21 ─明日も、薔薇の木の下で。
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-中庭-
[グレッグが去った後、自分もまた足を別のところへ向ける。 頭の中ではもらった言葉を反芻していた。
触ってもらうのが、嬉しいなら。 嬉しいのかは、よくわからない。 でも、克服したいとは、思う]
…ねえ。何で俺なの。
[嵐に手折られたミニチュアローズ。 自分には、何も教えてくれない。 ただ、枯れたくないのだとだけはわかる。 控えめなその花の蕾もまた、嵐に手折られて]
(96) 2013/08/12(Mon) 06時半頃
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[上から手を伸ばされるのは、怖い。 人を、100%信用するのも、怖い。
前者は、生理的な恐怖。 後者は、後天的な恐怖。 合わさって、二倍。
ミニチュアローズの前にしゃがみ込めば 膝に顔を埋めて項垂れる。 頭が痛くなるほどの薔薇の香り。 匂いは時として暴力だと心のそこから感じる。
じわりと、手首の赤が滲んで痛む]
(97) 2013/08/12(Mon) 07時頃
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…なんで、
[声にする、問いかける。
相談するなら。 挙げられた名前を想う。 図書室の様子を思い出して、小さく唇をかんだ。 邪魔だと、言われた。 本人に言われたことではないけれど。
無言。溜息。瞑目。 少年の世界は閉塞気味だ]
(98) 2013/08/12(Mon) 07時頃
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…もう、無理だよ。
[こぼれるのは、弱音。 外へとつながる扉が閉まりかけているような。 少年に絡む茨の戒めに似た感覚。
縋ろうとした手は、もう遠くて届きそうにないように思えた。 何気無く縋るものを求め手を伸ばせば茨の痛み。 疲弊した精神は、少年の手が血を流すのも構わず**]
(99) 2013/08/12(Mon) 07時頃
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−中庭−
…せん、ぱい
[上から降ってきた声に驚きながらそれでも顔を見れずにいた。 じくじくと、掌の傷が痛む。 滲むように、手首の赤もまたじわりと。 傷口から入り込んでくる感覚を、なんと例えればよいものか]
───俺は、先輩にとって、じゃまですか。
[朦朧とした頭が問う。 薔薇のこと、移せないこと、誰よりも知っている。 どうしたいかなんていわれても、どうにも出来ない。 だから、薔薇の痛みに苛まれるままに問う]
(124) 2013/08/13(Tue) 00時頃
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…ほんとうは、シーシャの隣にいたいんじゃ、ないんですか。
[ひくり、と、小さく喉が震える。 視線を受けるのが苦手な自分に合わせて、トレイルはいつもはずしてくれた。 けれど、今、視線を外さないのは自分。 コーヒー色の瞳は蕩ける飴玉のよう]
俺は、先輩の、何なんですか。
[餓える声。 与える、与えられるなんて生易しいものではない]
(125) 2013/08/13(Tue) 00時頃
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…せんぱい
[傷を残した頬へ指先が伸びる。 ねえ、と、微かに甘えるように。 吐き出す息も声も、滲んで切ない]
……移らないなら、ゆるしてくれる?
[泣きそうに歪み、縋るように震え。
欲しい。 蕾を再びつけられるだけの、甘露が欲しい。 唯一だけに注がれる深い情という名の養分。 一途に、強く注がれる感情を求めて]
───ごめんなさい
[唇を、請う]
(126) 2013/08/13(Tue) 00時頃
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