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78 わかば荘の薔薇色の日常
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[この日が来るのが、楽しみだったのか。 この日が来るのが、恐ろしいのか。 この一月の間、ずっと、わからなかった。 結論、恐ろしかったのだと思う。
だから、呆然として、言う。]
遊。
ごめん。 なんか。
描けないわ。
(615) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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[一時間を過ぎても、手が持ち上がらない。 ただおりて、膝の間で、あたりをとるための鉛筆を持っていた。 状況が奇妙で、つい言葉を発した。 不思議と、ただ、驚いているだけだ。 以前間中にいったとおりの「泣けもしない。」なのだろうか。 こんなにぽっかりと、悲しい気持ちであるのに、涙は一向に出そうにない。ただ、ぼうっと白いキャンバスをみていた。]
――……
[いつの間にか、間中は傍に寄ってきていた。 キャンバスをみている。 アイボリーの、ただしろいだけの、キャンバスには、なにひとつ描かれていない。]
描けないね。
[もう一度、確認するように、言った。]
(624) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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[背を、髪を、間中の手が撫でる。 それに、気づいているのかも、どうだろう。 呆けたままの声で、謝った。]
遊。ごめん。
約束、なかったことに出来ないか。
(625) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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[いいよ、と、いう声は、約束を破棄する声の前にあった。 どういう意味だったのか、わからない。]
……
…………。
[間中の体が傍にあったので、寄りかかるように、頭を寄せて、まだキャンバスを見ていた。 ――間中は、絵のかわりの対価として、ひとりの挫折で、満足はしてくれるだろうか。 話のたねであれば。なんでもいいのだろうから。]
(627) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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[タコの出来た手から、鉛筆がとりはらわれた。 なぜだか不思議と、ほっとしていた。
アイボリー色の、なにも色ののらないキャンバスは、 これはこれで、美しかった。**]
(635) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
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