108 Persona外典−影の海・月の影−
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―崇神神社―
[花河あかりは満月の下で死ぬつもりだった。
――世界を救い、律と共に消える。 全てを失くした果ての、最後の望みは叶うことはなかった。 火神の剣霊は砕けたのに、鬼は未だ常世にある。
あかりは再び独りきり。 寄る辺無き世界に取り残されてしまった]
私も、連れてってよ――
[燃え尽きぬ黒い炎の中、 きらきらと輝く美しいものを見つけ、あかりは手を伸ばす]
(9) 2015/02/24(Tue) 23時頃
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[律を焼き尽くした黒の劫火は、社殿を焔の腹に収めると、 やがて、神域全てを焼き尽くすほどに勢いを強めるだろう]
(10) 2015/02/24(Tue) 23時頃
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[伸ばした掌が触れることのないまま、 心の欠片は夜に消えていく。 あかりは焔の海に立ち尽くし、双眸を閉じる。
届かないのなら、せめて。 律と同じ場所で、同じ絶望に焼かれて]
(14) 2015/02/24(Tue) 23時半頃
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賀来くん一人で、行って。 私はもう、いいの。
[>>13 劫火の中から出ようと言う馨一に、 子供のようにかぶりを振り抵抗をするが、それも虚しく。 抱きかかえられるように外へと連れ出されてしまう]
やだ、 ……やめて。 私も行くの。律っちゃんと行くの!
[幼子のように泣き喚く声が、燃え落ちる社殿に木霊した]
(16) 2015/02/24(Tue) 23時半頃
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[馨一とオシリスに外へと連れ出されて、 玉砂利の上に力なく座り込んだ。 視界に映る麻夜と明の姿にも心動かぬまま、 ただ呆然と、赤い天焦がす黒い焔を見上げている。
もう、この世界にいる意味などないはずなのに、 それでも、あかりは生かされている]
……く、……ふふっ。
[与えられた運命が余りに酷過ぎて、思わず失笑が零れた。 そうして、小さく笑いながら、 これが絶望なのだと、あかりは理解した]
(23) 2015/02/25(Wed) 00時頃
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[生きてくれて、よかったと麻夜が言う。 待ってる、そう言って馨一は道を切り拓いていく。 そして、明はあかりが明日を生きる為に約束をせがんだ。
どれほどあかりが世界に絶望しても、 仲間たちは彼女を、絶望の淵に放っておいてはくれない。 けれど、未だ――彼らの想いは届かない]
……。
[麻夜に歩くよう促され、 無表情に見返すあかりの瞳は、どこか遠くを見るように]
(42) 2015/02/25(Wed) 22時頃
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[>>51 幼馴染の最期の瞬間を問われ、あかりの瞳が揺れる]
律っちゃんの、……最期の、言葉? ……聞こえなかったよ。
[律の最期の言葉も仕草の意味も――心の欠片すら あかりは何一つ、手にすることは出来なかった] どうして、私のこと、 連れて行ってくれなかったのかな。
[麻夜に向けて、けれど麻夜ではない誰かに尋ねるように呟いた]
(57) 2015/02/25(Wed) 23時半頃
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……そうだよ。 失敗、しちゃったけどね。
[無様に遺された我が身を、 自嘲するかのような歪な笑顔を麻夜に向ける]
だってさ、世界が救われたら 律っちゃんの絶望は癒されないんだよ? だから、せめて私くらい、一緒に行ってもいいじゃない。
……ひとりぼっちは寂しいよ。
[律を独り逝かせることと同じくらい、 あかりは独り、世界に取り残されることが怖かった]
(64) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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[律はあかりを死なせたくなかったのかも知れない。 そんな想像を口にする麻夜に]
……死にたかったよ。
律っちゃんも、家族もおじさまも、 みんないなくなっちゃったのに 何で私独りだけ生きていかなきゃいけないの?
私が辛いって、知ってるはずなのに、 それでも死なせたくなかったって、そう思うの?
[あかりは、今、私は誰に語りかけているのだろうと、ふと思った。 それは大塚麻夜? それとも――]
(70) 2015/02/26(Thu) 00時半頃
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私は律っちゃんと一緒に逝ければ良かったし、 楽になれるはずだったんだ。
……大体、大塚くんは私たちのこと、何も知らないくせに、 本当に勝手なことばかり言うんだね。
[律を批判的に語り、あかりの感傷を否定する麻夜に、 向ける表情は決して柔らかなものではないけれど。 その言葉があかりを想う彼の本心の言葉だと、胸が痛くなるほどに理解できたから]
(78) 2015/02/26(Thu) 01時半頃
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今は、まだ、どうするかなんて決められないよ。 決められるはず……ない。
[一度、死に魅入られた心は、 容易くは生きることを望まないけれど]
……でも、もしも、どこかに希望があるのなら、 探してみるのも、良いのかも知れないね。
[どこか、吹っ切れた風に口にした]
(79) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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[誰かに存在を認められるため、 足掻き続けたあかりの生き方。 それは残酷な運命の前では、 全く無力で無意味なものでしかなかった。
けれど、正しくありたいという想いと、 為すべきを為すという信念。 そんなものが繋いできた絆が、 今、あかりを絶望的な孤独から救おうとしている。
例え、これまでのあかりの生き方が無為なものであったとしても、 これから先はもしかしたら、無為ではなくなるのかも知れないと。
そんな予感がしていた**]
(80) 2015/02/26(Thu) 02時頃
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