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21 ─明日も、薔薇の木の下で。
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フィー…
[フィリップが自分の中に放つのを感じながら ふと、気がついた まだ、彼と口づけをしていない]
(0) 2013/08/09(Fri) 00時半頃
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[>>2:306>>2:307 『笑って』という言葉の後に フィリップが口づけを残して昏倒した]
(2) 2013/08/09(Fri) 00時半頃
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フィー! …ねえ、どうしたのフィー? 起きてよ!
[彼の身体を揺するが目覚める気配がなく]
こんなので…笑顔になれる訳ないじゃない
[涙を流しながら 笑顔とも泣き顔ともつかない表情をした]
(3) 2013/08/09(Fri) 00時半頃
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[しかし、涙はすぐに治まった 否、泣いてるだけでは駄目なのだと 自分で自分にいいきかせた]
…さすがにこれじゃ…誰も呼べないや
[自分たちの乱れた格好は言い訳が立ちそうにない のろのろと身体を起こしてまずは自分 それから、フィリップの衣服を整えておく]
(5) 2013/08/09(Fri) 01時頃
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[衣服を整え終わり 床に寝かせていたフィリップに]
フィーのばか…こんなところで寝るとか… 大ばかだよ…ひとの気も知らないで…
[そうつぶやくと、深い口づけをしてからほほ笑んだ]
(13) 2013/08/09(Fri) 01時半頃
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[口づけをしたところで自分が昏倒することも フィリップが目覚めることもないのを知る]
やっぱり医務室かな…
[さすがに体格的に連れて行くのは無理だろう 彼を恨むことはなかったが、自分の小柄さは恨めしかった]
もう少し、待ってて…フィー
[そう囁いて再び口づけをしてから医務室へ走っていった]
(19) 2013/08/09(Fri) 02時頃
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[自分の手首に現れた荊の痕に 気づいたのは医務室に着いてからのこと
それは、赤い薔薇の齎した*呪いの証*]
(20) 2013/08/09(Fri) 02時頃
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― 医務室 ―
[息もつかずに扉を開けて中に入ると 消毒の匂いと混じり合う薔薇の香り]
…サミュエル先輩?
[彼に指摘され、自分の手首を見て驚くが 今はそれより、フィリップの方が大事なことで 食堂で昏倒していることを説明した]
ニーセン先輩? 何でここに?
[それについて、サミュエルから事情を聞いて]
そばに…誰かは? その…仲のいいひととか…
[と、曖昧に関係をぼかしてはみたが 同室の自分にすら把握出来ていない 秘めた関係の相手がいるようには思えなかった]
(28) 2013/08/09(Fri) 09時半頃
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[眠るニーセンの手首には自分と同じ痕 どのような経緯で彼にそれが齎されたか知らないが 嵐が過ぎ去ってから ずっと、部屋に戻らなかったのは それが理由なのかも知れない
それくらい、薔薇の囁きは甘く香しい]
(30) 2013/08/09(Fri) 10時頃
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…猫?
[サミュエルの返事にキョトンとするが ニーセンが部屋に戻らなくなってからと 猫の声を聞かなくなった時期は同じくらいではなかったか? ならば、猫は本能的に危機を感じて この強い香りから逃げ出した可能性もあるだろう]
く、口づけ…!?
[それが出てきて 自分がフィリップとしてたことが サミュエルにばれていることにも気がつき 真っ赤になって狼狽えた]
(31) 2013/08/09(Fri) 10時頃
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[サミュエルの視線の先に横たわる 銀髪の上級生ユリウスにも 自分と同じ痕があるのが目に止まった]
サミュエル先輩…ユリウス先輩も…誰かと?
[だとしたら、他にも誰か 自分と同じ痕を持つ人物がいることになる]
…ねえ、おにいちゃん…それは誰? 知ってるなら…教えて?
[と、上目使いでサミュエルに迫る 薔薇の香りと囁く声が一層強く大きくなった気がした]
(33) 2013/08/09(Fri) 10時頃
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[自分の頭を撫でて医務室から去ったサミュエルは 自分の問いに答えをくれず]
…おにちゃん、待って!
[慌てて彼を追いかけた]
(36) 2013/08/09(Fri) 10時頃
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[廊下を出てすぐの窓からサミュエルが 這い登る姿が見えた]
…おにいちゃん! 何してんの?
[多分、医務室から去ったのは この香りから逃げるため それは理解出来たのだが なら、何故そこいく必要がある?
不安が不吉な予感に変わる]
(37) 2013/08/09(Fri) 10時頃
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[医務室でサミュエルが綴った"アーネスト"が 東洋の血の混じる"チアキ"であることに思い当たらず]
逃げないでよ…
[窓に手をかけ、その後を追い 小柄で身軽な利点を活かしするっと屋根へと這い登った]
(38) 2013/08/09(Fri) 10時半頃
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[屋根を登る途中 サミュエルが投げる靴や靴下が 下の茂みに舞い落ちるのが見える]
…いつも、逃げてて…ずるいよ
[ポツンとつぶやく]
でも、今は逃がせないから… …逃がさないから
[やがて、頂点まで登り切り 腰掛けるサミュエルの隣に腰掛けた 昨日とは逆に自分が抱きしめる形で捉えた]
(39) 2013/08/09(Fri) 11時頃
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…お願いだから おにいちゃんまで…いなくならないで…
[抱きしめながらサミュエルに囁く
ニーセンもフィリップも自分の近しい人物は どちらも眠りに就いていて
彼までいなくなってしまったら 自分は*ひとり*きりになってしまうと]
(40) 2013/08/09(Fri) 11時頃
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[屋根の上でつかまえたサミュエルから 危うい感じが薄れていく 慰めのような、同意のような言葉に 少しこちらも落ち着いてきた
足首を掴まれて靴も靴下も手早く脱がされ 屋根の下にぽいっと放り投げられ]
…おにいちゃん?
[背中に回した手でぽんぽんとあやされた 吹く風のように優しく]
(77) 2013/08/09(Fri) 22時頃
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[その静けさは長くは続かず 屋根の下、窓の中、すなわち廊下から 何かを叩きつけたように乱暴で 大きな音が聞こえた]
…何? 何かあったの?
[ここしばらくの落ち着かない空気 それは一触即発ともいえる 緊張感を孕んでおり、いとも容易く爆発する 今、この寮内に蔓延るのはそういうものか]
(78) 2013/08/09(Fri) 22時頃
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[こちらを伺うサミュエルに うん、と首を縦に振り]
行こう…
[返事をした途端ぎゅっと抱えられ 本能的にぎゅっとしがみつく
そのまま手近な木の枝へ降りて 伝っいながら、一緒に窓の中に戻っていった]
(81) 2013/08/09(Fri) 22時頃
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[廊下に下ろされてすぐ サミュエルの様子がおかしいのに気づく]
…サミュエル…おにちゃん?
[どこへ向かうつもりか走り出す その足取りは酔っているかのように覚束ない]
おにちゃん…どうしたの?
[こちらの声は聞こえているのかいないのか 慌てて追いかけた先でセシルに手を掴まれていた そのそばにはどこか惚けたような あられもない姿のラドルファスが]
(85) 2013/08/09(Fri) 22時頃
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セシル先輩…ラルフ先輩… サミュエル先輩…急に走り出して…
[半狂乱ともいえる様子にハッとする]
(…まさか…薔薇の香りに当たった?)
[思い当たるとしたらそれくらいで 自分は今は赤薔薇の宿主だから平気だとしても フィリップが宿主だった時にも ここまで過剰反応はなかったはずなのに]
(88) 2013/08/09(Fri) 22時半頃
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セシル先輩、サミュエル先輩を連れて医務室に行ってください!
[ラドルファスを見て哀しげな顔をしてから]
トレイル先輩は今どこですか? ラルフ先輩はトレイル先輩に見てもらうのがいいかと… 俺、呼んできますから
[これが自分に宿った赤薔薇の仕業とはいえ 自分自身に出来ることなど高が知れている 頼れるものは頼るしかなかった]
(91) 2013/08/09(Fri) 22時半頃
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[セシルはトレイルの居場所は知らないのか それとも、それどころではないのか
返事らしい返事はなく
ラドルファスは蜜に群がる虫のように サミュエルにまとわりつき それをどうにか出来ないかと考えた後 息を大きく吸って彼に向かってこう叫んだ]
(96) 2013/08/09(Fri) 23時頃
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ラルフ先輩…あまりおいたをすると、お尻ペンペンしますよ!
[まるで小さいこどもを叱り飛ばすかのように なんというか、情けない言葉であった]
(97) 2013/08/09(Fri) 23時頃
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はい、ラルフ先輩はそのままお部屋に戻って いいこにしててくださいね
…そのうち誰かがご褒美くれるかもしれませんよ?
[と、猫なで声でラドルファスへ
それで帰らなかったとしたら 自分も逃走するしかないのだろうかと 内心不安なのは内緒である]
(104) 2013/08/09(Fri) 23時頃
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ガーディは、ラルフの前から逃走して、医務室に向かった
2013/08/09(Fri) 23時半頃
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― → 医務室 ―
[セシルとサミュエルは落ち着いていただろうか 彼らのいるベッドから離れた場所 昏睡しているフィリップの眠る枕元を訪れた]
フィー…
[眠る姿は穏やかで 自分の部屋で椅子にかけて寝ていた時 それを思い出す]
もう少し、一緒に話したかったよ…
[フィリップの手を握る]
(118) 2013/08/10(Sat) 00時頃
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もっと、手をつないで歩きたかった…
[手をつないだのは嵐の晩くらいだっただろうか 談話室に灯りを灯した魔法使いのような手
多分、それを見た時には 彼の魔法にかかっていたのだろう]
…きて、起きてよ…フィー
[握る手は握り返すことはなく]
眠り姫じゃないんだから…
[100年経ったら目覚めるならば 自分もそばで寝ていたい]
(119) 2013/08/10(Sat) 00時半頃
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…ごめんなさい …やっぱり、俺は笑えない
[目から涙があふれぽろぽろこぼれ落ちる 寂しい、彼と笑い合えないことが哀しい]
だから、泣かせて…
[ちらり視界に入るセシルとサミュエルが 幸せそうで、とても羨ましかった
あれが多分、ニーセンのいってた 「ピースがはまっている状態」なのだろうと
自分とフィリップに全くなかったとはいわない だけど、それはほんの刹那の瞬きほどでしかなかった]
(121) 2013/08/10(Sat) 00時半頃
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[赤薔薇が嘲笑う その笑い声が響くごとに 薔薇の香りは増していく
この香りは毒なのだ
愛や恋を知らぬものを弄び それを知るものたちを引き裂いていく
そして、自分ひとりで抱えるには 余りにも重く罪深いもの]
(122) 2013/08/10(Sat) 00時半頃
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フィー…ごめんなさい
[眠る彼に口づけをして枕元を立った それから、落ち着いた頃を見計らい
サミュエルに付き添っているセシルに 話があるからと、声をかけただろう
彼は自分が今もっとも近しいサミュエルの もっとも近しい存在である、*信じたかった*]
(124) 2013/08/10(Sat) 00時半頃
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