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108 Persona外典−影の海・月の影−
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[>>+22立季は伸びてきた手をしっかりと掴む。 以前よりも深みを増した水面から、小さな彼女を掬いあげるように自らの方に引き寄せた。
その髪に留まるのは、紛れもなく影が渡した赤いリボン。 迎えに来たのは影では無く、立季本人ではあるけれど。]
翔子…………良かった。 ちゃんと、約束を果たせた。
[影の抱いていた感情は、立季の抱く感情でもある。 立季は穏やかに笑みを浮かべ、腕の中の少女を見下ろした。]
(+23) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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うん、それなら……。
?どうしたの?
[麻夜の様子がおかしくなったことに、困惑の表情を浮かべる。 光が遮断されても、表情は一切替わらない。]
マヤ?ねぇ、どうしたの?
[肩に手を当てられても、慌てることはなく。 麻夜に言葉を伝えた右手は、かすかに震えていた。]
(64) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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やだ、私、そんなの、……認めない。 絶対に、やだよ。 [>>58 悲しげに言葉を連ねる馨一に、 あかりは子供のように、いやだと繰り返すことしか出来ない。
いっそ、馨一がどうしようもない嘘吐きだったら良かったのに。 そう考えてしまうのは即ち――理性では、雛宮律がシャドウだと理解してしまっていたから]
……どうして、私ばっかり。 みんな、取りあげられなきゃいけないの?
ひどいよ。 [家族を失い、後見人と慕っていたその娘を取られ。 とうとう幼馴染まで、いなくなってしまった。
ふらり立ち上がり、あかりは病室を出て行く。 馨一に呼び止められても振り返らず、律の姿を求めて街へと向かう]
(65) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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ケイイチは、オスカーも、花河に"覚悟"なんて伝えてたとは知らず。
2015/02/23(Mon) 00時頃
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[>>+23引き寄せられてそのまま少年の胸に飛び込んだ。 いつの間にか足がつく瀬まで来ていたらしい。 とはいえ、それは少女の胸くらいまでの深さがあったけれど]
リツキさん……リツキさんだ。 私、待ってたよ。ちゃんと、待ってたんだよ。
[穏やかな笑みを浮かべる様子に相好を崩す。 嬉し涙か、今までの心細さを誤魔化してか、 小さく肩を震わせて彼の胸に顔を埋める]
これでもう、寂しくない……。
(+24) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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そう、か……。
[彼女にとって、雛宮も、高屋敷も大切な存在だったのだろう。 それなのに、残酷な事ばかり口にしている自分は、酷い人間だ。
それでも。 希望の糸を手繰り寄せようと求める彼は、出て行く花河の背>>65にこう告げる。]
―――次の満月の夜、僕は雛宮をぶん殴りに行くよ。
(66) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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―祟神神社― [借りた本を片手に街へ出た、 冬の澄んだ空気、夕焼けの町並みに、 赤く染まる空、家々や木々に目を細めて歩き出す。
雛宮律の記憶にある夕焼けも、 こんなふうに鮮烈に美しいものだった。
歩いて戻った先――、じゃらりと玉砂利の音。 境内は“祖父”や“父”の手によるものだろう、 大分清掃され片付けられてはいたが]
(67) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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[花河が病院から去った後、彼は大塚と楠へメールを送った。]
------------------------------------------------ From:賀来 To:大塚・楠 件名:(No Title)
雛宮もシャドウ。 花河のフォロー、可能であれば頼む。 ------------------------------------------------
(68) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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[屈しない少女に悪夢は、姿を変える。
影にとって残虐で甘美な光景>>2:424>>2:442。 少女が目にしなかった光景。
誰かの目線で見る、風景。]
っ、……っ!!
[声をあげることも。 瞼を閉じる事も封じられて。 ひたすらに恐怖と痛みを*打ち付けられる。*]
(+25) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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[明は困惑の表情を浮かべていた。何かわからないと云う様に>>64]
… …アカリ… いま …。
… … … … … …。
[慌ても動じもしない明。太陽の光を眩しがる様もなかった。 落ち込んでいると考えていたのに、表情も変に明るかった。
まさか。もしかして。そうひとつ嫌な予感が脳裏を過ぎった時。 明の右肩を掴んでいた手は、するすると、明の右手を優しく握り締めた]
(69) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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… … … … … … … … ………… 。
(70) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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… … … その … いいな … て。
[数秒の逡巡の後。その表情は綻んだ笑顔を明に見せていた>>64]
… …気付いてないかも…だけどさ… …。
…アカリて……笑顔を浮かべてる時が… … …。
…うん… …すっごい可愛いなと… 。
…俺は… …思うわけなんだ…。
… … … …こうして… 一緒にいるからさ … …。
[かすかに震えを刻む右手を、今度は両手で優しく包み込む様にして。 まるで恥ずかしがる様に、たどたどしく言葉を選びながら、表情を綻ばせた]
(71) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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… … … 一緒に … … 生きてるから … …。
[あの日、痛い位に抱きしめた明の願いと、約束と>>3:232。 それを思いながら、優しく、そう呟き]
(72) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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… … ごめんっ。なんか恥ずかしい事言ってる!
[その次には、笑顔を浮かべて誤魔化していた]
俺、ちょっと用事あるから、外いってくるよ。 また後でね、アカリ。
[まるで何気ない、普段通りの会話そのものみたいに、ひらひらと。 明に手を振りながら、彼女の部屋を辞して、自宅から外出していく事になる]
(73) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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……待たせて、ごめん。 怖い思いはしなかった?
[立季がここに飲まれてから、それなりの時間が経つ。 飲まれた当時のことは既に、遠い記憶の中だ。
今の立季にあるのは、影の思い出と、それが抱えていた『立季自身』の大事な思い出が幾つか。 それに――。]
翔子。 ここから先が、波打ち際だ。 あっちが現実に繋がってる。 僕は……僕の影は、あっちから現実に出た。
[片腕で翔子の腰を抱えるように支えてやりながら、 立季はもう片方の手で波の揺れる方を指差す。 その先は未だ暗く、何があるか見通せるような明るさはないが。]
(+26) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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[境内の井戸端鍵の老人達は、のったりとした所作だ。 習性のように集ってはいるもの、ほそぼそと話す声は小さい。 表情のない顔で立ち上がって、無気力に家に帰っていくらしい]
これで少しは静かになったな。
[社殿の手すりを本を置いた、 竹箒を手にとったのは、習性のようなものだった。
ここに戻ってきたのは理由は単純。 情報の周知共有される頃合を見込んで、 ――接触してくる者を待つためだ]
(74) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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[もしかしたら、律が帰ってきているかも知れない。 一縷の望みを抱いて病院からタクシーに乗り、崇神神社へと向かう。
車が崇神神社に着くと、あかりは弾かれたように飛び出して、 何度も転びそうになりながら石段を駆け上がり
そして――]
(75) 2015/02/23(Mon) 00時頃
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―崇神神社―
[残酷なくらいに美しい、冬の夕暮れ。 沈み往く夕日が、社殿の傍らに立つ人物のシルエットを赤く染めている]
律っちゃん!!
[それが求める幼馴染の姿だと、あかりは遠目にも理解して。 置いて行かれそうな子供のように、懸命に走りだした]
(76) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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ううん、大丈夫だよ。 ここのシャドウは襲って来たりはしなかったから。 静か過ぎて、ちょっと怖くなっちゃっただけ。
[人差し指で目元を拭い、今度こそ花のように笑った]
現実と……この先が繋がってるの?
[初めて「影」を他人として語った彼の口ぶりに、 これが元来の「立季」なのだと気付く。 片手で彼の上着の裾を軽く握りながら示された方を見やる]
立季さんは、ずっとここにいたの? 影と一緒に出て行ったり、せずに?
(+27) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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―祟神神社ー [>>76 名を呼ぶ声、発した先を見やる。 タイミングのよい声に驚いたせいで見てしまったが、 見ずとも誰かはもちろんわかる、手にした竹箒は放った]
花河、
[何やら必死に走り出す様相に、 こちらも駆け寄った、受け止めるような姿勢で、 片手をひろげて伸ばす]
(77) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[律がシャドウだなんて、やっぱり馨一の勘違いだった。 いつかの満月の時のように、彼はあかりの名を呼び、 受け止めようと、手を差し伸べてくれている]
律っちゃん、――律っちゃん!! [何度も名を呼び、縋るように幼馴染の ひろげて伸ばした手を取ろうとして]
(78) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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………………。
[一瞬、笑みが消える。 沈黙に、真剣な表情で、かえす。
それでも、笑顔を見るとそれはすぐに解かれて。]
よかった。 喜んでもらえるならそれが一番だもん。
うん、ずっと一緒にいるからね。
[包み込まれた右手。 その右手は、また指先を震わせる。]
(79) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[>>+27立季は彼女と会い、影が彼女に執心した理由を悟る。 赤いリボン。それは影自身が選択した、彼女へのプレゼントだ。
或いは、彼女が求めるのも自分ではなく、影なのではないか。 浮かぶ気持ちを切り離そうとするかのように、立季は彼女の微笑みを見つめる。 花のような笑みは、少なくとも今は、自分に向けられているものだ。]
ああ、そう……だね。ここは、静かだ。 シャドウは本来自我を持たないものが多いから ……だから、喋ったりしないんだと思う。
そう。満月になると、この先と現実が繋がる。 今のところは一方通行だから、 シャドウじゃないと現実には出られないけど。
(+28) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[もう一度、更にもう一度。 「き づ い て」 震える指先は、懸命に文字を紡ぐ。
それでも、やがてその手は離れ。]
うん、いってらっしゃい。 またあとでね。
[笑顔で麻夜を見送ると、自分の部屋に戻った。]
(80) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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……僕は、ずっとこの海の中にいた。 身体も存在も、影にあげちゃったから。 でも……影が消えて、僕は目を覚ました。 どう、説明すればいいか分からない、けど ……僕の自我が帰ってきた、というか……
[小難しい言葉を極力省き、あくまでも彼女に理解できるように、立季は言葉を探す。 しかし結局は上手く説明できず、首を傾げる羽目になるのだが。]
その。 影は僕だけど、僕じゃなくて、本当の僕は今の僕で …………分かる、かな。
(+29) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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------------------------------ -------------------------------------------------- >>34 メールへの返信 TO マヤ Subject RE:
おう なんか ごめんな やっぱ強いなオマエ、なんつって
シャドウの海、境界消すのはもちろん、手を貸すし出来る限りするつもり。けど、マユミって、あのマユミちゃん?シャドウってことなら、もう、 [以下少し空白] 戻れねえん、だろうな。
ちと、自分中でも、整理、つけないとな --------------------------------------------------
(81) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[取ろうとしたその腕を、逆に掴まえた。 まだ落ちきらぬ夕焼けが、微笑ってみせた顔も赤く照らす。 花河の表情がよく見えた、むこうからは逆光になったかもしれない]
――あかり、 あの時の質問の答えはでた?
[力もこめずにただつかんだ、 その掌の温度はあの時と同じく冷たい]
(82) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[そして自分の部屋に戻ると。
右手の掌に、思いっ切りハサミを突き立てた。
その表情は悦楽的で、まるで右手だけが別の生き物のように、痛みを露わに藻掻いていた。]
気づいてないと思った?ねぇ、そう思った? あはっ、どんな気持ち?ねぇねぇ、今、どんな気持ち? 彼に気づけてもらえなくて。私がかわいいって言われて。 悔しい?苦しい?辛い?ねぇ?ねーぇー?
[狂喜に満ちたその表情は、変わらず右手を凝視する。 傷を抉るようにハサミを動かし続けると、やがて右手は苦しむのをやめて沈黙した。]
(83) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[そして、ニヤリと口角が上がる。]
(84) 2015/02/23(Mon) 00時半頃
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[家の外に出て…作り続けていた笑顔は真剣な表情に切り替わる。 同時に馨一の物とわかる着信の音がポケットで響いていた>>68]
… … … … … … …ケーイチ…傷は平気…?
[外を歩きながら、その携帯は馨一に対して直接の通話を掛けていた]
… … ケーイチに話しておきたい事ができた。 今すぐ病院にいく。
[あの右手の震え。違和感だらけの仕草。 あの時、無力に震えていた右の指先に刻まれたあの言葉を思い返しながら]
(85) 2015/02/23(Mon) 01時頃
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[明の右手には包帯が巻かれ。 それが微かに震えることは、もうなかった。]
(86) 2015/02/23(Mon) 01時頃
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