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64 さよならのひとつまえ
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― 俺宅 ―
[古い外観のアパートの一階が俺の家だ。 鍵を開けて中へと通し、遅れて俺も靴を脱ぎ上がる。]
なんか、…変な部屋ですまない。 狭いし
[冷蔵庫洗濯機電子レンジの家電はまあいい。 窓に掛かったカーテンは小花柄で少女趣味のような雰囲気。 薔薇とビーズをふんだんに使ったタッセルもどうかしている。
ちゃぶ台と呼ぶのは微妙すぎる黒猫脚のローテーブルは 板が紫という毒々しさを放っていた。その上にノートPC。 まだ開けてないダンボールの上にミットが置かれている。 その横に、畳まれた布団があった。]
(204) motimoti 2014/04/06(Sun) 22時頃
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うち、あれなんだ。 風呂とトイレが一緒になってるから、 シャワーだけの方が良いかもしれない
近くに銭湯あるから、足伸ばしたかったら そっちに行ってもいいしさ。
[どうするか、と問う前に。 スポーツバッグを預かって端にでも置いておくか。]
あと、布団が間に合ってない。 俺は畳で寝るから、お前は布団使っていいぞ。
[一番の心配はこれだと思うので、先に告げておくとしよう]
(207) motimoti 2014/04/06(Sun) 22時頃
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…もしもし…もしかして…てた…
…はは…なんか…ですって…な…じだな…
…
…は…を…て…に…いたよ…
…これから…り…いで…に…かうとこ…
…
…てね…
お…れさん…おめでと…
…かったな…しいとこ…わがまま…っちまって…
…る…は…ちゃんとあるけどさ…
ど…しても…いときたくて…
…ほんとかな…もう…しても…こしてやれないし…
…ああでも…はちょっとわかるかも…
…これまで…こうして…することなかったし…
…
…ん…しいって…っても…づけはとっくに…わってたし…
…あっちに…くまではすることもないし…
…の…が…の…づけで…しいだろ…
…も…きたかったからさ…
…り…ありがと…
…
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いや、断じて違う。
[>>211 そこは絶対の力を込めて全力で否定した。 少し考えてから口を開き、]
いや、まだバイト代出てないからな これは先輩が押し付けに来たんだよ。
どうせなら布団くださいって頼んだけど、 天涯付きベッドしか譲れないって言われたから断念してだな… すまん
[この部屋にベッドを置いたら足の踏み場が消える。 何より畳にベッドって無理がありすぎた。]
シャンプーや石鹸はタオルと一緒に持っていくぞ? 流石に生活してるんだから、その位あるさ シャワーで良いならそれで構わないけども。
(213) motimoti 2014/04/06(Sun) 23時頃
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[同室とはいえど、風呂の時間帯はずれる事多々。 そういえば卒寮する前、最後に一緒に入ったのは、 確か1か月くらい前の話だった気はするけど]
なんでだよ。飛行機の後も車だかバスで移動あるんだろう? ちゃんと寝とかないと困るだろ。 昨日干したばっかりだから、匂いはしないと思うし
[必死に布団での就寝を押し付けてくる保元に、 なにをそんなに遠慮しているのかと、苦笑を向ける。 バッグを置いて、畳を踏み進み、一歩、二歩。]
それとも、一緒に寝るか? 狭いから勧めないけど
[飯屋に居た時よりも熱く感じる頬に、そっと触れる。 数日前、電話をしながらパソコンの画面をなぞった事を思い出した ここのラインを触ることができるのも、会わないと無理な話で。
半ば冗句のように聞きながら、視線を保元の顔へと下ろす。]
(214) motimoti 2014/04/06(Sun) 23時頃
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…だって…
ちゃんと…おはよって…う…って…られるように…きるつもりだし…
…したって…ちょっと…すくらいで…なんつ…
もっと…れ…ませとけば…かったかね…なんてな…
すること…いときこそ…の…だし…
こっちの…は…まあ…なんとかなってるよ…
…
…ん…らせてくれて…こっちこそありがと…
おれは…ちゃんと…ったまま…ってるから…
いってらっしゃい…
…きれないときは…に…こしてもらいなよ…
…こうして…めて…すとさ…していいかわかんないよな…
…でも…ってさ…だよな…
…
おいこら…これでも…ったより…かったんだからな…
…だろ…れ…ませたの…
…
…うん…いってきます…
…
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着替えはあるんだよな? 無かったら下着以外なら貸すけど。
[好きな人と二人で銭湯に行く。>>223
昭和の香りを纏うドラマを思い出した まだアパートに風呂がついているのが 珍しいような時代の話なのだろうけど
一緒に風呂へ入る、という行為ではなくて。
恋人同士が洗面器をことこと鳴らして、 というシュチュエーションを想像してしまったから。 なんだか恥ずかしいような、むず痒いような気がしてしまう
顔に出さずに済んだのは、アホなこと考えてんなと 気持ちを切り替える切っ掛けとして着替の事へ意識を戻せたから]
(228) motimoti 2014/04/07(Mon) 00時頃
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寝れるって言ったって、寝台車なわけでも無いんだし。 明日は休みだから、俺はお前見送ったら二度寝するさ。
[このカーヴを何度も描いてきた。>>224 遠く離れて、生活も変わったら。 今まで描いてきた曲線とは変化するんだろうか
幾ら描いてもキャンバスに閉じ込められるわけじゃない 思い出は思い出として残っても、形を変えてしまう。 その時、俺の識らない保元の傍に居るのは誰なんだ。]
え ?
[唐突な確認に、好意が含まれれば瞬きの回数は多くなる。 服が重力に引かれたタイミングで、頭が揺れ若干前のめりになった 緊張と、混乱にも似た瞳の揺らぎを俺の眸は捉えたまま]
(229) motimoti 2014/04/07(Mon) 00時頃
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………いいだろ、別に。 なにもしないよ
[不意に、バイト先の先輩に尻を撫でられた事を思い出した。 ああ、そうか。 不純ななにかだと思われているのか。]
俺って、そんなに信用が無いのか?
…べつに、付き合ってるわけでも無いのに、 お前を好きにするわけないだろう。
[安心させる為に紡いだ言葉が、じくりと胸に傷口をつくる。 男同士だからなにもない、とするには余りに友愛と異なっていて それでも、一線をもし超えてしまったら戻れなくなりそうで。
いまの俺に、保元を手に入れる覚悟も無ければ、 倖せにする権利も存在しないのだから。]
(230) motimoti 2014/04/07(Mon) 00時頃
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が…ぎていくだけの…とは…の…に…し…を…から…したけれど…
…こえてきた…い…に…あわてて…を…くした…
しばらく…かないでいると…つついてくるから…もしかしたら…こしてくれるかもしれないけどなぁ…
あんま…はしないでおく…
だな…どっちかっていうと…のが…きだったけど…
んなまどろっこしいことしてらんね…
い…くって…ってれば…もっと…にしといたんだけどなぁ…
おれ…が…れこませたんだとしても…おれはいいけど…
とりあえず…を…えたのが…の…きだから…めてくれ…
…
な…としま…っ…
…だろうか…
ちがう…ちがうと…う…けど…
…の…を…まったままの…で…き…けて…
ぐぐぐ…ぎこちなく…を…ろせてから…
…くそ…
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だって、そうだろう。
[沈黙の後、鈍いんだろうという俺から見ても はっきりと保元の落胆は伝わり、罪悪感めいた感情が沸く。>>233
これでいい。 重荷や負担として、残らなければ。 知らない世界から、遠くから想っている事くらい 赦してくれるだろ。
なにを誓ったわけでもない。 心を拘束して駄目になるような奴ではないと思う、保元は。 駄目になるのは、たぶん俺だ。]
……え、
[恋人、という響きに俺のほうが動揺を示した。>>234 恋人のような、と想像を巡らすことこそあれど、 俺たちの関係が恋人かといえば、ノーだと思っていた。]
(238) motimoti 2014/04/07(Mon) 01時頃
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[恋愛なんてしたこともない。 だけど、責任を負える覚悟がないとできないもの、 という勝手な見解が俺の中に存在していたのだ。
下肢から力を抜く保元に、咄嗟に手を頬から離して腕を引こうと。
これが筋力差というやつなのか。 思ったよりも体重があったので、支えようとするのも叶わず。]
っ…、
[二人して畳に座り込む、というか。 俺がバランスを崩してしまい、雪崩込んだ。 額を保元の肩にぶつけて、鈍痛が走る。
畳の上に掌をつき、苦い顔で見下ろした。]
ええと、恋人って………、すまん。 告白しただけでなんというか、満足してたから……
(239) motimoti 2014/04/07(Mon) 01時頃
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いまは先が視えないというか、なんて言えばいいのかな。 俺は経済力も無いし、お前を大事にできる自信もないから
[そもそも恋人って一体なんなんだ? 好きだという思慕があるだけで、それが恋人なのか。 保元の価値観を確かめる為に、首を傾げさせる。]
離れたら、俺よりも大切なもの沢山できるだろ。 俺がお前を、大事にできるような自信がつくまでなんて、 ……おまえ、待てるわけないだろ
[漫画家のアシスタントなんて、正社員でもないバイトなんて。 それをなんと呼べばいい。 技術職とも呼べるが、フリーターに分類されてしまう。
一人前になれるかなんて、保証は何処にもなくて。 なろうと思ってるやつなんてこの世界に一体何人居るんだ。
そんな無計画な“いつか”を待てだなんて。 ていのいい事を押し付けるのは、あまりに身勝手過ぎる]
(240) motimoti 2014/04/07(Mon) 01時頃
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…
…いものが…くない
…の…は…だ
…いてるよ
…
…も…と…でよかった…
…の…も…も…しかった
ありがと
あと…めたから…えとく
…
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…うまく言葉で言えないけど……。
いまの状態で人と交際したら 俺が駄目になるんだろうなってずっと考えてたよ。
だから、付き合うとか付き合わないとか、 想像はしても、遠いものだと思ってた。
まだ俺はお前と違って、 半人前にすら乗れてないし ……約束守れなくなったら、こわいって思ってた。
[>>242 漫画を描くだけならプロにならずともなれる。 きちんとした雑誌で連載を持てる人間は 日本人1000人のうちで、1人かそれ以下の話らしい。
アシスタントで上に上がれば給与もよくなる 0.1パーセントの希望を捨ててチーフアシで満足する人間も この世にごまんと居るし、俺がそうならないとは限らない。]
(258) motimoti 2014/04/07(Mon) 08時頃
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[倖せを感じてしまったら、 0.1パーセントを逃すかもしれない]、
だって、変わるんだろう。 環境で変わっちゃうんだろ。
だめっていう話はしてないけど… ただ、俺は…自分がどうなってるか想像できない お前がどうなってるかも、 ……そこに俺が居ない未来しか想像できないよ。 想像するのが怖い、
[ぶつけられる感情が痛くて、顔を逸らしてしまう。>>243
向き合って、傷つくのが厭だった。 せめてあの頃は倖せだった、という記憶だけでも留めておきたい どうしたら良いのか分からず、顔を歪める事しか出来ない]
(259) motimoti 2014/04/07(Mon) 08時頃
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[伸びて来る腕を、突き放す事は出来なかった。 目は開けていられず、感触だけ確かめるように抱き返す。
目を見れなかった。
大丈夫、と何時ものように笑って居られなかった。 そうだなと軽く頷くことも出来ない。
保元が好きだ、 今の俺にあるのは、その思いだけで。 これからも、描きたい、 今の俺にあるのは、その原動力だけだ。
隣に存在しているビジョンも無いし、大事にできるビジョンも無い。
駄目になっていく俺が引きずってしまうこと。 それだけは、なんとか避けたかった]
(263) motimoti 2014/04/07(Mon) 09時頃
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………ごめん、
[求めていた背中に指を回して、気を抜くと震えそうな力で抱きしめる。 絵の中に閉じ込めておけないたったひとつ。
このまま何もかもを求めてしまったら。 少なくとも俺は、引き返せる気がしない。
泣き言ばかり零れそうになるのを、飲み込んでゆく。**]
(264) motimoti 2014/04/07(Mon) 09時頃
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薔薇∴十字 ススムは、メモを貼った。
motimoti 2014/04/07(Mon) 09時頃
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………。
[先の事なんて解らない。>>265 長い人生の半分にも満たない期間としても、反対を押し切って全寮の高校に入った事すら俺にとっては大きな変化だった。 眼瞼の上に暖かいものが触れたその時>>266、耳孔に入り込んできた話に、瞳を開いて]
…… な、
[一流に上がって漫画に、という期待に、驚きを刻んだ表情が固まる。 それはまるで、俺の願望を覗き見られた気がしたから。
そんな俺の内心を余所に、風呂へ行こうと促され、立ち上がる。>>268]
お前って……本当さ、
[先程告げられた言葉>>267と態度を思い出し、普段と同じ苦笑を浮かべながら、肩を竦めさせる。 どうしようかと考えてから、保元の唇に触れるだけのキスをしようと――したが、ずれてしまい口端に落ちる。]
(269) motimoti 2014/04/07(Mon) 12時半頃
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……ほんと、キャッチャーだよな…
[俺は、違うのに。登場人物じゃないのに。 満塁の危機に立たされた揚句、励まされている感覚になった。 投手は俺じゃないのに、これではまるで*]
(270) motimoti 2014/04/07(Mon) 12時半頃
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