21 ─明日も、薔薇の木の下で。
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−廊下→自室−
うーん…またたび…
[とりあえず雷の衝撃に耐えたトレイルの様子に 少しほっとしたように息を吐き出す。 それからなるべく、気が楽になりそうな話を選んで]
…先輩、今でも十分猫っぽいですけどね。
[ちら、と見やってから部屋の扉を開く。 自分が上掛けを軽くはねた様子と、トレイルの寝台と、それぞれがある。 机の上の反省文を今度はきちんと片付けながら]
…明日、晴れるといいですね。
[雨だとまたトレイルが一日苦労しそうだから。 そんなことを挨拶代わりに寝台へともぐりこんだ]
(30) 2013/08/04(Sun) 08時半頃
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[おやすみ、と聞こえたので今度は大丈夫だと思った。 自分も今日はもう眠るだけのつもり。
瞼を閉じて、眠って雨の止んだ明け方少し前。 太陽が昇り始める頃、花の匂いを感じた気がしたが てっきり同室が窓でも開けたのかと勘違いして ふたたび落ちていく眠りは心地好かった**]
(32) 2013/08/04(Sun) 09時頃
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−自室−
[眠りから覚めたときには、トレイルの姿は無かった]
なんだろ。
[すん、と、小さく鼻を鳴らす。 か細い薔薇のような香気。 窓が開いているわけでもなく、寝台から立ち上がると トレイルが使っているほうの寝台に試しに腰掛ける]
…先輩、こんな匂いしたっけ。
[香水の類をつけているかどうかまでは知らないが 勝手に寝台に転がって確かめてみれば やはり少し薔薇の匂いを感じた。
ひとりきりの部屋は妙に広く、仄甘い花の香りは 自分たちの部屋とは違う場所に思わせた。 まるで世界に、独りだけ取り残されたような気分]
(89) 2013/08/04(Sun) 21時頃
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…せんぱい、
[寝台の主を微かに呼ぶ。 力になれることがあれば、と言っていたのを思い出す。 コーヒーみたいな色の瞳が揺れたあと、微かに、眉間に皺がよった。
頼ることは、簡単な事だと知っている。 けれど]
───。
[思考はその先の可能性を考える。 逡巡する。仮定する。否定する。
そして、また揺らいで溜息が一つ]
(91) 2013/08/04(Sun) 21時頃
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[二度寝できればどんなに楽だっただろう。 けれど花の匂いに邪魔されてそんな気分にもなれない。 部屋の外へ出れば少し違うだろうと立ち上がる。 自分が座ったことでよれてしまった上掛けをなおし、 部屋の扉を外へと開く]
…あ
[廊下も、やはり花の匂いがした。 つまりかけた息に喉が震えかけたとき 遠くから聞こえるピアノに気付く。 昨夜自分が聞きたいといった曲だと気付けばすぐだった。 三拍子の足音が、少しだけ急ぎがちに音楽室のほうへと向かう]
(95) 2013/08/04(Sun) 21時半頃
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−音楽室前廊下−
[ひの、ふの、み。ひと、ふた、み。 三拍子は昨日よりも少し早く音楽室へと足を向ける。 聞きたいと思っていた曲が流れてきた嬉しさに 象牙のような色の肌に少し赤みが上乗せされた。
マホガニーの前までやってくると、胸を二つ拳で軽く叩いた。 自分自身と、少し弾んだ呼吸を落ち着かせるために。 それから少し間を開けて三つ目の拳がマホガニーを叩いた。 少しだけ開いて、中を覗きこむ。 首と右肩だけが音楽室の中、残りは廊下というそんな姿勢]
(100) 2013/08/04(Sun) 21時半頃
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[音楽室の扉を開くと、また花の匂いがした。 この匂いはどこからやってくるのだろう。 けれど今はそれよりも聞こえてきた音楽が先立った]
…楽譜、あるんだね。
[ピアノの前で笑う姿を見て、こちらも口元が綻ぶ。 家を離れてから聞けなかった曲だけに、その嬉しさはひとしおだった。 そんな状態でも、室内へはいることには若干の逡巡をみせる。 人通りの少ない夜と違って日中は生徒も行動している。 特に、彼の同室が自分を見るときの視線は、少し、怖いから]
(102) 2013/08/04(Sun) 22時頃
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[サミュエルは、言葉を発しない。 けれど、その様が昨日の今日で僅かに捕らえられるようになった気がする。 気がするだけかもしれない。 それでも頷きと聊か自慢げな様子くらいは見て取れた]
…え、っと
[ピアノの前の椅子を示されて少し戸惑った。 いきなり開いてのそばまで飛び込むだけの勇気は今の少年には持ちづらいもの。 悩んだ挙句がピアノを挟んで向かい合うという選択肢だった。 整然と並ぶ鮭の切り身のようなかたちの部品。 それを焼くための網のように真っ直ぐ伸びるピアノ線。 夜の大分距離をとった対応に比べれば、随分頑張ったほうだろう]
(108) 2013/08/04(Sun) 22時頃
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−音楽室−
[残念ながら、足音だけで人が判断できるほど耳はよくない。 それよりも悩みが先立っていた。 昨日よりは近い、楽譜立ての向こうに同級生が見える距離。 彼の指が鍵盤を鳴らせばポコポコとハンマーが 鮭の切り身のような部品を押し上げるのが見えた]
…聞きたい。
[さっきまでは扉に隔てられていた音たち。 まさか自分を嫌う先輩が近くにいたとも気付かないまま、 純粋にその曲が聞こえるのを待つばかり]
(114) 2013/08/04(Sun) 22時半頃
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…嬉しいな。
[聞こえてくる曲に自然と両の肘が黒い縁に乗る。 ハンマーによって押し上げられる木片を眺めながら 口元はエクレールを買い求めて食べ歩く少女達を口ずさむ。 まるで、玩具を与えられた猫の気配。
雷の鳴る夜に望んだ曲、エクレールと歌う歌詞 その偶然の符合に気付いてコーヒー色の瞳が瞬き 勝手に一人で嬉しくなって耳から聞こえてくる音へ 意識を委ねるかのように瞳を伏せた。 けれど感覚を一つ閉ざせば、別の一つが鋭敏になるのは当然。 口ずさむ歌に含む戸惑い、微かに混じる花の香りに気付いて]
(123) 2013/08/04(Sun) 23時頃
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[譜面台の向こう側、首を傾げる同級生が見える。 恐らく、彼にもこの匂いは感じられるのだろう。 音が終わってしまえば、そちらに向けていた意識が どう頑張っても強く誇示する方向へとむかって]
…変だ、
[呟いて呻くものの、消えるわけではなかった。 窓の外に見える庭には確かに薔薇が植わっているが 窓が開いているわけでもない。
薄れるどころか、それは濃くなるばかり。 あまりにも強い薔薇の花の香りに、楽しかった気分が萎れる。 急速に、まるで首を絞められたみたいに息が詰まる。
苦しさに顔を歪めてピアノにも垂れていた体が 膝から緩やかに崩れ落ちて蹲り]
(131) 2013/08/04(Sun) 23時半頃
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[薔薇の香りの酩酊は力を奪う。 砂時計の音が落ちるようにさらさらと抜け落ちて 寄りかかるものがあると感じて それがピアノの足かサミュエルなのかも判断が碌に出来ないけれど このままではいけないと辛うじて判断した手が身を起こすことを選ぶ]
…ごめん、へいき、だから
[邪魔をした事。心配させたこと。 それらを謝るような短い言葉だけ残して 音楽室から逃げ出そうとして、けれどいつの間にいたのだろう。 髪の長い、まるで白いカーテンのような、確か後輩だった。 小さく笑う口元が見えて、何かが絡みつくような手首が伸びてきたのまでは見えた。
何、と聞こうとして口を塞がれた。 柔らかくて、温かくて、身体が気持ち悪さを感じて 反射的に少年を突っぱねた]
(140) 2013/08/05(Mon) 00時頃
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『…薔薇が、探してたよ。 先輩なら、枯らさずに綺麗に咲かせられる』
[長い髪の少年は、突っぱねられた身体を引き戻して 耳元に囁きを落として、崩れ落ちる。 手首の茨はもう、見えない。
何のことかわからないまま呆然と崩れ落ちる様を見る。 自分のみに起きたことが解らなくて 救いを求めるように同級生を振り返った]
(141) 2013/08/05(Mon) 00時頃
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[頭の中が混沌状態になると、訳もわからず涙が出るものだ。 落ちる涙が恥ずかしくて目元を自分の手で荒く拭う。 そのうちに布地が唇を拭う感触にきょとんとした]
ごめ、…うん。おちつく。
[膝の上で滑る指はくすぐったい。 医務室へということに異論はなかった。 自分が突き飛ばしてしまったせいで意識がないのなら それはやっぱり自分の責任だと思ったのだ。
意識がない人間の身体は実に重い。 とりあえず抱き起こそうとしたのだが、 自分ひとりで支えられる自信が無くて 再びサミュエルに向けた視線は申し訳なさそうなものになる]
(149) 2013/08/05(Mon) 00時半頃
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チアキは、サミュエルの笑顔を見て、少し安堵したように息をひとつはいた**
2013/08/05(Mon) 00時半頃
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−音楽室→医務室− [頭を撫でられて、少し驚いたような顔をしてしまった。 ここにきてからというものの、自分の頭を撫でる人間は随分限られていたからだ。 また泣きたい気持ちになったが、今は倒れた少年を運ぶほうが先である。 サミュエルが笑ってくれるのが、唯一の救いだった。 扉を蹴飛ばして開けたときには、流石に驚いたけれども。 後輩を寝台に上げて、漸く先客の存在に気付く]
…先輩?
[何でこんなところに、と、首を傾げた。 自分が昨日起こしてしまったせいで眠気に耐えられなかったのだろうか、と。 けれど、それなら自分の部屋に戻って眠ったっていいはずなのけれど]
調子、悪いのかな。
[どう思う、と聞こうとしたサミュエルにさっさと休めと勧められる。 具合が悪い、というよりは薔薇の匂いに酔ったというくらい。 けれど車酔いともいうのだからやはり芳しくはない。 急いで去ろうとするその理由を知らないまま、手を振った]
(221) 2013/08/05(Mon) 09時頃
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[一度は上掛けにもぐりこんだ。 けれど、サミュエルがいなくなって暫くしてからやはり、気になって。 眠っていると見えるトレイルを恐る恐る覗き込んだ。
自分の部屋では見慣れているものだけれど 部屋が違うだけでどうしてこんなに不安になるのか。 熱があるわけではなさそうに見えたが 計るつもりだったのか伸ばした手は結局ふれる前に引き戻してしまう]
…、
[少し唇を噛んで、トレイルに背を向けたまま寝台にもぐりこんだ。 自分では気付けなかっただけで、それなりに疲れてはいたのだろう。 中で聞こえたけたたましい音に目を醒ますこともなかったようで]
(222) 2013/08/05(Mon) 09時頃
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[どれぐらい時間が経ったのだろう。 腕時計は部屋に忘れてきてしまったので、時間がよく解らないけれど 薔薇の匂いが少しは楽になったような気がして目が覚める。 起き上がってすぐ確認したのは同室の眠っていたベッド。 上掛けが跳ね上がっていたので、部屋に戻ったのだろうと判断して息が一つ零れる。 その向こう側に寝かせた後輩は眠ったままだったようだが]
…何なのさ、一体。
[眠る前に起きた事を整理しきれない頭で、小さく呟く。 誰かがそこにいるなんて、思っても見ていない]
(223) 2013/08/05(Mon) 09時半頃
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[のたくるシーツの皺を眺めて溜息が一つ。 それから未だ蔓延するように感じる薔薇の匂いに二つ目の溜息。 音楽室の事件を思い出して三つ目の溜息を吐き出そうとして聞こえた声に驚いて]
は?せ、ぇ……っ!
[慌てすぎて舌を噛んだ。 思わず寝台に前屈みの姿勢のまま沈む]
…ちょ、ちょっと…色々、あっ、て
[下の痛みに小さく唸りながら起き上がり 寝台から降りて整える。 丁度振り返るような形で漸くトレイルの姿を認めて]
先輩こそ、調子…悪いんですか?
[ぐったりしているように見える彼へと一歩二歩近づいて]
(231) 2013/08/05(Mon) 10時半頃
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…痛い、れす。
[口を手で隠したまま頷く。 薔薇、と今日になってから何度意識したかわからないものの 名前が上がったことに肩を落とし]
先輩も、ですか。 …色々あったというか、その
[ちらりと見やる先は寝台に眠る後輩。 思い出して、恐くなって、思わず手招く様に気持ちが手繰られる]
ちょっと俺も、わけ、解らなくて。 誰かに…その、キス溶かして倒れちゃう病気なんて 先輩聞いたこと、ありますか。
[具合の悪いところにこんな質問をすることすら申し訳なくて そんな自分の情けなさに彼から視線を外さずにはいられなかった]
(234) 2013/08/05(Mon) 10時半頃
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氷…食堂に貰いにいったらありますかね
[医務室にもないわけではないだろうけれど 先に思いついたほうを口にする。 溜息だけが一つ重く、尋ねる言葉に視線を外したまま頷く]
薔薇が、探す、とか、咲く、とか 何かそんなこといってましたけど …なんか、よくわかんなくて
[学校に細々と伝わる噂があるとは聞くが 深く立ち入って聞いたことはない。 正確には、クラスで軽く浮いている自分には教えてもらえなかったのだが]
(236) 2013/08/05(Mon) 11時頃
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[噂の詳細を知りえれば、みるみる顔色は蒼くなる。 襲う、感染する。 小説や御伽噺のような、それでも]
…や、だ
[自分の指先をきつく握る。 握った拳を見下ろしてカーディガンから覗く わずかな赤に気がついた。 腕時計は、今日はしていないはずだ。 薔薇が憑く。襲う。感染する。
花の香が、濃く、なるばかり]
…ちょっと、頭、冷してきます
[全部が恐くなって、部屋から駆け出す。 ただ、仔細を知らなくてはという判断が静かなはずの図書室への逃亡を選ばせた**]
(238) 2013/08/05(Mon) 11時半頃
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−図書室−
[道すがらラルフとすれ違ったのは解った。 けれど彼に反応しているだけの精神的な余裕がない。 図書室に逃げ隠れるように飛び込んで 入ってすぐ正面の書架に手をかけた途端に膝が笑って崩れ落ちる]
…嫌だ。
[自分の中に押し付けられた茨を呪う言葉。 薔薇が何を持って自分を選んだのか 眠るユリウスは教えてくれないままだった。
咲かせる、その意味が解らないまま。 とりあえず植物学に関わる棚を探す。 それから目ぼしいものがなければ伝承類にも手を出して]
(276) 2013/08/05(Mon) 20時頃
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[最終的には学園史へと落ちついて手を伸ばそうとしたそのとき 自分の名前を呼ぶ険しい声が聞こえて視線を向ける。 咄嗟に、手にした本を胸に抱えたのは自分を護りたいからか]
…どうも
[サミュエルの同室の先輩。 理由を聞けたためしがないが、それでも彼が自分を好かないのは知っている。 調べものかと聞く声もどこか冷たくて、ただ頷く返事しか出来なかった]
サム…ですか?
[何故自分がサミュエルと一緒にいたことを彼は知っているのか。 音楽室にいたのは確かだったが誰かが来たことに気付けたのはユリウスだけ。 セシルが来たことなんて、サミュエルだって一言も言わなかった。 理由を尋ねるように視線を向けるが、何だか恐くてすぐに 視線を外してしまった]
(277) 2013/08/05(Mon) 20時半頃
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っ
[ひく、と、微かに喉が震える。 恐怖を置いて、他に理由などない。 教師に怒られているのとも、同級生に八分にされるのとも違う。 東洋には逆鱗に触れるという言葉があるが まさにその瞬間を見てしまった気がして]
音楽室…? サムが、昨日、俺がリクエストをした曲を 弾いてくれたのが聞こえたので、それで。 …そのあと、尋ねてきた後輩の具合が悪くなったので 医務室に運ぶのを手伝ってくれました。 俺も調子が悪そうだから、休めって
───それだけ、です。
[指先をハードカバーに軋ませながら答える。 100%の合致ではないが、95%は真実に違いない報告]
(284) 2013/08/05(Mon) 21時頃
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[返ってきたのは短い返事だった。 相槌というほうが正しいのだろう]
…調子が、悪いみたいで。
[振り返る動作。 こちらを見る目とかち合って、思わず一歩下がる。 間合いが詰められようとすれば、さらに一つ。 また、一つと下がっていくうちに背中に壁が触れる]
あ、まり…有名な曲では、ないですから …その、東の、うただし
[母の生まれた国でも知っている人が少ない曲。 海を渡ってこちらならば尚更。 手首に薄くあった茨の赤は、恐怖を感じれば感じるほど濃く]
(293) 2013/08/05(Mon) 21時半頃
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…多分
[まさか音楽室にあるとも思わなかったのだが、 街の音楽関係の店にだって中々ないものをよく見つけてくれたと思う。
背中にはもう壁がぴったりとくっついてしまっている。 耳の横で聞こえた大きな音に怯えと共に肩を竦めた。 目を瞑ってしまうほどに至近で聞こえる大きい音は、苦手だ。 昨日聞こえた雷のほうがよっぽどましだと思う]
どうして、って
[上手く答えられる自信が無くて言葉がすぼむ。 何を言っても、きっと彼の機嫌は直りそうに見えなかったからだ。 恐る恐る、目を開ける。喉が震えて、声が、出ない。 ただ引き攣れた空気だけが零れる]
(312) 2013/08/05(Mon) 22時頃
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セシル先輩、やめて
[手首を掴まれて抱えていた本が落ちる。 背表紙から落ちて、ごとん、と言う音のあとにページが開く。 押し付けられる関節が、気持ち悪くて苦しい]
や、だ
[ユリウスが音楽室に現れたときと同じだ。 頭が朦朧として、薔薇の匂いがする。 ねっとりとした感触と人の体温が、怖い]
(313) 2013/08/05(Mon) 22時頃
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[皮膚が切れる感触に記憶はあっても 穴を空けられるという行為は体験したことがない。 腸詰に歯を立てたら同じような感じになるのだろうか。 殴れば、と示す声が聞こえた。 痛みに表情は顰めていてもどうにか視線ぐらいは投げられた]
…殴ったら、それで解決しますか。
[振り上げた拳で解決するとは思えない。 それが少年の考え。 たとえ、与えられた傷であったとしても全てを]
先輩には、俺が、そう見えますか。
[問いかける。 ただ、問いかけて──負荷が消えたことと、鳥の羽音に驚く。 拘束が消えたことで床に身体が崩れ落ちた]
(324) 2013/08/05(Mon) 23時頃
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[サミュエルが現れたことで セシルの気配ががらりと変わる。 力が抜けたまま、虚ろな視線が二人のやりとりを 暫くの間は見ていたが]
…、
[薔薇の香りは濃く広がったまま。 苦しいと思えば、もう緊張の糸が切れた今 瞼は勝手に閉じて思考を放棄した*]
(338) 2013/08/05(Mon) 23時半頃
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−医務室−
[目が覚めたときに医務室に戻っていたので 何が起きているのかさっぱりわからずにいた。 いっそ、今までのことは全部真夏の夢だったのではないかと 上掛けにもぐりこもうとして]
…いたい。
[首を捻って、引き攣れる首の痛みに眉を顰めた。 歯を立てられたことは覚えていたが、 そこに貼り付けられた記憶のない絆創膏は テープが拠れて皺になっているところもあった]
(447) 2013/08/06(Tue) 21時頃
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…は?
[上掛けごしに聞こえた声に顔を出す。 軽く周りを見て、何故かクラスメイトがいることも驚いたが 黒いフード姿を見てそちらにも驚いた。 先ほどの問いかけを反芻して、首を振る]
いや…そこまでじゃ、ないし。
[痛いは痛いのだが、薬がそも嫌いだった]
(451) 2013/08/06(Tue) 21時頃
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…先輩?
[単純に、先輩といわれて思いつくのはトレイルだ。 状況的にはセシルが当てはまる相手として濃厚だが 果たしてあれだけ自分を嫌っていた彼が 絆創膏とはいえ手当てをするとも思えなくて顔が曇る]
睡眠薬って…そんなに若いのに。 先生いないけど、鍵、開いてるの?
[物騒だな、なんて小さく呟いた。 保健室にある薬全てが安全ではないはずなのだ。 軽く肩を竦めながらポケットに落ちていく薬を見る]
(461) 2013/08/06(Tue) 21時半頃
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…そう、だね。
[あれだけあからさまに嫌悪を示しながらも 医務室まで運んでくれて、絆創膏まで貼ってくれたのだ。 恐らくは自分に嫌われる原因があるのだろうと思っているが 嫌われているから謝らなくていいというのは筋が違うと思う]
大丈夫だよ、そのうち忘れちゃうだろうし。
[傷なんて、大概はそのうち治るものだ。 治らなかったからといって困るような身体でもない。 一日に二度もカーディガンを着たまま寝台に入ったせいで 暑くて仕方なくて、病人でもないのだからと寝台から降りる。
ちらりと見やれば使用中らしい寝台。 ユリウスが目覚めた気配は、今のところなさそうだった]
(473) 2013/08/06(Tue) 22時頃
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そういうのは、自慢げに言うことでもないんじゃない…?
[軽く肩を竦める。 添い寝、という単語に首を捻ると、絆創膏が引き攣れて 再びやってくる痛みに少し表情をゆがめつつ]
…俺はそういうの、向いてないし。 ラルフとか、得意そうだけど
[ニーセンの視線がこちらを見上げるより先にシーシャへと 尋ねるような視線を向けた]
(474) 2013/08/06(Tue) 22時頃
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[寝相が悪い。 それは、少年の予想の範疇にはなかったことだ]
…まあ、でも寝相さえクリアできれば
[きっと大丈夫なんだと思う。 確定で言えなかったのは自信が無かったから。 席をたったシーシャの動きを何気なく視線で追えば 距離は程ほど近く、見えた表情は苦手なものだ]
い、いいよ。 大丈夫だって。
[遠慮しておくとばかりに両の手でクラスメイトとの間に干渉を作り]
(486) 2013/08/06(Tue) 22時半頃
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…添い寝は苦手って言ったじゃない、今。
[はっきりと断れないのはいつものことだ。 こういうところがクラスメイトにいいように使われて かつセシルに嫌われる原因の一つでもあるというのに。
ピンクのカーディガンの袖口、 リブが少しずり落ちて腕時計のように覗く紅色の]
親切は、嬉しいけど …絆創膏で治る程度だろうし、ね?
[気持ちだけで十分だと伝えられそうにもない。 どうにも周りの人間はじぶんよりも押しが強く感じられて]
(496) 2013/08/06(Tue) 23時頃
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[ああ、また言われた。 そんな顔をついしてしまう。 何かをはっきりさせるのはどうも苦手なのに 周りはどうしてこんなに白黒はっきりつけたがるのだろう。 グレーゾーンというものが、見当たらない]
…シーシャの手当が嫌なんじゃなくて 今は手当てを必要としてないって言いたいんだ。 必要だと思った時には、自分でやるから。
[手を下ろしながら答えはするものの、 視線がついリノリウムの床へと落ち その視界で指先がカーディガンのリブを手持ち無沙汰に抓んで]
(503) 2013/08/06(Tue) 23時半頃
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だから、…っ
[やっぱり上手く伝わらなかったらしい。 そこに聞こえる、いい子という評価は長い溜息と共に 少しばかり胸を抉って、指先が少しリブをきつく伸ばした]
……別に、いい子なんかじゃ
[ない、と言おうとしたところで 崩れ落ちる少年の姿に声が掻き消える。 一瞬ぽかんとしたあと、慌てて駆け寄った。 見たところ薬を飲んでいるわけではないのだろうけれど]
(516) 2013/08/07(Wed) 00時頃
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あ、うん。
[譲ること自体は吝かではない。 ニーセンへと近づこうとしたところで手首を捕まれ 軽くつんのめりながら振り返る]
え、
[手首。 指摘されたその色にコーヒー色を少し丸くしたあと、 その赤い色から逃げるように視線をそらして]
…いつも、時計で隠れてるから気付かないだけじゃない?
[そうやって言葉ではぐらかしながら ニーセンをまずは寝台へ上げてしまおうとシーシャを促す。 一仕事終えてしまえば、医務室が何だかいづらくて 挨拶もそこそこに自分の部屋に戻ろうと**]
(520) 2013/08/07(Wed) 00時頃
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