64 さよならのひとつまえ
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─数年後─
[結局、あの後は感動的な別れを経て、首都の近くの大学へ進学する事となった。 と、いっても、最初の二年間ははちプラーザと呼ばれるキャンパスで都落ち生活をしていたのだが。]
(29) fuku 2014/04/05(Sat) 05時半頃
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[いや、正確には一般教養を落としたので都落ち生活は三年近くであり。 その影響でインカレで活動してきた「EARTH」はあっさり解散した。
あっけないものだったが、メンバー同士の色恋沙汰があって活動が続いたことが奇跡かもしれない。]
(30) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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…………あれ。
[なんだかんだ言って、大学生活の忙しさは高校生活を忘れさせるには充分で。
ふと、思い出したのは新聞の記事がきっかけであった。]
(31) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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今年はスタートダッシュ成功ねぇ。どうせまたあの金満チームが優勝だ…………
[そこで終わるはずだった。]
(32) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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あ、これ、やすも…………
[忘れかけていた、記憶。決して大きな記事ではなかったが。見覚えの、ある顔だった。]
(33) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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[締坂は携帯を取り出し、電話帳をいじる。]
(34) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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…………今更、だよな。 ちょー、いまさら。
[打ったメールは未送信のままで。締坂は携帯をベッドに投げると、CDラックからアルバムを一枚手に取る。]
(35) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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せつないーくらーいにーこーいーをしーたー
[アカペラを始めた、きっかけになったグループ。確か、タイムカプセルにもこっそり入れた。
幼かった頃の恋愛を歌った曲。けれど、この恋の結末は。 何を叫んでも、]
(36) fuku 2014/04/05(Sat) 06時頃
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『もう紡げない』
[ひとり、ベッドに突っ伏した**]
(37) fuku 2014/04/05(Sat) 06時半頃
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シメオンは、懐かしいメールに気がついた。
fuku 2014/04/06(Sun) 04時頃
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[かけていたベスト盤のCDは、七夕の夜を歌った曲を示していた。
天の川の下で、逢いたくても逢えない想いを書いた曲。 寮生皆であの星空を見た、あの日は、七夕ではなかったけれど。]
(115) fuku 2014/04/06(Sun) 04時頃
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[貰ったメールを何度も見ては、閉じ。
歌をやめてしまった訳ではない。「EARTH」の解散は決まったが、新しいグループの誘いは受けている。
けれども、それは正しい選択なのか。あの頃と違い、相談する相手は同室にも、隣の部屋にもいない。 一人暮らし。誰もいない、部屋。CDデッキから流れる、切ないバラードだけが、部屋に響く。]
(116) fuku 2014/04/06(Sun) 04時半頃
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─はちプラーザ駅前─
[大学の最寄りの駅で、紐井屋を待つ。数年ぶりに会う事になった彼の前でどうしていいかわからなくて。
それなら、どうして会いたいと言ったのかと言われると。]
(133) fuku 2014/04/06(Sun) 15時半頃
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久し、ぶり。
[止まっている車のフロントガラスをノックして。 止まっていた時間(トラック)が、再び、流れ始める────]
(134) fuku 2014/04/06(Sun) 16時頃
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─車内─
あぁ、うん。元気にしてるみたい。 この前も、ちょー元気そうにしてた。 今日も誘ったんだけど、都合悪くて。
[嘘を、ついた。本当なら、ここ最近はグループの解散で疲れていた、というのが真実だったが。]
(179) fuku 2014/04/06(Sun) 20時半頃
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みなときらい、いこっか。たまには海見たいわ。 オレがナビするから。
[こういったチョイスがまた男らしくないのかもしれないが。紐井屋の運転で港へと向かう**]
(182) fuku 2014/04/06(Sun) 20時半頃
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─十年後─
毎度ありがとうございましたー!
[レンタルCDショップに響く声。そこには、少し茶色がかった髪な店長の声が響いた。]
(357) fuku 2014/04/08(Tue) 00時頃
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んじゃ、オレ上がるから。今日はリーダーいるしちゃんと回るっしょ。
[カウンターで引き継ぎをすると、店長は事務所へと向かう。]
あ、
(359) fuku 2014/04/08(Tue) 00時頃
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今日は同窓会だから。連絡しても多分……酔っぱらってると思うわ。
[電話の連絡を軽く牽制すると。]
え、女じゃねーよ。高校のど・う・そ・う・か・い! オレだって可憐な高校時代があったの。
[店長、こと締坂はアルバイトの頭を軽くはたく。]
(361) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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結婚まだですかとか余計なお世話だっつーの!とっととアソパソマソ売り場に戻してこい!
[結局、大学を出てもアカペラは続けず、バイトで始めたレンタルビデオ店の社員をなんとか続けている。]
(365) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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ったくどいつもこいつも。結婚なんて当分しねーっつーの。
[締坂は事務所で着替えると見覚えのある駅までの電車に飛び乗る。
十年ぶりの同窓会に参加しようと思ったのは、七年前、みらときらいでの出来事────]
(371) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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─卒業から三年後・みなときらい─
七年後、また会おうな。 それまで、結婚とかすんじゃねーぞ。 男なら許す。
[紐井屋の胸の中でいった言葉。みなときらいの夜はロマンティックで、男同士の会話とは到底思えなかったけど。]
(376) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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くーっ!恥ずかしい!マジ恥ずかしいから!
(377) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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─十年後・電車内─
…………あ。す、すいません。
[電車内の注目を一気に集めて。締坂は顔を赤くしながら、身を縮こめる。 免許はなんだかんだで取っていない。助手席が一番、気楽だから。]
(381) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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あと、もう少しか。 あいつら、元気かな。どうなってんだろうな。
[目的の駅まで、あともう少し。 さよならからずっと先の話が綴られるのも、あともう少しだけ、先の話────**]
(384) fuku 2014/04/08(Tue) 00時半頃
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