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64 さよならのひとつまえ
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―前日・自室―
[盛り上がる校庭を背にして、一人部屋に戻る。 予感はあった。 ドア越しに別れを告げたあの時から。さよならの前が来ているのだと。 クラッカーの跡は、一人でさっさと綺麗に片付けた。
ありすの右頬には気付いていた。もし戻って来た彼に、治療の跡が見えないようだったら、氷を持ったバケツとタオルを片手に仁王立ちしただろう。 つまり冷やせ。治せ。なんで怪我してんだよ、無茶すんなよ、…馬鹿。]
(14) 2014/03/29(Sat) 01時半頃
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…
…ありがたいおことば…
…
…
…があなたに…よきお…を…けてくれるでしょう…
…
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―翌朝・自室―
[眠い目をこすりつつ、ベランダに立てば、旅立つ二人の姿が見えただろうか。 片付けはまだ残っている。しかし残りは捨てて行くと決めていた。それほど時間はかからないだろう。 たった一つだけ、処遇の決まっていない物を除けば。]
お前どうする?俺と来るか? …それとも、
[隅っこでささやかな存在を主張するサボテンを手に取る。 幾分か元気になっているように見えるが、まだ油断はできない。 手入れを済ませると、所定の位置に戻す。
そのままのそのそと再び布団に戻ると、>>2恒例となったらいら姐さんのお呼び出し。 昨日と違うのは、そこに自分の名が含まれていること。]
……。
[何か考えようとして、 とりあえず、二度寝した。**]
(15) 2014/03/29(Sat) 01時半頃
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…
…おれのしろ
…さんきゅ
とつぜんいっても…おこんなよ
…
…でんででんで…
…
…
…って…がだよ
…ってから…るから
ああ…そうだ
…の…れたらあけといて…
…
…
…よし…めた
…
…るの…
…の…な…
…
そうだお…すげ…
お…にだから…うけ
どあれから…けい
っこも…つけてねえ
…
…ごめん
…
…けなくてごめ
ん…
…
…
…
あとで…っ
ておわびしに…く…
…
…
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―昨夜・自室―
[戻ってきたありすの頬は痛々しいままだった。>>34 宴の跡は既に片付けた。なら自分が怒られることは無い。 今度はこっちの番。 若干情けない理屈で、無言でベッドの上を指さして。坐れよと主張する。]
(今度は俺が…怒る番。)
なんで怪我してるんだよ。…そして放っておくんだよ。お前も、朔太郎も。
[痛々しくて、見ていられない、と。 もう会えないのに。 最後にこんな無茶をされると、心が張り裂けそうになる。 心配させるのはやめてほしい、そう口にする権利は自分にはない。彼の生き方に干渉する権利は無い。 伝える言葉も、共にいることもできない…何もない。 氷に浸したタオルを、患部に押し当てようとして、手が揺れる。
触れる権利すら、 自分にあるのかと自答して。]
(79) 2014/03/29(Sat) 18時頃
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…いいか?
[こぼれた言葉が空気をほんの少し震わせる。]
触って、いいか?
[彼は何て答えたか。 与えられたのが否定ならば、タオルはそのままありすの手に渡るだろう。 もし肯定ならば。 ほんの4分程度、タオル越しに触れるのを赦してもらいたい。
それでちゃんと、さよならするから。*]
(80) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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―3−A―
[一年の同室生活で、覚えたこと。 彼の気配と…ジャンピングアタックのタイミング。
男同士は遠慮ない接触が多い。 同性の気安さなのか、よく日常的にみられる光景は、ルームメイトには当てはまらなかった。 他の同級生とは違い、あまりボディタッチはしないそいつが、自分から触れてくれること。 例えそれが攻撃を伴うものであったとしても。 与えられる何もかもが嬉しくて、何度かそのまま、たぬき寝入りを決め込んだこともあった。 今回も、そんな誘惑が胸を擽ったが。]
(84) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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…はよ、ありす。
[さよならすると決めた。これ以上赦されない。 これ以上触れたら――離せなくなる。]
(驚い、た。)
[自分の感情に。こんな激情がまだ残っていたことに。 執着心なんて、とっくに失くしたものだと思っていた。]
聞いた。…じゃあそろそろ行って来る。
[欠伸を一つ。 もし間違って涙がこぼれても、誤魔化せるように。
ありすが共に行くというのなら、断る理由は無いだろう。]
(85) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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―寮母室―
おはよーらいらちゃん。
[一目で寝起きだと分かる、寝癖を立てた頭でひらひらと手を振る。 たった一枚の書類を受け取ること。
それが世界の一変させることに等しいとは、思わず愉快ではない笑が込み上げる。]
(86) 2014/03/29(Sat) 18時半頃
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…
…げ…
…なんだけどな…
…こわくて…った
ことね…けど…なゆ
たなら…ぶのかな…
なんか…つかね…
…
…
…それ…
…
ほんたい
お…ってるなか
だだらずっと…っ…てろ
ずっとだ…しにすふ
ありがとう
…
…いつにも…して…だらけな…を…やっと…ったのは…のこと…
…
…
…
…
…きだ
…
…の…を…れるか…れまいか…ったが…やっぱりやめた…
…
…
…
…の…たけど
…っぽだし…も
…
ちゃんと…と…
…ってった…
じゅ…もんじ…
…しめさか…
…
…
にきまってんだろ…ばか…
しあわせになんね…と…こそ…だからな
ひもいや…
…しめさか…
…の…
…
…り…たできたみたい…
また…じゃね…んだ…その…
でも…その…ちょ…してた…また…したいってさ…
また…ってやってくれよな…
…も…と…したいし…
ほいじゃ…で…
…もいい…れたか…
…
もしいいのがあったら…の…と…わせて…か…えね…かな…
…
…は…
…
…こっちあん
の…なもんだ
と…ってたのに…
…
…
…
…
…めねえの…
じゃあしく…
あけといて…
こわくて…く…ね
えっつの…く…は
…だ…ねばもろと
も…
お…がえろほん…
んでんの…たことあ
んの…われたの
でちょっと…けた
…い…
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―ゴミ捨て場―
[最後のごみ袋が軌跡を描き。 ぽさりと、他の袋に飲み込まれていく。]
ほい、おしまい。
[あれだけ手こずっていたのに、いざ片付け始めるとあっけないものだった。 あとはボストンバック一つ持って、旅立つだけ。 三年間が終わり、今度は四年間が始まる。 ただそれだけ。]
…全然違うな。
[今更ながらに思い知る。]
(120) 2014/03/29(Sat) 23時頃
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…
…みやげ
…
…て…ってる
…い…したから
…
あ…なるとの…れ
た…だまって…うか
…けあって…
…
…なんだ
…
…すんならもらっと
けばよかったかも…
…で…に…こ
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[袋を片手に歩く利一に>>124「よっ」と片手を挙げると、小さく頷く。]
ああ。これでありすに蹴られなくてすむ。
[一度振り返り、不要とされたゴミの山を見上げた。 今日の放送を利一は聞いていていただろうか。]
一足先に行くわ。利一も元気で。
[最後にお前にシャンプーしてもらえなかったのが、心残りだなと。 小さく笑って。]
(125) 2014/03/29(Sat) 23時半頃
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