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78 わかば荘の薔薇色の日常
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…
…へと…っていく…の…
…こえなくなってから…
…いでいた…に…そっと…を…し…けた…
…おかげで…が…くて…しの…れなかった…
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[朝起きれば、雨のか細い音が小さく聞こえている。 昔から、何かイベントごとがあると雨が降っていたように思う。 運動会を中止にした回数、修学旅行は殆どが雨季。 五年前のあの日も、二年前のあの日も。 こんな風に細い雨が降っていた。
随分と睡眠をとったからだろう 身体は幾分楽になり、熱は収まったようだ。 咳も出ていなかったし、そもそも風邪ではなかったのだろう。 もう動いても怒られまいと、オレは布団から身を起こす。 まさか、替わりに風邪を引いているヤツがいるなんて知る由もない。
ぬるくなった冷えぺたを剥いで顔を洗う。 歯を磨いて、シャワーも浴びて、真っ黒に着替えて。 手には常温と化した桃味ゼリーを携えて。 ごつごつと鈍いエンジニアブーツが、階下へと降りていく。]
(66) 2014/06/30(Mon) 08時頃
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─105号室─
……たっ …達久。
[105号室のドアの前。 昨夜、誤魔化した『明日』に返ってきた言葉を(>>53) 鵜呑みにして、起こしに来てしまった。
永利の時の様に、けれど控えめに足でノックする。 反応はあったんだかなかったんだか。 昨日は珍しい時間帯から仕事のようだったし オレとのこともあったしできっと疲れているだろう。 まだ眠るというようなら、或いは反応がないなら また後で来ようとだけ決めて。]
(67) 2014/06/30(Mon) 08時半頃
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あ…のな…
…さんと…その…
…して…く…る…たい…
…それはとても…いことだ…
つらくて…しいに…いない…
それでも…いきたい…から…
…お…の…に…いきたい…っちゃん…
…にぺたりと…を…える…
こんな…は…ましくて…いんだと…う…
…きな…が…いる…
…さんが…ずっと…きで…
…に…かれていて…
…の…にはずっと…かがいて…
…は…えてもいいと…ってくれる…
…しい…に…り…えるんだろう…
…が…いたって…が…たって…きっとそう…う…
…だって…そう…ってる…
…に…くて…ましい…
|
[自室に戻ると昼間から放置されていたケーキの箱がある。 やってしまった、これは食べれるんだろうか。 頭を抱えながら部屋の冷蔵庫に取りあえず入れる。 それから香ばしい匂いを落とすためにシャワーを浴び、 こっちもすっかり忘れていた新しいピアスホールをケアして ベッドにダイヴした。
色々あったことを反芻する前に、意識は沈む。
次に気がつくのは、扉を蹴る音が聞こえたとき。 どんなに疲れていても気配には敏感でそれは 眠りの浅い野良犬のよう]
(68) 2014/06/30(Mon) 09時頃
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おう、はよー。
[本当に起こしにきた、それがまず一歩。 聞こえるフランクの名前にああ、と続けて返事をして
だからそのあとに続いた言葉はよく解らなかった。 好いとう?なのはフランクだろ。 間違えんじゃねーよ、寝ぼけてんのか。
寝ぼけているのは自分なのか?]
(69) 2014/06/30(Mon) 09時頃
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[そんなこと男から言われるのは当然はじめてで、 これがもし女の子からなら笑って 俺は危険な男だからねーと軽くかわせた。 実際そう言うことも何回かあった、これでもな]
そりゃ、ありがとよ。
[信也がゲイなのは知っていて、ただその意識は フランクだけのものだと思い込んでいたから、 急にそんなこと言われても理解が追い付かない]
もっかいねるから、起こし来い。 入ってきていいし。
[フランクと話すならそれくらいの時間は確保できるはずだろう。 そうでなくてもまだよくわからん**]
(70) 2014/06/30(Mon) 09時頃
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ぽつり…とした…
…についた…を…し…ぎゅっと…りこんだ…
…げない…ために…
…こえてないと…っていた…
…きないと…っていたから…
…それでも…しにしか…えずいたのに…
…
…
|
ぅおっ あっ、は、 は、よ ……っ!
[起きると思わなかったし、聞こえていると思っていなかったから ひっくり返って妙ちきりんな声が上がってしまった。
───『友達』としてだから。
そんな風に謂えなくなった場所。 オレンジ色の海を泳ぐ魚は、はくはくと唇を動かして。 まるきり動揺を隠せないまま、視線が漂う。]
やっ、あの、あ、うん。 えと… そ、の。
[きゅうと眉根が寄る。]
(71) 2014/06/30(Mon) 09時半頃
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……あと、で 来るっちゃ。
[ちゃんと話さなくちゃいけないだろう。 こんな曖昧で汚くて醜いオレを、受け入れてもらえるか判らない。 次こそ見捨てられてしまうかもしれない。
それでも、逃げちゃだめなんだと
逃げたくない、と、思うから。]
オレ、も。 ありがとう、……達久。
[『逃げたくない』なんて、きっと 数日前のオレなら、思いもしなかったのに。 小さく礼を告げてから、オレは談話室へと向かった。 起こしに来いという約束を、胸に*]
(72) 2014/06/30(Mon) 09時半頃
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─談話室─
[料理を全くしないオレは、珍しくキッチンに立っていた。 目当てのものがコンロに置き去りなのを見れば、再度くつくつと火にかけて冷めるのを待った。
この季節、何度も加熱されて放置された卵粥は…2 (1.少しすっぱい/2.軽い刺激臭/3.小さなカビが浮いてる) だったが、椀によそって全部食いきってやった。 誰かに食べられるのも嫌だし、捨てたくなかったから。 掬って口に入れて飲み込んでを、ゆっくりの時間をかけて繰り返した。
それから桃ゼリーを冷蔵庫にしまう。 本当は卵粥の後に食べるつもりだったが 拒食に等しいほどの小食のせいか、卵粥のテイストのせいか あるいは先ほどの達久との会話を思い出したせいか、胸がいっぱいな感じがして。 『Shin』と小さく主張したそれは、紙袋の隣へ。 道菅はどうやらミッションを達成してくれていたらしい(>>419) メモまで律儀に残っているが(>>420) シンプルは甘い方と、カレーの方、どっちを食べるんだろうかと 先に一つ減るのを待つことにした。]
(73) 2014/06/30(Mon) 09時半頃
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─ 201号室 ─
[背に固い扉の感触。
部屋に入った遊はすぐにその場を動かず 窓の外の漆黒を見詰めて 数秒ほどぼんやりとドアに体重を預けていた。
それからおもむろにキッチンに向かい、 ミネラルウォーターと調味料以外 めぼしいものの何も入っていない中型冷蔵庫に 買って来た要冷蔵の品を全部突っ込むと、 つけっ放しのノートパソコンの前に、義務的に腰をおろした。]
(74) 2014/06/30(Mon) 09時半頃
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[それからソファの隅に座り込んでいた。 ウッドデッキへ通過するためではなく、談話室にオレが居座っている。]
……、…。
[煙草の紫煙くすぶらせるあの人を待って。]
ふ …っ フランク、さん。 ちっと、時間… 貰うても、構わんと、でしょう…か?
[瓶底眼鏡の無精髭がやってきたなら 二年前、いや五年前から変わらない敬語交じりの口調で。 緊張したように途切れ途切れ、上ずったりしながら。 きゅうっと眉に皺を刻んで それでもちゃんとフランクを見上げて話しかけていた。
話しかけたのなんて、遥か彼方昔のよう。
珍しすぎるほどの、光景だった**]
(75) 2014/06/30(Mon) 10時頃
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…それだけ…けたんなら…
…だよ…
…
うん…
…うよ…
…に…としちゃ…いから…
…しの…ってただけ…
…
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…洗濯、 また見送ることになるのかな…。
…戻ろっか。
[宇佐美の相槌に次いで出たのは本当にどうでもいい世間話。 最後の紫煙を吐いてしゃがんだ姿勢で宇佐美を見上げ、 >>61差し出された手に手を伸ばして引き上げて貰って。]
……なんか、介護されてる気分だ。
[先導する宇佐美に冗談めかすようにそう笑うと 屋上を出て、それぞれの部屋の前まで一緒に歩く。]
……、
[平気か?とは訊かない。おやすみ、と宇佐美へ告げて。 彼が部屋に入るのを確認してから、自分も部屋へと入った。*]
(76) 2014/06/30(Mon) 10時半頃
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―朝・自室― [部屋の外から聞こえてきたノックの音に>>65 見つめていたパソコンから視線を上げた。 自分の部屋への来訪者ではない。 窓の外の雨音を確認しながら欠伸を噛み殺し。 部屋の扉を開けると隣の部屋の前に人の影、 眠たげに目を擦りながら赤い髪の来訪者に首を傾げ]
…瑛士くん、戻ってないよ。
[帰ってくる音はなかったと藤堂へと告げる。 宇佐美の部屋を仰ぐように視線を移し]
(77) 2014/06/30(Mon) 10時半頃
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……多分、外にも出てない。
[見張るような形になってしまったけれども、 宇佐美が部屋を出ていった後、 暫くベランダから出て行く姿がないかは眺めていた。
だから、わかば荘の中にはいるのだろうけれども。 どこにいるのかまではわからない。 自分の知りうる宇佐美の情報を藤堂に伝えた後、 じ、と、眼鏡の奥の瞳が藤堂を見つめ。]
(78) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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……徳仁、
[宇佐美と何かあったのか、訊くこともなく。 口にするのはいつもと同じ一方的な頼み事。]
俺さ…、 今から寝るから。
適当な時間に、起こしに来て…。
[藤堂から何か引きとめられないようなら、 いつもと同じような返答が戻ってきたのなら。 おやすみ、と瞳を眇めて部屋の扉を鍵をかけずに閉めた。**]
(79) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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