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64 さよならのひとつまえ
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…
…てんたいかんそく
…け…がけっこういておれはびっくりしている
おつかれさま…まってるよ…
…
…
…
…てんたいかんそく
き
て
ね
…
ぜひぜひ
…
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− 夜−屋上>>511 −
だってそんな直ぐ来ると思わなかったし 勝手に来た利一が悪い、防寒対策してなかったのも利一が悪い、はい解決!
[懐中電灯の電源を切れば、シートの上に上がるように促す。 机の上に放置していたのは、昨日環から貰ったものだ。 中のグミ菓子の袋を開け、一つを口に含めば利一に中を勧める。 期間限定のそれは、独特の酸っぱさがある。
唇を軽く窄め、見上げる利一につられるように、空を見上げる。 一等星の輝く空、取り出した眼鏡をかければ、二等星くらいまでならくっきりと見えるようになるか。]
見えるよ、こいぬ座β 俺の誕生星ー
[そう言って星を指さすが、利一が気付かぬようなら片手に懐中電灯を持ち、該当箇所を照らす。]
こっちの明るいのが仔犬の尾っぽ で、こっちね、β
(518) 2014/03/26(Wed) 22時頃
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…
…いく
…ちとおくれっかも…しれんけど
す…ぱ…しりょく…みせてやる
…
…
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− 夜−屋上>>530 −
全部利一のせいってした方が、主に俺が穏便になるかなって ……これめっちゃ酸いね
[もごもごと、酸味の残る口内を、持ち込んでいた緑茶のペットボトルで洗う。 真っ直ぐに伸びる白の一直線。 それでも見辛いようならば、赤縁の眼鏡を手渡すだろう。 星を見るときだけ、と、忠告して。
見上げた空は、降りそうな程からはほど遠い。]
あんま生まれた日と、その日見える星は関係ないよ 俺かに座だけど、かに座そこにいるし
……さそり座、あれって秋生まれの星座だけど、夏の星座なんだよ オリオンは冬にいばるけど、さそり座が見えてきたら隠れちゃうの
[そう言いながら、次々と光の先は星を指す。 少しでも星を覚えておこうと、瞳の中に星を映す。]
(537) 2014/03/26(Wed) 22時半頃
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…てんたいかんそく
…
…い…もそろそろ…けるわ…
…でな…
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元祖すもも味
[パッケージの文字をそのまま読み上げる。 一口目に慣れてしまえば二口目からはペースがあがる。 むぐむぐと、口の中でグミを転がして。]
8月、……待って、調べる 流石に俺365日覚えてない
[そう告げて、日付を確認すればスマートフォンで調べる。 あぁ、と一つ呟き、星は暗闇を指す。
視力が良ければ、或いはもう少し辺りが暗ければ見えたかもしれない。 北斗七星から、然程離れない距離。]
おおぐま座の足、タニア・アウストラリス、……三等星だからすごい見辛い
……見える?俺は裸眼じゃ見えない
[あのあたり、と、アバウトな位置を光は照らした。]
(550) 2014/03/26(Wed) 22時半頃
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[皆が遅い、という声に、僅か肩を揺らして笑う。]
……利一が早く来すぎたんじゃない? どしたの、なんか張り切ってる?
……張り切っても、星は逃げないよ
[ゆっくりでよかったのに、と、穏やかに。
懐中電灯のスイッチを切れば、寝転がる。 患部が圧されて、また、小さな声で痛い、と零した。]
(552) 2014/03/26(Wed) 22時半頃
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…の…
どうする…
…づけで…しかったら
…か…かに…けてもらえれば…しとくよ
…は…から…で…してる
…
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もっと田舎の方とか、暗いところとか、 そういうとこなら多分、見えるよ
三等星どころじゃなくて、もっともっと小さい星も多分、見える
[やっぱり天体観測は夏だなぁ、と、細かな砂をばら撒いたような天の川に思いを馳せる。 細かな星がきらきらひかって、本当に一つの川のようになって。 ミルクの粒に例えた気持ちが、よくわかって。]
じゃぁ、張り切ってないのに一番乗りだった利一にはグミをあげよう 遠慮なく受け取りたまえ
[利一の心中を、察することはできない。 自分が堪えるのに、精一杯だから。
そんな風にしていれば、丞や頼児が屋上へやってくるのだろう。 上がってきた面々に、ブルーシートの上を勧めた。]
(577) 2014/03/26(Wed) 23時頃
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…よかったぜ…
…
ひ…ちゃん…る…
…るならひざ…け…したいなって…
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うぃー 準備出来てるから適当にすわッ
[すわッ。
利政の声に体を起こして振り返れば、顔面に飛来する、馴染みのチョコが菓子の詰め合わせ。>>578 もちろん受け止められる筈がなく、一度顔面をクッション代わりにしてビニールシートの上に落ちた。 その中身が何であるかを確認すると同時、詰め合わせと利政の顔を交互に見て、]
……かっ、……金は、やらんぞ……
[抱え込み、主張するのはとてもみみっちい事。 そんな風に変に振り切ろうとするのは、少しでもこの空気を紛らわせようとしてか。]
……利政、グミ食べる?
[そんな風に差し出すグミは、やはり元祖すもも味。]
(594) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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説明は、ある程度揃ってから始めようか ほら、俺、喋りだしたら止まらないから
[ダイアモンドを、という声に立ち上がり、懐中電灯を手に取ればスイッチを入れる。
オリオンをなぞる、という声に、光の一筋は三連星を撫でた。 それは、きっと頼児の指先よりもずっと確かになぞっただろう。
力強い光を持ってしても、オリオンには届かないのだけれど。]
……シリウスはねぇ、こっち 今年は惑星が綺麗だから、一等星でも霞んじゃうんだよね
近くにいるほうがやっぱり、輝いて見えるから
[長旅の末に、やっとやってきた光だというのに、こんなにも呆気無く抜かれてしまう。 空を見上げ、苦笑した。]
(595) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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ちょ、写真は事務所通してくださいー
[写真、という智明に冗談めかして掌を向ける。 気分はパパラッチに囲まれる有名人だ。 同室、の言葉に利一の顔をちらとみて、小さく頷く。]
しかも、そこの丞は去年の同室だし、そっちの頼児は一昨年同室なんだよね ……あっ、これはもしかしてあれか、三人で俺の恥ずかしい話しちゃう感じか!?
やめてよ、俺恥ずかしい人生しか送ってないから!
[どうなんだ、と、かつての同室者達と現同室者とに視線をやる 隅へと走る智明の背を苦笑しながら見送る。
カメラを向けられれば、できる限りの笑顔を見せただろう。]
(598) 2014/03/26(Wed) 23時半頃
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よっ、 ……呼びましたっけぇ……? 俺ちょっと、そんな前のことは覚えてない、っていうか、
[というか何故、そんなに覚えているのだ。
残念な事に丞の語る言葉達の殆どが、というか全部に身に覚えがあるので、何も反論ができない。 半開きになった口が力無く開閉し、代わりに頬に血が昇る。]
や、 やめ ……それは俺読めない新聞だよね!?
[読めたらいいのかという話ではないが。 しかし智明の手にかかれば本当に自分の残念エピソードが紙面で踊りそうだ。>>609
ツーショットの言葉に、いいよーと軽く返す。]
星が映ればいいんだけどね、 光が小さすぎるから、機材が別にいるんだよねぇ
[いつか、そのあたりの機材も揃えたいものだと、星空を見上げ、呟く。]
(614) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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[そうして。
参加する、と、メールの返信をくれた者達がある程度集まれば、ブルーシートの中央に立ち、わざとらしく咳払いをする。 見上げた夜空は高い、星も、この地域にしては綺麗に見えている。 懐中電灯のスイッチを入れ、天上を真っ直ぐ指して。]
まずは、東西南北の確認から、始めるねー
[そんな、基礎的なことから、天体講座は始まるだろう。
専門的な用語はあまり使わないように心がけながら、ひとつひとつ、星を指す。 冬の大三角形。 冬のダイアモンド。 北斗七星と、その側にひっそりと輝くアルコルの存在。
兄が死して尚、共にいることを望んだ双子の話。 大神の妻の嫉妬に充てられ、熊へと変えられた娘とその息子の話。 女神の怒りに触れ、鹿へと変えられてしまった主人を噛み殺した猟犬の話。 そしてお馴染みの、蠍を恐れる巨人の話。 愛憎渦巻く、妙に人間臭い神々の話。]
(615) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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結構、「結局ゼウスが悪いんだろ」って話が多くて、……
……後は、……あとは、何かな、 何、だろう、
えっと、思い出すから、ちょっと待ってね?えっとー……、
[次の言葉を探す。 言葉を途切れさせる前に、次の話を。
話しておかないと、だって。 次にみんなで星を見ることなんて、ないから。
だから、沢山、話して。]
………、
[話さないと、いけないのに。]
(617) 2014/03/27(Thu) 00時頃
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あとは、そうだな、
……今年は、……星の……観測ポイント、っていうのかな、 そういうのが、結構あって、
[けど、もうこの場所では見られなくて。]
4月なったら、火星が二年ぶりくらいに、最接近して、
[けど、もう自分は遠い地にいて。]
次の、流星群も、 ……4月に、こと座が、 ……でも、……今年は、あんま、見られないだろうって、
5月の、みずがめ座が、……ゴールデンウィーク、だから、……
[話すことが、未来に偏る。 今の星空で語れることがなくなれば、自然とそうなることは、予測できただろう。 スイッチを落とした懐中電灯を、腹の前で握りしめる。 声が震えるのを、堪える。]
(637) 2014/03/27(Thu) 00時半頃
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ティソは、ススムの小声は、自らの声に紛れて届かない。
2014/03/27(Thu) 00時半頃
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[堪えていたものが溢れると、星に向けていた瞳を固く閉じたと同時。]
……はぇ、
[丞の声に応じるには、間の抜けたすぎた音が、漏れた。>>646 その手に握られているのがクラッカーだと理解するよりも先に、弾ける音。 弾みで零れた数粒の涙は、抱き寄せる利一の肩口に落ちる。>>653
呆気にとられたように、瞬く度に落ちる涙。 はらはらと舞う星形の紙吹雪の中、耳に届く利一の声に、くしゃりと顔を歪めた。]
……ばか利一 なんでお前が先に泣くの、……主役差し置いてんじゃねーよ、ばか
[肩口に押し付けられる目元。 その柔らかな癖毛を、くしゃりと掻き混ぜる。]
……っくそ、ばか、 ばか、……ばーか、……
[子供じみた悪態も、そのうちに、泣き声に掻き消える。]
(664) 2014/03/27(Thu) 01時頃
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