78 わかば荘の薔薇色の日常
情報
プロローグ
1日目
2日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
2
3
4
5
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
全て表示
|
[風景画を藤堂が肯定する事へよりも、絵そのものに対しての刺っぽさが、つい篭もる。呆れ半分ぽつりと零した。]
どうすかね。
[――いいと思うよ。と、言ったろうか。 子供の絵を褒めているかのような言葉にも思う。 そうしてモヤついていることに、内心辟易とする。 ――できれば、これ以上、何も言わず返ってくれればいい。]
(485) gekonra 2014/07/06(Sun) 16時頃
|
|
[きっちり物を仕舞っているのは、それこそ、においがつくのを嫌って、という面もまた大きいのだが、徹底なんて出来ようがないのもその通りだ。 ベッドの上にあぐらをかいた。 気づいていたとしたら、お互い触れないというのが、正しい線引だったのに。どうして態々崩したのだろうか。 「そうですか」と相槌をかえしてから]
わざわざ話すような事でもなくて。
[見たいなと思っていたと言われて、困り笑いを浮かべて、首を傾げてみせた。]
趣味でやってるようなもんですからね。
[最悪の言葉だと思う。]
(486) gekonra 2014/07/06(Sun) 16時頃
|
|
― 幾分先の話。八月の終わり>>483 ―
[こういう絵を描きたかった。趣味として手を広げてみたいという話なのだろう。己と呼べる絵を武器に戦っている人間が本意で言う言葉ではない。 南方には、そうとしか思えない。]
はは。今からまた道具揃えてみたらどうすか。
[やや笑いが乾く。キャンバスにのっているものを通りすぎて、藤堂は油彩という手段を羨んでいる。]
――
[感性に任せたような藤堂の言葉はてんで心に届かない。 そうしてその瑞々しさのない所が彼と己の差なのだろうと南方には思える。 風景画、というものへの好みを話をする彼に、肩をすくめて]
そりゃ違う場所に立って描いたんでしょ。
[作者のみている景色が見えているようだ、という意味として理解することは出来るが、要は腕前の話だろう。そして彼が浮かべているのは誰かの絵であり、此処にはない。]
(489) gekonra 2014/07/06(Sun) 17時頃
|
|
― 幾分先の話。八月の終わり>>483 ―
――
[藤堂の言葉に、肌が粟立つ。 趣味で絵を描くことを、悪いと言ったように、聞こえたのか。]
……、――
[落胆から凪いでいた気持ちが、苛立ちでふつりと煮えはじめた。 知らないとでも、思っているのだろうか。 それを知らずに、絵画を趣味と言ったと思っているのだろうか。 全日を絵に捧げることを諦めた由を、一度も手放した事がないからこそ、想像もつかなかったろうか。 失うおそれすら、感じたことがない?]
……
[その上、油彩という形式でしか人の絵を見ずに、それを言う。 なにが好きで描く世界だ。]
(495) gekonra 2014/07/06(Sun) 17時半頃
|
|
藤堂サン。
[それらの絵からは、何を感じ取ることも、なかったんだろう。 みずみずしい感性には、さぞ退屈に見えたことだろう。 思えば分かりきっていたことだった。 我に返ったような心地になった。]
帰りましょう。
[――そして彼の言葉は、単に、きっと、 絵が、混じりけ無く、疑いようもなく、単に好きだからこそ、選んだものであるのだろう。]
(496) gekonra 2014/07/06(Sun) 17時半頃
|
|
[あまりに小さくて、聞こえなかったろうか。 できれば、もう、聞かせないで欲しい。 細々と守ってきたものを、崩されるような心地がした。 追い打ちのように、楽しんでいるかを問われた。 いや。説教をされている。 惨めにすら思われているのかもしれない。 この部屋の由など、理解できないだろう。 多分この人は挫折を知らない。 欲しいものを持っているからこそ、折れたことなどないからこそ、楽しんでいるかどうか、「勿体無い」などといって、諭すように口にする事が出来るのだろう。 「たかがそんな事が何故できないのか」と問われている心地だ。]
――藤堂サン。
[もう一度、呼んだ。声音が、強張る。 笑ってしまった。あんまり腹が立って。 明らかに、嘲った。 卑屈に歪めた口元が、言葉を続ける。]
聞こえなかったっすか。 帰ってください。
(503) gekonra 2014/07/06(Sun) 17時半頃
|
|
― 幾分先の話。八月の終わり>>504 ―
[藤堂の軽く肩を竦める仕草。 そうだよな。その程度の、ものだろう、と、南方は思う。]
……。
[ため息と共に去っていく客が、謝り、背を向ける。]
そうですね。 だから黙ってたんですよ。
[余計な事だったかな。 その言葉に肯定を返した。]
――
[いつか気が向いたら見せて欲しい。 なんの意味があって、最後、そんな言葉をかけてみたのか、その時はとても理解は出来そうにもなかった。**]
(509) gekonra 2014/07/06(Sun) 18時頃
|
|
― 八月の終わり ―
[書き溜めるだけでは勿体無い。 では試しに使い道を訊いてみればよかった。 何になると答えるつもりだったのだろう。 なんの為に描いているように見えたろう。
『描けなくなった』と思わないで済むように、 ひたすらに描き続けた絵たちを見る。]
(514) gekonra 2014/07/06(Sun) 18時半頃
|
|
[殆ど怒りにまかせて藤堂追い返した後、扉が閉まって、 去来したのは、どうしようもない虚しさだ。
間中にもこの部屋でいわれた事は、そういえば、 藤堂が言うのと似たような内容であったように思う。]
(515) gekonra 2014/07/06(Sun) 18時半頃
|
|
[描きかけの絵の傍へ寄り、しゃがみこむ。 四角の画面が絵の具で上から塗りつぶされて、 新鮮な空白で満ちている。 殆ど反射や癖で、埋める方法を、頭のなかでなぞった。
翌日予定がないのをいいことに、 長い時間、じっと、それをみていた。 頭ががんがんと、脈打つように痛んでいた。
明け方になって、扉が鳴って、間中がやってきた。 普段とかわらず面倒くさそうに迎え入れ 間中が勝手に寝始めたので、あわせて、横になった。**]
(516) gekonra 2014/07/06(Sun) 19時頃
|
|
― 九月のはじめ ―
[イーゼルに置かれたキャンバスに、色を乗せた。 深い集中のさなかにあるのだろうか? 南方は、黙々と作業を続けた。**]
(520) gekonra 2014/07/06(Sun) 19時頃
|
|
― 九月 ―
[七月からの忙しさがまだ継続しているのだろうか。 南方は変わらず忙しそうにしていた。 バイトに来ていた院生の一人に辞める相談をされたのが、丁度よく感じられた。
談話室に顔を出す機会も減った。 あったかどうかも定かではない。 引っ越す者があったとして、ろくに挨拶も出来ず仕舞いになる事もあろう。
それでも、別段、わかば荘の住人と、顔を合わせればいつも通りだ。 他人と接する南方に、なんら変わりはない。 悪態と冗談と当り障りのない話をする。]
(536) gekonra 2014/07/06(Sun) 20時半頃
|
|
― 十月某日 ―
[いつも通り、平日と同じ時刻に目が覚めた。 二度寝をするでもなく、起きていた。 三度のノック。 秋の始まりを感じるこの頃には、随分これにも慣れていて、音だけで相手の予測がつくようになっていた。 クロッキーブックをイーゼルに置く。 スリッパが板を踏む。 鍵を開けに、ドアへ向かった。]
(537) gekonra 2014/07/06(Sun) 20時半頃
|
|
[ドアノブを掴む。 ドアを押し開けた。 南方は間中を面倒くさそうに出迎えた。]
なんすか。 寝る時間には遅くないすか。
(538) gekonra 2014/07/06(Sun) 20時半頃
|
|
― 十月某日、104号室 ―
[間中の口端が持ち上がる。 細い目をゆるりと柔く更に細めて、したり顔をしている。]
―――……
[南方は、大きく目を見開いた。 言葉の意味を理解した。]
(549) gekonra 2014/07/06(Sun) 21時頃
|
|
[間中の頭に手をのせた。 ぐしゃぐしゃに髪をかき混ぜた。 南方も顔をくしゃくしゃにして笑って、何度も頷く。 驚いて、すぐには言葉が出なかった。 ようやく発した一言は、本当に、心から喜んだ声での]
――、よかったな。 すごいじゃん。
(550) gekonra 2014/07/06(Sun) 21時半頃
|
|
[梅雨明け宣言前の深夜、高熱を出しながら読んだ作品も。 それを書く間持っていたらしい不安も。 先月あたりはしきりに連絡を気にしていたことも。 書き物を朝方まで続けて、疲れて眠るところも。 それらを見ていたからだろう。 いつの間にか、喜べるようにされていた。 意外そうに見上げられた事で、「なんだよ」といつもの調子を少しづつ、取り戻していく。 それでも、嬉しそうに目蓋を伏せている様子は微笑ましい。]
ふーん。審査員特別賞。 おお……本まででんの?
(559) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時頃
|
|
[間中は、単に、祝って貰いに来たわけではない。 第一声だって「モデルをしに来た」と、たしかに、言った。 言葉を聞く内、いつしか、南方の顔から笑みが消えていた。]
――……。
[暫く間中を見下ろしていた。 変人は、約束を果たしに。欲を、律儀に満たしに来ていた。]
……したね。
[確認をとるような、間中の声に、肯定をかえす。 見せて、と言われ、視線を足元へおとし―― 踵をかえした。 扉は、いつも通り、放ったらかし。 重みに任せて、閉まりかける。]
(570) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時頃
|
|
――……
[部屋に戻った。 クロッキーブックには、数ヶ月で書き溜めた下絵があった。 それをベッドの上へ放り出す。 引き出しを開けた。釘抜きと金槌を引っ張りだす。 立て掛けられたキャンバスを掴む。 うたれた釘をすべて外し、キャンバス地をはがした。 木枠だけが、残る。 丸まったキャンバス地をクローゼットから引っ張り出し、手慣れた動作で、木枠に新たな布地を貼り付けていく。 皺がよることもなく。たわむ事もなく。 新しいキャンバスが完成させる。]
(578) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
|
|
[作り続けることは、間中と約束を交わして以来、 ずっと、ただずっと、黙々と、続けられていた。 最大限欠かさない努力をし続けた。
連日続けていたそれは、ただ小器用で、要領がいい、間中が見た最初の一枚と似たような出来の作品を、モチーフを変えて新たに作り出しつつあった。
木枠を持ち上げられ、それは、壁に、放置される。]
(579) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
|
|
[間中に名を呼ばれても、返事はしなかった。 或いは、出来なかった。 黙ったまま、必要な準備を整えていく。
仕舞われていた油絵の道具が詰まった画材の箱を、 引っ張り出した。]
(588) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
|
|
[新しいキャンバスを、イーゼルに乗せた。 椅子を、椅子の傍へ、傍に引っ張って寄せた。 それから、暫し、声もだせず、黙ってから]
――
[ぽつりと言う。]
モデル出来るつったな。
(591) gekonra 2014/07/06(Sun) 22時半頃
|
|
[間中が拾った布地にあるのは、ただの、訓練の痕跡だ。 あがき続けただけの。手にたくさんのタコを作って、不格好に描き続けた人間の。 間中自身が、「楽しい?」と尋ねるような、ただの習作。
南方は、返答をきいて、間中を振り返った。 眉根を寄せた顔をしていた。 いつも通りに見えたろうか? 自分の顔は自分では見えない。 それは間中にしか分からない。
南方は、歩み寄って、間中の手首を掴んだ。 間中が持っていた習作を掴み、作業台に、不要品であるかのように、ぞんざいに置く。 引っ張って、いつも裸婦モデルを立たせていた、カーテンからすける日の当たる場所へ、連れて行く。
それから、手首を掴んだまま。 間中の細い目の上を視線がさっと通りすぎて、首を、肩を、胸を、腹をと、足元まで、視線が降りた。]
(604) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時頃
|
|
――……。
[間中の姿は、ひどく、所在なさ気にみえた。 なんだか可哀想で、手を放してやった。 椅子を一つ掴んで、間中の横へ置いた。 背を向け、本棚から、丁度いい大きさの、ハードカバーの本を引き抜いた。 中身は西洋美術に関するものであったが、内容は関係がなかった。本の表面くらい、絵の上で変えることは容易い。それを間中にもたせてやる。仲間を与えてやるような心地で。]
読んでて。
[ベッドに放り出してあったクロッキーブックを拾い上げた。 いくつもの、紙がくたくたになるまで試行錯誤を重ねた頁を通り過ぎ、頁を捲る際に、何枚かが背から外れて、床に落ちる。 それを邪魔くさそうに拾い上げて、作業台の上に、また、ぞんざいに乗せた。
イーゼル前の椅子に座る。 クロッキーブックのある頁で、視線は止まる。]
(610) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
|
|
[それから、膝の上にエスキースを広げた状態で、椅子に座ったまま、間中遊のある部屋の光景を、みていた。
時間が、一秒づつ、経過していった。
無言だった。 一時も、その光景から、目は離さなかった。
一時間半以上が経過した頃だろう。
ぽつりと、かすれた声が言った。]
(613) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
|
|
[この日が来るのが、楽しみだったのか。 この日が来るのが、恐ろしいのか。 この一月の間、ずっと、わからなかった。 結論、恐ろしかったのだと思う。
だから、呆然として、言う。]
遊。
ごめん。 なんか。
描けないわ。
(615) gekonra 2014/07/06(Sun) 23時半頃
|
|
[一時間を過ぎても、手が持ち上がらない。 ただおりて、膝の間で、あたりをとるための鉛筆を持っていた。 状況が奇妙で、つい言葉を発した。 不思議と、ただ、驚いているだけだ。 以前間中にいったとおりの「泣けもしない。」なのだろうか。 こんなにぽっかりと、悲しい気持ちであるのに、涙は一向に出そうにない。ただ、ぼうっと白いキャンバスをみていた。]
――……
[いつの間にか、間中は傍に寄ってきていた。 キャンバスをみている。 アイボリーの、ただしろいだけの、キャンバスには、なにひとつ描かれていない。]
描けないね。
[もう一度、確認するように、言った。]
(624) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
|
|
[背を、髪を、間中の手が撫でる。 それに、気づいているのかも、どうだろう。 呆けたままの声で、謝った。]
遊。ごめん。
約束、なかったことに出来ないか。
(625) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
|
|
[いいよ、と、いう声は、約束を破棄する声の前にあった。 どういう意味だったのか、わからない。]
……
…………。
[間中の体が傍にあったので、寄りかかるように、頭を寄せて、まだキャンバスを見ていた。 ――間中は、絵のかわりの対価として、ひとりの挫折で、満足はしてくれるだろうか。 話のたねであれば。なんでもいいのだろうから。]
(627) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
|
|
[タコの出来た手から、鉛筆がとりはらわれた。 なぜだか不思議と、ほっとしていた。
アイボリー色の、なにも色ののらないキャンバスは、 これはこれで、美しかった。**]
(635) gekonra 2014/07/07(Mon) 00時頃
|
1
2
3
4
5
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る