28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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フッ――危なっかしいお姫様だ
[思い出し、笑みを浮かべる。 翠の瞳に惹かれたのは自分が霊体だったからなのだろうか。 何度か考えたが、それは切っ掛けにすぎないと答えに至っていた]
(@25) rusyi 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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― いつかの未来の話 ―
[長くなった髪は風に煽られて揺れる。 ぶわりと一際強い風と共に、梯子を上る音がした。 何年も使い慣れた、自分専用であった梯子の音だ。
揺らいだ髪を抑える手はかつてと変わらないほど白く、けれど少しだけ逞しい。 >>174掛けられた声に、柳沢という名の青年は微笑んだ。]
――――……ただいま。
[以前の遠慮がちな掠れ声では無く、少し落ち着いた柔らかな声。 しかし、横に座る宝生の肩に甘えるように額を擦り寄せる仕草は確かに、「病沢」という青年の癖と変わりないものだった。]
(180) nico 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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だって、俺は――
[103号室の縁側。 >>169 そこに寝ころぶ愛しのお姫様の姿]
お迎えに参りましたよ
俺だけのお姫様
[そんな黎湖を好きになったのだから]
(@26) rusyi 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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── その後の話/植頭と ──
[昔のあれでそれなことを、彼には随分と知られている。 それは近づきたくもないだろうと、半ばあきらめていた男ではあったが]
……ん。 ミィ。あっち。
[>>150談話室で、植頭と一緒に過ごしているなど、あの時は誰が想像しただろうか。 かすがいとなったのは、ミィとネーベル。 絵流もそこに入るだろうかと思えるのは、彼を預かった際の説教もまた、植頭という男をまっすぐ見るきっかけになったからだ。 一時荒れていた男を見ていた両親は、すっかり男を見ると萎縮するようになっていたから、あんなふうに正面から叱られたのは本当に久しぶりだった。]
(181) kokoara 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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すごい な。
[じゃらしている姿を見るともなく見ながら、しみじみと呟いた。 抜けた主語は植頭のことだったが、猫の事だと言っても通じるだろうか。
珈琲を一口含めば、独特の苦味が鼻へ抜けていく。 嗜好品にこだわりのなかった男だが、豆の種類を少しずつ、覚えている。 豆の挽き方も、じっと見ていたから覚えてしまった。 実践したことはないが。]
…… あっち、戻れ。
[いつの間にか、男をじっと見ている灰色のネコに、植頭を指さして見せる。 教えてもらったのんびりした時間を、もう少し楽しんでいたかった。*]
(182) kokoara 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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[しばしのお茶会を楽しんで、名残りを惜しみつつ、立花を見送る]
…… まどか、
[マドカくん、でも、あなた、でもなく。そう呼ぶ時は、少しまだぎこちない。 廊下に続くドアに手をかけたまま。彼女の体を、ドアと自分の間に挟み込んで]
ありがとう。
[つむじの辺りに、かすかに唇で触れた。 理性と想いがせめぎあって、ひとまず、ここまで。 彼女の表情を窺って、少し照れたように笑みを浮かべた。
自分は遠からずこの場所を離れる。 けれど縁は途切れないだろう。 きっかけはなんにせよ、 知らぬ間に、いつの間に、縁とは繋がるものなのだ。
これもひとつの、御縁の形…――**]
(183) heinrich 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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─いつかのわかば荘─
[あの夏休みから、どのくらい経ったころだろうか。
裕も大分わかば荘に馴染み、 以前より少し──ううん、 以前よりうんと、仲良くなっていた。
特に顕著なのは福原で、 誰の影響なのか、前より女らしさの増した福原が 談話室で二人きりになると、化粧品や香水のことを 聞いてくるようになっていた。]
これ? これはコスメドールのPK2番、だよ。
[頬を寄せ合うようにかわす、秘密めいた会話。
まるで女の子同士の内緒話をしているように 華やいだ光景──に、外からは見えるだろう。]
(184) hana 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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[だけど、すこしだけ。 困ったことが、ある。]
普通の薬局でも売ってるの。 けっこう安いやつ。
クチコミの評判が良くてね、買ってみたんだ。 ほら。
[携帯のコスメサイトを開き、画面を見ていたら 頭を寄せ合うように距離を詰めて来た福原と、 頬が、触れて。]
…──〜っ、
[思わずびくっと、手を引っ込めた。]
(185) hana 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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[もう──このひとは、本当に。 どうしてこんなにぼくを困らせるんだろう──?
赤くなった頬に気づかれないように、 慌てて立ち上がって、ミニキッチンへ向かう。]
珈琲、入れる、ね。
[頬が熱くて、心臓の音がうるさい。
あの日から、少しずつ変わって来た関係。 ぼくは、いつまで“このまま”で我慢出来るだろうか──?**]
(186) hana 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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― いつかの未来の話 ―
[そうして擦り寄り、素直に甘えている内に、 下から仄かに食事のにおいが漂ってくる。
何度も嗅いでいた、けれど世話になったのは一度きり。 そう、病沢という青年が自らの進むべき道を決めた、あのスープだけだ。オムライスも、まだ食べたことがない。 ついでに新しい住人として、挨拶をしておく必要だってある。]
……オムライス、美味しいかな。
[新居が用意しているのがオムライスとは限らないけれど、柳沢はそうであると信じている。いや、そうでなくても構わない。 宝生の傍らから腰を上げて、淡く、照れくさそうな笑みを浮かべ。]
宝生さん、ついてきてくれる? 僕一人ではちょっと、恥ずかしいから。
[言いながら、宝生へと手を伸ばした。]
(187) nico 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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── その後の話/飼い猫?と ──
Tシャツくらいなら俺の適当に使っていい。 ……でかいかもしれんが。
[戻った部屋で、男から細々説明するつもりはない。 突然の来客(来猫?)に好きにさせるのは、慣れていると言えるだろう。
着替えを買ったのも、服が少ないと困るという思いから。 筋トレでしょっちゅう服を着替える男の発想だった。
福原や絵流が困っているように思えて、そのとき男は手が空いていたから。 家に居たくないなんて思いは、あの日あの時、痛感していたものだし。 まあいいか、という考えで許可していたのだから、>>@22それを聞いても、ん、と頷くだけだった。]
(188) kokoara 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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言っとくが、1ヶ月っつったからな。 連絡なり、なんなり。 適当に、考えとけ。
……今は、深くは聞かんが。 話聞くくらいならーってのは、お前もだからな。
[男は福原と違って、例えしゅんとして見えても撫でたりしない。 ぽんと言葉だけ放り投げ、そうして退屈とは縁遠そうな、新しい日常生活が始まる。
その矢先に、優しい「お父さん」のお説教が待っているとは、この時は思ってもみなかった。*]
(189) kokoara 2013/09/09(Mon) 23時半頃
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[わかば荘から人が退去する日、フランクは二畳ほどしかない狭い管理人室で鍵を受け取る。 それが、古くて取り壊し寸前だったわかば荘を買い取って以来の、フランクの仕事。
この日もまた、一人。わかば荘を離れる。
鍵を渡す人の手は、黒い手袋に覆われていた。]
─蔓草の去る日─
……ん。 鍵、確かに受け取った。
[行くのか? とは、聞かない。 いつか出て行くことはわかっていた。
長期間だろうと短期間だろうと、フランクが気に入れば構わず入居させるから、わかば荘の入れ替わりは激しい。]
(190) vanilla 2013/09/10(Tue) 00時頃
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[ジャニスはどんな顔をしていただろうか。 フランクの分厚いレンズの奥の目は、ジャニスの顔でなく、受け取った手元の鍵に落とされていた。
ジャニスの手が、一旦床に置いた荷を持ち上げ、靴の向きが自分からドアの方へと向く。]
……キッチンのカップ。
[来た時と変わりなく、きっとジャケットを着込んだジャニスの背に、いつもと変わらぬ調子のフランクの声がかかった。]
あれから、増えてるんだ。誰が買って来たんだか。 だから…………時々一人くらい増えても、談話室には椅子もカップも足りなくならないから。
……じゃあ。 ────仕事、頑張れよ。**
(191) vanilla 2013/09/10(Tue) 00時頃
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― 病沢青年の決意 ―
[さて、部屋の外でどれぐらい待ったことだろう。他の誰かが出てきても、彼は決して顔を上げない。誰かの顔を見てしまえば、決めたばかりのことが揺らいでしまいそうだからだ。 彼の目的はただ一人、そして、ただ一つ。その人の姿が出てくるまで、三角座りの膝に顔を伏せていた。 やがて、聞こえる足音。何度か聞いて覚えた、ジャニスの足音に、彼は伏せっぱなしだった顔をようやく上げた。]
………あ の。 ジャニス さん。
[誰かの名前を呼ぶなんて、どれだけ久しぶりのことだろう。自分で口にしておいて、彼はぱちぱちと瞬く。大きくm深呼吸。]
あ、の。 僕、 その。 やりたいこと、 見つけた から。 …………僕 は、 僕にしか 出来ない やり方で、 ……「人」を 助けたい 、から 、だから、
僕を ジャニスさん、の 弟子にして ください。 ジャニスさんの 仕事を 教えて、欲しい です。
[口の中はからからで、喉が痛むような心地さえする。けれど彼は確かに、言うべきことを言い切った。細い手で、自らの胸元を撫でさすって大きく息を吐く。]
(192) nico 2013/09/10(Tue) 00時頃
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── その後の話/明智と ──
『TO:明智 衛
件名:解決
本文:この間の、もういなくなったらしい。』
[>>156管理人が教えてくれた顛末は、結局幽霊っぽいような、くらいの軽い話だったから、連絡もそれなりにふんわりしたものになった。]
……
[まあ、通じるだろう。送信。]
(193) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時頃
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[明智は、家族と楽しい時間を過ごしているだろうか。
彼の家族愛あふれた言葉を思えば、もう男を見ると萎縮してしまう、男からも距離をとってしまった家族を思い出す。]
……
[大事にしないと、壊れてしまう。 気づいた頃には、遅いものだ。
とはいえ、男は周りを見回す。 隣の談話室には今日も人が集まっているだろうし、反対隣の新居はやかましいが一番気安い相手で、話しやすい。 あれやそれや、ここの住人の暖かさを思えば、孤独を感じることはなかったなと思う。
近くに転がって何かしているらしい絵流も、すぐにここに馴染んでいくだろう。]
(194) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時頃
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『TO:明智 衛
件名:あと
本文:猫の本が増えた。読むか?』
[たまには、こちらから誘ってもいいか。 増えたメールは、気まぐれの思いつきだ。
ずいぶん大きな猫を飼うことになったと知られれば驚かれるだろうと思い、携帯電話を見つめて小さくわかりにくく、笑った。*]
(195) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時頃
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[温かいそよ風が、 南に流れたと思えば今度は北へ。
そよそよ、そよそよ。
瞼を閉じてみれば、 わかば荘という揺りかごに揺られているようで……。 すぅっと眠りに落ちそうになる。
耳に届く鳥の鳴き声の他に、 カツン、カツンと時を刻む時計のような音がする>>@19>>@20。
それが人の近付く音だと気付けない程度に微睡み、 瞼の裏の青年との逢瀬を。]
(196) ぶんちゃん 2013/09/10(Tue) 00時頃
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『フッ――危なっかしいお姫様だ』
[閉じた瞼の中。
手を伸ばしても触れられない。 姿が見えるのに、声も聞こえるのに。]
『 お迎えに参りましたよ
俺だけのお姫様』
[一際近くにその声を聞いて、ぱちりと目を開けた。]
(197) ぶんちゃん 2013/09/10(Tue) 00時頃
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― 再びの転機 ―
[名を呼ばれて、振り返る。声の主を見て、小さく瞬き]
……病沢さん?
[声はもちろんわかるけれど、名を呼ばれたのは、もしかして初めてではなかろうか。 こちらをまっすぐ見上げて紡がれる言葉を、黙って最後まで聞き届ける]
僕の「仕事」を間近で見た貴方だから言いますが、 この仕事は慈善事業ではないし、けっして綺麗なものではありません。
「人」の醜い姿を、きっとたくさん見るでしょう。 死せる者たちより、生きた人間の方が恐ろしいと、思うことも少なくありません。
[ゆっくりと腰をおろして、彼の傍らに膝をつく。 目線が同じ高さになって、その眼差しの強さを確かめる]
(198) heinrich 2013/09/10(Tue) 00時頃
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……それでも、願うことをやめないのなら、
[手を伸ばし、指先で彼の前髪をあげる。 その眼差しを見据えたまま、にぃ、と口の端を上げて]
ついておいで。
[愉快そうに、微笑んだ]
(199) heinrich 2013/09/10(Tue) 00時頃
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[翠の瞳が現実を映す。
瞼を開けば、いつもなら醒めてしまう夢の世界。 誰の姿も映さない翠。
けれど、この日は違って。
知っている姿とは少し違ったけれど、 声で分かった。
初めて声を聞けた時の感動は、今でも色褪せていなかったから。
そこに立っているのが、待ち人である、と。]
(200) ぶんちゃん 2013/09/10(Tue) 00時頃
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国谷、……さっ
[この時ばかりは脚への配慮を忘れて。 他の住人の目があるかもしれないことも忘れて。
勢いよくぎゅぅ、と抱き着いてしまった。 胸に顔を埋めて一呼吸。
だってそれは、約束だったから。]
待ってた…… 王子さ、ま…… 逢いたかった……です。
(201) ぶんちゃん 2013/09/10(Tue) 00時頃
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[国谷を見上げ、
しっかりとその顔へと翠を向ける。]
約束、守ってくれて……
我儘……きいてくれて ありがとう……。
[愛しの王子様へと、とびきりの笑顔を向けた。]
(202) ぶんちゃん 2013/09/10(Tue) 00時頃
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── その後の話/福原と ──
[あれから、男の部屋の来客頻度は、格段に上がったと言える。 絵流を客と数えるなら、毎日だ。]
……
[珈琲や、お茶や。 いただける談話室に顔をだす頻度は、元々高かったから、そうそう変わらない。]
……
[ただ、少しばかり。 男が座り込む場所は、テレビに近くなった。 全て聞き流していたテレビの音へ、少しばかり耳を傾けるようになった。]
(203) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時頃
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……
[ドラマを聴き始めたのは、途中から。 7話とか言っていたから、当然ながら、さっぱり展開がわからない。 登場人物も、俳優もさっぱりだ。]
……
[ただ、そこに座って真剣に見ているらしい福原は、こういうものを楽しんでいるんだろうかと考えていた。]
(204) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時半頃
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[共感はできそうにない。
たまに越智と話しているような、明るくも華やかな雰囲気の会話など、できるわけがない。
だから同じ部屋にいてもきちんとした会話はないわけで、けれど男は、無言が苦手ではなかった。]
…………
[ドラマの終わりの時間が近づいている。 テレビを消すだろう彼女に、昨日の絵流の寝相の話でも振るかどうかとぼんやり考えるだけの時間は、変わった自分を自覚するには穏やかすぎて。 彼女が此処に住む男性にも女性にも好かれているだろうというのは、感じるけれど。]
(205) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時半頃
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[勝手な思いを内心だけで許容して、やはり男は、黙りこんでいる。
彼女を見やる視線の変化は、誰にも知られてないということにして。*]
(206) kokoara 2013/09/10(Tue) 00時半頃
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[>>199伸ばしっぱなしの痛んだ前髪が人の手に触れて、持ち上げられる。露わになった視界に映るのは、愉しげにも見える笑みだった。否定も無い。 ぱち、ぱちと今の現状を確認しようと両目が瞬く。受け入れられないことも覚悟していた。何度も頭を下げるつもりでいた、けれど。 瞬きは些か多いけれど、彼の目はしっかりとジャニスの両の目を見つめている。逸れない。]
人 が、醜いのは 知ってる。 けど ……それだけじゃない のも。
[浮かぶ顔が一つ、瞬きと共に今は目を逸らす。まだ、向き合えるほど強くはない。だから、向き合えるようにならなければいけない。大切な思い出を、辛くて悲しいだけのものにしない為に。彼女の笑顔を、歪めてしまわないように。]
だから、僕は 綺麗も、汚いも 全部を 見ます。 見られるように なります。
[三角座りのまま、もそもそとジャニスと向き合う。両手と膝を床について、三つ指の姿勢。]
………僕の 名前は、 柳沢 明日人、といいます。 よろしくお願いします、ジャニス 先生。
[他に、師と呼ぶべき相手に対して、使う敬称が思い浮かばなかった。]
(207) nico 2013/09/10(Tue) 00時半頃
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