝手に閉じて思考を放棄した*]
(338) 2013/08/05(Mon) 23時半頃
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−医務室−
[目が覚めたときに医務室に戻っていたので 何が起きているのかさっぱりわからずにいた。 いっそ、今までのことは全部真夏の夢だったのではないかと 上掛けにもぐりこもうとして]
…いたい。
[首を捻って、引き攣れる首の痛みに眉を顰めた。 歯を立てられたことは覚えていたが、 そこに貼り付けられた記憶のない絆創膏は テープが拠れて皺になっているところもあった]
(447) 2013/08/06(Tue) 21時頃
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…は?
[上掛けごしに聞こえた声に顔を出す。 軽く周りを見て、何故かクラスメイトがいることも驚いたが 黒いフード姿を見てそちらにも驚いた。 先ほどの問いかけを反芻して、首を振る]
いや…そこまでじゃ、ないし。
[痛いは痛いのだが、薬がそも嫌いだった]
(451) 2013/08/06(Tue) 21時頃
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…先輩?
[単純に、先輩といわれて思いつくのはトレイルだ。 状況的にはセシルが当てはまる相手として濃厚だが 果たしてあれだけ自分を嫌っていた彼が 絆創膏とはいえ手当てをするとも思えなくて顔が曇る]
睡眠薬って…そんなに若いのに。 先生いないけど、鍵、開いてるの?
[物騒だな、なんて小さく呟いた。 保健室にある薬全てが安全ではないはずなのだ。 軽く肩を竦めながらポケットに落ちていく薬を見る]
(461) 2013/08/06(Tue) 21時半頃
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…?
[花の匂いがする。薔薇の匂いだ。 少しすっとするような、でも薔薇には違いない。 小さな白薔薇は何も語らない。
ただ、茨の伸ばしたそのさきを蒼へと示すだけ]
(*45) 2013/08/06(Tue) 21時半頃
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…そう、だね。
[あれだけあからさまに嫌悪を示しながらも 医務室まで運んでくれて、絆創膏まで貼ってくれたのだ。 恐らくは自分に嫌われる原因があるのだろうと思っているが 嫌われているから謝らなくていいというのは筋が違うと思う]
大丈夫だよ、そのうち忘れちゃうだろうし。
[傷なんて、大概はそのうち治るものだ。 治らなかったからといって困るような身体でもない。 一日に二度もカーディガンを着たまま寝台に入ったせいで 暑くて仕方なくて、病人でもないのだからと寝台から降りる。
ちらりと見やれば使用中らしい寝台。 ユリウスが目覚めた気配は、今のところなさそうだった]
(473) 2013/08/06(Tue) 22時頃
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そういうのは、自慢げに言うことでもないんじゃない…?
[軽く肩を竦める。 添い寝、という単語に首を捻ると、絆創膏が引き攣れて 再びやってくる痛みに少し表情をゆがめつつ]
…俺はそういうの、向いてないし。 ラルフとか、得意そうだけど
[ニーセンの視線がこちらを見上げるより先にシーシャへと 尋ねるような視線を向けた]
(474) 2013/08/06(Tue) 22時頃
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[寝相が悪い。 それは、少年の予想の範疇にはなかったことだ]
…まあ、でも寝相さえクリアできれば
[きっと大丈夫なんだと思う。 確定で言えなかったのは自信が無かったから。 席をたったシーシャの動きを何気なく視線で追えば 距離は程ほど近く、見えた表情は苦手なものだ]
い、いいよ。 大丈夫だって。
[遠慮しておくとばかりに両の手でクラスメイトとの間に干渉を作り]
(486) 2013/08/06(Tue) 22時半頃
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…添い寝は苦手って言ったじゃない、今。
[はっきりと断れないのはいつものことだ。 こういうところがクラスメイトにいいように使われて かつセシルに嫌われる原因の一つでもあるというのに。
ピンクのカーディガンの袖口、 リブが少しずり落ちて腕時計のように覗く紅色の]
親切は、嬉しいけど …絆創膏で治る程度だろうし、ね?
[気持ちだけで十分だと伝えられそうにもない。 どうにも周りの人間はじぶんよりも押しが強く感じられて]
(496) 2013/08/06(Tue) 23時頃
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[ああ、また言われた。 そんな顔をついしてしまう。 何かをはっきりさせるのはどうも苦手なのに 周りはどうしてこんなに白黒はっきりつけたがるのだろう。 グレーゾーンというものが、見当たらない]
…シーシャの手当が嫌なんじゃなくて 今は手当てを必要としてないって言いたいんだ。 必要だと思った時には、自分でやるから。
[手を下ろしながら答えはするものの、 視線がついリノリウムの床へと落ち その視界で指先がカーディガンのリブを手持ち無沙汰に抓んで]
(503) 2013/08/06(Tue) 23時半頃
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だから、…っ
[やっぱり上手く伝わらなかったらしい。 そこに聞こえる、いい子という評価は長い溜息と共に 少しばかり胸を抉って、指先が少しリブをきつく伸ばした]
……別に、いい子なんかじゃ
[ない、と言おうとしたところで 崩れ落ちる少年の姿に声が掻き消える。 一瞬ぽかんとしたあと、慌てて駆け寄った。 見たところ薬を飲んでいるわけではないのだろうけれど]
(516) 2013/08/07(Wed) 00時頃
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あ、うん。
[譲ること自体は吝かではない。 ニーセンへと近づこうとしたところで手首を捕まれ 軽くつんのめりながら振り返る]
え、
[手首。 指摘されたその色にコーヒー色を少し丸くしたあと、 その赤い色から逃げるように視線をそらして]
…いつも、時計で隠れてるから気付かないだけじゃない?
[そうやって言葉ではぐらかしながら ニーセンをまずは寝台へ上げてしまおうとシーシャを促す。 一仕事終えてしまえば、医務室が何だかいづらくて 挨拶もそこそこに自分の部屋に戻ろうと**]
(520) 2013/08/07(Wed) 00時頃
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