28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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― 街中 ―
[自宅の方面に向かっててくてく歩いていると、メールの着信音が鳴った。>>1:68 ケータイをぱかっと開き、本文を見て顔をぱあっと輝かせる。そしてぽちぽち返信。]
『TO:宝生さん
本文:うん、今から行きます!』
[メールを送信すると、ケータイをバッグのポケットの中にしまって]
へへ…。 ミルクとかごはんとか、買っていこうかな?
[わかば荘へと向かういくつかの道順の中から、途中ににスーパーのある道を選んで少し足早に歩き出した。]
(@0) 2013/09/03(Tue) 01時頃
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[宝生に声を掛けられた日>>1:70の事を思い出す。 最初は、少しびっくりした。張りのある、大人の男の人の声。父親のよりも、若さに満ち溢れた。でも、怒られるわけじゃないってわかって、
…うん。でも、おかあさんにダメって言われちゃったんだ。 ねえ、この猫、誰か拾ってくれるかな? 誰も拾ってくれなかったら、こいつ、ずっとこのままかな?
そう言ってそのお兄さんの顔を見上げたら、飼うって言ってくれたから。 宝生さんはちょっと言葉づかいがぶっきらぼうだけど、すごく優しい人なんだ。**]
(@1) 2013/09/03(Tue) 01時頃
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― わかば荘へと続く道 ―
[猫缶と500mlの牛乳パックの入ったビニール袋を左手にぶら下げて、バス停を通り過ぎわかば荘へと続く坂道を登っていく。 風は爽やかで、坂道の途中で後ろを振り返るとおもちゃみたいな町並みが眼下に広がっている。 衛はこの丘の上から見える景色が好きだった。
坂の途中で公園を通りがかると、見た事のある髪の長い少女の姿を見つけて立ち止まる。]
あ… あの人…
[わかば荘に住んでる人だ、と、すぐに気付いた。 誰かと話しているようだ。]
(@17) 2013/09/03(Tue) 21時半頃
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― わかば荘 ―
[挨拶しようかどうしようか、と悩んでいるうちに、髪の長い少女は変な足取りでわかば荘へと歩いていく。>>78 その後ろを金髪の少年>>@16がついていく。
なんとなく、少し間を空けてその後に続いた。 少女の手によって玄関が開けられれば、少年が扉を潜った後扉が閉まる前に取っ手を掴んで、玄関に身を滑り込ませる。]
えっと…
[わかば荘の1階廊下をゆるりと見回す。 こちらに気付く人がいれば、こんにちは、と挨拶をして、101号室を目指して歩いていく。]
(@22) 2013/09/03(Tue) 22時頃
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あ……こ、こんにちは。 えっと、ここに住んでる人ですか…?
[少女>>105と目が合うと、ぱちくりと瞬い挨拶を返す。彼の本当の姿を見た事はあったかもしれないが、少女の装いの彼を見た事はない、はず。
それから、植頭>>108へもこんにちは、とぺこり頭を下げて]
あの、宝生さん今部屋にいますか?
(@27) 2013/09/03(Tue) 23時頃
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そうなんだ…。 ぼく、明智衛です。この近所に住んでるの。 これミィにあげようと思って来たんだ。
[少女の優しそうな声>>120に安心したように表情を緩めると、簡単に自己紹介をして左手に持った猫缶と牛乳パックの入ったビニール袋を掲げてみせる。]
ううん、大丈夫。 宝生さんの部屋行ってみるね。ありがとう!
[植頭と少女に向かってぺこりとお辞儀をすると、談話室を通って101号室を目指そうと。 顔を上げた時、少女の顔をまじまじと見てどこかで見た事あるような気がしたが、目の前の少女の装いをした人物が男子高校生だとはまだ気付かない。]
(@31) 2013/09/04(Wed) 00時頃
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?
[男の名を名乗った裕の胸中など、知る由もなく。>>140
その後に仔猫の名前を聞いて顔を強張らせた相手を、屈託のない眼差しで見上げて少し首を傾げた。]
うん。ミィを見つけたの、ぼくなんだ。 でも、飼っちゃダメって言われたから。 宝生さんが飼うって言ってくれて、ミィはきっとラッキーだったよ!
裕おねーさん、植頭さん、またね!
[そうミィと宝生の事を語る衛の目は、きらきらと輝いて。 裕と植頭に向かって手を振ると、101号室へと足を向ける。 部屋の前でブザーを鳴らしてみるが、反応はないだろうか。**]
(@36) 2013/09/04(Wed) 00時半頃
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― 101号室前 ―
[宝生の部屋の前、ドア横の呼び鈴に右手を伸ばし、人差し指でぽちっとな。
ぴんぽーん ……
今から行く、とメールをしたし、すぐにドアが開かれるかと思ったが、反応はなかった。ちょっとの間が空く。]
……あれえ?
[僅かに眉を寄せて、首を傾げる。
ケータイを取り出そうとバッグのポケットに手を回した時、視界の端に何かが映った。顔を上げてそちらに視線を向ける。
丸っこい大きな三毛猫だった。>>#0]
(@58) 2013/09/04(Wed) 20時半頃
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あ。
[見た事のない猫だ、とまず思った。 わかば荘にミィの他に灰色の猫がいる事は知っていたし、見た事もあったけれど、この三毛猫は見た事がない。]
―――…ッ!?
[三毛猫に見据えられて、顔が強張る。猫とか犬は好きだけれど、その三毛猫の、こちらを見つめる目つきになんとなく悪意のようなものを感じて。
と同時に、頭の中に流れ込んでくるように女性の声が響いて>>#1>>#2、首の後ろに氷を当てられたような気分になった。膝上丈のズボンから伸びる白いハイソックスを履いた足が竦む。 無意識にメッセンジャーバッグのショルダーベルトをぎゅうっと握り締めた。]
(@59) 2013/09/04(Wed) 20時半頃
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[金縛りに遭ったように三毛猫を凝視したまま、頭の中で言葉を反芻する。
たいせつなもの。 なくしたくないもの。
それを―――壊したい?
やがて三毛猫がのそりと動き出しても、身動きがとれずにいた。 なんだか酷く恐ろしくて、心細いような心地がした。表情は硬く強張ったまま。]
(@60) 2013/09/04(Wed) 20時半頃
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[宝生から不意に声を掛けられて>>208、はっとして振り返る。 少し驚いたような顔に、安堵の色が滲んだ。]
宝生さん。 お隣さんに用事だったの?
[張り詰めていた空気がほろりと解けたかのような気分。]
どこ、が?
あっ、ぼくミィのごはん買ってきたよ!
[きょとんとして首を傾げてから、餌がまだ>>209との言葉に、スーパーのビニール袋を掲げてみせ、101号室の部屋の扉が開けられるのを待って中にお邪魔した。]
(@61) 2013/09/04(Wed) 20時半頃
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[宝生が出してくれた浅い小皿に餌を盛って、ミィの前に差し出す。 しゃがんで膝を抱えながらミィの食事の様子に目を細めていたが、宝生が口を開いた>>209のに顔を上げて視線を合わせた。
他の猫、の言葉に、ぎくりとして顔に緊張が走る。]
……うん。三毛猫がいた。
あの猫、前からここにいる猫なの?
なんかちょっと、怖かった、な。 ――へんな声、聞こえたし。
[よもや相手にも自分と同じ声が聞こえているとは知らず、ぎこちない笑みを顔に貼り付けながら睫毛を伏せて視線を落とす。 努めて平静を装ってはみたものの、舌が縺れそうになって上手く喋れなかった。]
(@62) 2013/09/04(Wed) 21時頃
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えっ。 で、出るって…
幽霊、が?
[隣に墓地があるのは、もちろん知っている。 ここの家賃が格安だ、なんて事はまだよく理解してないが、小学校のクラスメイトの中にはわかば荘には幽霊が出る、なんて仰々しく言う者もいた。
とは言っても衛が知っているここの住人には怖い人はいないし、わかば荘を取り巻く空気には陰気な嫌なものは感じないし、幽霊が出るという噂についてはどうせ嘘だ、と決めてかかっていた。
宝生の言葉>>235に、ぱちくりと瞬いて顔を凝視する。]
(@63) 2013/09/04(Wed) 21時半頃
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ほ、本当に出るの…? っていうか宝生さんも声聞いたの?
[どうせ口だけ、というのは、あの頭の中に流れ込んできた声に対して言っているのかと推測して、目を丸くする。 宝生の腕のミミズ腫れの痕が目に入って、痛そう、と零したけど、何でもないような声が返ってきただけで]
…宝生さんは、怖くないの?
[おずおずと窺うように上目遣いに見上げる。]
(@64) 2013/09/04(Wed) 21時半頃
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そっか。 宝生さんは見た事ないんだ…。
[宝生の口が歪んだのを見て>>239、あれ、何かまずい事言ったかな、と、アヒル口になって顎を引く。]
―――怖いのは……
たいせつなものが本当にこわされちゃったら、って思ったら。 いやだな、って。
(@68) 2013/09/04(Wed) 22時頃
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…かぞく、とか。
おとうさんもおかあさんも弟も、いなくなったりしたら、いやなんだ。 おかあさんが勉強勉強、っていうのはたまにうるさいな、って思うけど、でも、おかあさん優しいし、おかあさんの作るご飯おいしいし。 弟も、わがままで生意気でたまにむかつくけど、いなくなればいいなんて本気で思った事ないし。
[宝生の問いに、視線を抱えた膝の上に落として頭に浮かんだままを訥々と口にする。]
――…ぼくの、考えすぎなのかな。 宝生さんは、こわされたらいやなもの、ないの?
(@69) 2013/09/04(Wed) 22時頃
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えっ? ……そうなのかな?
[まるで自分はそうではない、とも受け取れる言葉>>244に、きょとんとして瞬く。 言葉を続ける宝生の口元をじ、と見守り、彼の視線の先を追って、壁の方を見る。が、その先の何を見ているのか、まではわからない。]
………?
[壁と宝生の顔を交互に見比べていれば、やがて沈黙が破られた。]
…なんだか変な言い方。
(@71) 2013/09/04(Wed) 22時半頃
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怖いと思ううちは、壊れない…。
………なんだか少し、難しいや。
[宝生の言葉を聞き漏らさぬようじっと耳を傾けて、それを頭の中で反芻する。 けれど、少し困ったように眉尻を下げて、えへへと笑った。
そこに、ピリリとメール着信音が鳴る。 バッグからケータイを取り出してみると、母親からだった。]
…あっ、ぼくそろそろ帰らなくっちゃ。
[ちょっと慌てたように立ち上がると、帰り支度をしようとバッグを手に持つ。*]
(@72) 2013/09/04(Wed) 22時半頃
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[差し出した手の平の上に乗せられた、フエラムネ。>>255 ちょっと意外そうにそれをしげしげと眺めてから顔を上げ]
ありがとう。 ミィも元気そうで良かった。
[玄関へと向かう間、見かけた住人にはぺこりと会釈をして。
宝生の大きな手で頭をぽんぽんされて、心地良さげに目を細めた。]
うん。宝生さんもね?
ミィ、またね。
[知ったような口を利いてみたのは、ちょっと背伸びしてみたくなったから。宝生と別れ際、彼の腕の中の仔猫を撫でる。
一人と一匹に手を振ってわかば荘の敷地から出ると、ぴり、とフエラムネの包みを破いて口の中にそっと含む。 舌の上で転がした後、唇に挟むようにして息を吐き出せば、ピィー…とノスタルジックな音色が小さく響いた。]
(@76) 2013/09/05(Thu) 01時頃
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[フエラムネの音色を楽しみながら、帰路を急ぐ。
家に帰ったらおかあさんの作ったご飯が待っている。 ご飯を食べたら弟と一緒にアニメを見よう。それから、塾の宿題をして。 おとうさんがいつもより早く帰ってきたら、一緒にお風呂に入りたいな、と思った。**]
(@77) 2013/09/05(Thu) 01時頃
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