78 わかば荘の薔薇色の日常
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に…を…けて…は…かに…みした…
…かれても…だ…すように…けていた…
ひたすらに…があって…き…けた…
…と…
なんの…ちもこもらずに…
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――夏の思い出――
……味噌、醤油…麺つゆと海苔にゴマ油… …を、混ぜて入れれば…大概美味い。覚えた。
[料理指導の日々、檀には大変苦労をかけたと思う。 芸と同じ道を歩む予感をひしひし感じさせる 物覚えの悪さと危なっかしい手付きを散々見せつけた。
それでも日が経つにつれて。 食わせてもらった美味いものに笑みを浮かべて 檀がそれにつられるように笑ってくれる回数と、 俺が作ったものを檀が食べて笑ってくれて それに安心した俺が笑う回数がほとんど均等に。
頭を撫でて、撫でられて、猫を待ち、猫に逃げられ、 たまに誕生会の夜に談話室の隅でしたような 少しばかり踏み込んだ接近で額や掌を重ね。
―…日々は流れた。]
(581) onecat69 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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餓死とか…ゃー……たぶん、しねぇって。 米より、シュークリーム食いたい。桃のやつ。
あれ…美味かったな。
[頭の上の厚い掌の心地良い重みはすっかり馴染んでいて、 そうされると、俺は檀に一歩近付く。 ふたりで買い物をした雨の日に詰め分より もう一歩進んだ、今の俺と彼の間に横たわる距離。
いつかのシュークリームの味、思い出して。 緩むまま緩ませた無防備な笑みで頷く。 困った時は、真っ先に頼ります…って。]
(582) onecat69 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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…また、すぐ会いに来る。
[ちょっと甘えるくらい許されろ。
こっそり残した別れの挨拶への 檀の反応はひとしきり見た後。 ドヤ顔で言い残すと、荷物詰めた鞄を背負って、 わかば荘とさようならをして坂を駆け下りた。
いってきますじゃなくて、さよなら。わかば荘。**]
(585) onecat69 2014/07/06(Sun) 22時半頃
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だったんだろうな…
…
あれは…の…だったんだろうな…
…
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――十月中旬――
[日増しに秋も深まる夜長の頃。 運転席に置いた文字盤の大きなアナログ時計、 針が示しているのはまだ17時少し前だ。 アクセルを踏み込み進む坂の上、空はもう夜の色。
緑屋根の古アパートの前で配送車を停め、 荷台からこの住所宛の小包を幾つか抱え出し。 最終の配達のために、配達員は玄関を開いた。]
どうもー……三毛猫宅配便でーす。 ぁー…ついでに珈琲ごちそうして下さい、桃地さん。
[十月からこの区域を担当する事になったくせに やけに親しげに図々しく呼びかける配達員の声は わかば荘の新しい日常の一つになる。
なんせ、仕事ついでに甘ったれてここで一服するのは この男の、この半月ほぼ毎日の日課である。*]
(601) onecat69 2014/07/06(Sun) 23時頃
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――106号室に毎日届く小包――
[ほとんど毎日わかば荘を訪ねる配達員は、 決まって一階廊下奥…106号室の扉前に荷物を置く。
宛先はもちろん「檀 薫」 差出人はやっぱりもちろん「日向翔平」。
その荷物のだいたいが小さな箱。中身はと言うと。 猫餌の詰め合わせであったり、 招きパンダの置き物・ゲイ太だったり、 クール便指定の手作りクッキーであったり、様々。 花の鉢植えや、ブリキの飛行機だった日もあった。
部屋の主が、仕事で不在な時間ばかりを狙った、 ちょっとした悪戯であり、コミュニケーション。
106号室を離れる時、配達員は決まって、 その部屋の扉を愛しそうに撫でた。**]
(606) onecat69 2014/07/06(Sun) 23時頃
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なんだ…そんなことでいいのか…
…
…いいよ…だけじゃなくて…いつでも…っても…
…も…くなったら…るし…
…
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――真意――
[わかば荘よりずっと古いアパートなりに、 二階に位置する俺の新居はなかなか居心地が良い。 天窓から落ちる日光はいつだって明るいし、 雨の音も風の呻きも間近に感じられる。
そんな天窓から秋の月星が見える夜。
甘い香りを連れて訪ねてくれた檀(>>=98)を、 また少しずつ物が増えつつある室内へと迎え入れ。]
……何で…って、 キスする意味なんて…一個しか無いんじゃねぇかな。
[貰ったばかりの桃のシュークリームを齧りながら、 じりじりと檀との間の距離を削っていく。 削って、削って、そのうちゼロに。]
(611) onecat69 2014/07/06(Sun) 23時半頃
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…しいと…じていないではなかった…
…それでも…に…が…ち…がらなかったのだ…
…
に…する…の…からの…ゆえの…をうけた…
…い…る…
…に…する…すらその…だったのだろうと…
…に…った…
…まで…けていたものは…だったのだろうか…
…けるために…から…したかった…な…が…でもわからなかった…
それが…わかった…
…かれたくなかったのだ…
いつしか…ただ…しくなっていたことを…
ほとほと…れ…てていたことを…
なまま…にだけ…って…
それだけのために…き…けた…は…
…んな…ちを…り…れさせた…
この…しいと…ったことは…もなかった…
いやいやいやいやいや…て…て…て…
こう…うのはお…いちゃんと…き…う…を…ってだな…
いやそうじゃなくて…き…う…にこう…うのは…
じゃなくてだな…
…
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