108 Persona外典−影の海・月の影−
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― 赤の帳が上がる頃 ―
[蝶の彷徨い辿り着く先は、祟神市の東部にある山間の田園地帯 静寂が包むその場所で、何もない空を、くるり、くるりと、回る。
蝶が地に降りて、溶ける。 僅かに残る業火の熱が、蝶を、雫を消した。 けれど雫は、霧のように、鱗粉のように、細かな粒子になって拡がる。 静かに照らす青き光が、漂う雫に反射して、朧気に形をつくった。
砕かれた破片。 次第にそれは寄り集まり、一つの傷を残すカードに変わる。 それは再び青き燐光を纏いながら、蝶の形を成して何処かへ飛び去った]*
(6) 2015/02/18(Wed) 10時半頃
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― 暁の訪れる前 ―
[静かに撫で続けていれば、背後の自身が人の気配を告げた。 視線を向ければ、ビー玉のように丸い瞳が見ているのに気づく。 その人物が自分の知る者であれば、尚更困ったように眉を下げた。
心地悪そうに髪を掻き混ぜる仕草をみて、昔と変わらないと思う あの頃も、よくそうしていたっけか]
――――――…
[翔子のやり取りを静々と眺めていたが、敢の背後に佇むデュラハンに瞳が奪われる]
(17) 2015/02/18(Wed) 13時頃
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["首無し騎士" "死を予言する者" "死神"
峰人に薦められて本はそれなりに読んだが、デュラハンが出てくる話は、死にまつわる話が多かったように思う。 首のないその姿は、いつかの日を思い出させる。
彼は未だ、苛まれているのだろうか。 己と同じように、赤に彩られたあの光景を。
――――その瞳に、宿したままなのだろうか]
(18) 2015/02/18(Wed) 13時頃
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[騎士の抱える首は、誰の首か。 何故か、男の目にはよくわからない。 頭の中で遮るように、霞がかかっている。 それを見てはいけないと、そう囁くように。
けれど――――… 表情すら伺うことはできないというのに、どうしてだろう。
怒っているような、
苦しいような、悲しいような、
ともすれば今にも泣き出しそうな、そんなふうに感じられた]
(19) 2015/02/18(Wed) 13時頃
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………、え?
[どうやら呆けていた間に、話題が男へ振られていたらしい。 美女が良かったと笑って告げる姿>>11は、昨日見た表情に比べれば、幾らかやわらいでいるように見え、少しだけ安堵する。
一度だけ背後に目をやるが、女神は此方を向かない。 ひたすらに、敢を、首なし騎士を、見つめていた]
最初はこんな姿じゃなかったんだがな…… どちらにせよ、俺には似合わんさ
[そう告げた声色は、思ったよりも色が落ちていただろうか。 そんな事すら男は気づけないでいる。 飴を差し出す姿>>12には笑って、真弓の名が出れば東部の探索に向かっていると告げた]
(20) 2015/02/18(Wed) 13時頃
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影と…?
[要領を得ない、断片的で曖昧な言葉の中で、メールに垣間見えた男の様子との違いに眉を顰める。 何か、知っているのだろうか。 誤魔化すような笑いの中に、拾えるものがないか、探してしまう]
………そっちもな。
[メールでは好きにしろと言ったものの、 一人で現れたのを思えば自然と気にかかる。 分別の付かない男ではないと願って、その場を去る背を見送るだけに留めた]
(21) 2015/02/18(Wed) 13時頃
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― 赤の帳が上がり ―
[影の時間が明けた中、翔子と共に帰路へつく。 以前のように家まで送るが、やはり人気は感じられない。 いつも帰りが遅いのだろうか。 それとも――――……
最悪の事態を考えそうになり、密かに頭を振る。 次の満月に、と言う翔子の頭を一度だけ撫でて]
何かあれば、気兼ねなく連絡しろ。遠慮無く頼れ。 お前が頼る事に抵抗を覚えているとしても…
俺は、生きていてほしいと願う
[翔子にそう告げ、部屋の扉が閉まるのを確認した後、男も自分の家への帰路についた]
(43) 2015/02/18(Wed) 19時頃
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[夜明けの訪れを感じて、 地平より差す陽に目を細めた時だっただろうか。 何処かへと飛び去った蝶が、男の元へと舞い戻る。 青々と輝くそれは、陽光の中でもなお輝いて、男の掌で写し取ったカードの形へと変じ、消えた]
――――――塔?
[その柄には覚えがあるような気がした。
最初の満月の夜、その直前。 ポーラへと見せた馨一>>1:77の柄に酷似しているような。
だが、変じたそれに触れた瞬間、伝わるのは熱と、炎と、剣。 翔子を庇った時に感じた痛みにも似たそれは、著しく男の精神を摩耗させる]
(44) 2015/02/18(Wed) 19時頃
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[皮膚が、肉が、熱を持つ。 炎が男を取り巻き、焼き尽くすように視界を覆う。 それは自分ではないのに、自分の事のように感じられ……
だがその感覚は次第に治まり、最後に鋭利なもので貫いたような痕を胸に残し、失せた]
――――――ッ、はあっ ……はぁ、……
[幻惑の残滓に揺さぶられながら、胸を抑える。 呼吸を徐々に整えつつ、感じた気配を忘れないように反芻する]
これは、まさか―――――…
[眉をひそめる男の背後で、虹の女神はただ、笑みを浮かべていた]
(45) 2015/02/18(Wed) 19時頃
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― 自宅 ―
[帰路の最中、ショッピングモールの方へ寄ってみるかと足を向けた時、携帯端末が震える。 手に取ればあかりからのメールだった。 その内容に眉間に皺を寄せた時、今一度端末が震え、新たなメールが入ってきたことを知る]
………面倒な事になりそうだな。
[覚束ない足を叱咤し、モールへ行くのを諦め、足早に自宅へと戻った]*
(46) 2015/02/18(Wed) 19時頃
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------------------------------------------------ To:花河あかり Title:問題ない。
無事に見つけられた。 明けた後は自宅まで送り届けてある。
俺は「リツキ」という人物の事を知らない。 名前を聞いていないか、接触自体していない可能性がある。 人物の風貌について詳しく教えてくれ。
人物名の呼称をする限り、人型のシャドウだろうと断定するが、 下部以外の事で気にかかる事を言っていたら教えてほしい。 何でもいい。 ------------------------------------------------
(47) 2015/02/18(Wed) 19時頃
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ああ…なんだかすっとしたな…
わりと…がいいかもしれない…
…というのは…つまりは…と…じもののようだ…
…
そういえば…も…
…だのなんだの…っていたね…
その…どうなんだい…
おや…かあったのかな…
…く…くつもりはないけれど…でも…がいいならいい…だ…
それで…いが…ってくれるならなおさらいいんだけれど…
この…は…ししくじったな…らには…せない…をぶつけるつもりだったんだけれど…げおおせてしまった…
まあ…はもう…しうまくやるさ…
ひとりは…らしておいたよ…
…ながら…
こころのひめいみたいなものは…
…けなかったけれどね…
…
そうだ…
…あかり…
…のこころは…をあげるのを…
もうやめてしまったのかな…
…
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― 自宅 ―
[微睡みから、意識がゆっくりと浮上してゆく。 差し込む光から昼は過ぎていたか。 眩しさに目を細めつつ身体を起こすと、胸の傷が小さな痛みをもたらした]
…………
[十分に睡眠を取った脳は思考を始める。 受け取ったメールの事も気にかかったが、まずは己の身に起きた事を整理しようと。
今朝方感じ取った幻惑は、恐らく他の人間の感覚なのだろう。 それが誰のものかは分からないが、形どったカードは『ペルソナ使い』が手にしていたものと、恐らく同じ。 ならばまず確かめなければならないのは、安否の確認か]
(160) 2015/02/18(Wed) 23時頃
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[そうなれば、まずは誰に連絡するかは決まった。 酷似したカードを持つ『ペルソナ使い』を男は一人しか知らない。 緩慢な動きでベッドから立ち上がり、机の上に置きっぱなしだった携帯端末に触れた。
この間の集まりにいた人間とは、連絡先を交換している。 慣れた手つきでロックを解除すれば、既に着信が一件来ていることに気づいた。
差出人は花河あかり。 自宅に帰る前に送り返した件の返事だろう。
中身を見るかと触れようとして、思いとどまる。 男がまず先にやろうとしていたことは、別の事だ。 見るのはその後でいい。
そう判断して、アドレス帳から慣れぬ名前を探し、メールを送る]
(162) 2015/02/18(Wed) 23時頃
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-------------------------- To:賀来馨一 Title:無事か?
(Title only) --------------------------
(163) 2015/02/18(Wed) 23時頃
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[簡素過ぎるかと思ったが、無事かどうかを知りたいのが優先であるため、これでもいいかと思う。 そう考えればこの間のメール>>2:257も似たようなものかと思えば、自然と笑みが滲んだ。
再び開いたメールの未読一覧から、花河あかりの名を探す。 そして開いた文章の中身に、男の笑みは瞬く間に消えた]*
(169) 2015/02/18(Wed) 23時頃
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………やや小柄で、眼鏡。 そして、臙脂色の本………
翔子を気にかけていた、か。
[瞼を閉じ、その裏で今までの出来事を投影するように、ゆっくりと記憶の紐を解いてゆく。
「リツキくん」と言うからには、男なのだろう。 それならば、小柄に当てはまる人物はそう多くはない。 身長の面だけで言えば、麻夜と最初の満月に見かけた少年>>1:472くらいか。
確かあの少年の風貌は――――…]
(190) 2015/02/18(Wed) 23時半頃
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………なるほど。 あの少年が「リツキ」……… なら、翔子の事を気にかけていてもおかしくはない、か。
[大塚と親しいと言う事は、大塚にも後で話を聞く必要があるか。 そんな事を考えながら、男の視線は文章のある一点を捉えたままである。
<アガツマ>
その姓を持つペルソナ使いを、男は一人しか知らない。 この<アガツマ>が、友である我妻峰人、その人であるかどうかの確証はまだない。 だが同時に、友ではないという確証も―――――ない]
(192) 2015/02/18(Wed) 23時半頃
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………直接確かめたいところだが、その前に。
[携帯端末に触れれば、画面は一番最初に花河あかりより受け取ったメールへ。 そして本文を転送状態にし、宛先を入力した]
(193) 2015/02/18(Wed) 23時半頃
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------------------------------------------------ From:秋山五郎 To:五老海 敢 Title:Fw:緊急
>リツキくんの正体はシャドウ。 >接触するときは気をつけて下さい。
>詳細は後ほど話します。
だ、そうだ。 ------------------------------------------------
(194) 2015/02/18(Wed) 23時半頃
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[メールを打ち終えると同時に、端末が震えだす。 画面を見れば未読が二件。 一人は馨一、そしてもう一人は――――…]
ありがとうございました……?
[そのタイトルが目を引いて、男はその中身を見るために指に触れた]*
(196) 2015/02/18(Wed) 23時半頃
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…………。
[メール>>108の意図を、はかりかねた。 確かめるように読み始めた二度目で、ようやく単語のひとつひとつがどれに繋がっているのか、少しだけ分かるようになる。 それでも、その全容は測れない]
満月の日に、お兄さんに会う。 だから、大丈夫?
保護者ができるから、心配するなということか?
[何が大丈夫だというのだろう。 力を持つ人間でさえ苦難する、あの満月の日で。 心配する必要がない程に、安全なものなど無いとこの間知ったばかりではないのか]
(214) 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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お兄さん……
[嫌な予感がする。 合っているとは思いたくないが、それならば辻褄が合ってしまう。 まさか忠告された人物に、 自ら会いに行ってしまうなど、そんな事が――――…]
………………
[無言のまま、男は携帯端末に触れる。 そして返信を選択し、本文に一行だけ、文章を打ち込み、送信した]
(215) 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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------------------------------------------------ To:下部 翔子 Title:(no title)
お兄さんは、「リツキくん」?
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(218) 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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[返信がなければ、確信を持っていいだろう。 返信が返っても、その内容如何では……
違ってほしいと願いながら、頭の中では警鐘が鳴り響く。 明滅する端末で、未読がある事を思い出せば、少しだけ和らいだだろうか。
もう一つのメール>>171に目を通し、文章を送信する]*
(225) 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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------------------------------------------------ To:賀来 馨一 Title:それならよかった。
安否を知りたかった。 それから、東部探索の仔細が知りたい。
今何処にいる? ------------------------------------------------
(226) 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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[東部の仔細を知りたいのなら、真弓に聞いても良かっただろう。 実際、その考えは男の中にあった。
けれど、先程メールを送った少女が、その名について口にした光景が、何故か過ったのだ]
……人になったシャドウを探す 高屋敷真弓との、面識……
[なぜ、彼女の名前が出たのか。 あの時はそこまで聞く事ができずにいた。 あまりにも唐突過ぎて、男の中で理解することを避けていたのだろうか。
たしかあの時は、「翔子と一緒に話した時が初めてだ」と返した気がする。 なんて答えが返ったのだったか。 少なくとも、今更になってこんなことを考える程度には、取り留めのない返事だったかもしれない]
(270) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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何かに気づいていたのか……?
[赤に翅を染めた蝶が、少女の内へ返る>>2:24のを男は見た。 そして、その赤い蝶に、言い知れぬ不安を男は感じていた。
その直ぐ後だったか。 翔子が逃げるように駆け出したのは。 家に帰ると、その胸の恐怖を零していたのは。
ピースがはまるような感覚を覚えながら、出かけるための服に着替えた時、再び端末が震える]
…………確定、か
[差出人は、ひめぎしょうこ。 その文からは、少女の全てを拾う事など、男には当然できないのだけれど。
あの時、男が願った想いに似た悲痛さを感じて、打ちかけた文章は、途中で止まった]
(271) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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生きてほしいと願うのは、俺の単なるエゴ、だからなぁ……
[もう二度と、失いたくないのだと。 切に願い、後を追いかけた。
守りたい命を。 守れたはずの命を。 失う悲しみを、苦しみを、その寂しさを もう二度と、味わいたくないのだと。
けれど、そのどれもこれも、全て、男の身勝手なわがまま。 いつかに空いた、心の穴を埋める為に、 男が無意識に求めてしまった、過去の幻影。
あの少女には何ら関係のない、男自身のエゴ]
(272) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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あの子の苦しみも、悲しみも、こんな俺じゃきっと埋めてやれない
[男もまた、求める者だから。 だからきっと、与える者にはなれないのだろう。 そうだとしても、それでも―――…
自嘲的な笑みを浮かべながら、男は再び端末を手に取る。 応じられる可能性は、きっと低い。 けれど、今の男が出来る事は、およそこれくらいしかなかった]
(273) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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------------------------------------------------ To:ひめぎ しょうこ Title:わかった。
誰にも言わない。
その代わり、君と話がしたい。 君が、いなくなってしまう前に。 だから、場所を教えてくれないか?
満月の日に、どこで会うのかを。 ------------------------------------------------
(274) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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[一部を埋めてくれた友は、シャドウの手によって奪われた。 その穴は、今は怒りで埋められている。
翔子を見送れば、穴は更に拡がるのだろか。 目の前で失われてゆく、あの歯痒さを、味わうのだろうか]
…………嫌だな。
[男の呟きに呼応するように、携帯端末が震える。 差出人は賀来馨一。場所を確認すれば祟神神社の方らしい。 男の自宅は西部にあるため、神社からはかなり遠い。 自転車で向かうには流石に距離がある。
手早く返事を打ち込むと、車のキーを持って自宅を後にした]
(275) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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------------------------------------------------ To:賀来馨一 Title:わかった。
自宅だ。そこからだと距離がある。 中心部に出てこれるか?
Cafe "fleur-de-lune"で待ち合わせよう。 ------------------------------------------------
(276) 2015/02/19(Thu) 05時頃
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― 中心部・"fleur-de-lune" ―
[カフェで無事落ち合う事ができたなら、予定通り仔細を問うだろう
雛宮律の父親らしきシャドウ>>2:378>>61がいた事や、巨大な犬のシャドウ>>2:414に襲われたこと。 そして、その間に楠と大塚に何かがあっただろう事。 先程の神社でも何かあったのであれば、それについても聞けただろうか。
逆に此方の事を聞かれれば、仔細はあかりと智晶任せにし。 安否を問うた理由を尋ねられると、少しだけ難しい顔をした。 それでも、幻覚をみた事を掻い摘んで説明し、合間に山らしきものが見えたことと、蝶が変じたカードが"塔"を形取っていた事を説明したか。
まあ、幻覚を見たあたりの話は、恐らくまともに取られはしない気もしているが。さて]
(277) 2015/02/19(Thu) 10時半頃
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[幾らか話をした後、遅い時間ならば車で送ったか。 夕も過ぎるくらいであったなら、食事も奢ったかもしれない。
そうして再び独りになった時、男は何を思うのか。
傍らの蝶は何も語らない。何も示さない。
ただ、そこに"あるだけ"]*
(278) 2015/02/19(Thu) 10時半頃
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------------------------------------------------ To:ひめぎ しょうこ Title:(no title)
待っていてくれ。
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(306) 2015/02/19(Thu) 20時頃
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― 自宅 ―
――……。
[翔子から帰ってきたメールに、一言だけ乗せて返す。
知りたいことは知れなかった。 だが、会うことはできるようだ。
けれど、会って何を話せばいいだろう。
話したいと思ったのは、本当だ。 なのに、どうしたらいいのか 何を言葉にしたらいいのか、わからない]
(307) 2015/02/19(Thu) 20時頃
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………ふ、 赤ん坊か 俺は
[扉を開ければ、上着を乱雑に机へと脱ぎ捨てた。 そのまま着替えも用意せず、脱衣所へ向かう。
今はただ、頭を冷やしたかった]*
(308) 2015/02/19(Thu) 20時頃
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― 大晦日・翔子宅 ―
[12時よりも幾らか前、鎮まりゆく住宅の扉の一つに、男はいた。 あれからずっと考えていたが、結局最初に切り出す言葉も見つからないまま、今に至る]
……――。
[中から、人の気配がする。 二回目の満月の時から、 こういった感覚は少し鋭くなった気がした。
布擦れの音すら響く静寂の中、 特に動くわけではない、その気配に安堵して。
男は、天岩戸を叩いた]*
(309) 2015/02/19(Thu) 20時頃
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― 翔子の家 ―
[岩戸は苦なく開かれて、誘われるまま中へと入る。 整頓されたリビングに少女の思いを垣間見て、口に仕掛けた言葉を飲み込む]
すぐと言うわけでは、ない。 出来ればそうでなければいいと、思っていた。
[――――意味はなかったが。 告げる必要のない言葉を飲み込んで、呟きに応える。 本当に、そうでなかったらどんなに良かっただろうか]
(333) 2015/02/19(Thu) 22時頃
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そうだな。 お前に対して、悪意はないだろう。 花河から俺へ来たメールには、お前の事を気にかけていたようだと、書いてあったからな。
[そう。恐らく「リツキ」は、翔子に対して悪意は無いだろう。 だが、悪意が無いからといって、危害を加えないという事にはならない。 目の前の少女はきっと、そういった考えには至らないのだろうけれど]
(336) 2015/02/19(Thu) 22時頃
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シャドウの中にも言葉を介せる者、 思考を持つ者がいる事は、理解した。 お前が「リツキ」を理解した上で、一緒にいたいというのなら、 俺は……止める言葉を、恐らく持たないのだろう。
[言葉にする度に、自分の無力さを感じる。 力づくで引き止める事は出来ても、それは少女の拒絶を強めるだけ。
過去の記憶が男の脳裏を掠め、視界が歪むような気がした。 振り払うようにゆっくりと頭を振り、詰まる息を吐き出して、どうにか次の言葉を告げる]
(338) 2015/02/19(Thu) 22時頃
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だが、一つ聞きたい。 一緒にいてくれるとは、どういう事か説明してくれたのか? どうやって共に居られるのか、そういった話はしたのか?
[男は、それが気がかりだった。
「リツキ」は、少なくともペルソナ使いに対して、 人に対して、その力を振るう事に迷いはないように思える。 それはメールに書かれていた、<アガツマ>という人物を害した可能性を示唆された時点で明白だった。
目の前の少女が、甘言に惑わされている可能性を。 守りたい命を奪い去ってゆく可能性を。 否定出来ないからこそ、男は翔子の言葉に賛同出来ないのだ]
(339) 2015/02/19(Thu) 22時頃
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[景色が赤に、黒に、染まってゆく。 胸の傷がじくりと、滲むように痛みを発した。 去りゆく少女を追いかけたいのに、胸の痛みが、苦しみが、それを遮る]
………っ、待て…… 翔子―――…!!
[伸ばされた腕は、手は、その指は。 決して少女に届くこと無く、空を切る。
後に残されたのは、キィと音を立て揺れる戸があるだけだった]*
(340) 2015/02/19(Thu) 22時頃
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ようやく…はじまる…わたしのじかん…
えものはとなり…ちゃんすはいっぱい…
さぁ…はやくあそびたいな…
ね…
ああ…は…で…たのしいな…
…が…られるのはとてもとても…しいこと…
だから…は…を…み…ねなくてはね…
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― 祟神市・北部 ―
くそ、ッ………!!
[胸に違和感を覚えたまま、翔子の家を飛び出す。 辺りはすっかり赤に彩られ、物の、己の形作る影に歪さを感じて、吐き気を覚えた。
違和感を覚える箇所を、服の上から触れる。 追う手を遮らせた胸の傷は、ペルソナを使っても、何故か癒やす事は出来なかった。 だが、痛みを感じたのは、街が赤に染まりゆく間だけで、完全に海と交じってからは、痛みは完全に消えてしまっている]
……一体なんなんだ。 俺は、俺は………
[吐き気が強くなり、眉を顰め、胸元を服ごと抑える。 自身に対しての違和感も気になるが、今はそれよりも去った翔子の事が優先だった。 ゆっくりと息を吐き、徐々に呼吸を整えると、手元のカードを握り潰す。
その柄は――――――]W『節制』]
(381) 2015/02/19(Thu) 23時頃
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あの時のように、全てを俺に伝えてくれ。
そして教えてくれ。 翔子の居場所を。「リツキ」の居場所を。
[祈るように、その瞼を閉じる。 既にその手にはないものを握りしめ、胸へと押し当てた。 手の触れた箇所から熱を帯び、男の背後に現れた女神もまた、その瞳を閉じる。 そしてその両の手を拡げると虹色の衣が光りだし、背の羽根を羽撃くように揺らした瞬間、その色が粒子となって拡散してゆく。
感じ取れる者は、遠くなければ鮮明に、遠ければ朧気に、感じ取る事が出来るだろうか。 また同時に男の方も、感じる者の気配を感じ取る事が出来るだろう。
傍らの蝶が、その羽根を青く染め、男の肩に佇む]*
(382) 2015/02/19(Thu) 23時頃
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|
[粒子の拡がりは、小学校の周辺まで及んだか。 或いはビルの周辺まで及んだだろう。
頭の中に響くのは、怨嗟の、苦痛の、憤懣の声。 けれどその中で、吐き気がするほどの異質な存在を二つ。 そして、目的の人物の場所を示すように、男の側にいる蝶が、その燐光を強め、空へ登った]
………そこに、いるのか。
[あの時と同じ様に、蝶が男を導く。 けれど、あの時のように悠長はしていられない]
(421) 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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[イーリスは虹の女神。 そして、ハルピュイアの姉ともされる。 ならばその風の加護を、姉が受けていない訳がない。
虹色の光が衣へ返れば、 その羽根を打ち鳴らし、男の身体に加護を与える。 重力のかかる身体が、解き放たれたように、自由を感じた]
(422) 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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|
[蝶が示す場所は、そう遠くはないと感じる。 異質な存在の一つは、示された場所に居るのも知れた。 けれど時間は確実に過ぎてゆく。 男が場所を定めたように、上空を回る鴉が、此方へ気づいたのだろう。
ひとつ、ふたつ―――… 獲物を見つけたと言うように、近づいてくるのが分かった]
追いつかれる訳には、いかない……っ
(425) 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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|
[背後から迫り来る気配を感じながら、男は駆け出す。 けれど風と共にある鳥と、地を駆ける人と、その速さは比べるまでもなかった。
少しずつ、少しずつ、その距離は縮まってゆく。 一匹が男を追い詰める中、もう一匹がその翼を打ち、6本もの羽根を飛ばす。 それは刃のように男の肩を裂き、腕を刺し、行く手を阻むように地へと突き刺さった]
―――――っな、
[扱い切れぬ身体が、遮りに惑わされ、地を滑る。 強かに地面へと打ち付け、立ち上がる頃には、鴉は男の目の前まで迫っていた]*
(426) 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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…は…ちゃんにしてあるけど…は…どうだろう…
…は…と…じにしてある…
そうだね…はここで…ちといて…わないと…うな…
じゃあ…もそれなりのところにしておこう…
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っ、こいつ……小学校の奴のか
[感じる気配は、目的地のソレに酷似していた。 男が体勢を立て直すのと同時に、鴉たちも戦闘態勢に入る。 先程のはあくまで威嚇、らしい]
面倒くさい………俺の邪魔を、するな……
[男の瞳に、炎が揺らめく。 虹色の布が男を守るように取り巻いた後、女神と共に消え失せ、現れたのは獅子の顔を持つ奇形獣。 威嚇するように低く唸り、男と鴉の間を遮るようにその身体をねじ込んだ。
互いに睨み合うように膠着を続ける。
だが、先に口火を切ったのは鴉の方だった。 鋭い嘴を構え、男の身体を喰らわんと飛びかかる]
(454) 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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――――――行け! あれが貴様の餌だ!!
[男の叫びと共に、獣が地を蹴り、空へ飛ぶ。 迫りくる二匹の内、一匹がその躰を獣の牙に食い破られ、口より掃き出される炎で蒸発した。 だが、もう一匹は獣の妨害を受けること無く、男の身体へと迫る。
けれど、男は一歩たりとも動かない。 その炎揺らめく瞳で、じっと鴉を見つめている。
そして、鴉の嘴が男の肩口へ突き刺さった、その時――――]
(455) 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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[虹色の布が、再び男の身体を取り巻くように現れる。 嘴は男の肩へと刺さっていたが、布が、奥まで辿り着かせまいと揺れる。
傷が浅い事に気づいた鴉が、 距離を取るためその身を引こうとした時には、既に遅く。
刺さる肩とは別の腕が、その身体を、翼を、捉えていた]
(456) 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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邪魔をするなと、言ったはずだ……
[鴉の翼を握りしめ、その躰を地面へと引き倒す。 地面へと打ち付けた時、掌に骨の砕けるような音が伝わったが、鴉が未だ動きを見せれば、再び翼を持って振り上げ、打ち下ろした。
何度も、何度も、何度も、何度も
その骨が砕け、躰が曲がり、とうとう翼がもげても、男の怒りは止まなかった。 最後に、地面に伏す鴉の頭をその踵で踏み砕くまで]
(457) 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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…………終わったか
[踏み砕いた鴉が、霧となって消えてゆくのを確認すると、再びその手に『節制』のカードを握り、女神を呼び出す。 再び加護を纏わせて、目的地への道を辿る。
一度獣をを呼びだしたせいで、男の感応は鈍りを見せていた。 少女の身が、まさに危機に瀕していた>>432事が、朧気にしか気づけずに]
(458) 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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― 北部・祟神北小学校前 ―
[朧気に感じられる気配が、近づくにつれ鮮明になってゆく。 そして、鮮明になればなるほど、その生命が消えかけているのがわかって…
男の視界が、ぐらりと揺れる。 過去の幻影が、男を追い立てるように、その視界を赤く染める]
――――――ッ、
[揺れる視界を、幻影を、振り払うように頭を横に振った。 崩れかけた体勢を直し、息を切らせ、目的の場所へと向かう。
目の前に小学校の門が見え、そこにある人影を視認した時]
(470) 2015/02/20(Fri) 02時頃
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[男の傍らに寄り添う蝶が、砕け散った]
(471) 2015/02/20(Fri) 02時頃
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キサマアアアアアア!!!!
[およそ人の喉より紡がれる音とは思えない、 獣の咆哮の如き声をあげ、男はリツキへと襲いかかる。 その背には、三叉戟を構え、貫かんとする、羅刹の形相をした甲冑姿の男のペルソナが。
そして三叉戟は男の手を離れ、真っ直ぐにリツキへと放たれた]
(476) 2015/02/20(Fri) 02時半頃
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邪魔するな、だと……
[どの口が、それを言う]
……貴様こそ、邪魔をするな
[今の惨状を引き起こしたのは、他でもない]
これ以上俺から、俺から………
(487) 2015/02/20(Fri) 03時頃
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―――大切なモノを奪っていくな!!
[貴様のくせに――――!]
(488) 2015/02/20(Fri) 03時頃
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[男はその手に短刀を構え、加護の残る足でリツキへと迫る。 背後のペルソナは、落とされた三叉戟を手元へ引き寄せ、再び構えた。
振り下ろされる三叉戟は地面を撃ち、周囲に衝撃の波を伝える。
それに合わせて、男は地を蹴り、 その顔面へと短刀を突き立てようとした]
(489) 2015/02/20(Fri) 03時頃
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が…わったら…きっと…
たくさんの…の…が…ちるのだろうね…
…に…まれた…と…
…んだ…の…を…どれだけ…ることが…るのか…
それは…するだに…しい…のだけれど…
その…に…
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[短刀がリツキの身に届くことはなく、代わりに戟を落とした白い猿の腹を裂いてゆく。 裂いた腹から黒い霧が散り、男の視界を遮った。 掻き分け、空く手で掴もうとするも、既にそこに姿はなく。
リツキの言葉が、男の身に突き刺さる]
なら、翔子は…… 影ではない、翔子は……何処へ行くと言うんだ……
[遠ざかってゆく姿を追う事ができない。 此処とは違う、赤の世界で横たわる姿を見た時から、己の無力さなど、男が一番良く知っていた。
けれど、それでも守りたかったのだ。
なにがあっても どんなことをしても
守りたかったはずのに――――…]
(498) 2015/02/20(Fri) 05時頃
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………―――。
[アスファルトに崩れ落ちる身体を、その腕で支え、抱きしめる。
昔に出来なかった、その後悔を重ねるように。 公園で会った時、してやりたかった事をするように。
今もなお、流れる涙を止める手段すらなく。 せめても指で拭って、頬を流れ落ちるのを防ぐだけ。
虹の女神が、その頬を撫で、癒しの術をかけても、腕の中の少女の動きは変わらない。 少女自身である月塞の気配も、感じ取れない。
男がしてやれる手立てなど、なにもない]
(499) 2015/02/20(Fri) 05時頃
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無理矢理にでも、引き止めればよかった……
[いつかにした後悔を、今もまた、男は変わらず、し続ける。
同じ過去を、何度も繰り返す。
妹を、友を、そして妹によく似た少女を、 こうして守る事も出来ず、ただ見送るしかない。
男は、無力だ]
(500) 2015/02/20(Fri) 05時頃
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―――………。
[腕の中の温もりを失わないように、きつく、強く、抱きしめる。
少女の涙に引きずられるように、 男の目尻から、銀の雫が、頬を伝った]*
(501) 2015/02/20(Fri) 05時頃
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