人狼議事


84 Es 3rd -Test days-

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【人】 奇跡の子 カリュクス

―翌日・街中―

[馴染の店で気に入りの紅茶を買って、
店主に軽い会釈と共に手を振り店を出た。
バテンレースをたっぷりとあしらった真白い日傘を広げて、
明るい日差しの中をのんびりと歩く。

完全な吸血種になってからは太陽がこの身を、
色素の足りぬ肌を焼け爛れさせることは、もう、ないけれど、
それでも尚、晴れの日に傘をさすのは習い性だ。

同族の界隈で一悶着あったとて素知らぬ顔で、
人間の世界の穏やかな日常は滞りなく続く。
賑わう人々の声、子供の笑い声、そんな心地の良い音楽に
うっとりと目を細めた。

…餌は身も心も健やかな方が旨いに決まっている]

(52) yahiro 2014/07/31(Thu) 05時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[>>51不意に掛けられる、覚えのある声。
振返りはしたが…――彼が名乗り終えるのも待たず、
何事も無かったようにのんびりと歩き出す。

用があれば付いて来るだろうし、
なければないで、己には男への用は思い当たらない]

 …宵待亭なら、逆方向ですよ。
 この時間はまだ、営業していなかったと記憶しておりますが。

[白々しく店の名を出すのなら、彼は無事なのだろう。
ならば、森に出向いてまで何をしていたのか…
気にならない訳でもないが、
彼らの間に深入りする権利は己には、無い。

ずきり、胸の辺りが小さく痛んだ気がしたけれど、
多分きっと、気のせいだろうと気付かぬ振りを決め込んだ]

(53) yahiro 2014/07/31(Thu) 05時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[はたして男は付いて来ただろうか?
付いて来るなら、当たり前のような自然さで、
然して重くも無い荷物を彼に預けただろう。
紅茶が二缶と、蜂蜜の小瓶が入っているだけのものだ。

話しかけられれば、当たり障りなく応えただろう。
まるで何事も無かったように。
昨夜、突然、屋敷に押し入られた事なんて、
まるでなにも無かったように]

(57) yahiro 2014/07/31(Thu) 06時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[途中綺麗な翅の生き物や、
己よりも少し早い年頃で成長を止めた元同僚を見つければ
気紛れにお菓子で釣ってみたかもしれない。

宵待亭の店主に逢う事もあったかもしれないし、
他に己に声を掛ける者があれば、気安く誘ってみただろう。

最後に出逢うは>>29派手な羽根の生きた帽子を頭に乗せた彼。

天気も良いし、自邸のテラスで、適当に誘い合わせた有象無象で
紅茶と一緒にパウンドケーキを。
代わり映えの無い日常の一欠片の中に、
偶にはそんな日があっても悪くないだろう。

はてさて、並べるカップはいくつ*必要だろう?*]

(58) yahiro 2014/07/31(Thu) 06時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―おかしなお茶会―

[気付けば思ったより集まっていたので、
彼の焼いてくれたケーキが己の口に入らなくならぬようにと
戸棚から、クッキーの缶と、チョコレイトの箱を
取り出して大皿にそれらしく並べてみる。

開け放った格子窓の向こう、テラスからは流れ込む風に乗った
夏の匂いに混じる、爽やかな紅茶の香り
この館に、こんな風に話し声が賑やかなのは何時振りだろうか…
ぼんやり思い出に浸って居れば>>79不意に掛けられる声、

目をぱちくりさせつつ彼の方へと振り返る]

(132) yahiro 2014/08/01(Fri) 07時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[問いの意図が良く判らず、…彼の前で、いつも、いつも、
眠る事無く狸寝入りをしていた事を
茶化されているのかと、そんな風に受け取って]

 …――いつから、

 ……いつから気付いてらしたんですか?
 寝た振りは、得意な心算でしたのに…

[ほんの少しの気恥ずかしさを滲ませて苦笑いを、ひとつ。
そういえば、彼も、ずっと、寝たふりをする己に
声を掛ける事は無かった気がする。あの夜までは]

(133) yahiro 2014/08/01(Fri) 07時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[――帰り際偶然出会った彼の…
…男に向ける微笑ましげな笑みを見て
男と共に居る理由を、まるで何かにいい訳でもする様に、
一緒にお茶でも飲もうと思って、なんて、そんな風に告げた。
何を考えていのかは、余り覚えていない。

彼の方から、一緒に、と申し出があった時、
男を己と二人きりにするのはきっと、不安なんだろうと
そんな風に感じて、酷く荒んだ気持ちになった事は覚えている。

あの夜、きっと彼は己が男に対し何かしらの異能で
己に口付ける様強制したのだと、そう思っているのだろう。

誤解だと、二人の仲を裂く心算は無いと、
その一言が、どうしても、言い出せない。

あの男が現れて、何かの均衡が崩れた気がする。
それが、彼にとって良かったのか、悪かったのかは知る由も無い

己にとっては…少しだけ、怖い気がした。*]

(134) yahiro 2014/08/01(Fri) 07時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[大人数を呼ぶことなど想定していないので、
カップは揃わずそれぞればらばらだ。
数だけはあるので、足りない事はないだろう。

普段使って居ないものを磨き直すところから初めて、
紅茶を淹れる彼が到着するまでにはカトラリーも準備した。

人が揃い始めれば、後は各々の好きに任せて
果物でも取ってこようかと籠を片手に、屋敷を離れた。

襷掛けをし直しながら、ぼんやり考える。
杏子は生食には余り向かない種類だし、
桃と、ラズベリー、終りがけの桜桃が少し、
あとは無花果がやたら残っていた気がする…

気紛れに訪れた野鳥や虫が
食べてしまっていなければ、の話だが。]

(135) yahiro 2014/08/01(Fri) 09時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[「良かったらご一緒にお茶でも如何ですか?」
そんな風に自ら無節操に誘った癖に
>>85出迎えはまるで他人任せだ。

収穫して来た籠一杯の不揃いの果物を片手に、
洗いもせずヤマモモの実をつまみながら
二人の隣をすたすた通り過ぎる。

不意に思い出した顔で数歩戻れば、
摘んで居たヤマモモの実をインコの嘴の先に差し出してみた。
好まない様なら己の口に放り込んだだろう。

鳥の主と目が合えば何を言うでも無く、
ただふわりと微笑んで見せただろう。

歓迎すると伝える言葉は、もぐもぐ咀嚼中な所為で紡げないし、
紡げたところで言葉にしたかどうかは怪しいところだ。

>>93二度目の会遇にて既に、「変わり者」と言い当てた
男の目に間違いはない。*]

(136) yahiro 2014/08/01(Fri) 09時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[洗っただけの果物は、テーブルの中央に、ナイフを添えて。
汚れた空き皿を片付けて代わりに新しい皿を詰んでおく。

そんな最中、>>120蜜漬けの小さな生き物を見つければ、
虫にそうするように、ひょいと無造作に羽を摘んで持ち上げて

…小さく細い足を腕を、そっと、舌で擽り、舐めた。
何の為に用意したカトラリーやら…。
彼にはスプーンやフォークよりもっとずっと必要なものがありそうだ]

 あとで、水桶にお湯でも用意しましょうか。
 洗わないと、きっと、大惨事になりますよ?

[露出した肌は水を浴びればいいだろうけれど、
腰から下に穿いた衣服に染みたシロップは水では中々落ちないだろう。
いっそ新しい物を誂えてみようか…?
人形遊びの延長で、そんな風に考えながらケムシを解放した。*]

(144) yahiro 2014/08/01(Fri) 13時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―テラスの一角・マスターと…―

[>>137予想と違わぬ回答に、まぁ、と
わざとらしく驚いたような声を零して]

 ふふっ、意地悪なお方。気付いて居たなら…
 一度くらい、声を掛けて下さればよかったのに。

[そうしてくれたら、要らぬ期待に胸を躍らせ、
彼がただ静かに帰って行く度に、落胆する事も無かった。

己が彼に恋心を抱いているのだと錯覚して居た頃、
当たり前の様に彼と一つになることを夢見ていた。

彼が夜訪れるのが、”そういう意味”だなんて、
密かに期待していたと話せば、
はしたない事を、と呆れられる気がして、
ぼんやりと頭の片隅で、何かそれに代わるいい訳を探した]

(163) yahiro 2014/08/01(Fri) 18時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[>>138真っ直ぐな彼の眼差しに射竦められる、一瞬。
己が、外見の侭の少女ならば、きっと素直にもなれただろう。

瞬き一つの間に、心の内の感情に仮面を被せて、
浮かべて見せたのは、ふわりと柔かな微笑み。
誰にでも見せる曖昧な笑みで、はぐらかすように]

 ……――何だと、思いますか?当ててみてくださいな。

[気付いて欲しい 知られたくない
話してほしい    聞きたくない

             …何を?]

(164) yahiro 2014/08/01(Fri) 18時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[己自身が何を望むのか、己自身が良く理解出来て居ない。
彼らが恋仲だと、彼の口から直接聞きたいのか?
否、己の恋心は”勘違い”だったのだから、聞いたとて、何が変わる筈も無い

けれど、聞いてしまえば、何かが終わる気がして…
足元が覚束ない。許容量を超えた感情と思考を持て余して
ぐらり目が回る心地を覚える。

吸血種へと転化する時に抱いたのは期待だけだった
戦場で得たのは命を狙われ奪い合う高揚と終えた後の酷い退屈
恐怖、なんて、…彼に出逢うまで知らなかった。

嫌われるのが怖い、なんて、想った相手は初めてだった。

この感情の名を、己は、知らない――*]

(165) yahiro 2014/08/01(Fri) 18時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―茶会の一角・マスターと…―

[>>171「好いたひと」

彼の声で紡がれたその言葉が己を指していると
頭が理解するまで暫しの時間を要す。

可笑しな期待に高鳴る心と、
親しく思ってくれていると、ただそういう意味だろうと
そんな風に考える冷静な頭とが、噛み合わず
不安と混乱は募る一方で]

 ――…あなたを、恐れる理由が何処に?

[昂ぶる感情が、声音を微かに擦れさせた。
はぐらかすでなく、これは純粋な問いだった。
何故だか、そこが、自分でも判らない]

(250) yahiro 2014/08/02(Sat) 01時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[総てを見透かすようなその瞳になら、何か見えるのだろうか?
そう、縋る様に彼を見詰める眼差しはあの夜と同じ。

答えは、得られただろうか――?]

 ――夜に…

[去って行った彼の言葉を繰り返す様に、
ふらり、傍の椅子に腰を下ろした。

>>148鳥使いの彼の明るい口上が、耳を通り抜けて行く。

約束の夜から、逃げ出してしまいたい
…けれど、己は、この屋敷を離れられはしない。*]

(251) yahiro 2014/08/02(Sat) 01時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―幕間・夜の訪れ―

[この館の本当の主は、己では無い。
己はただの留守番で、番狗だ。その心算で此処に居る。
己が狗だとそうと言えば主はきっと、
酷く寂しそうに、少しだけ困った顔って、抱き締めてくれるだろう。

彼は自分の子のように己を愛してくれたけれど
あの頃の己はひとを愛する事など知りはしなかったし
愛され方など知りはしなかった。
けれど、ただ、必要とされている事だけは理解出来て
それが、とても、嬉しかった

戦の間だけこの国に居た主の屋敷を、
彼が何時戻っても良い様に守ることこそ己の役目だと、
何故だかそう思ったのは、もう随分と前の記憶。]

(254) yahiro 2014/08/02(Sat) 01時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[共に行こうと誘われたけれど、
好きに生きていいと言われたけれど、

この屋敷を離れることは出来ない。
愛する事で、愛される事を、教えようとしてくれた
主と過ごした尊い時間が詰まった此処で

己が誰かを愛する事こそ、主への報いだと、
主が―…彼が一番喜ぶ事なのではないかと、
勝手にそんな風に思っていた。

けれど己は今も、ひとを愛する事など知りはしないし
愛され方など知りはしない。

ただひたひたと、得体のしれぬ不安と恐怖だけが、
夜の帳の中、足音も立てず忍び寄る。逃げ出してしまいたい
…けれど、己は、この屋敷を離れられはしない。*]

(256) yahiro 2014/08/02(Sat) 01時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―夜―

[何時ものリビングのソファーの上、
月明かりの差し込む格子窓を背に静かに、座って、
灯りも点さぬ部屋の中で一人、彼の訪れを待っていた。

求められる答えの問いを、己は理解してはいない。
けれど、優しい掌が、眠れぬ己を寝かしつける主を思い出させて
少しだけ、肩の力が抜けた。
この屋敷で過ごす夜は、暖かな記憶で埋め尽くされている。]

[問いを知らぬ侭答えを求められているとも知らぬ侭に
手を取られれば、意図を問う様見上げた視線が彼に交わる。

月明かりに見守られた、穏やかな時間
自然と、作り物ではない笑みが小さく零れた*]

(258) yahiro 2014/08/02(Sat) 01時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―名も知らぬ二人きりの夜―

[>>281「愛している」
主が繰り返し、繰り返し、根気強く何度も繰り返し贈ってくれた、
その言葉が、ずっと喉に閊えた言葉をするりと吐き出させる]

 ――何故、と問われても、わたしにはよく、判りません。

 けれど、あなたに…
 あなたにだけは、嫌われてしまうる事が、酷く恐ろしいのです。

 あなたの心の中心に、誰が居ても構わない。
 そう、想う反面、

 …不意に時折、ここが、
 ぎゅうと締め付けられて、息が出来なくなるのです。

[己の胸元に掌を重ねて、泣き出しそうに詰まる吐息を、
喉を震わせゆっくりと吐き出した]

(290) yahiro 2014/08/02(Sat) 03時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[瞬きを、一つ。溢れた感情に滲む涙で濡れた双眸が、
不安げに揺れた。

言葉に悩む唇が二度三度戦慄いて…]

 苦しくて、痛くて、辛いのです、
 あなたを想うと、息が…心が――

 いまも、逃げ出してしまいたい、
 なのに、は…離れたくないと、そう、思――…っ、

[ぽろり、瞼の淵から決壊した涙が零れ落ちて、
薄紅に染まった頬を伝って、落ちる。

咄嗟に俯いて溢れそうになる嗚咽を、
掌の下に覆い隠して、飲み込んだ]

(292) yahiro 2014/08/02(Sat) 03時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[肩を震わせながら、ふたつ、みっつ、零した滴が
膝の上に生暖かい染みを広げた]

 あなたが、怖くて、怖くて…
 こんな、ふうに想ったひとは、今まで、誰も――…

 ご、めんなさ…っ、わたし、失礼な、事を…
 あなたは…いつも、優しくしてくださるのに、っ
 何故だか、自分でも…わ、わからなくて…

 ――わたし、
 どこか、おかしくなってしまったんでしょうか…?

[涙に濡れて溶けた赤色が、もう一度、彼を見上げる。
誘う禁断の果実の色で、無意識の色香を乗せて、

縋る様に、絡み付き唆す蛇のように。*]

(295) yahiro 2014/08/02(Sat) 03時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―夜の始まり―

[赦されたかったのだろうか?
それとも断罪されたかったのだろうか?

幼子でも宥める様に撫でる掌に、
堰を切った涙は、止る事無くぽろぽろと零れ落ちた。

どこもおかしくなんてない、そう言って貰っても、
ならば、何故、こんな…、彼へと向ける知らぬ己の感情への
理解が及ばず、胸の内に巣食う不安の焔が消える事はない。
いっそ一息にこの身を焼いてくれたらどんなに楽だろう?

けれど、じりじり、じりじり、焦がし痛め付けるばかりで
燃え広がることは終ぞなかった]

(315) yahiro 2014/08/02(Sat) 04時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

 ……――っ、…ぁ

[けど、とそう続けて反論しようとした言葉は、
額に触れた彼の唇が吸い取っていってしまった。
何が起こったか、理解するよりも先に
唇までたどり着いたかれの唇が重なった。

雷にでも打たれたように硬直して、耳まで羞恥の色に染まる。
驚きに、一度は引っ込んだ涙は、
溢れだした別な感情の侭に、また頬を濡らした。
それが喜びなのだと、理解出来るのはもう少し先。

おずおずと伸ばした腕を、彼の首に絡め抱き締める。
拙い舌が懸命に口付けに応えようとしたのは、最初のうちだけで、
次第に頭の芯がぼうっとして、身体の力が抜けて行く。

抱き上げ運ばれる頃には、もう為すが侭で。
涙で服を汚してしまう、そんな思慮も抜けた頭で
無意識に彼の胸に甘える様に頬を摺り寄せた]

(316) yahiro 2014/08/02(Sat) 04時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[二人分の重みを受け軋むベッドの上、重なる影の主を見上げる。
あんなにも怖かったのに、彼の腕の中に囚われてしまえば、
不安も、苦しみも、何処かに消え去ってしまった。

衣服を緩める仕草を見惚れるように、恍惚と眺めながら
あぁ、彼も己と同じ能力を使うのか、とそんな風に思った。

己に魅了された獲物たちは、きっと、今の己と同じ顔をしていただろう。
――期待と、歓喜、浮かび上がるそれらに名前は付けられぬ侭に、
腕を伸ばして抱き寄せ降る口付を受け入れる。

彼の心の中心に誰がいるかなんて、もう、如何でも良かった。
己の心の中心に、彼がいる。
その事実に気付いた事で、今は頭が一杯で。

目の前に彼がいる、彼がこの身に触れる
それだけで、十分だった*]

(317) yahiro 2014/08/02(Sat) 04時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―夢の随に―

[――熱に浮かされた行為の途中、
痛みを凌駕する、愛しさになきじゃくりながら、
震える声で小さく強請る。

迫る絶頂の予感に心が急いて、上手く声にならぬ言葉
散々に甘い音で啼いた声は、既にすっかり擦れていたけれど
二人きりのこの部屋で、彼の耳にくらいは届いただろう]

 …――、もう、わたし…っもぅ…、
 …お、おなまえを、よばせて、…ください。おねがい、


 呼んで、…――カリュクスと…っ

[主にすら、名乗った事の無い名を、
愛しい相手の腕の中、揺さぶられながら、
抱き締めた彼の耳元で、初めて、声にした]

(323) yahiro 2014/08/02(Sat) 05時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス




[望みはきっと、すぐに叶えられただろう
幸せそうに蕩けるような笑みを浮かべて

言葉にならぬ礼の言葉の、代わりに、
はじめて、己から彼に口付けた。

後は感極まった声音で、知ったばかりの彼の名を
夜が更けるまで、繰り返し、繰り返し*]

(324) yahiro 2014/08/02(Sat) 05時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

―新たな朝―

[――目覚めた時に彼はまだ、其処に
傍に居てくれるだろうか?

小鳥のさえずりだけが響く静かな朝、
格子窓から差し込む木洩れ日から零れ落ちた日差し。

気恥ずかしさに目を合せられぬ侭に、
それでもはにかむ様に、心の底からの幸福を笑みに乗せて
朝の挨拶を交わすことが出来たなら、

初めて、愛しいと、彼に抱く己の感情に、
そんな名前を付けられたかも*しれない*]

(331) yahiro 2014/08/02(Sat) 05時頃

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