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78 わかば荘の薔薇色の日常
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少し。
[尋ねる來夏に、うん──と頷く。
來夏の視線を手元に感じると 袋ごと、中身を來夏の目の前に差し出した。]
あげる。 來夏、今日で21だよね。
プレゼント。
(220) hana 2014/07/04(Fri) 23時半頃
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─ チャルラタン ─
[自動扉に手を近付けると 何を感知してか、チャルラタンの扉が開いた。
中から冷やされた空気が流れ出して来て 腕や足を、ひやりと心地好い温度が撫でてゆく。
檀が店番に立つことはそう多くないと聞いていたので 今日も奥で働いていると思っていたら 浅黒い肌のいかつい顔が 堂々たる風格でカウンターの奥に立っていた。]
……来ちゃった
[仕事先に押し掛ける恋女房のようなことを言って 唇をゆるりと引いた感情の読めない笑みを作る。]
(232) hana 2014/07/04(Fri) 23時半頃
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─ 談話室 ─
[>>228案外と素直な草芽の行動に 來夏を見ていた遊の目が一度草芽に向く。]
ありがと
[來夏の頭を抱きかかえてもふる姿に目を細め 声に微かな笑みを滲ませて言う。
草芽が掴んだのはパーカーの裾だろうか。 引っ張られる感覚に姿勢を低くし また、ソファの端に浅く腰掛けた。]
…──うん 藤堂さんが連れてってくれるって
…──うん 好きな人がいたら、その方がいいかな。
(234) hana 2014/07/04(Fri) 23時半頃
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─ チャルラタン ─
声の聞こえる蜃気楼は 多分、蜃気楼じゃなくて幻覚だよ。
[涼しげに眼差しを細くしながら ケーキの並ぶショーケースへと近付いて来て、遊は言う。
何ら気を悪くした様子はなく むしろ、檀の発想を面白がるように口角を上げた。]
ケーキを買いに。 そうだな──ウェディングケーキ、とか。
[注文を、と問う檀に、 藤堂と宇佐美のことを思い出しながらジョークを口にする。]
(236) hana 2014/07/05(Sat) 00時頃
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いいよ、勿論。
新品じゃなくて悪いけど── 多分、來夏の好きなやつ。
[草芽に服を引かれるより先、 >>237贈り物を、腕に抱きかかえる様を見て ゆる──と、目を細めた。]
(239) hana 2014/07/05(Sat) 00時頃
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はは
俺の、 だったら面白いけど──
[小馬鹿にしていると誤解されかねない 乾いた笑いを鼻から漏らし]
…──違う。
ウェディングは冗談。 今日、來夏の誕生日だから。
[>>240動揺する檀に来店の目的を告げる。]
(242) hana 2014/07/05(Sat) 00時頃
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[來夏の身も蓋もない思考に來夏らしさを感じる。 遊は、來夏と自分は本質的にどこか似ているとも思う。
必要以上の裏を読まない。 好意に好意以上の意味を求めない。
だから他の住人と話をするときほど、言葉を必要としない。 それが心地好く、好ましい。
來夏の頭をはたく草芽には]
?
[聞き取れなかった言葉を再度求めるように首を傾げた。]
(247) hana 2014/07/05(Sat) 00時半頃
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[>>243不機嫌そうにしていたかと思えば もう機嫌を直したように來夏の髪を撫でる草芽を 面白がる遊の視線が見下ろしている。]
いや──
いるよ? 好きな人。
(249) hana 2014/07/05(Sat) 00時半頃
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─ チャルラタン ─
──納得する?
そう じゃあ、結婚しようかな。
誰か紹介してよ、檀さん。
うん、來夏の。 はは、祝うよ。 來夏は俺の──弟みたいなもんだし。
[檀の失礼な驚きようはいっそ愉快で、楽しい。 腰を屈めてカットされたケーキを眺めていたが]
……ああ
[ホールで買うか聞かれると、それもいいかと思えた。]
(251) hana 2014/07/05(Sat) 00時半頃
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じゃあ、そうする。
ん と これ──。
[指さしたのは3
1.艶やかなグラサージュの施された大人っぽいオペラ 2.真っ赤な宝石のようなベリーがふんだんに盛られたタルト 3.ふんわり焼きあがったチーズスフレケーキ]
(252) hana 2014/07/05(Sat) 00時半頃
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[き──
で、一度言葉を途切れさせた檀を 遊の狐目が凝っと見やる。
が、追求はせず]
……そ。 残念。
[さして残念そうに聞こえぬ口振りで言って 綻ぶ檀のいかつい顔に目を細めた。]
(259) hana 2014/07/05(Sat) 01時半頃
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[もう一つ選べと言われれば さすがに本気で驚いて、 瞳孔が縦に──はならないが、 猫ならそうなったであろうほど、細い目を精一杯丸くした。]
……うん ありがとう
[いいの? とも 本当に? とも聞かず、 素直に好意に甘えることにして]
じゃあ、これ──。
[二つ目は、赤い宝石を散らしたような ベリーのタルトを選んだ。
來夏が撮る写真のように キラキラした色彩が綺麗だと思った。]
(260) hana 2014/07/05(Sat) 01時半頃
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[会計を済まし、大きな箱が二段積まれた袋を手に チャルラタンを出る間際]
そうだ
[扉を潜る寸前だった遊は振り返り]
南方 昨日風邪引いて熱出したから 夜、何か栄養のあるもの作れない?
材料 必要なら買って帰る。
[涼しい顔で、図々しい頼み事をした。**]
(261) hana 2014/07/05(Sat) 01時半頃
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ジャニスは、トレイル[[who]]のおっぱい枕に頭を乗せて見た。固い。。。**
hana 2014/07/05(Sat) 02時頃
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[黒っぽい厚着の兄貴風こじらせボーイは 最近、なんだか、富に面白い。
他人のセックスを嫌がる草芽の思考ロジック解明は 來夏の誕生日を祝うのを優先し、保留とした。 いつか聞いてやろうと、心に留めておく。
好きな人が誰か、尋かれればすぐに答える気でいたが 尋かれなかったので黙っていた。 草芽の反応が面白かったから──というのも、多分にある。
だめだだめだと繰り返す草芽の頭に伸びる手。 そっと置く程度の力でフードの上から頭を撫でる。 それから草芽に頭を抱えられた來夏の頬をぷにと突付き 冷たい指で來夏の頬の輪郭をなぞる。]
おめでとう
[成長期の果実に注ぐ穏やかな眼差しが 一時二人を見つめていた。]
(272) hana 2014/07/05(Sat) 08時半頃
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[來夏が写真を広げるならそれをしばらく眺めて 半刻ほど談話室で寛いでから 遊はソファから立ち上がり]
外、行ってくる
[それだけ言って、どこかへ出掛けて行った。**]
(273) hana 2014/07/05(Sat) 08時半頃
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ジャニスは、ラ神……!!!
hana 2014/07/05(Sat) 09時半頃
ジャニスは、朝なのに!?
hana 2014/07/05(Sat) 10時頃
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[チャルラタンでケーキを買った帰り道、 保冷剤とケーキ二段の入った大きな紙袋を手に 遊は坂道を上っている。 傾き始めた陽に家々の屋根は橙色に染まり、 アスファルトに出来た遊の影も長く伸びた。
波長の長い赤い光があちこちで跳ね返り 見慣れた町並みがキラキラと輝いて見える時間。 この時間に外を歩いていると、 なぜか胸が締め付けられるように切なくなることがある。
セピアが郷愁を刺激するのか あるいは──失われ往く時間を惜しんでか。]
(314) hana 2014/07/05(Sat) 19時頃
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─ わかば荘 ─
[坂道を登り切り、 わかば荘の生け垣が見えるまであと少しという所で 後からやって来た中型の運搬用トラックに追い越された。 トラックの側面に三毛猫宅配便の文字。 トラックはそのまま緑の垣根の横に停止した。
わかば荘の誰か宛に荷が届いたらしい。
誰に──だろう。 急げば間に合うだろうか。
誰かが荷を受け取る瞬間──宅配員と受取人が対峙する時、 そこにはもう、一つの物語が生まれている。
急げば、丁度受け渡しの瞬間に立ち会えるかもしれない。
そう思って歩調を早めた時 ポケットの中の携帯がぶるぶると震え出した。]
(315) hana 2014/07/05(Sat) 19時頃
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──……はい
[見知らぬ番号からの着信に 画面に表示されたオブジェクトをタップすると、
『三毛猫宅配便でーーーす!!』
明るく威勢の良い声が、 受話口と停車中のトラックの窓から同時に聞こえて来た。*]
(316) hana 2014/07/05(Sat) 19時頃
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─ 談話室 ─
……
[談話室の端に、ぎっしりと中身の詰まった Lサイズの段ボール箱が6個並んでいる。
箱の側面には
安曇野のおいしいもも ──間中果樹園
と、プリントされ、 辺りに甘い薫香を漂わせていた。*]
(317) hana 2014/07/05(Sat) 19時頃
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─ 談話室 ─
[テーブルの上に チーズスフレケーキとベリータルトが並べて置いてある。
スフレケーキには2の形をした蝋燭 ベリータルトにも1の蝋燭が真ん中に刺さっている。
皿とスプーンは、人数分揃っている。 バイト中かもしれないが、天露の分まである。 ポットの中では、誰かが提供してくれた紅茶の茶葉が 程好く開いて琥珀色の液体の中を泳いでいる。
檀の好意で、大きなホールケーキが二つに増えたので 來夏の他にも、住人に声を掛けて人を集めた。
ある程度人数が揃ったところで、 フランクが100円ライターで蝋燭に火を点けた。]
(323) hana 2014/07/05(Sat) 20時頃
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[住人同士の関わりあいの深いわかば荘ではあるが、 こんな風に集合して 誰かの一人の誕生日を祝うことが以前にあっただろうか。
幼い頃、両親や祖父母や近所の友人達に囲まれて 誕生日を祝ってもらったことを思い出した。]
(324) hana 2014/07/05(Sat) 20時頃
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─ バースディパーティ ─
[管理人の掛け声で、下手くそな斉唱が始まる。
ハッピーバースデー徹津 ハッピーバースデー來夏
無口な來夏がいつになく照れているようにも見える。
ハッピーバースデーディア來夏 ハッピーバースデートゥーユー
住人それぞれが、それぞれの言葉で來夏の誕生日を祝ったり 主役よりも先に手を伸ばし 切り分けられたケーキを確保しようとしたり──。
談話室は、いつにも増して賑やかになった。]
(327) hana 2014/07/05(Sat) 20時半頃
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[声の輪の中で、歌唱力33(0..100)x1の遊も 小さな声でバースディソングを口遊んだ。
鮮やかな紅のタルトを一切れ皿に取り フォークで一口分に切って口に運ぶ。
艶めくラズベリーの甘みと同時に 爽やかな酸味が鼻腔に広がり──]
(328) hana 2014/07/05(Sat) 20時半頃
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ジャニスは、テッドを慰める振りをした。
hana 2014/07/05(Sat) 20時半頃
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─ パーティ中 ─
[來夏の誕生日をこの上なく盛大に祝い ともすれば感涙を堪えて俯き 言葉も発せないくらい喜んでいる來夏の様子に 満足そうな薄い笑みを引き、 ケーキを食べ終えると遊は自然に椅子を立った。
置きっぱなしの桃の箱は 既に誰かが手をつけたようで減っている。 そのつもりで置いてあるので問題ない。
中の一つを手にとり、 談話室を出ようとする永利>>356の側に近付いた。]
……はい
[掌の上の、まだ少し固い桃を差し出す。]
(358) hana 2014/07/05(Sat) 23時頃
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[わかば荘で唯一遊を遊くんと呼ぶ永利の声は、 ぼさぼさ頭のイメージと違って、柔らかく耳触りが良い。
この声に呼ばれるのは好きで ソファでうつらうつらしている時、 時々髪を撫でてゆく指先も好きだった。]
……部屋、戻るの
[声を掛けたのに大きな意味はない。 用事もない。
ただ──なぜか少し、寂しそうに見えたからだ。]
これはまだ── 新聞紙に包んで、数日柔らかくなるまで置いておく。
そうすると、甘く柔らかくなる。
(374) hana 2014/07/05(Sat) 23時半頃
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烟草 おいしい?
[何かあったと問う声を無視し、 提示された箱を見て、また永利に視線を戻す。]
何度か試したけど どうも、いまいちだったな──。
桃は──甘い方が、売れる。 熟した方が香りもいいし。
でも、俺は──…… その年最初に収穫した、まだ未熟な桃も好きだった。
[数ある桃の中から、どうしてそれを選んだのか。 熟しきった甘い実でなく、未熟な果実を選んだ理由。]
(380) hana 2014/07/06(Sun) 00時頃
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[揺れる烟草の、紙と擦れる微かな音は 永利の声とどこか似ていた。
想像していなかった永利の返事>>390に 遊の目が、 パッケージの破れ目から覗く烟草の端に引き寄せられる。]
へぇ
──面白い。
[向き合う相手を内に求めるか。 それとも──煙が描くあやふやな幻に求めるのか。
食べ頃はいつ──と尋かれ、遊は凝っと、 桃を見詰める永利の表情を見詰めた。]
…────じゃあ、明日の──朝。
(398) hana 2014/07/06(Sun) 00時半頃
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─ 談話室>>404 ─
[きっとまだ固くて青いけど──とは言わなかった。
ただ、フレームで切り取られた永利の瞳が 思いの外柔らかかったから
──ああ。もう少し甘くても良かったかな
とは、思ったけれど。
差し出された烟草の箱。 差し出した永利の目と、交互に見て]
……うん
[頭を出した一本を、指で摘んで引き抜いた。]
(414) hana 2014/07/06(Sun) 02時頃
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ありがとう
[柔らかいけれど抑揚に乏しい声で礼を言い、 出てゆく背中を見送って 貰った烟草のフィルターを、軽く歯で噛んだ。*]
(415) hana 2014/07/06(Sun) 02時頃
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[永利が談話室を出て間もなく、 桃の詰まった段ボール箱を重ねて二つ、細腕に抱え]
檀さん、これ──
[と、檀の前に詰み]
お店に。 ──…使えたら、だけど。
いつものお礼。
[遠慮など聞かぬ体で踵を返し、談話室を出た。 永利が談話室を出て間もなくのことだった。]
(421) hana 2014/07/06(Sun) 02時半頃
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