28 わかば荘の奇々怪々な非日常
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[>>308ティラミスの声に、裕の顔はぱっと華やぐ。
マスカルポーネチーズを加えた ザバイオーネクリームの甘さと調和する エスプレッソコーヒーの苦味。 ちょっと背伸びした大人のデザートという印象があり、 まるで大人のお茶会に招かれたような気分になる。]
ティラミス、珈琲によく合いますね。 わたし、大好きなんです。
ありがとうございます。
[水とチュッパチャプスを持っているから 両手を合わせることは出来なかったけれど、 嬉しそうに破顔して礼を述べる。]
(1) 2013/09/05(Thu) 01時頃
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[猫が来たことと、福原の言葉に意識を傾けたことからか いつの間にかとても喉が乾いていた。
口を付けられていない様子のコップから水を一口飲む。 冷房の効いた室内では、まだ水は冷たいまま。 裕の喉を心地好く流れ落ちて行く。]
……ふぅ。
[ちょうどよい機会だから、不法侵入者について 福原にも話を聞いてもらおうと、 コップから口を離して福原の方を向いた時、 福原の姿はすでにドアの前にあった。]
あ……、
[どうして、何も言わずに行ってしまおうとするのだろう。]
(10) 2013/09/05(Thu) 01時半頃
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[去りゆく福原を引き止める言葉が見つからない。 きっと部屋には彼女の猫、えるがいる。 彼女自身が招いた客人のところへ行くのだから、 引き止めては、いけない。
えるは、彼女を慰めてくれるだろうか。]
…………。
[どうも思い込みがあるようだ。
福原が、傷ついていると。 決まったわけではないのに。]
あの
[勝手に福原に同調しようとする思考を振り切るように 植頭を見上げて口を開く。]
(21) 2013/09/05(Thu) 01時半頃
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[相談を聞いて欲しいと、改めて頼む前に、 植頭から申し出てくれた。>>23
どちらの部屋でと言われて、 咄嗟に自分の部屋を避けようとする思考が働く。
なにしろ、クローゼットの中の数枚のワンピース以外 あるのは以前から持っている男物の洋服ばかりだし チェストの一番下の段に詰まっているのは すべて男の下着なのだから。]
え、と……
[とは言え──、 相談を聞いてもらうなら、普通は自室に招くものだろう。]
部屋はどちらでも、構わない、です。
[結局、選択肢を相手に委ねる狡い方法を取った。**]
(30) 2013/09/05(Thu) 02時頃
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[植頭が選んだのはどちらの部屋だったか。
自室なら、裕が淹れるのはインスタントコーヒー。 白い円形のラグの上の、 白い円形のローテーブルに植頭を座らせ 部屋と比べて極端に素っ気ないキッチンスペースへ入る。
植頭の部屋に通されたなら、 玄関で脱いだ靴を揃えて向きを変え、 床に積み重なった本の山にわぁと感嘆の声を上げ、 山を倒さぬよう裾捌きに気を使って進んだ。]
(50) 2013/09/05(Thu) 12時頃
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[珈琲を一口。 ティラミスを一口。
ティラミスをもう一口。 珈琲を一口。
そして、カップを置くと、口を開く。]
わたしの部屋に、時々、 誰かが勝手に入っている気がするんです。
使っていないバスルームが濡れていたり、 バスタオルが床に落ちていたり、 シャンプーの減りが早かったり……。
ちゃんと鍵は掛けて行ってるはずなのに、 時々……うぅん、わかば荘に引っ越して来てから そういうことが、よく、あるんです……。
(51) 2013/09/05(Thu) 12時頃
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最初は気のせいだと思っていたんです。 でも、何度もあると、 やっぱり気のせいじゃないような気がして──。
管理人さんはマスターキーを持ってるんですよね?
……いえ、あのひとを疑ってるわけじゃない、けど。 もしかしたら、誰かに盗まれてた、とか、 そういうことも、あるかもしれないから。
植頭さん。 他にも、そんな話を聞いたことはありませんか?
勝手に部屋のものが動いていたとか、 何かなくなったとか。
[話し始めると、言葉は淀みなく流れる。 不安もあるけれど、それ以上に、本当に侵入者がいるなら このまま放っておいてはいけないと。]
(52) 2013/09/05(Thu) 12時頃
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もし、あったら教えてください。
──それとも、 やっぱりわたしの気のせいなんでしょうか──?**
(53) 2013/09/05(Thu) 12時頃
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─204号室─
[植頭を自室に通すのは、少々の緊張を伴う。 先に玄関に入ると、素早く室内に視線を巡らせ 出しっぱなしになっているものはないかチェックする。
それから、どうぞ──と、中へ通した。]
(101) 2013/09/05(Thu) 21時半頃
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─204号室>>82─
──…いえ、 盗まれたものは、なにも。
施錠に?
[植頭の返事を聞き、慎重に思い出しながら答える。]
え、と 鍵は、いつも出掛ける時に、ちゃんと掛けています。
……多分。
(116) 2013/09/05(Thu) 22時半頃
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[>>82それから、植頭が語る内容は、 裕の状況ととても似通っているように思え]
やっぱり、わたしだけじゃないんだ……。
[本の配置が変わるくだりまで聞いて、呟くように言う。 最後の、湯呑みが空を飛ぶのさえ、あるあると頷きかけて]
──え?
湯呑みが空、 を。
え?
[目を点にした。]
(117) 2013/09/05(Thu) 22時半頃
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よ、妖怪、ですか?
[まさかの。 >>85まさかの結論。
若干簡略化された顔で、植頭の言葉を繰り返す。]
(118) 2013/09/05(Thu) 22時半頃
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悪戯好きの……。
[正直、霊感が0を越えてマイナスに近い裕には その結論に頷くことは難しかったけれど]
……ぁ、
[空飛ぶ湯呑みを頭に思い描いて、ふと気付く。]
わたしも、見ました。 空飛ぶスプーン……気のせいだと思ってたけど……。
(121) 2013/09/05(Thu) 22時半頃
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[確かに見た。 植頭が語るのと似た怪異を。
怪異──なのか。
信じがたいけれど。]
…───。
[戸惑いは沈黙となって表れた。 珈琲カップを両手で挟んで、黒い水面をじっと見る。
その間にも、植頭の話は続く。]
(122) 2013/09/05(Thu) 22時半頃
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[人を疑うこと。 警戒。
しすぎても、しなさすぎても悪いと教えられた。]
……はい。
[管理人を信じていると、植頭は言う。 それには裕も異論のないところ。
わかば荘へ越して来てまだひと月と経っていないのに、 裕も、あの管理人がそんなことをするはずはない、と。
侵入者の可能性に気付いた時に思ったのだから。]
(123) 2013/09/05(Thu) 23時頃
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盗難は、ありません、でした。
[繰り返す。 物盗りの仕業でないことを、確認するように。]
…──放っておいて、いいんでしょうか……。
[これはまだ、すこし、心配そうに。]
わたしは、まだ、いいんですけど 他の、女の子の部屋だったら、 やっぱりちょっと、まずいんじゃないでしょうか……?
[浮かぶ顔。
一人、二人。]
(125) 2013/09/05(Thu) 23時頃
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何か、わたしに出来ることは───
[気色悪がってはいないだろうか。 怖がってはいないだろうか。
守ってあげたいと思う心は、見た目とは違う。 男の、もの。]
(126) 2013/09/05(Thu) 23時頃
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ただね…
…かを…じると…うのは…その…を…じる…を…じる…です…
…いっぱなしだと…も…じられなくなるから…
それだけは…を…けた…がいいですよ…
…
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