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64 さよならのひとつまえ
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…
…がった
…
おめでとう…
…は…で…だし…から…るよ
…れなくても…るかもだしな
これからも…してる…
あ…つぶやいた…に…いたの…たのか…
…で…くお…になると…う…
…くらいで…は…まってるけど…
…に…げられるように…るよ…
…の…に…が…えば…おう…
…
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― 7年後・昭和神宮野球場>>301 ―
[年間予約席として接待エリアとされているバックネット裏席は こういう機会が無い限り、あまり座れるものでもない
今タッグを組んでいる原作者の分も一枚お願いした。]
……あれ、俺が描きたい選手です。
[進行形で週刊ウィングで連載している野球漫画は 一人の架空投手のリトル時代からの生き方を主軸にしている。 連載三年目の現在は、甲子園編に突入しているが 尺的にはあと一年、二年続くかどうかという所だ。
一部雑誌や毎年年末に行われているウィングフェスタへ 出席しているので、俺の顔は多少なりとも割れている。 近くに座っていた知人から作品の話を出されれば、苦笑で応じ。]
(302) motimoti 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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[振り返った保元と視線が合った、気がした。
周囲の歓声に負けてしまう声はあげずに、 真顔で親指を立てた。
買ったばかりでなにも描かれていない 一冊の小さなスケッチブックは、俺の膝上に或る。*]
(303) motimoti 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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[それからは、あっという間だった。 家に着いたのは深夜前で、その日は真っ直ぐ部屋に戻った。 荷物を解いて、鞄の中のものを出していく。 ポケットのライターと新幹線で買ったコーラは机の上に置き、 タオルがないと首を捻って宗介の家に忘れたことを思い出す。 旅費の残りを両親に返しに行かなければいけない。 携帯は到着のメールを宗介と怜二に2通送ってから 充電機に掛けられた。 …それから。 封の切られていない茶封筒を鞄から出す。 宛先を眺めてからひっくり返し、差出人の名前を確認して。机の2番目の引き出しを開けるとごちゃごちゃ詰まったものの一番上に、茶封筒を乗せて閉じ鍵を掛けた。]
―――…お前はしばらく『まて』、だ。
[犬に躾けるような声音で引出しに声を向ける。 今は開けない、開けてはいけない。前に進むと決めたから。 未練ではなく前向きな気持ちとして、この引出しに鍵を掛ける。 十文字の友達として、笑って読むことができるその時まで。]
(304) chiz 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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[その翌日には近所に住む兄夫婦が遊びに来た。 『りーちー!おかえりー!』と3歳になった甥子に飛びかかられて重てえと痛めた腰をさすったりなんかして。 2人目出産間近の兄夫婦が幸せそうに新たに増える家族の話をする。2人目孫フィーバー間近の両親は身重の義姉の世話に張りきっていて、息子の連絡の1日のずれくらいには気付いていないようだった。 当たり前のように帰ってきて、 当たり前のように食事の手伝いをし、 当たり前のようにみんなで笑ってご飯を食べた。 そして当たり前のように家族集まっての団らんで『早くお前も子供作って家をもっと賑やかにしろ。』なんて話題が上がって、早すぎるだろと苦笑しながらも重てえな…と心の中で嘯いた。]
(305) chiz 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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『将来どうするの……?』
[そんな質問が母親から投げかけられたのは、兄夫婦が帰った後の事で。既視感を感じる。中学三年の時にも同じ質問を投げかけられたな、あの時と同じ言葉で、あの時と同じ表情で。 何にも真面目に取り組めなかった、何にも興味を持てなくて…。 飲んでいた湯呑に視線を落とす。 あれから3年…自分は何か変われたのだろうか。]
……わかんね。
[ぽつりと落ちた言葉は、3年前と何も変わらなくて。]
(306) chiz 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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─ 9年目 ホーム最終ゲーム ─
[9回裏、シトラス3点のビハインドで迎えた最後の攻撃は、1アウト2,3塁、一打同点の大チャンスとなった。 相手ピッチャーは、ここで当たっている5番打者を敬遠し、満塁として、キャッチャー「ライジ」との勝負を選んだ。]
……ナメたことしてくれやがって。
[しかし、打率2割後半をキープしてはいるものの、今日の試合は当たりは無し、更に相手ピッチャーは、左腕の、相性の悪い投手だった。
ここで勝利すれば、アウェイでの残3戦を残し、シトラス16年ぶりの優勝が決まる。 負ければ、敵地での決戦に縺れ込む。
素振りを終え、バッターボックスへと向かう。]
(307) nordwolf 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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…でも、
[でも。]
……絵、とか… 写真…見てるのは好きだって、わかったから。
なんか、そっち系で仕事…、 あんのかなって…探そうと思ってる…。
[まだ、自分の将来の夢が何なのかは何も見えない。 3年で、大きく変わることはできなかった。けれども。 少しずつ、少しずつ―――今も、こうやって。変わって。*]
(308) chiz 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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─卒業から九年と十一ヶ月後の話─
[その日は、しんしんと雪の降る日であった。
頬を押さえて、愚かな己は頬杖を机につく。 丁度先程、別れた彼女からの置き土産の紅葉が痛むのだ]
可愛いのですから、おしとやかにすればいいのに。
[まあ、彼女の奔放さと気の強さがなければ、そもそも付き合わなかったのだけど。
研修医として必死に働くあなたが好きだと、告白してきた彼女。 特に断る理由もなく、付き合ってみたのだけど。 やっぱり、一番好きにはなれなくて。
そんな不毛なことをするのも、一度や二度のことではない。 朔が見ていたら、バカだと笑い飛ばしてくれるのだろうか。 アリスに言ったら、同じく笑い飛ばしてくれそうだけども。
なんとなく慰めが欲しくて、アリスに悪戯電話をかけようとして、スマホを手にしたとき]
(309) kaisanbutu 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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うわっ、と、
[袖を引っかけて、机の上の葉書入れを倒してしまった。 ため息をつき、片付けようと手を伸ばして]
……あ、
[葉書入れの一番下に封印していた、懐かしい封筒を見つけてしまった]
(310) kaisanbutu 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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『9回裏、ネイビーシトラス1アウト満塁! ここで打者はキャッチャーのライジです』 『2年連続オールスター選出、盗塁刺数は今日もまた2伸ばし、阻止率5割を盤石のものとしましたが、今日はまだ当たりが聞けておりません』 『投手は左ですからね、これは厳しい勝負になるかもしれません』
[カメラがバッターボックスのライジに寄る。 すると、必ず映るアクションがある。
右手に巻かれた、補修の跡のあるネイビーブルーのリストバンドに、掠める程度、唇を触れさせる。 打席に立つ時や、好守備の後に見られるこのアクションは、一部野球物真似芸人達の、格好の物真似ネタになっている。]
……。
『さーボールカウントツーエンドツー、ライジ追い込まれました』 『まだ1アウト残っていますから、次の左代打に運命を託し、手堅く犠打を狙うという選択も出てくるでしょうね』 『彼ならバントより外野へ運ぶ方がうまいでしょう……おーっと大きな当たりはー……切れた、ファウルです。依然カウントはツーエンドツー、次が第6球目───』
(311) nordwolf 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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[一瞬の静寂と、どよめき。
白球は、ライトスタンドへと飛んだ。*]
(312) nordwolf 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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の…
…
みんな…おめでと…の…を…せるよ…に
…
…
…の…って…この…どんな…さくの…
…
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[封筒の中身を予想しながら、そうっとそれを開けてみれば。 思った以上に鮮やかな色彩が、目に飛び込む。
修学旅行の写真は、いまだ色褪せてなかった]
……ふはっ、
[なぜだか、笑えた]
(313) kaisanbutu 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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…
…やっと…めた…
…
…しぶり…
…が…ってた…に…しくて…きつい…
なかなか…された…むことできなくてごめん…
やっとこの…むことができたから…って…しいんだな…
…に…が…に…ち…かう…に…
…い…が…かれている…
…
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[1年目はツブヤイターにも張りきって書き込んだ。 成人式には全員にお祝いのメールを送ったりもした。
でも、就職活動の始まった辺りからぽつぽつと連絡を取らなくなる相手も出てきて、それが少しずつ増えて、大学を卒業する頃にはツブヤイターもあまり覗かなくなっていった。
季節が目まぐるしく変わっていく。時間が経つのはあっという間だ。幾度も、空を見上げて。悩んで。泣いて。笑って。 今、こうして見上げている桜は、 あの日寮を出てから何度目の桜になるのだったっけ――…?*]
(314) chiz 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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[脳内にて、僕Aが彼に電話をしたい!と叫んで、僕Bがなぜそんなことを?と異論を唱える。 そりゃ話したいからさ、と僕C。まあ紅茶でも飲もうぜと僕D。
そんな一人会議の末、電話を掛けた。
コール音を一つずつ重ねるごと、鼓動が耳に響いて。 そのたびに、ゆっくり深呼吸した]
(315) kaisanbutu 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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さん
…すみません…さん…です…
…し…したいことがありまして…
…
…ああ…そうだ…しぶりに…えますね…
…
ああ…すみません…し…おかしい…に…しておりまして…
…それでですね…したいことなんですが…
…えました…
…が…わるのですよ…それをお…えしておこうかと…いまして…
…でも…をお…しする…ですが…しますね…
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─Intermission─
[自分が今こうして息をして心臓が動いていることが、生きていられることが、当たり前ではないと知っている。 命が助かっていること自体が奇跡だったと知っている。 この呼吸を、この鼓動を、繋げるために頑張ってくれたひとがたくさんいて、そしてそれでも助からなかった命もあると知っている。
愛している。愛されている。 それが世界をこんなにもうつくしくさせる。
ひとつの花。ひとつの流星。ひとつの夜明け。ひとつの歌。 生まれては消えるもの。そうして途絶えないもの。くり返し続いてゆく日常の中で埋もれてゆきそうに、忘れられそうに、存在を主張しないものたち。 ああ、と思い起こす。そういえば少女が神隠しに遇う有名なアニメ映画の主題歌にあったな。花も風も街もみんなおなじだと。
─────あの日。高校の退寮日。10年も前だけれど]
(316) souka 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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[─────いまでも鮮明に覚えている。 4-Kの部屋に静かに置かれていたものを、ひとつひとつ丁寧に段ボールに仕舞う作業中、白い花弁に文字を見つけた。 小さな小さなそれは、確かに“し”と書かれていて。 そしてすぐにもうひとつが目に留まった。それは“い”だった。 気を付けて片付けていれば次々に見つかる“て”と“る”の文字。
─────敷いてる? 花を、部屋に、敷いてる? している?
総文字数も分からないから。途中途中にそんな想像を挿しこんで。 次に見つけた文字は“あ”。 その後は何の文字も見つかることなく、すべての花が段ボールにそっと仕舞われて。 ぼくは白い花の意味を、そこに紡がれた想いを識った。*]
(317) souka 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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…
…やっと…めた…
…
…しぶり…の…えたか…
…そうだな…も…で…みたいに…してたけど
…わって…はもう…に…てるよ…
…さんの…の…も…な…じだ…
…してる…は…から…け…にかけて…してるんだ
…が…で…らせて…えるからそん…つぶやいた…してる…
…ありがとう…そこの…は…れて…いたんだ…
…の…からは…は…だから
…が…くないので…んでて…に…じるって…われたんだよな
それにしても…って…すきなのか…
そんなにちゃんと…み…んで…くれるなんて…ってもみなかった
…
らいじ…
…おめでとう…
…
…おめでとう…
…くよ…
…らせてな…
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[来たメールに目を細めて返事を打った。 丁度バイト代も貯まって、今度はどこに行こうかと思っていたところだ。 行き先をそこに決めてから数日。 あの宝物のカメラを持って向かった。
新しいカメラを買った為、中々使うこともなくなったカメラ。 それでも大事な写真を撮るときにと決めていた。
それを持って、彼の地へ行く。 大事な、彼の写真だ。
思いは思い出に変わったとしても、大事な友だちということは変わらない。 そう、それはずっと変わらない、のだ。
そうして撮った写真が賞を取ったことは、きっと自然なことだったのだろう。*]
(318) okomekome 2014/04/07(Mon) 22時半頃
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― いつかの、空の下 ―
[3度目のコールで、通話ボタンをタップする。]
はい、もしもし。 どうしたの母さん。うん元気にやってるよ。 ……え、俺の部屋の片づけしてる? いや使ってないからそれはいいけど。写真?
[自分の部屋が欲しいと駄々を捏ねはじめた妹の部屋にするのだと。もうそんなに大きくなったのか、と微かに聞こえる甲高い声に小さく笑う。 がさごそと騒がしい国際電話の向こうは、片づけの真っ最中か。残った荷物は多くはなかったはずだが。置いてきたままだった、智明から送ってもらった懐かしい写真の束を見つけたらしい。]
(319) SUZU 2014/04/07(Mon) 23時頃
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捨てないでよ、送って。 それか今度取りに行くから。 へ?ライジ?うん、一緒だったけど。 ……わかった、会うことあったらサインもらっておくよ。
[ミーハーな声に、呆れながら答えつつ。 片づけを中断して写真を見ているのか、あなたが持ってたぬいぐるみに似てるわね、と呟く声が聞こえれば心当たりが一人しか浮かばず。 咄嗟になんて切り返していいものか迷ってしまった。変な具合に心臓が跳ねる。]
はは……うん、すげールバンに似てるのもいるでしょ。 そいつ髪切るのがめちゃくちゃ上手くてさ。 三年の時のクラスメイ……え? 見た?
[どこで、と。 卒業後に連絡が途絶えていた彼を思い出す。 いつだったか一斉送信で送ったメールが返ってきてしまい、誰も新しい連絡先は知らないと聞く。 遠い空の下だ。他人の空似だろうと思う反面、あんな特徴的な顔そう何人もいない気もする。]
(320) SUZU 2014/04/07(Mon) 23時頃
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