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108 Persona外典−影の海・月の影−
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― 満月の夜/本屋前 ―
[翔子を守らんとする男の前から姿を消した少年は、本屋の前を訪れていた。 片手に青いタロットを翳すと、図柄からは血塗れの剣士が現れる。
剣士は大きな剣を構え、シャッターに向けて突きを放つ。 切っ先は鉄を押し開き、奥の扉をも突き破った。 仕事を果たした剣士は消え、少年は本屋の暗がりに足を運ぶ。
もう何度も訪れていた場所だ。 何処に何があるのかは、すっかり記憶してしまっていた。]
(0) 2015/02/20(Fri) 13時頃
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― 或る日/繁華街・雑居ビルの屋上 ―
………………。
[今、少年の手の中には新しい本がある。 黒い表紙の本だ。
翔子の影は確かに無意識の海へと向かった。 少年は成すべきことを果たした。 しかし得たのは満足感でも、充実感でも無く――。
未だ月塞の光の影響が残るかのような痛みがある。 >>3:498精神の力が引き裂かれ、影の一部が削がれたことも影響しているのだろう。 次の満月までに、どれほど回復出来るかは分からないが。]
…………やっぱり人間は馬鹿だ。
[>>3:488悲痛な叫びを、少年は一笑に伏す。 大切なモノ、とは、なんと身勝手な言い分だろう、と。 ――少年は自らの傲慢さに、少女の気持ちに、気付かない。]
(1) 2015/02/20(Fri) 13時頃
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[屋上から下界を見下ろしながら、少年は端末に触れる。 指先を素早く動かして、メールを一通送信した。
あの満月の夜。 去り際、少年は見知った気配に気付いていた。 馬鹿ではない二人と、もう一人。**]
(2) 2015/02/20(Fri) 13時頃
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---------------------------------------------------------- To:まや From:リツキ 件名: この間は、会えなくて残念だった。 僕はいつでも、ライヘンバッハの滝で探偵を待ってる。
読者が望んだ復活は、蛇足でしか無いと僕は思う。 物事にはきちんと、最良の形での終わりがあるべきだ。 そうは思わないか? ----------------------------------------------------------
(3) 2015/02/20(Fri) 13時半頃
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の…へ…
…
…ここ…は…
…
…か…いるの…も…いないの…
…
…
…ひかり…
…ないよ…も…えない…
…でも…
…ここは…くない…
…が…んでくれているの…
こわく…ない…
…くできるの…
…
…もう…しいのは…なの…
…しませるのも…なの…
…だから…ここに…いても…い…
…
…は…だぁれ…
ってる…がいるの…
…つけてくれるって…ったから…
…
…かみさま…すがみ…さま…
…
が…ってなかったら…きっと…しむから…
…そしたら…われないから…
…だってもう…しませたくないんだもん…
…
…ありがとう…かみさま…
の…
っ…
…
っ…しきれなっ…
…
…ごめん…みんな…
…ここまで…みたい…
…さん…ごめん…
…
は…だった…
…いた…ある…かも…
…にいた…
…ちあき…さん…
…
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― 繁華街/雑居ビルの屋上 ―
[程無くしてメールの返事が返ってくる。 >>16その文面を見遣り、少年は端末を仕舞った。 浮かぶ表情を隠すように、本を口元にあてる。
目的を果たして尚、満たされない。 或いは好ましく思うもの全てを飲み込まなければ、満足など出来ないのだろうか。 いずれにせよ、人間の世界は未だに人間の世界のままだ。]
……もう少し、待ってて。
[そう囁いたのは、誰に宛てたものだったか。]
(23) 2015/02/20(Fri) 22時頃
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ちゃんだね…
うん…ちあき…
…
この…でよかった…
なのに…
…
さんも…こっちに…ちゃったんだ…
…この…は…いきなり…げ…しちゃってごめんなさい…
…けに…て…くれたのに…
…
…ここは…が…んでくれる…なんだって…
…かみさまが…ってた…
…い…とか…もうないって…
…きっと…の…なんだと…う…
だいじょうぶだから…
…
そっか…
…いことはもう…もないか…
…
…さん…
…
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― 繁華街/雑居ビルの屋上 ―
[少年は、フェンス越しに下界を見る。 影の無い世界。ただの人間に擬態せざるをえない世界。
少年はゲームセンターの辺りを見る。 何度かその近辺で遭遇した姿を探すも、見当たらない。 日の下では人の足元に幾つも影が伸びている。 それらが重なり合い、暗がりを生み――。]
…………つまらないな。
[全部奪ってしまいたい。 本屋から強奪した黒い本は、未だ1頁も読み進んではいなかった。]
(45) 2015/02/20(Fri) 23時半頃
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― 中央区/繁華街 ―
[少年は屋上から降り、街中に降り立つ。 正月の休みが過ぎ、影が奪われる人間が増えても尚、街の賑わいは途絶えない。]
…………。
[少年は街角で足を止め、端末を手にした。 溜まったメールはそう多くない。 そもそも、メールをする相手が限られているからだ。 それも、雑談をするようなメールの件数となれば尚更限られてくる。]
(62) 2015/02/21(Sat) 00時頃
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― 中央区/繁華街 ―
…………。
[少年は端末から顔を上げる。 見慣れた髪の色が、視界の端を掠めた気がしたからだ。 しかし、いざ視線を向けてみれば、そこにいる>>66のは、知った姿では無く。]
…………面白い?それ。
[>>73メールを返信する様子を見ていた少年は、彼の手の中にある端末を指差した。]
(75) 2015/02/21(Sat) 00時半頃
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…………そういうの、面倒だな。
[下準備だとか、何だとか。 馬鹿に分類した人間に対し、少年は興味を持てない。 或いは憎悪を駆り立てるような対象であれば、話は別だが。
同胞の覗き込んだ先には、友人からのメール>>16が表示されている。>>80こちらに気付いている人物には未だ気付かず。]
そう。価値の無い人間とつるむ気は無い。 俺は君たちほど、マメじゃないから。
(86) 2015/02/21(Sat) 01時頃
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……愛着。
[>>95リツキのデータにはないものだ。 故に、影はそれが少女に対して抱いていたものだとは気付かない。肩を竦める仕草を見遣り、少年は不思議そうに首を傾げる。]
あの子。しょうこ? しょうこも、まやも馬鹿じゃない。 話す価値はあるし……優先的に、救われるべき人間でもある。
[離れる距離。 それを平然と受け入れ、少年は端末の画面を閉じる。 >>92その直後、喫茶店の中に何やら慌てた様子のサムを見つけた。少年の口元に薄く笑みが浮かぶ。]
(100) 2015/02/21(Sat) 01時頃
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……サム。 何で慌てるのかが分からない。
[>>104転びそうになるのは見えていた。 少年はそう言い、視線をサムに固定する。
やや距離を離した同胞には構わず、片手を上げる仕草に瞬いて。]
声を掛けてくるのは、意外だった。
[そう。彼も知っているはずだ。 前回の満月の夜――少年が何をしたのか、を。]
(109) 2015/02/21(Sat) 01時半頃
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