28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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わたし、珈琲はブラック派、なんです。
[>>141快諾してくれた植頭に、 秘密をもうひとつ打ち明けて、笑う。]
はい、 あの、 じゃあ、それまで談話室で待ってます。
戻ったら、教えてもらえますか?
(143) 2013/09/04(Wed) 00時頃
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[ 幸せだね、ミィは ]
(151) 2013/09/04(Wed) 00時半頃
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[植頭が呟いた一言は、 妙に印象的に、裕の耳に残った。]
(152) 2013/09/04(Wed) 00時半頃
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[101号室へ向かう明智を見送り、 玄関へ向かう植頭を見送り、 膨らみのないまっ平らな左胸にそっと拳をあてて。
なにか考えこむように、唇の内側をやわく噛む。]
────。
[けれど、今はそれ以上何も得られるものはなく、 無駄な思考を放棄して、談話室へと入った。]
(156) 2013/09/04(Wed) 00時半頃
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──────……。
[談話室を開けた途端、 聞こえた声>>@37に、フリーズする。]
(158) 2013/09/04(Wed) 01時頃
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ポーチュラカは、ドアを開けたまま硬直している。
2013/09/04(Wed) 01時頃
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福原さん、
[人間の雄、飼うんですか?]
────。
[脳裏に浮かべた文字を、 言葉にすることは出来なかった。]
(161) 2013/09/04(Wed) 01時頃
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……、ぁ
こ、 こんにちは……。
[福原に視線で促され、 福原のペット(?)に手で挨拶され、 絞りだすように挨拶を返す。]
(164) 2013/09/04(Wed) 01時頃
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[女子大生と、女子大生に飼われる男。
レディコミにでもありそうな関係は 思春期の男子高校生にとっては、 いささか刺激が強すぎる。
とても見てはいけないものを見ているようで わずかに俯きがちに、赤らんだ頬を下向けて 二人のいる位置を回避するように視線を迂回させ、 談話室にいるもう一人の住人を見た。]
(168) 2013/09/04(Wed) 01時半頃
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[もう一人の住人──病沢エリは、 どう見ても人間の男である福原のペット(?)に、 犬猫に与えるように平皿でミルクを与えていて。
もう、裕は何をどうしていいのかわからなくなって そのままドアを閉めて逃げ出したくなった。]
(171) 2013/09/04(Wed) 01時半頃
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[いつまでもドアを開けっ放しにしていると 冷気が逃げて行ってしまい、せっかくの冷房が無駄になる。
仕方なくおずおずと中へ進み、 誰からも離れた位置に、所在なげに立る。]
わたしは、多分、壊れてはいない、……かと……。
え、 あー……えぇ、と
さすがに、その── 子? 人? を、飼うのは 宝生さんでも難しいんじゃ、ない、でしょうか──…。
[>>172福原の問いにはなんと答えたものか。
情けない顔で、素直な感想をもらす。]
(176) 2013/09/04(Wed) 01時半頃
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ポーチュラカは、猫(汗)の低い鳴き声を聞き、頬をひくりとさせた。
2013/09/04(Wed) 01時半頃
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[会話を盗み聞きするつもりはないけれど 同じ部屋にいればおのずと話し声も届く。]
にんげんふぜん。
[人間不全。
音が、頭の中で文字となって像を結ぶ。]
(181) 2013/09/04(Wed) 02時頃
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[あぁ、それはまるで──…
男の癖に女の格好をして法悦に浸る、 己のことではないのだろうか?**]
(184) 2013/09/04(Wed) 02時頃
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─談話室─
[ものおもう、ぼんやりとした視線。 裕の心はここにあらじと顔に書いてあったけれど 福原の一言でぎょっとして現実に引き戻された。]
そ
[れは、さすがに、危ないんじゃないか。
一人暮らしの女の部屋の鍵を 得体の知れない若い男に渡すなんて──。>>186
合鍵でも作られたらどうするんだろう。 くりっとした目を福原に向けて、小綺麗な顔を見つめる。]
(210) 2013/09/04(Wed) 11時頃
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───〜〜…、
[けれど言葉はまたも音にならず、 空気と少量の唾液と共に裕の胃に飲み込まれた。]
(211) 2013/09/04(Wed) 11時頃
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[える、と名乗った男は、 裕から見てあまり無害そうではなかった。
いかにも今風の、バンドでもやっていそうな容姿。 遊びに慣れていそうでもある。
名前は本当にペットじみていて、本名か冗談かわからない。
会ったばかりの男を住処まで連れて来て、 鍵を渡して部屋にあげる。
というのは、つまり──ソウイウコトなのだろうか?]
(212) 2013/09/04(Wed) 11時半頃
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[越して来てひと月と経たない裕には まだ福原のひととなりまでは掴めていない。
もしかしたら、こうしたことはよくあるのかもしれない。 だったら、自分が口を挟むことではない。
至った結論に、裕は口を閉ざした。]
(213) 2013/09/04(Wed) 11時半頃
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[大学生って、スゴい。
たった二年の差が、 裕にはとてつもなく広く大きく感じられた。]
(214) 2013/09/04(Wed) 11時半頃
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[裕が妙な感心をしていると、 リピートしなかった病沢が無言のまま近付いて来て 水の入ったコップを差し出す。]
え
[戸惑い、水と病沢を交互に見る。すると、 病沢はコップを持っていない方の手で裕の手を取り、 強引にコップを握らせた。]
え、ぁ、え──
[だってこれは、飲むんじゃなかったのか。 困惑し、口篭る裕の前で]
……!!
[病沢はぽろぽろと涙をこぼし始め 狼狽えた裕はもともと大きな瞳をめいっぱい開いて 病沢の顔を凝視した。]
(215) 2013/09/04(Wed) 11時半頃
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[涙を流しながら小さく咳き込む病沢に]
水……
[飲んだほうがいいんじゃないかと、 渡されたコップを差し出してみるけれど、 それは受け取られることはなかった。
大丈夫なのかな──。
心配そうに、談話室を出てゆく病沢の後ろ姿を見送る。]
(216) 2013/09/04(Wed) 11時半頃
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[追いかけて声を掛けるべきか迷い、 結局その場に留まったのは、 人前で泣いてしまった時、 自分ならそっとしておいて欲しいと思うからである。
可愛い女の子になら、慰められたい気もする。
だけど
素の自分は そうでは、ないのだし。]
(217) 2013/09/04(Wed) 12時頃
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[音にはならない言の葉が、降り積もり、自分を責める。
心配そうな表情のままその場に立ち竦むように佇んだ裕に 福原のペット(?)から、何かが放り投げられた。]
え? あ
[慌ててコップを持たない方の手を伸ばしたら 何とか上手くキャッチ出来た。
見ればそれは2
1.コーラ味 2.ラムネ味 3.プリン味
のチュッパチャプスで──]
(218) 2013/09/04(Wed) 12時頃
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ぁ──、 ありがとうっ
[爽やかな水色の包装紙をまじまじと見つめた後、 顔を上げて、えるに礼を言った。]
(219) 2013/09/04(Wed) 12時頃
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[病沢とえるが出て行くと、 談話室には福原と裕の二人きりになる。
別に、福原が苦手とか、そういうのはないけれど、 “最近の女子大生の性の乱れ”を目の当たりにして、 その直後に何を話したらよいか、すこし悩む。]
───…飼う、の?
[なにをいいだすんだ、おまえは。 いや、ぼくは。
あまりに正直に口をついて出た言葉に硬直する。]
(222) 2013/09/04(Wed) 16時半頃
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─談話室─
[飼えなくとも部屋の鍵を渡した時点で “最近の女子大生の性の乱れ”を感じている16歳、女装子は
あれ?
と、思った。]
飼いたい、 の?
[笑っている福原の言葉が なぜだかとても寂しそうに聞こえたから。]
(276) 2013/09/04(Wed) 23時半頃
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いて、 欲しい、 の?
[彼に? それとも、誰でもいい?
どうしてそう思ったのかわからない。 けれど、どうしてもそう思えてならない。]
いなくならない──よ?
[える、じゃないのが申し訳ないけれど。]
…──わたし、は。
[誰でもいいわけじゃないだろう。 それでも、言葉は口をついて出た。
淋しげな言葉を、彼女が繰り返さなくていいように。]
(278) 2013/09/04(Wed) 23時半頃
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[福原の返事を聞く前に、談話室のドアが開き、 宝生が──
宝生と、宝生に抱えられた仔猫が見えた。]
……ぁ、 宝生さん……と、
[──ミィ。
口の中で、小さく小さくその名を呟く。 反射的に体が硬直し、半歩、踵が後ろに下がる。
けれど、まだ猫までの距離はあって、 宝生と猫はドアの前に留まったまま。 裕も、そこで踏み止まった。]
(281) 2013/09/05(Thu) 00時頃
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[宝生に堰き止められる形で、 ドアを開けたまま立ち止まった上頭も見えた。
宝生──と言うより、その腕の中の仔猫を気にしつつも 耳は、意識は、福原の言葉を注意深く拾おうとする。
飼えない。 飼わない。
──飼いたく、ない?]
いなくなるから?
[福原の育って来た家庭を知らない。 辿って来た人生を知らない。 負った傷を知らない。
だから裕の言葉は、無造作に、真っ直ぐに発される。]
(286) 2013/09/05(Thu) 00時頃
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え……、と、
───……ッ ど、うぞ──?
[>>284強気な表情。 いつも通りの福原瑠美の顔。
なんとなく。 これ以上、今はこの話は聞けまいと悟る。
宝生が、裕に遠慮して入り口に留まっているだろうことも。
宝生の方を向いて、 声が震えないよう精一杯の虚勢で、中へと促した。]
(294) 2013/09/05(Thu) 00時頃
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[少し遅かったか。
あからさまにこちらを気にした動きと視線で 壁際をじりじりと移動した宝生は、 バッグに仔猫を入れると、同じ動きでドアへ戻ってゆく。
ありがたさと申し訳なさを同時に感じながら その不自然な動きを目で追っていると、 気にするという以上に注がれる視線と目が合った。]
……?
[わからん?
何が? 頭の中にはてなが乱舞する。]
(297) 2013/09/05(Thu) 00時半頃
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[問いただすことも出来ずに談話室を出る宝生を見送り やっと植頭の方へ挨拶を返した。]
お帰りなさい、植頭さん。 おいしいお茶菓子、見つかりましたか?
[しょうっじき。 猫を置いて出て行くなら、 宝生も留まってくれた方が安心だったり、する。
だってほら、もしあの鞄が破れたら 誰が猫を止めるというのだ。
いや、破れないだろうけど……さ。 破れない……よね?]
(301) 2013/09/05(Thu) 00時半頃
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