93 Once upon a time...
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― 炊事場、奥に引っ込む前に ―
[相思相愛、なんて嬉しいだけ。 お幸せに、と言われれば、擽ったそうな笑顔返して頭を掻いた。 ザッツオール……まさしく、そのとおり。 頷いて向けた背中。 やはり曲がったそれにかけられた言葉に、見えずとも苦笑を浮かべ]
……そーんなね、抱えてる気はしないんだけどなぁ
[なんてぼやいて、袖を捲ったのだった]
(17) 2014/10/10(Fri) 00時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 00時半頃
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[炊事場で、器用な指先はリズミカルに食材を操る。 野菜を切って、肉を叩いて、それらを焼いて、混ぜて]
美味しくなぁれ
[なんて呪文も一緒に。 背中に感じた演者の気配。 探してた人。声をかけようとしてた人。 背中を向けたまま、振り返らずに。 だってほら。今は芋のお礼として炊事場を手伝わなきゃ]
(27) 2014/10/10(Fri) 01時頃
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― 炊事場にて ―
[振り返らずに、まじめに手伝い。 それでも調理台のうえに乗り上げられれば、包丁片手に顔だけひょい、と其方へ向けて]
すこうし待ってくれれば野菜だの肉だの、煮込んだやつ出せるよ 見た目をとやかく言うやつはおあずけな、あれね
[見た目はひどいが、味はお墨付き。 腹を満たすには十分すぎる煮込みの味付けは、炊事場主の秘密である。奏者は手伝いはしても、それのヒントすら貰えずにいた。
そして勿論、煮込まれる前の芋やら蒸された野菜やら、沢山転がっている。そのいくつかは、器用な団員に盗まれるだろうこと、わかったうえでの数だった。 丸いの、とリクエストされて、鍋の蓋あけて、ざるをひっくりかえして、さて果物は冷やされているはずだから……とあわてている間に近くからオレンジが宙をとんだ。それでよいか、と特に丸くもないパンを差し出す。トマトが投げられるのには、塩の小瓶を差し出して]
(49) 2014/10/10(Fri) 02時頃
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[さてさて、そんな合間に触れられた演目の相談。 願ってもない、と手伝いの手をとめてそちらに顔を向けた]
一緒に練習……あの、公演までにいつでもいいので、ぜひ 曲は……… こいつにしては、明るいやつを
[それからは、もう手伝いなんて頭になく。 先に去っていったエフェドラへの挨拶もそこそこに、演目へ心は飛んで――狼の噂話もそこそこに。肩にかけた革袋への情熱を、言葉にこめた]
(50) 2014/10/10(Fri) 02時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 02時半頃
許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 21時頃
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― 夜のお話 ―
[立ち並ぶテントの外れ。 切り株に腰掛け、奏者は夜への想いを音にする。 精一杯、絞った音色は夢物語だと思ってもらえればいい。
ただ深い眠りにつく者へ 悪夢に魘される者へ はたまた、命を落とす者へ。
最後の一音が鳴り止む頃、月は雲影へと姿を消した]
(103) 2014/10/10(Fri) 21時半頃
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― 公演の日 ―
[緊張からか、公演がある日はどうしたって眠れない。 そうして気がついたら寝坊………良くないとは自覚している。 それでも、きっと興奮が抑えきれないのだろう。
抱きしめるようにしていた革袋を撫で いつもと違う空気に、首をかしげ、あくびをひとつかみ殺す]
(107) 2014/10/10(Fri) 21時半頃
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[響く泣き声は、サーカス団にとって珍しいものだ。 此処にいる子どもは否応なく大人びる。 押し殺した泣き声が夜に聞こえることはあっても、夜鳴き鳥や星々の囁きに――それに似せた音に眠りに誘われ、いつしか寝息へと変わっていく……ものだったが]
どうしたの?
[短い髪をあちらこちらに跳ねさせて、奏者は遅れて団長が使っているテントの前に現れた。 泣く子を確かめ、団長のテントを眺め、 そして、中を見ようと一歩踏み出した]
(111) 2014/10/10(Fri) 21時半頃
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[声をあげる二人の子ども。 奏者の細い指が、慰めを与えるかのように二人の頭へ伸び 撫でるような、曖昧な仕草で触れてすぐに離れた。
この指が一番器用に動くのは、楽器に触れる時。 次が命持たぬものに触れる時で 人に触れるのは、どうにも上手くできたためしがない。
そうして、足を向けた団長の居室。 誰かが持ってきたシーツがかけられていたものの 少しずつ染みていく赤が、より一層悲劇の惨状を濃くしていた。
「死んだ」「殺された」「喰われた」「人狼」「人殺し」 囁かれる言葉。 それは噂話の域を超え、御伽噺が真実になっていく瞬間だった]
(116) 2014/10/10(Fri) 22時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 22時頃
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[シーツを捲って、目を細めた。 数拍置いて元に戻す。 身を屈めた拍子に、床についてしまった革袋に 少しだけ、赤黒い染みがついてしまった。
立ち上がり、テントの外に出る。 人影は増えているようで……実際は、きっと数はさほど変わっていない。皆集まっては不安を口にし、そして幾人かはもう、次へと頭を動かしている]
そうだ、今日の公演、さ…… きっと皆準備時間かかるだろうし、 出迎えの音楽 ……一人でやっても、いいかな
[近くにいた楽団仲間にそう声をかける]
(128) 2014/10/10(Fri) 22時半頃
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ニコラスは、ジャニスに明るい曲を、と自ら口にしたことを思い出す。
2014/10/10(Fri) 22時半頃
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[子どもの慰めは、得意そうな仲間がやってくれそうだ。 立ち上がり、なんとなく青いように見えるジャニスの顔に目を止め]
……曲は、変えなくていいよね
[伺いではなく、確認を。 人に対する時は、いつもどこか自信なさげな口調の奏者にしては、断固とした声音。 そうしてそのまま騒ぎの中心であったその場を後にする。
あっているかわからない腕時計。 普段の公演の日ならば、もう皆準備にとりかかっている時間だ。 しっかりと腹をいっぱいにし、準備運動している頃合。 今日は、炊事場のほうから漂う煙が、少ない。 珈琲の香りに鼻を鳴らし、一足先にと公演が行われるステージがある大テントへと歩き始める]
(136) 2014/10/10(Fri) 22時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 23時頃
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[大テントの方へゆっくりと歩く途中。 通りすがったいつもメイクをしてくれる仲間に髪を撫で付けられる。そうしてそのまま、大テントへ向かうことに気がつけば、幾つもある衣装テントに引っ張り込まれ、ステージにあがれるまでに仕立て上げられた]
なに、気力のあるうちにこうしておけば ……そうだね。着替えちゃえばさ 皆、プロだもの
[サーカスという非日常が日常である彼らでも 普段の自分とステージ上の自分は勿論違う。 赤い煌く糸が織り込まれた黒いスーツ。 ネクタイは締めない。 薄青の瞳は目じりを濃く縁取られ、 心なしか泣きぼくろがいつもより際立って見える]
(141) 2014/10/10(Fri) 23時頃
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[出演者といえばそうだが、どちらかといえば裏方に近い奏者。 ステージ衣装にしては比較的地味な格好で、汚い革袋は肩にかけたまま、テント群の何処にいても目に入る、大テントを前に足をすすめる]
やぁ ……サイモン?
[ゆらりゆらりと歩く長身。 皮肉屋ともいえるよく喋るナイフ投げの彼にそう、声をかけ]
それ
[ネクタイを締めていない、薄い自身の胸にとん、と指を置く]
弔いの、つもりです?
(145) 2014/10/10(Fri) 23時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 23時半頃
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へぇ、やっぱりねぇ
[人の死を悼む。 それがあまりにも自然に行われていて 羽ばたいてきたかのような、派手な色した鳥二羽の「いつもの」光景より、ずっと普通に見えた]
やぁ、フィリップ 準備万端だね
サイモンはさ……常識人だなぁ、ってかみ締めていた、とこ
(157) 2014/10/10(Fri) 23時半頃
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あれ、サイモンそれで出るの?
[ナイフ投げはれっきとした花形だ――と奏者は考える。 衣装係に捕まっていれば、それではすまされないだろう、ともう一度彼の全身を眺め 思いもよらぬ問いに、はた、とフィリップの顔を見て首を傾げ]
………うーんと、少しは
[と、曖昧に頷いた]
君は、どうなの
(163) 2014/10/11(Sat) 00時頃
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サーカスが歩いてる、かぁ
[革袋を撫で、黒く縁取られたまぶたを幾度か上下させた]
そうだね、 そうかもしれない でも、団長がいないからって ……サーカスは、なくならないから
だから、大丈夫じゃないかな
[悲劇が起こる前、噂が囁かれている時点で口にした言葉をもう一度紡ぐ。大丈夫。何が、かはよくわからずとも。手のひらに伝わる、楽器の固い感触のおかげか、いつもの自分は揺るがずにすむ]
(173) 2014/10/11(Sat) 00時頃
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それに フィリップが常識ないの、知ってるもの
だから だから、高く飛べるんじゃないかな
[奏者はけして空を飛ばない。 身体は地から離れることはないが、 心は、想いはどこまでもとんでゆける。
それでも少しだけ、ほんの少しだけ、 自由な彼らがうらやましくなることもある]
(175) 2014/10/11(Sat) 00時頃
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んー…… ふふ、俺はねぇ わりと、皆のこと、好きなんです
それだけです
[ありがと、なんて言葉貰うことは何もない、と首をふり ぽり、と頬をかけば手のひらに薄く白粉がついた。 そのまま頬にぺたぺたとして、ごまかしておく]
うーん まあ確かにあれは 普通の人にはなかなか ……って感じだったかなぁ
(184) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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犯人、といえば ……さ メルヘンの中にいる、って 噂、聞いた?
[テント前で囁かれていた言葉のひとつ。 団長以外のテントには異常がなかったというから 彼を狙ってのこと――であれば、それが団長の居室と知っての凶行ではないかと。したり顔した団員が言っていた。 賛同はあまり得られていなかったようだ。 内心はともかく、声にして認めたくはないのかもしれない。]
(185) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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そう、そういう簡単な話 ……なのかなぁ?
[犯人を捕まえればいい。それはわかりやすい話。 人狼を見つければいい。 では、ここで疑問がひとつ]
でも、人狼ってなんだろう 上半身狼の化け物だとか、満月の夜だけ狼になれるとか 人の姿のまま目だけ赤く光るとか
[紡がれた御伽噺は、それこそ昨夜見えた星の数ほどもあるだろう]
どれが本当でもさ そんな風にわかりやすければ、ね
[今はまだ、きっと手探りの状況。 それでも、一番にやるべきことは、犯人探しではないのだ]
(196) 2014/10/11(Sat) 01時頃
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じゃあ……そろそろ、こいつと準備してくる
[抱えなおした革袋。 まっすぐに歌うには、まだ準備が足りていない。 炊事場の方から漂ってくる食べ物の匂い。 少しずつ、少しずつ戻ってきた"日常"に背を向けて]
また、後でね
[煌びやかな大テントに向かってゆく。 ―――公演は、行われなければならないのだから**]
(198) 2014/10/11(Sat) 01時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/11(Sat) 01時半頃
許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/11(Sat) 22時頃
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― 大テント、ステージ裏 ―
[此処だけは、いつもと同じくらいの熱気がある。 慌しく走り回る大道具の人たち。 客席の掃除とチェックに余念がない人々。
ただひとつ、決定的に欠けているのは――― 団長の怒号、あるいは、笑い声。
よくも悪くも……賑やかで、存在感のある人だった。 一人いないだけで、見慣れたはずのステージが、やけに広く見えた]
(255) 2014/10/11(Sat) 22時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/11(Sat) 22時半頃
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[革袋からバンドネオンを取り出した。 奏者が身を包むより黒よりもずっと深い輝きは黒檀のよう。 幾重にも重なった蛇腹は、メルヘンに在籍するどんな危険な動物よりも貪欲に、奏者の想いを飲み込んでいく。 ステージ裏の隅、少しがたついた椅子に腰掛ける。 革袋は役目を失って椅子裏でくしゃくしゃになっている]
……さて、今日は どんな音かな
[そうして奏者と楽器は、同時に呼吸を始めるのだ。 ステージに向けての準備運動。 通じ合うための、いつもの儀式だ]
(263) 2014/10/11(Sat) 23時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/11(Sat) 23時頃
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[血塗られた朝は遠く、太陽はすでに中天を越え傾き始めた。 団長の遺体はまだあそこにあるのだろうか。 ふと思考が傾けば、指が着地点を見失い、音は不器用なスキップをして、立ち止まった]
お客さん、迎えてくる
[少しずつ、入り口のあたりが騒がしくなる。 いつものざわめき。 少しの不安と大きな期待、そして沢山の好奇心を湛えた瞳が、チケットを、あるいはそれを買うためのお金を握り締めて集う。 開演を待つ彼らを退屈させないのも、楽隊としての役目である]
(271) 2014/10/11(Sat) 23時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/11(Sat) 23時半頃
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― ステージの隅 ―
[情熱的な踊りに華を添えることが多いこの楽器を、 今は語り部の喉として使わせてもらおう。
ステージの隅。観客が入り始める、少し前。 バンドネオンを手に、闇の中、未だ空っぽの客席に一礼した奏者は呼吸を整える。指を一度大きく揺らめかせ、そして"御伽噺"を歌い始める。 練習とは違う、はっきりとした音。 ひそやかに始まったそれは、未だ準備中の団員たちの耳にも届くだろうか。
やがて少しずつ入場してきた観客の心にある期待や不安を増幅させるように 「想い」を込めて、奏者と楽器は声を揃える]
(289) 2014/10/12(Sun) 00時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/12(Sun) 00時頃
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