108 Persona外典−影の海・月の影−
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―崇神神社―
[愉悦に歪む悪の瞳。嘲笑。 滴る毒の言葉。
心をずたずたに切り刻まれて、それでも。 あかりは影と成り果てた律を、切り捨てることが出来ない]
(146) 2015/02/23(Mon) 22時頃
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[堕ちる切欠などなかったと、律の影は言う>>123
けれど、あかりは思うのだ。 あかりが切欠で、あかりが憎くて影に身を委ねたのだと、 例え嘘でもそう言われたならば、どれほど良かっただろうと。
影の言うことが真実ならば、 雛宮律の物語は彼と世界との対話だけで完結していて。 他人の――花河あかりの入り込む余地などないのだから]
(147) 2015/02/23(Mon) 22時頃
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[愉悦に浸るしたり顔を見て選択を間違えたと悟る。素直に言いすぎた>>144]
…ふぅん。それが良い話。
…余り良い話でもなかったね。 それって、結局俺がやる事はまるで変わらない。
[そしてだ。去れど重要な事を、タダで教えるワケがない]
そう。簡単ではあるけれど。いいよ。 悪い話を。
[目を細めて、口角を上げる、その嗤いに、嫌な予感を覚えて]
(148) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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… … … … 戦う 理由 が?
[ゆっくりと、言い含める様なその言葉に。 微かに肩が震えた。半分以上何を言いたいかが伝わってしまう、その真意を問う]
(149) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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[やがて、陽は落ちて。 掴まれていた腕が、いつの間にか解かれていたことにさえ気付けないほど、あかりの心は深く傷つけられていた]
律っちゃんは、ずっと一人だったの? 私や絹代さんがいても、一人きりだったから、 絶望しちゃったの?
もし、夕焼けの美しさに絶望したときに、 私が隣にいても、だめだったのかな。
[満月の夜に、もう一度。 最後にあかりの耳元で囁き、背を向ける幼馴染に問い掛けた*]
(150) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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うん。絶望する様が見たくて追い詰めてたんだけどね。 人格が自壊しちゃった。跡形もなく。
あなたに助けを求めたあの日に。
人間って弱いし脆いし崩れやすいとは分かってたんだけど、あそこまでとは思ってなかったわー。 遊びがなくなっちゃったから、今日までもー暇で暇で……。
[彼を挑発するかのように、紡がれていく言葉。 言葉と身振り手振りで、あどけなさを表している。]
(151) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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―満月の夜・祟神神社― [巨大な赤い月が、漣の音を引き寄せる。 社殿は足元に広がった黒い水溜りから伸ばされる腕のようなものが、 柱だの壁だのにはいずる絡みつき、建物自体が侵食されていくようだ]
――さあ、行っておいで。
[伝書鳩でも空に投げるように、 足元の影から影を掬い上げ、空へと放る。
いくつもの黒い翼影が赤い夜空を埋め尽くして消えていく。 足元にとぐろを巻くように蠢く影から、焔が零れた。
影の眼差しにはただ焼き尽くすべき世界が映る。 何故、雛宮律がさして代わり映えもしない日常の風景を、尊く美しいと感じるに至ったのか。それを壊したいと望んでしまったことに絶望したのか、――それは影には決して理解しえないことだ]
(152) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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人格…が… … 自壊 …… 。
[柔らかな悪魔の囁きが耳から心を柔らかく縊り殺そうとしている>>151]
あの日の、助けに。 すぐに間に合わなかったから。
アカリが… … きえた … …?
… … … … … … そんなの … …
[身振り手振りもその視界に入れず、俯いた肩が眼に見えて震えた。 あどけなくも、心に絶望を囁くその悪意を真正面に受けて…]
(153) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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[…震え続けていた肩が、次第に収まりを見せた]
… … …それでも変わらない。俺の戦う理由は… …。
[そして俯き陰になる表情をあげて、彼女に見せたその時。 それは、きっと絶望や慟哭を期待する彼女にとっては、酷くツマラナイ物。 揺れない。或いはその悪魔の囁きを信じないか、それとも]
(154) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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… … … …約束したから… …。
[襟元のマフラーを握り、唯そう呟き。『あかり』を見据えた]
(155) 2015/02/23(Mon) 22時半頃
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[夕焼けの日、律と別れてから、 誰とも顔を合わせることもなく、部屋に独りで籠もり続ける。
律の問いへの答え。 それを口にすれば、全ては終わってしまうから。 あかりは選び取る勇気を持てぬまま。 ただ終わりだけを恐れて、満月の夜までの時間を、 幸せだった日々の追憶に浸り、為すことなしに過ごすのだった。
――そして、最後の満月の夜が訪れる]
(156) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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[愉悦の表情は、一瞬にして凍りつく。 それは期待したものではなかったから。 激怒、悲哀、懴悔、そういう絶望を見たかったのに。
彼は、それを苦にしなかったようで。 表に出さない、強さを持っていたようで。 それを、少女は喜ばなかった。
けれども、もう一人はその強さを喜んだらしい。 黒衣を纏い、鎌を背負った『世界』が少女の隣に姿を表した。]
(157) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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『世界』……いえ、クロノス。 遠慮はいらない。そいつに価値はなくなったわ。 粉微塵にして、殺してやりなさい。
……遅れたけど、自己紹介しとこうかしらね。 完全なる『世界』、クロノス。 裏切りの『悪魔』……。
[そこで少女は少し考える仕草を見せて。]
……スガミ。
[そう名乗った。 黒衣は背負った鎌を両手に構える。]
構えなさい。 クロノスは、あなたが強いことを望む。
(158) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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―祟神神社・前夜―
さあ、わからないな。 ――もしもという仮定は、 記憶でも知識でも感情でもないからね。
ただ、そうだね。 お前が傍らにいたら――、 もっと深く絶望したんじゃないかな?
[>>150 雛宮律の世界なんてちっぽけなものだった。 そしてその世界には慈しみ大切にしたい存在もあった。 けれど胸のうちにあったすらもそんな小さな安らぎさえも、 ――全て、何もかも憎悪で焼く尽くす幻想を見た。
それが、影も理解しえぬ雛宮律の絶望の全てだ]
(159) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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―最後の満月の夜、崇神神社―
[さくり、さくりと玉砂利を踏む音だけが、夜に静寂に響いていた。
神社の奥へと向かううち、鳥居に身を預ける麻夜に気付いて、視線だけを向ける>>131 黒衣の少年はその場から動く様子はない。
あかりも問うことはなく「また、後でね」とだけ声を掛け、 拝殿で待つであろう律の姿を求める。
馨一は律を殴ると言っていた。 もう、彼は神域の奥へと向かったのだろうか]
(160) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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[影は崇神市を覆っていく。影を食らうべき人間を探して。 同じような影は崇神神社の方からも見えた。山の中腹の一点が黒く変化しているようにも見える。]
シャドウに人間の世界の規範などはない。 シャドウは……何者からも自由だ。 シャドウには縛られる必要などはない。
人間と違って、僕達には恐れるべき闇はないから…ね。
[とは言え、それがシャドウの総意というわけでもない。]
……そこが難しいところなんだ。 ただ、一つ言えることは……ペルソナを使うという点について僕達は彼らの上を行く。
(161) 2015/02/23(Mon) 23時頃
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― ベルベットルーム ―
影を切り離された人間は、 シャドウの海との繋がりを断てば意識は戻るのか? それとも、そのまま海と共に消えてしまうのか?
[世界が海とつながる直前、 男は室内にいる女にそんな事を尋ねただろう。
今まで何度も聞こうと思っていた事。 だけど、聞けずに引きずっていたこと。 確認してしまうと、決意が鈍ってしまいそうで。 けれど満ちる月を見てしまえば、聞かずにはいられなくて。
言葉は得られただろうか。 例え得られなくても、男は部屋を後にする。
―――――誓いを果たすために]
(162) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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… … … それでも俺はアカリを … …。
[中身の無い缶を、手元で弄び、そして加減無く高く、月空に放り上げた]
…クロノスと… … …スガミ… …。
…うん。そうする。
お前の事を、止めるよ、スガミ。 …ううん… 『あかり』 。
[『世界』が、黒衣の神がその鎌を構える。敵対する愚か者を完膚無きまで微塵にする為に>>158。 そして自分は。『彼女』の名を、敢えて言い直した。
赤い月は吸い込まれそうな程大きく、夜空から焔が零れ落ちる>>152中で]
(163) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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…いくよ 。 ペルソナッ!!
[炎が零れる月下に、青い輝きが砕けて、北霊の玄武が現れる。 畏れさえ手懐けて。約束を握り締めて、そして『世界』にさえ牙を剥いた]
(164) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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― 北部・埠頭付近 ―
[ベルベットルームを後にして、さほど時間は経たなかったか。 今にも飲み込まれてしまいそうな、大きな大きな月。
あの日見た血のように、――――赤く、黒く。
世界は絶望の色に染まってゆく。 徐々に広く、深く、全てを覆うように。 吐き気を催すほどの気分の悪さは、相変わらず変わらない]
(165) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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………アレは、なんだ。
[群れを成して街へと進むモノを睨みつける。 背に走る悪寒は、恐らくそれらのせいだろうか。
あの日以来、『節制』は応えない。 いや、正確には、像を結ばないだけなのだが。 律の振るう剣に切り裂かれたことで、男の中にある心象を傷つけられたのだろう。 完全な形として姿を形作る事なく、己の中で霧散してしまう。 朧気に力の片鱗を扱う事はできても、今までのようには振るえない。
男に今残るものは、怒り、憎しみ、そして―――――]
(166) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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とりあえず、アレが来た方向に行ってみるか。
[数を見るに一人での処理は厳しいと判断して、大元がいないか探る事に決める。 向かう先は石油コンビナートや造船ドックが並ぶ工業地帯。
もし、人の姿を認めるならば、用心深く近寄るだろうか]*
(167) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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―満月の夜・神社― [人の気配に足元のシャドウが鎌首をもたげる。 振るい手の姿の見えぬ剣霊は、ぬらりと空を裂くように、 その禍々しくっみえる刀身をあらわにした。 変わらず焔と血を滴らせている、それは三つに斬られて殺された火ノ神の臓物だ。
その銘は天之尾羽張――アメノオハバリ、
母を焼き殺してこの世に生まれ、 父の怒りのままに殺された火之迦具土神を斬った剣。 ――これもまた雛宮律の絶望の形]
待ちくたびれた。
[黒く染まった柱に寄りかかり、>>160姿が見えれば身を起こす]
(168) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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------------------------------------------------ From:ケーイチ To:MAYA 件名:Re:さっきの事
こっちこそありがとな。 ちょっと気が軽くなったかも?
そだな。また屋上で。 例の本、なんだかんだで貸せてないしなw ------------------------------------------------
(169) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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[影の海に侵食される拝殿。 蠢く影たちを従えて、雛宮律はいた]
律っちゃん、……来たよ。 [幼馴染の影に声を掛け、 お互いに触れることの出来ない距離を空けて、足を止める]
(170) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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……その呼び方はやめてほしいわ。 もう、その子いないんだから。
[同じように中身の無い缶を空に放り投げる。 クロノスがその缶に向けて鎌を振るうと。
缶は文字通り消えた。 チリ一つ残さず、跡形もなく消えたのだ。]
絶望する間もなく、消してあげる。 いきなさい、クロノス。
[黒衣は声に合わせて、ゆっくりと歩き出す。 右手に、鎌を掴みながら。]
(171) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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― 満月の日の夕方・病院 ―
[幸いな事に、秋山とほぼ同じ時期に退院は出来た。 しかし、花咲の意識は戻らぬまま、満月の日は訪れる。]
花咲、櫻井……これ、借りるな。 ……扇なんて、僕には似合わないかも、だけどさ。
[鉄の扇は、焔の熱は伝えるけども、そう簡単には焼け落ちる事はない。 そしてグローブさえはめておけば、多少の熱なら耐えられるか。
腕を軽く奮えば、ぱん、と音たて扇は開く。]
絶対に取り戻すから。待ってろよ?
[再び扇を閉じながら、彼は一人出て行った。]
(172) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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……おや、誰か来たみたいだね。
[車から背を起こし、満月の下で読んでいた本を胸ポケットにしまって歩き始める。白のブラウスにブルゾンを着こみ、マフラーを巻いた姿。 高屋敷真弓の姿には似つかわしくなく、ポケットに無造作に手を突っ込んでいた。オペラグラスでやってくる人影を視認する]
……秋山五郎かな。久しぶりだね。もう随分長い間会っていない気がするよ。でもまさか君一人ってわけじゃないんだろう?
(173) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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さあ、答えを聞こうか。 ……どちらでも構わないよ。
俺は今も、あかりと話すのは愉しいんだ。
[>>170 雛宮律は笑う。 影の身にしてある程度の充溢感はすでに得た。 花河あかりは憐れにも雛宮律の為に傷ついた。 雛宮律などの為に――それは影に歪んだ愉悦を齎すものだ]
(174) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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[破片すら残さず缶は消去され、後には無音]
… … やめないっ!!
[右手に鎌を掴み、全てを刈り取る黒衣が歩き出すより速く]
先手必勝… 。 殺されるつもりは、ない!
[その覇気に合わせて、玄武の咆哮は光を身体に纏わせる。 鎌の懐に飛び込む様に一気に距離を詰めて。 石畳が砕ける様な、注力された拳を黒衣に放った]
(175) 2015/02/23(Mon) 23時半頃
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