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55 【飛び入り歓迎】言い替えガチ村de薔薇
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[鳥は夕暮れの逆光の飛び込み、羽ばたく。 呼ばれたら返事をする愛想の良さが 投げ銭を得る秘訣と心得ている。]
「ナンダイ ミナカタ」
[間近からの鳥の声に、庭の奥へ視線を向けて。 逆光の中で目を丸くした。]
―…… アクシデントだな。冒険には付き物の。
[声は出さずに薄く笑って。 肩を竦ませた。]
(164) onecat 2014/03/02(Sun) 00時頃
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ミナカタにとってのな。
[鳥は、差し出される腕に降り。 何か食べ物をくれるだろうかと 無垢に期待を露わにした視線をミナカタへと注ぐ。
フィリップはその様子を垣根越しに眺める。 餌を強請って自分で稼ぐのは、 鳥の勝手であり仕事なので咎めはしない。]
(167) onecat 2014/03/02(Sun) 00時半頃
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「ゲンキ クエバ モットゲンキ二ナル」
[撫でられ調子に乗った鳥は、 本格的に餌を強請ってミナカタに甘え。 待つ時間も惜しいとばかりに付いていく。
店内へ消えた彼らを見送り、 誰も居なくなった庭から目を逸らして。 道端に座り込んで待つことにした。
垣根からはみでる向日葵を見上げて。]
(172) onecat 2014/03/02(Sun) 00時半頃
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……ふは、…ミナカタ。 今が真夏だって事を忘れてないか?
[腕を伸ばして受け取りはしたが。 夕暮れ時でも汗が滲む季節に、 湯気を吐くカップは不似合いで笑ってしまった。
中身は甘くて熱いミルクだろうか。
文句を言いながら、飲むけれど。]
(176) onecat 2014/03/02(Sun) 01時頃
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[鳥は自分が欲しいものしか言わなかっただろう。 ミズ ナッツ ビスケット コオリ … 四季に関わらず同じものばかり与えているのは 鳥がこれしか欲しがらないからだ。
視線はカップへ落としたまま、 頭に乗る手の感触に、少し肩を強張らせた。
何を言うでもなく、逃げるでもなく。 また少し、ミルクを飲む。]
(179) onecat 2014/03/02(Sun) 01時頃
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[強張る以上の反応が出来ないままでいると 鳥がミナカタの髪を啄み、軽く引っ張る。]
「コワガッテル」
[実によく出来た相方だったが。
余計なこと言うなよな、と。 視線を上げて鳥を睨む。]
(182) onecat 2014/03/02(Sun) 01時半頃
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……許してやる。
[ミルクくれたし。 空になったカップを、返して立ち上がり。 何に対してかはわからない謝罪には、 それ以上の追求はなく、ただ一言を返した。]
(185) onecat 2014/03/02(Sun) 01時半頃
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何様?俺様? 変わってはないけど、不幸せになった。
[笑うミナカタの顔を見ていた視線を、 彼の頭上でまたナッツを食む鳥に向け。 戻っておいでと声をかけた。
鳥は、渋々といった様子で肩へと戻る。]
(189) onecat 2014/03/02(Sun) 01時半頃
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…寂しい、を知ったら、 不幸せになるんだろう?
[戻った鳥の背を撫でてやり、一歩後退る。]
(193) onecat 2014/03/02(Sun) 02時頃
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[褌は荷物の中だ。巻いてない。巻いてないから。]
鳥と居るのは寂しくない。幸せだ。
[もう一歩、後ろへ退いて。 ミナカタと距離を取る。]
逃げたい。 居なくなれって言われたの思い出すと、寂しい。 熱いミルクくれたの思い出すと、寂しい。 嘘を思い出すと、寂しい。 ミナカタが居るから、寂しい。
だから逃げたい。
[さらにもう一歩。]
(196) onecat 2014/03/02(Sun) 02時頃
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[褌は、手ぬぐいとして活用しています。 ありがとう団十郎、お前の事は忘れていない。
さておき。]
そのうちきっと、なくなる。 鳥と一緒に冬をあと二十回も見たら。 きっと、なくなる。
[鳥を抱いて、一言ごとに少しずつ遠ざかる。 当然、影も一緒に離れて。 ミナカタの手からは逃れる。]
(198) onecat 2014/03/02(Sun) 02時半頃
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[洗って干して使ってるから大丈夫。 脱ぎたてほやほやじゃないから大丈夫。 脱ぎたてほやほやでも団十郎のなら大丈夫。]
ミナカタも、忘れる。 俺が忘れるより早く忘れる。
でも、忘れたかなって思うと 俺はきっと思い出す。
ミナカタはズルい。嘘つきだしズルい。
[緩く首を振って。そのまま俯く。]
(202) onecat 2014/03/02(Sun) 02時半頃
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[今こそ手ぬぐいを使うべきなのに、 褌は荷物の中にあってすぐには取り出せない。
瞑った瞼の隙間から溢れ。 拭うべき涙が、 見上げてくるミナカタの顔に一粒だけ落ちた。]
……、
[たまに立ち寄ってミルクを貰う… 想像してみると。
いわゆる婆ちゃん家みたいだな…と思って。 そういうものがあるのも良いのかもしれない…と、 考えた事を小さく呟きながら緩く頷く。]
(204) onecat 2014/03/02(Sun) 03時頃
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少しだけになった。
……ミナカタは。 もう、怖くない?
[目元を手で擦って睫毛に絡んだ涙も拭い。 何度かゆっくりと呼吸を繰り返し感情を落ち着けて。]
今の分はもう貰ったから、行く。
[この街での祭りはもう終わる。 次の仕事に仕事をするに相応しい街を また探さなければならない。
鳥と視線を合わせ頷いた。]
(206) onecat 2014/03/02(Sun) 03時頃
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ん。
[怖くないなら良かった。 ひとまずの安堵に少し笑って。
頭を撫でる手を前に避ける形で距離を詰め、 彼が自ら覆っていた口元へ唇寄せて。 「いってらっしゃい」に応えるようにキスをする。]
――……いつか、またな。
[慣れない嘘を吐く表情はぎこちなく。 鳥を促し、踵を返して走りだす。]
(210) onecat 2014/03/02(Sun) 03時半頃
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[共に生きるのは叶わないという、 彼自身の言葉は鮮明に覚えている。
その時に感じた 寂しさに混じって残る痛みは ミナカタが言うようにこの先を過ごしても、 消える事は無いように思う。
だから、きっとそれが真理なのだろう。
振り返る事なく駆け去って。 沈む夕日と共に夜へと消えていく。**]
(213) onecat 2014/03/02(Sun) 04時頃
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