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64 さよならのひとつまえ
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―自室―
あれ。
[おはよーおれだってたまには時間通りに起きるんだよ! と部屋を出た時には居たベッドに、人影がない。 どっか出てんのかな、と荷物を置いてから、茶封筒を手に取る]
……昼過ぎ?
[早いだろうか。時計を見て、手を止め。 枕元に置き直すと、上に先ほどの桜を載せ。 一段落する頃にはいい時間になるだろう、とカバンから編み物を引っ張りだして、輪を紡ぎ始める。 昨夜、おかえりとだけ返して、見せられなかった手元の続きを。]
(105) 2014/03/29(Sat) 22時頃
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─回想・食堂─
忘れ物取りに来たんじゃねーのかよとっとと行けよばーか。 それとも今日も寮に残るつもりかよばーか。
[何年ぶんの「バカ」を口にしただろう。食堂のドアが閉まり、十文字がいなくなっても締坂は突っ伏したままで。]
(106) 2014/03/29(Sat) 22時頃
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―自室― [ようやっとベッドから顔が離れたのは昼になる少し前だ。片付けをしろ、と同室者からのメールが入ったので。「はい。」と1人返事をして荷物のまとめをまた始める。 必要なもの、不要なもの、必要なもの…この本はどうしよう? 小鳥谷から貰った本は少し悩んで持ち帰りの鞄に入れて。 明日出て行くのは那由多と成斗だ。今日もまた朔太郎は何か見送りの企画を考えているのだろうか。]
…寄せ書き見てねえな。
[怒られるのを見越してもう消されてしまっているかもしれない。お腹も空いた。コンビニにでも行こうか、ツナマヨついでに昼食も買えばいい、その時に校庭も少し覗いて…、]
…っしゃ。
[プランを決めて気合を入れる声を1人あげると自室を出る。寮を出る前に、怜二の部屋を少し覗いてみた。空っぽだった。]
(107) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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……………
[食堂が、静寂に、包まれて。締坂は口を開く。]
ばーかばーか。でも、一番バカなのは、
(108) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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…………馬鹿なのは、俺なんだけどな。
[自室に、こだまする、声。]
─自室・現在─
(109) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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…
…
…
…の…たけど
…っぽだし…も
…
ちゃんと…と…
…ってった…
じゅ…もんじ…
…しめさか…
…
…
にきまってんだろ…ばか…
しあわせになんね…と…こそ…だからな
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メール送信、しゅーりょー。
[締坂は立ち上がろうとすると、何か思い出したかのように。]
…………あ。
(110) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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ひもいや…
…しめさか…
…の…
…
…り…たできたみたい…
また…じゃね…んだ…その…
でも…その…ちょ…してた…また…したいってさ…
また…ってやってくれよな…
…も…と…したいし…
ほいじゃ…で…
ドナルドは、ふと携帯を手に取る。
2014/03/29(Sat) 22時半頃
…もいい…れたか…
…
もしいいのがあったら…の…と…わせて…か…えね…かな…
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[廊下でぼんやりと、満開に近づいていく桜を見つめる。花が開き切る前に、その時がやってきた。 成斗と同室の、最後の一日だ。]
(こんな顔してちゃ、駄目だよな)
[パン、と両手で頬を叩く。 気合を入れる。きっとこんな顔をしてたら心配するから。 優しいから自分のことを放ってでも、他人の心配をしてしまうだろうから。]
(111) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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おけ。
[送信と同時に来るメール。]
…………早ぇよ、返信。 俺は、ガキンチョか。がってむ。
[まだ歯を磨かなかった理由は、まだあの味を忘れたくなかったから。ちょっと塩辛い、ケーキの味を。]
(112) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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[絡み合わせた約束の小指>>+51は、まだその感触を覚えている。 軽く唇を寄せながら、なんだこの乙女はと、自身にツッコミをいれた。 実際、8月24日は、乙女座になるのだが。
腕には、昨夜からずっと、ネイビーブルーのリストバンドがつけっぱなしで、ジャージの袖から除く覗くそれを見るたび、十文字のことが思い出せた。]
あっ。
[そこにひとひら、淡い桃色の花弁が舞い落ちた。 髪の毛にでもついていただろうそれをつまみ上げ、目を細める。 あいつの、黒い髪にも、もしかしたらついていたりしないだろうかと……
……肝心の、校庭の文字を消すのを忘れていたことを思い出すのは、もう少しだけ後になる。]
(113) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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[カチカチとメールを打ちながら玄関に向けて歩いていると、おい見たか、と呼び止められる。首を傾げると校庭の、と言葉が加えられて緩く眉を寄せた。 多分寄せ書きの事だな、というのはすぐにわかって、この声音は良くない噂を面白がる時のものだ。]
ん………興味ねえし。
[どの寄せ書きが好奇の目に引っかかってしまったのかはわからないけれど、自分達がやっていたことを他の誰かに馬鹿にされるのは嫌な気分だ。 話し続けようとする寮生の声を遮って携帯に視線を落とす。見ないのか?と囃したてられて余計に嫌な気分になる。そんな風に言われた後じゃ、もう寄せ書きを見に行けない。]
……お前らみたいに、暇じゃねんだよ。
[女か?と皮肉混じりに聞かれてそーだよ。と短く返す。本当はメールの相手は怜二だったのだけれど。尚も何か皮肉を続ける生徒を無視して寮の外へと出る。こういうのは耳に入れないのが一番なのだ。]
(114) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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― 自室 ―
あれ、おかえり。 ってまたそんなことやって。 あと半分片付かないと、出掛けられないじゃん。
[自室に戻れば、また何かを作っている背中が見えた。>>105 時刻は昼前くらいか。丞からのメールを思い出す。連れて行くなら今日しかなくなってしまった。]
なーに作ってんのさ。 ここ出てからだって作れるだろ。
[ひょいとその手元を覗き込もうと近づいたが、作っているものは見えただろうか。 そういえば、季節外れの手袋はどうなったか。]
(115) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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そっけねーの。ちぇっ。
[もう一通の返信を見ては舌打ちして。普段は素っ気ない所とのギャップがいいんだけれども。]
(116) 2014/03/29(Sat) 22時半頃
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トレイルは、ドナルドに言ってから、部屋の最期の荷物も片付いていることに気づいた。
2014/03/29(Sat) 23時頃
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あ。入江に返さねーと!このタオルハンカチ!
[ずっと借りっぱなしになっていたタオルハンカチ(マスコットのイラスト刺繍)。 締坂は頭を掻きながら洗面所にタオルハンカチを洗濯しにいく。]
(117) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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…
…は…
…
…こっちあん
の…なもんだ
と…ってたのに…
…
…
…
…
…めねえの…
じゃあしく…
あけといて…
こわくて…く…ね
えっつの…く…は
…だ…ねばもろと
も…
お…がえろほん…
んでんの…たことあ
んの…われたの
でちょっと…けた
…い…
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…あれっ? 目ぇ間違えた?
[毛糸がすこし引き攣れてる気がして、慌てて編んだ分を広げて目を通す。 普段なら、ないわ今更そんなミス、と気にも留めないところだけど。 平常心でないことは、よくよくわかっているわけで]
おー、ただいまー。 それは、明日持ってくヤツだから出かけられるぜ。 荷物があるってーと心配かけちまうルームメイトですまねーな、おかーさん。
[網目を数えながら応える。 いち、に、とそれに集中していたから、声が近づいてきたことに気づかなくて]
んー…ここ出てからじゃ遅いん、だっ!?
[覗きこむ顔に、咄嗟に手が伸びる。 わずか点々と鬱血の痕が残るだけの右手には、もう手袋がないから。 目隠しが成功したなら、すこしハンドクリームの匂いがする手のひらが、ぺたりと彼の目元を覆うことになる]
(118) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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……携帯買い換え時かもしんね。
[文字数が辛い、と呟いて。寮の外の景色、落ちてくる淡い桜の花弁に瞳を細めた。春だ。開ききってはいないけれどあの花見の日よりは町も大分華やかな景色になって。こんな色のこの町とも、もう少しでお別れなのだ。 コンビニに入って、昼ご飯を選ぶ。今しがた入ってきたメールを見て、屋根裏を覗こうという気になったので手軽に食べれるおにぎりをチョイスした。ツナマヨも忘れない。それから、
期間限定さくらシュー、というものを見つけてそれも買ってみる。花より団子、花見にスイーツ。なんとなく、元同室者を思い出してのお土産だ。]
…ちょ、これ。 さくらシューなのに裏見たらいちご味とか書いてるし。
[色は同じだけど!そんなツッコミを1人で入れて。またカチカチとメールを打ちながら寮へと戻った。]
(119) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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―ゴミ捨て場―
[最後のごみ袋が軌跡を描き。 ぽさりと、他の袋に飲み込まれていく。]
ほい、おしまい。
[あれだけ手こずっていたのに、いざ片付け始めるとあっけないものだった。 あとはボストンバック一つ持って、旅立つだけ。 三年間が終わり、今度は四年間が始まる。 ただそれだけ。]
…全然違うな。
[今更ながらに思い知る。]
(120) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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…
…みやげ
…
…て…ってる
…い…したから
…
あ…なるとの…れ
た…だまって…うか
…けあって…
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― 朝 ― [目が覚めたのは、放送>>2の後。 マイクの音が切れる、ぷつ、という音で起きた。
泣いたまま寝た所為か、目がごろごろする。 頭も、重い。 泣き声は押し殺した筈なのに、大声で騒いだ時よりも喉が痛い。]
たまちゃん、おはよ。 ……水、取ってぇ。
[少し掠れた声で、冷蔵庫はそっちが近いからと環に頼む。 起きているのかは分からないが、いる気配>>60はしていた。]
(121) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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あとさ。昨日はごめん。
[出迎える挨拶>>59をくれたのに、無視してしまった。 寝る前と目覚めた時の挨拶をする、という自分のルールも破ってしまった。 だから、ポツと謝る。]
なあ、今日は誰が呼び出されたー?
[放送は聞いていなかった為、確認するように聞いてからメールを確認する。 返事をしないままのメールがいくつかあったと、布団の中でぽちぽち返事を打つ。]
(122) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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[自習室には、どれくらい隠っていたろう。 とりあえず顔色が平常に戻ったら、いつもより遅い朝食を食べに行こうと思ってはいるのだが。
床に三角座りしたままスマホを弄り、月と、猫と、桜と、そしてミットの絵の画像を繰り返し表示させては、にやける口元と手で覆う。 我ながらなかなか気持ち悪い。 もしこんなところを十文字に見られていたら、嫌われていたかもしれない……などと思い、ホッと安堵の溜息をつきもした。
放送>>2を聞いたのは、その頃。 付け加えられた言葉が、昨日の屋上での出来事だということは、容易に想像できた。
……彼らは大丈夫だろうかと、僅かに目を伏せた。]
(123) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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…
…なんだ
…
…すんならもらっと
けばよかったかも…
…で…に…こ
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[コンビニ袋を持って食堂へ向かおうと寮の入口をくぐる。視界の端に放物線を描くあれはごみ袋。一度足を止めて。]
なーゆたー!
…片付け、それで最後?
[声を掛ける。]
(124) 2014/03/29(Sat) 23時半頃
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[袋を片手に歩く利一に>>124「よっ」と片手を挙げると、小さく頷く。]
ああ。これでありすに蹴られなくてすむ。
[一度振り返り、不要とされたゴミの山を見上げた。 今日の放送を利一は聞いていていただろうか。]
一足先に行くわ。利一も元気で。
[最後にお前にシャンプーしてもらえなかったのが、心残りだなと。 小さく笑って。]
(125) 2014/03/29(Sat) 23時半頃
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[残りの片づけは順調らしい。>>118ホッとするより先に、気持ちがざわつくのを隠すように近づいて。
覗き込む前に、目の前が真っ暗になった。]
わ、ちょ、何す……ん? なんかつけてる?
[大きな手に覆われた下で瞬けば、微かなハンドクリームの匂いに気づいた。一年一緒に居たのだ、ハンドクリームをつける習慣がないのは知っている。 手探りで目元を覆われた指先に手を重ねるように触れてみる。 撫でるように肌を辿れば、微かに残る瘡蓋くらいには気づけたか。]
(126) 2014/03/29(Sat) 23時半頃
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