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78 わかば荘の薔薇色の日常
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[昨夜、素人に「どう」と正否を求めようとしていた間中がわらっている。したり顔で。 たった一晩でこのざまだ。 なんてふてぶてしい。
――傲慢でないよりも、ずっといい。]
(81) gekonra 2014/07/03(Thu) 19時半頃
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は? モデルって、ずっと動かねえやつだよ? お前できるかな……
[出来るのなら、違うモデルを使うのは、いい気分転換になるだろう。描いてみたいかどうかでいえば――確かに、描いてみたい気もする。]
(82) gekonra 2014/07/03(Thu) 19時半頃
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[色が好きだった、と言うのに、小さく、笑い声をたてる。 何人も観察し続けて挑んだ末の「いい」と思って載せられる色だ。 たとえ今現在定番として成り下がっていたとしても――]
お前ね。 10年早いよ。
[知りたい、というそれに、口の端を歪めた。 挑戦を待つように、にやと笑った。]
(83) gekonra 2014/07/03(Thu) 19時半頃
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[間中が約束だと言い切った。]
(84) gekonra 2014/07/03(Thu) 19時半頃
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ん。
[頷くのは、難しくなかった。]
(85) gekonra 2014/07/03(Thu) 19時半頃
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変なやつ。
[動かないのは得意、楽しみだと言う間中を鼻で笑った。 この変人が何の見返りも求めずそんな事をするという筈がないのだから、モデルを引き受けることで、向こうにとっての利益はなんらか満たされると考えているのだろう。>>86]
(92) gekonra 2014/07/03(Thu) 21時半頃
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[部屋の主は書物をはじめるらしい。 パソコンに向かう後ろ姿を暫し眺めた。 昨夜の暗い部屋はモニターの光ばかりぽっかり浮かび上がり、顔のシルエットばかり白々と強調していたのに、今は窓からの日を取り込んで、明るい。 部屋の壁を取り囲んで、闇に紛れて室内を見張っていた本達も、背表紙に正体をくっきりと主張し、何者であるかを煩いくらいに名乗っている。 間中は、『要る』と言ったこの場所で、次にどんな物語を綴るのだろう。 それは当然、想像したところで、詮無い。 この変人が、文章の中で自由に勝手を始めるのだというのだから、予想出来ようはずもなかった。]
(93) gekonra 2014/07/03(Thu) 21時半頃
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[さて退散するかと思ったところで――]
…………――
[盛大に、間中の腹が鳴った。>>88]
(94) gekonra 2014/07/03(Thu) 21時半頃
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[同意を求められた。 同意するまでもなく間中が空腹なのはよくわかった。]
うん……なんか食えよ。
[呆れ半分に頷くも、南方も、昨夜は食べ損ねている。 間中がパソコンの画面を閉じるのを横目に立ち上がった。 たっぷり睡眠をとったかわりに、バキバキにかたまった体を伸ばしたところで、間中ほどではなかったが、腹が鳴る。 南方は、「あ」と小さく声をあげた。**]
(95) gekonra 2014/07/03(Thu) 21時半頃
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― ほとんど昼だね201号室 ―
[コンビニ袋が置いてあるなとは思っていた。 まさか中から要冷蔵商品が出てくるとは。]
間中サン。 夏になるんですよ……。
甘いものは好きだけど。
[手のひらを見せて首を横に振り、丁重にお断りした。 多分間中が気をつけるべきは食中毒だなと思う。]
(130) gekonra 2014/07/04(Fri) 05時半頃
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ミナカタは、殴られ無さそうだから押し付けられかけたとは知らない。
gekonra 2014/07/04(Fri) 05時半頃
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[――まずそうなエクレアと管理法に心の距離をとったのだ。 わざとだ、わざと。 そう思いながらも、面倒臭がって名前の訂正に曖昧に頷く。]
……どんくらい経ったやつかしらんし……。 期……限が平気なら?
[言ってはみたがやっぱり食べたくない。 間中はエクレアを袋に戻す。 それ仕舞ってどうするつもりなんだろう……と動作を見守った。 結局人に押し付けるつもりでいるのは分からなかったし、知りたくもないので追求しなかった。]
(134) gekonra 2014/07/04(Fri) 06時頃
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[袋に手をいれているのでまだ何か出てくるのかと警戒したが、案外まともなものが手渡された。 貰った飴の包み紙を開けて、ひとつ口にいれる。]
……どうも。
[飴を舐めたままやや不明瞭に礼を言う。 鞄を拾い上げ、間中と共に部屋を出た。 談話室へ誘われたので、南方は「や」と何か言いかけるも、間中の思惑を聞き――]
おい。今聞き流しそうになったけど すっげー当然のようにアテにしたよな!?
……猫とかの発想だって、それ。
[ついていけない。 呆れていると、服の裾が、つん、と引かれた。]
(135) gekonra 2014/07/04(Fri) 06時頃
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……ん、?
[何だろうかと、足をとめる。 なに、と聞く前に間中の顔が急に近づいてきた。 身を引こうとしかけるが、髪が頬に触れた。 首の間近で空気がうごくちいさな気配と、くん、と鼻で空気を吸う音がする。]
……わ、――かってるから嗅ぐんじゃねえっ。
[談話室への誘いを断りかけた理由だ。 温度を感じそうなほど近い間中の額へ手をやって、ぐいと押し戻し、ついでに一度額を叩いてやった。 気恥ずかしげに舌打ちをしてシャワーと髭をなんとかしろという間中に「はいはい」と頷く。]
(136) gekonra 2014/07/04(Fri) 06時頃
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[階段を降り、104号室の前で、南方の歩が止まる。 そのまま廊下を進む間中を見送るでもなく、昨夜返却された鍵を鍵穴にいれて回す。ドア枠を跨いだ。 ドアが閉まった直後、鍵が再び施錠される音。**]
(137) gekonra 2014/07/04(Fri) 06時頃
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― 昼:104号室 ―
[間中の部屋から自室へ戻った南方は、窓を開けて換気をした。 視線を横へ……壁際へとずらし、描きかけの絵を見る。]
……。
[近寄り、キャンバスの木枠を掴み、壁にたてかかって軽く斜めになったそれを、まっすぐに起こして、暫し、そのまま。 絵に狂いがないか確かめるよう、やや大げさに、ゆっくりと首を傾げ――手を放した。 くるりと背を向けた。]
(280) gekonra 2014/07/05(Sat) 09時半頃
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――うーん。
[窓をあけた次に、洗濯機の前で、鞄から取り出した畳んだままの白衣に、鼻を近づけていた。 ……もしかして。汗臭かったろうか。 間中に言われて心配になった。 間中の部屋で、変人が何故か嗅いでいるなあとは気づいていたが、その時は油絵の具のにおいが気になってそうしているんだとしか思わなかった。 そういう意味じゃなかったとしたら相当イヤだ。すごくイヤだ。 また小さく心配そうに唸りながら洗濯機に白衣を入れた。
鍵の紛失と風邪とたまたまの外泊の間で珍しく溜まった洗濯物を片付けてしまわなければならない。幸い、天気もいい。 溜まった洗濯物と、今着ている服も放り込んだ。
洗濯機を使いながらではシャワーの水量に些か問題があるので、スイッチはまだ押さず、先に風呂を使う。]
(281) gekonra 2014/07/05(Sat) 09時半頃
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[長めに湯を使った。 熱でたっぷりかいた汗も流れた。 髭も伸ばしている分は残しつつ剃った。 間中に嗅がれた首を、こりをほぐすように強めにさすった。
湯上がりでまだほかほかしながら服を着る。 洗剤をいれてから洗濯機のスイッチを押す。 ――何十分か後、ベランダに洗濯物を干す南方があった。]
(282) gekonra 2014/07/05(Sat) 09時半頃
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[洗濯物を干し終わる。 日差しが中々強烈であるので、今日は早く乾きそうだ。 さて、次に空腹を何とかするかとへりっぱなしの腹をさすり――それまでの繋ぎにするかのように、貰った飴をもうひとつ食べた。
いつもどおりコンビニに出かけて弁当一つを買って戻る。 ――さて、一応天露の折りたたみ傘も持ってでたが、彼の居る日だったかどうか。]
(283) gekonra 2014/07/05(Sat) 09時半頃
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― 夜?:104号室 ―
[それは、イーゼルに大きなクロッキーブックを置き、エスキースにとりかかっていた時の事だった。]
(284) gekonra 2014/07/05(Sat) 09時半頃
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[取り立てにあった事などないが、平井の同業者が借金の取り立てに来たか、或いはやはり緊急の、それこそ死人が出たかもしれないと思えるような勢いで、ドアが、壊されるのではないかと思うほど、強か叩かれている。 同時、ドアの向こうで人間が近所迷惑な程叫んでいる声がした。 驚きビクッと跳ねた手が、イーゼルに打つかって、置かれていた鉛筆が床へ飛び降りて芯が折れた。]
…………………。
[なんの用か、阿呆がやってきたことが、声でわかった。 面倒くさそうに鉛筆を拾って作業台に置く。 ――すでにそこには、鍵が云々と書かれたメモはない。 間仕切りの向こうへいくと、ピシャリとカーテンを閉めた。]
(285) gekonra 2014/07/05(Sat) 09時半頃
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[ドアノブを掴む。 ドアを押し開けた。 南方は芸を壮絶な険相で出迎えた。]
(286) gekonra 2014/07/05(Sat) 10時頃
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う るっ せぇ ん だ よ !!! 叫ばねぇで喋れねぇのか!
何の用だ、何の。
(287) gekonra 2014/07/05(Sat) 10時頃
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…………。
[芸は、汚い感じの水を持っていた。]
……え? たまご酒っつった?
[どれが?……それが?]
(289) gekonra 2014/07/05(Sat) 10時頃
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[芸の双眸は、悪気なく、きらきらと廊下の照明を反射させて輝いている。 散歩に行くよと声をかけられた若い犬が、リードをつけてやる前に「座れ」と言われたのに即反応して「できたけど!?できたけど!?」といった様子でべろを出したまま人間を見上げている時の顔に似ている。]
…………。
[まずは、たまご酒→風邪、この過程を理解する。 次いで、風邪→なんで知ってるの?→多分間中 ここまでも理解した。]
風邪は治ったんですよ。
[芸の修行で鍛えた手指がシッカリと掴む湯のみを眺めた。 温度を想像する。湯気が確認できないのも気になる。 自衛として、まずはたまご酒を受け取る必要のない状態だという事を伝えた。 だって、たまご酒を主張しているのに、どう見ても湯のみのなかに何か丸いものが見えている。]
(291) gekonra 2014/07/05(Sat) 10時頃
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[けれど、シュンとされてしまえば、せっかくだから一口くらい味見すると言い出してしまうだろうし、勢いや熱意にまかせて湯のみを差し出されたら断りきれずに結局味見を考えたろう。
芸の反応がどんなものだったかは、さておくとして、南方は湯のみを受け取ってしまった。]
(292) gekonra 2014/07/05(Sat) 10時半頃
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[中身を、相手の手元にある状態でよく見なかったのは間違いだった。手元で改めて湯のみの中身をよく観察してから、失敗だったなと気づく。]
なんか……浮いてるな。色々……。
[丸いのが浮いている。これは名前の通りで、卵であることは間違いない。 白身に包まれた柔いピンク色の黄身(多分半熟であるが別に喜ばしくない)をもった卵が――肌の白いうみぼうずが、ゴミの海を漂っている。 ゴミの海だと感じたのは、茶色い水に、茶色いブツブツが浮いており、卵や湯のみの壁にこびりついていることと、赤か茶の、なにがしかの油が玉になって浮いていることが原因だ。 受け取って、掴んだ湯のみは、あったかい。 もとい、ぬるい。]
(293) gekonra 2014/07/05(Sat) 10時半頃
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……これ飲めるやつなんだよな?
[どうせまずいだろうことは見た目でわかるので、相応の覚悟は出来た。 あとは覚悟を上回るかどうか、程度の問題だ。 食品以外が入っている、という事がないかどうかだけは確認をしたかった。キッチンにある洗剤や生ごみなどを思い浮かべる。 泡はたっていない。洗剤は大丈夫そうかと思ったが、洗剤が油分に負けて泡が立たない想像を、必要もないのにしてしまって、ますます不味そうに見えた。]
(294) gekonra 2014/07/05(Sat) 11時頃
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[わかっている。 これは警戒すればするほど飲めなくなるパターンの代物だ。 だから覚悟を決め直す。 ちょっと飲んだら満足して芸は去ってくれるだろうと期待して。 南方は息をとめて、一口くちをつけた。 水気が口の中に、わずかに流れこむ。 勢いをつけてゴクッと飲むほどバカにもなり切れなかった。 けれどおかげで浮いた油ばっかりが口の中に流れ込んできて、舌に油が絡まって、ベトベトした。 塩気と辛味と酸味と甘味――ん〜〜もうよく考えたくない味だ。 判断が出来ないという事は人間にはある。人間なのだ。書道家も言ってる。 南方は目一杯顔を顰めてから――]
あ
[小さく、ひとつ、気付きのように声をあげて、驚いたように――]
(295) gekonra 2014/07/05(Sat) 11時頃
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臭え。
(296) gekonra 2014/07/05(Sat) 11時頃
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……くっせえ。
????
くせぇ……なに……?
[ラー油とシナモンと酢と酒と醤油とウスターソースは全部におう。]
(297) gekonra 2014/07/05(Sat) 11時頃
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