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64 さよならのひとつまえ
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あら、甘えたさんね。 五右衛門ちゃ〜ん、顔はまっすぐ前。
[仰け反っている入江の顔が元に戻ればいつものように開店する山本理髪店出張所。 首にタオルを巻いて、シートをかける。 甘味のある茶色の髪に櫛を通せば、一つ一つに傾きつつある陽射しを反射させて 毛先や髪の状態を確かめてから、コンコルドで前髪を留めた。]
そこまで傷んでないのも、腹立たしいな腐れイケメン…! でも、ちゃんとケアできてるのは良いことだ。
[髪に触れる、その目は三白眼ではあるが真剣で そして嬉しさの差す瞳。 鋏は小気味いい音と共に、髪を漉き、毛先を整えていく。]
(459) 2014/03/26(Wed) 20時半頃
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[締坂の歌声をいいBGMにして、ふんふんと機嫌よく鋏は動いていく。 寿司や団子や、お菓子を食べる面々。 何かお絵描きタイムの面々。 寝ているのもいれば、顔を見せないのまで様々だ。 様々だから、なんだか、いいなと。 好き勝手にできる今が【恋しい】と。 視線が追うのはやはり一人。]
そこにクッキー缶あっから、埋めるの持ってきたやつは入れといて〜!
[写真は散髪が終われば提案するだろうが、何人写ってくれるかはわからない。 顔を上げたのはその一度だけで、すぐに入江の髪に視線と意識を戻した。]
(465) 2014/03/26(Wed) 21時頃
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モジモジもおかえり〜! オレにもクラッカー頂戴、置いといて〜!
[髪を切りながら、天体観測というイベント自体には参加するのだと意思表明を残す。 とはいえ、寮の消灯時間ギリギリまでここにいるつもりだ。 紐井屋が来るかもしれない、もしその時に誰もいなかったら寂しいではないか。 いつまでも待つと約束したのだ、来なければそれはそれで 用事が済まなかっただけかもしれないし、気が向かなかっただけかもしれない。 片付けと銘打てば誰にも不審がられないだろう、そのつもりである。]
(470) 2014/03/26(Wed) 21時頃
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[丸のみで形成される男、山本朔太郎。 その手はしゃきしゃきと髪を切り終わり、仕上げに櫛で整えた。 さすがに今日はもう寝てしまうだけだろうと、セットの為のワックスは使わず。 髪に艶を出す為のスプレーを吹き付けて、襟足を外跳ねに少し遊ばせる。 軽くなった髪は風に乗ればふわりと爽やかに浮き上がった。]
ほい、いかがですか五右衛門様?
[鏡もないがどうかと問う。]
(484) 2014/03/26(Wed) 21時頃
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[髪を切る間、小熊の視線には気付いていた。 そしてその中に含まれるであろう感情も、屋上での会話があれば予測できたこと。 それでも小熊を向かなかったのはわざとだ。 自分から入江に特別な感情はなく、大切なクラスメイトであり、友人の一人。 視線を向けてしまえば、小熊を虚しい思いに陥れかねない。]
ふぉっふぉっふぉっ。 伸びてどうしようもなくなった時は、山本理髪・本店をご利用ください☆
って、おっおっ、なんだなんだ何始めんの!?
[髪を切り終えてからどのくらいしてか、鳥塚からの声が上がった。 わくわくとその様子を眺めながら、足はタイムカプセルを埋めるための穴を掘る保元の方へ向かう。]
(508) 2014/03/26(Wed) 21時半頃
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[仰け反って溢される感謝には、にっと笑って返した。 「ありがとう」その言葉が十分な報酬になる。 魔法にかけられたみたいだ、と。 そう思ってもらえることが何より嬉しいことなのだ。
髪を切るにはそれなりに理由がある。 髪を伸ばすにはそれなりに理由がある。 人の節目、気持ちの節目に多い、そんな誰かの髪に触れられるのは幸せだ。 それはこれからもずっと、変わらない。
大切な友人の、大切な節目に櫛を通して。 それからタイムカプセルにノートの切れ端を一枚突っ込んだ。]
(523) 2014/03/26(Wed) 22時頃
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なんか、いいな。 こんなバカげたこと出来んの。
[10文字にも満たないクチャクチャのノートの切れ端を缶に納めていく。 溢した独り言はきっと、近くにいた保元にしか聞こえなかっただろう。]
このままでいたいけど。 このまんまじゃ、いられんべなあ。
[もう少し、あと少し。 今日が終われば定良と小鳥谷が、明日にはまた誰かが。 そして自分が、やがて行かなければならない。 エアバンドの歌を聞きながら、けれど溢した声は前向きな音であった。]
(541) 2014/03/26(Wed) 22時半頃
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[見ていたいなら、見続けていればいい。 目を潰されても、見ていればいい。 そう言われたから、そう告げられたから。 やはり視線は一番眩しく、綺麗に思う方に向く。 エアバンド達が演奏を終えれば口笛ひとつ鳴らして称賛を送ろう。 最高の、友人たちに。]
お、やっさんの穴いい感じ!! 埋めちゃおうぜ〜?
[大きさを問われて少し大きいような気もしたが、小さいよりいいだろう。 埋める手伝いをしながら、結局集合写真はとれなかったなと苦笑を少しだけ漏らした。]
ほれ〜、手空いてるやつは手伝えよ〜!!
[残したのは手紙だけ。]
(548) 2014/03/26(Wed) 22時半頃
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―宴の終わり―
後片付けはやっとくべ〜、みんな天体観測に急ぐべし!
[入江が片付けてくれたり、白辻が手伝ってくれたり。 他にも誰か手を貸してくれただろう。 あとはクーラーボックスやシートを返却するくらいの雑務しか残っていない時分。 日も落ちた中、行ってこい行ってこいと友人たちに手を振った。 自分はここから空を見上げると告げて、その場に残る。]
たのしかったな〜。 てらっそも、ヒロろんも、楽しかったって思ってくれてればいいなぁ。
[ブルーシートに体を横たえて告げる声を聞く誰かはいただろうか。 ポケットの中には冷えてしまった缶珈琲と、手持ち花火からひとつだけくすねた線香花火が入っている。]
(555) 2014/03/26(Wed) 23時頃
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―タイムカプセルが埋まる時―
おうよ、オレはいつでも全力前進。
[小さく返る保元の声には、ぴっとサムズアップで返す。 満面の笑み、真っ直ぐ前を向いた顔。 保元が埋めるものを取りに行く時には、その背に、]
負けんなよ、未来の大リーガー。 遠い場所から応援してっぞ〜っ!!
[遠い、遠い、海の向こう。 先に行くのはどちらだろう。]
なゆたんも働けぇ〜、ナルナルも早く早くぅ〜!
[明智の写真も、他にも他にも。 埋められていく思い出たちに、心の中でサヨナラと告げながら*]
(565) 2014/03/26(Wed) 23時頃
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理髪師 ザックは、メモを貼った。
2014/03/26(Wed) 23時頃
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腹へった、今日なんもくってねぇ!
[ブルーシートの上でじたばたと手足を動かせば、花見の終わり際に渡された大量のツナマヨに手があたった。 11個もあると思われがちだが、明日の昼までにはなくなっているだろう。 小熊には天体観測はここですることを告げて、こちらからも礼を言った。 代わりに受け取ったおにぎりのひとつを横たわったまま口に挟む。]
オレぎりぎりまでここにいるから、天体観測行っていいぞ? 寒いし、風邪引くべよ。
[ポケットの缶珈琲、線香花火。 白辻が残っているならそう告げてごろりと空を見上げる。]
まあ、居るならなんか温かいもん買ってくんべ。 なゆたんにもお金もらっちったし。
[もらった硬貨、弾かれた100円玉の銀色に目を細め。 その指が咲かせる花を、白辻が見ていると気付くこともないままに笑顔を返した。 気付いていなかったから、笑って返せたのかもしれない。]
(612) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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やだ、アリスちゃんマジ優しい! つかブルーシートなしだと砂だらけになるだろぉ〜?
[結局ころころとブルーシートからは身を投げた。 砂だらけだろうが気にはしない、鋏さえ無事ならそれでいい。]
なんだよ〜、一人で買いに行くのも寂しいべ〜? つわけでオレも待機、今日も疲れた!
[寝転がった指先がなぞるのはきっとオリオンでも何でもない。 星座には詳しくないし、星の意味も成り立ちも知らない。 だけど僕がいて、あなたがいて、それだけで十分かななんてどこかの歌の受け売りではないけれど。 最後に笑えるくらいの青春を、強く謳えただろうかと。]
オレは待ち人を待っておるのじゃよ…、と。 ほれきた、やっぱ待っといて正解?
[紐井屋の姿が見えたら、ぬるくなった缶珈琲をおもむろに投げた。]
待ってたべ〜!
(634) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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もし、ひもちんが来たときに誰もいなかったら泣いちゃうかもしょ? つわけで待ってた。
[にっと笑って、おかれたままの小さなクラッカーを握る。]
クラッカーならせば、天体観測組にも音くらい届くべ? いつ鳴らす用かわからんし、先に鳴らさね?
[大怪盗そっくりの顔は悪戯っ子っぽく笑い。 砂だらけのまま立ち上がる。 指先はクラッカーの紐に手をかけて。]
(641) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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定良宗介〜っ、小鳥谷博〜っ!!!!!!
[3-8のイケメンボイスは声を張れば屋上まで届くだろうか。 小振りのクラッカー、紐を引けば軽快な音が中庭からひとつ響く。]
卒業おめでっと〜〜〜う!!!
未来で会おうぜ〜〜っ!!!!!
[ここで終わるはずがない。 輝かしいはずの未来で。 寂しさなんて感じさせない明るい声が校舎に反響した。]
またな〜っ!!!!!
(649) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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