28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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[スイートピーに『Hamlet』。 綺麗なナイフのような越智の言葉も。 今日はなんだかたくさん貰いすぎている。
――……嬉しい気分には、要注意。
お菓子を巡っての越智と植頭のやり取りを聞いて。 瑠美はそっとその場を後にした。
失くしてしまう前に。 自分で壊してしまう前に。
そっと。*]
(6) 2013/09/05(Thu) 01時半頃
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―亡霊と三毛猫と私―
壊せるものなら、
[談話室を出てすぐ。 廊下の片隅で鍵しっぽの三毛猫と出遭った。
意識に直接ひびく知らない女の声。 「たいせつな もの」「なくしたくない もの」
――…こわしたい ?
声にして返した言葉は震えて途絶えて。]
壊せるものなら、
[頭の中にピアノの音色が響いた。 大切な音。大切だった音。壊れた音。壊した音。]
(16) 2013/09/05(Thu) 01時半頃
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無理。アンタには、壊せない。
[目を瞑って、少しだけ微笑む。 スイートピーを…思い出を、強く握って。
次に瞼を持ち上げた時には、 三毛猫はもうそこには居なかった。
それでもそこに立ち尽くす。少しの間。静かに。**]
だって。もう無いもの。
(17) 2013/09/05(Thu) 01時半頃
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―一階廊下―
[ふてぶてしい三毛猫が去った廊下。 朧気な女の声ももうしない。
瑠美はそこに佇み、イメージを構築していた。 瞼を伏せて。]
(78) 2013/09/05(Thu) 21時頃
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―自室前へ―
[脳内に浮かんだ光景を裂いたのは、 階段の上から響いた瑠美を呼ぶ声。(>>73)
ゆっくり持ち上げた目が眩む。 何度か瞬く間に明瞭な視界を取り戻して。 パンプスの踵を鳴らして、上階を目指した。]
なによ。なに。 説明? 何の?
[知っている声への返答は躊躇いなく。 足音に重ねて。
自室前まで来ると、なんとなく、 何についての説明が必要なのかは 推測出来たけれど。]
(81) 2013/09/05(Thu) 21時頃
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その顔、可愛くない。
[まずは眉間に皺寄せる宝生の面構えへの感想。 次に、宝生が指したのは絵流へと視線を。 おそろいになってしまった薔薇の香りに、 ひそやかな吐息を零した。]
どうしてか。 絵流の頭の中ではそうなってるみたい。
――…犬も猫も人間も飼ったことないし。 ちょっと困ってるんだけど。
[その後に付け加える説明としては。 公園で寝ていた彼の生死を助けるべく近付き。 不覚にも軽く足首を傷め、送ってもらい。 飼う飼わないは置いておいて、とりあえず、 キレイキレイしてきなさいと風呂を貸した。 簡略化した斯く斯く然々。]
(91) 2013/09/05(Thu) 21時頃
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――… また公園に捨てたとしてよ? 万が一そこで死んじゃったら、 私の寝覚めが悪くなる……から、それは嫌。
[(>>99)次の質問は難しい。答えに困る。
積極的に部屋に置いてあげるのは躊躇われる。 それなりに年頃の女子であることは弁えていて。
誰かと同じ空間で生活するのも、怖い。
本音に、少しの嘘を織り交ぜて。 話ながら宝生と絵流を交互に見つめる。]
…………宝生さん、この子も飼わない?
[そして行き着いた結論。あっさりとした提案。]
(102) 2013/09/05(Thu) 21時半頃
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……誰。 さっきの。声。
[ひとつ声が増える。
――国谷利右衛門綱吉。………誰?
死角だった空間から浮上して現れた箱。 丁寧なデザインが施された箱。 憧れのチョコレート店のロゴマークが刷られた。
困惑のあまり目を瞬かせて周りを見回す。 誰も居ない。誰も。]
……………くれるの?
[宝生との話を少し休んで。
箱を受け取ってみようと。 国谷の手に瑠美の手が重なり、透ける。 空気から掬い上げるように箱の重みを手にした。]
(103) 2013/09/05(Thu) 22時頃
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信綱。 ……どこかの将軍みたい。どちらにせよ。
[声は聞こえる。 声は、ずっと聞こえていた気がする。
おはようとか。こんにちはとか。ばいばいとか。 会話とも呼べないような言葉を交換していた。 影が薄くて素早くて照れ屋なご近所さんだと。 そう思っていた。
空気の塊と会話をする瑠美は、 宝生からはどう見えるのだろう。 やっぱり何処か壊れて見えるのかしら。]
………あ り、がとう。
[国谷の手…見えざる手に撫でられ。 空気に圧されて、髪が少しだけ揺らいだ。 撫でられているとも解らない、曖昧な感覚。 不思議。]
(107) 2013/09/05(Thu) 22時頃
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ただね…
…かを…じると…うのは…その…を…じる…を…じる…です…
…いっぱなしだと…も…じられなくなるから…
それだけは…を…けた…がいいですよ…
…
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[(>>109)絵流との会話に困った様子の宝生に。 彼が落としたぶんだけ上げるように肩を竦め。 困り顔に同意を返した。]
ヒント……?
[何の、と問いかける前に声は遠退いた。
(>>@25)チョコレートの箱と風の名残を置いて。 何処を見て、見送れば良いのか解らない。
箱を手に、 今度は瑠美が宝生に困ったような目を向けた。]
(185) 2013/09/06(Fri) 00時半頃
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[(>>150)絵流を預かってくれると言う宝生。 本物の捨て猫を引き取るのと変わりなく、 あっさりと頼みをきいてくれる包容力に感動。
目を瞬かせて。 絵流を見る宝生を見つめる。]
本当に?
……手間がかかりそうなら、言って。 あと。たまに、見に行く。
[絵流は人間で。瑠美の猫ではないけれど。
誰かと寄り添い暮らす日々は、遠ざかった。 今は、それについて、安堵する。
宝生の部屋に絵流が居て、 そこをたまに訪ねるくらいなら。 想像してみると、その距離感は悪くないように思える。]
(186) 2013/09/06(Fri) 00時半頃
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……ちょ、っ と。待って。 近い !
[(>>@31)距離が近付いて。 慌てて絵流の肩を掴んだ。
急な接近に丸くした目で彼を見つめて。 その後であっさりと譲渡を承諾するまでを。 心なしかしょんぼりとしているけれど。
仕方がないので、 猫にしてあげるように絵流を撫でる。 薔薇の香りの、洗いたての髪を。]
よかったね。 でもやっぱり、それ可愛くない。
[猫の鳴き真似をする絵流にぴしゃりと。 少しだけ笑いを含んだ声で。]
(188) 2013/09/06(Fri) 00時半頃
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…… 何なの ?
[隣の部屋を舞台とした賑わいが起きたのは、 捨て猫・絵流を巡る応酬の直後だった。
ジャニスが部屋へ入っていくのを呆然と眺めて。
一歩、後退って。 スイートピーを握り締めて。 困惑に揺らぐ目で、204号室の扉を見つめた。**]
(218) 2013/09/06(Fri) 01時半頃
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―幽霊騒動の少し前―
か……――
[しまった。撫でてしまった。 しょぼくれた絵流に惑わされて撫でてしまった。
少し固い髪の上に手を置いたまま。 一瞬の硬直。 泳いだ目が宝生の方を向き、逸れて、落ちて。 チョコレートの箱に乗せた花を見る。]
――…… わいくは、ないわよ。
[一呼吸ついたら、言い淀んだ間を消して。 不機嫌な顔で言葉を繋ぐ。
毎日の訪問をとの声には「馬鹿」と一言。]
(243) 2013/09/06(Fri) 14時頃
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―そして現在―
[ジャニスに続いて病沢も現れて。 隣室で一体何があったのだろうかと首を捻る。
外からも切迫したような声が幾つか。 室内から漏れ聞こえる声や音も緊張を孕んでいる。 その場にて立ち尽くすばかりで、 中を覗き見ようとはしないけれど。
宝生の半歩後ろ辺りから 意識は204号室へと注ぐ。
そこを見ていると少しだけ悲しい気分になるのは 見えない女の悲痛な思いや哀しみのせいか。 瑠美にはその声は聞こえていない、けれど。]
(244) 2013/09/06(Fri) 14時頃
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[宝生の眉間に新たな皺が刻まれるのを見て 可愛くないよと声をかけるのも忘れて。
204号室を見つめていた。]
…………死んだら、 ああなるのかしら。
私も。
[弱さや恨みや哀しみに満ち満ちた響き。 湿っぽい微弱な風は廊下を吹き抜ける。 瑠美は少し震えた。
うまく生きられないならせめて死にたいと。 オフィーリアのように、美しく死にたいと。 幼稚なイメージに囚われていた心が震えた。]
(256) 2013/09/06(Fri) 21時半頃
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[(>>@43)一陣の風。 短い距離を走る風の名残に髪がそよぐ。 箱に乗せたスイートピーが飛んでいかないよう 片手を添えて、押さえ付ける。
かたく引き結んだ唇の裏側を噛んで。
黒い靄。亡霊の姿はもちろん見えない。 とても遠く感じるところから届いたのは声。
それよりも鮮明に聞こえるのは、 とても近く感じるところから届く宝生の声。]
……そう?
[想像しづらいとはどういう事なのか。 彼の言葉の真意はわからないけれど。 怖さが和らいだのは確かで。]
(263) 2013/09/06(Fri) 22時頃
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……、だめ。
[(@44)頭を撫でられてしまって。 眉根を寄せて。猫を躾けるような厳しい声を。 そこには露骨な不安の色はもう無い。
壁際の宝生に向ける眼差しも。安定。]
ちょっと可愛い。それ。
[励ましてくれているのだろうか。
いつも、可愛くない、と言うのと同じ声音で。 ありがとうと素直に言うのは、 なんだか少し気恥ずかしかった。]
(284) 2013/09/06(Fri) 23時頃
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行こうか?
[管理人の声が響いて。
204号室を指す宝生の指先に手を添えて。 談話室へ行こうかと誘う。 絵流へも視線を向けて。
何にせよ移動するなら。 スイートピーの花は部屋のベッドサイドに飾って。 チョコレートの箱は、持っていくつもり。]
(286) 2013/09/06(Fri) 23時頃
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ここの…が…あなたを…う…だと…っているんですか…
ここの…が…あなたを…う…だと…っているんですか…
…は…そんなに…ませんか…
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―談話室―
[宝生と、新たな住人となった絵流と並んで。 談話室へ入った時そこには誰が居たかしら。
貰い物のチョコレートの箱を抱えて、 とりあえずはソファに座る。 テレビを見る時に必ず座る隅の席。]
珈琲。ミルクとお砂糖はたくさんね。
[そこに管理人の姿があったら、 しっかりちゃっかり注文するのは忘れずに。]
(307) 2013/09/07(Sat) 00時頃
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おやつ。あるわよ。 立花さん……食べる?
[抱えていた箱の包装を剥がす。丁寧に。 プレゼントしてもらった高価なチョコレート。 憧れのチョコレート店の。
箱に並ぶのは美しいチョコレート。 一粒目は瑠美が食べるけれど。
二粒目は立花に勧めてみる。]
(317) 2013/09/07(Sat) 00時頃
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何よ、それ。変。 せめて「瑠美ちゃん」にしてよ。
[福原ちゃん…との呼び名に唇を尖らせた。 なにが「みたい」なのかも解らないし。
おどおどとして小動物のように可愛らしい娘。 一挙手一投足がいちいち可愛らしくて。 彼女へと向ける言葉にはつい余計に刺が生える。]
(325) 2013/09/07(Sat) 00時半頃
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はい。飼い主さんも。 おひとつどうぞ。
[(>>326)宝生へもチョコレートを一粒。
ちゃんと絵流の面倒を見てくれるらしい。 立派な飼い主ぶりに微かに笑いながら。
さらには病沢も餌付けるつもりなのか。 (>>328)猫を愛する男に、またすこし笑う。]
(333) 2013/09/07(Sat) 00時半頃
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龍之介…じゃなくて。 龍ちゃんも。食べる?
[見えないご近所さんからのプレゼントは、 大切にしようと思ったからこそ。 ここに居る人たちと分け合いたいと思った。
(>>335)新居へももちろん箱を差し出して勧める。
直後の絵流の言葉に、肩がぴくりと震え。 (>>@48)説明の言葉を省きまくった彼を、 ぎ、と睨めるのであった。]
(339) 2013/09/07(Sat) 01時頃
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[ミルクと砂糖たっぷりの甘い珈琲。 お菓子もたくさん。
談話室の賑わい。 皆それなりに、楽しそうで。
ソファの背に深く凭れてその様子を眺める。 仮住まいのつもりで部屋を借りた此処が、 今はすっかり、私の家なのだ。と。
改めてそんな事を思って。 瑠美は、柔らかく微笑んだ。**]
(346) 2013/09/07(Sat) 01時頃
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