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78 わかば荘の薔薇色の日常
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[今──どんな風に、発熱と戦っているのか 興味がないわけではない。
きっと座っているのも辛い。 だろうに、さっさと寝ると言って部屋に戻らず 付き合ってくれているのが少し嬉しい。
けれど──南方が読み始めたのがわかると 遊の目は冷めたように、 感情をなくして機械の光を見下ろした。]
(589) 2014/07/02(Wed) 18時頃
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[すぐに踵を返し、 キッチンでミネラルウォーターをグラスについで戻って来て]
薬 あれば。
[グラスをローデスクに置くと、南方の隣の床に直に座った。]
(590) 2014/07/02(Wed) 18時頃
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ジャニスは、ミナカタの手に鞄を手渡し、様子を見ている。**
2014/07/02(Wed) 18時半頃
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読み慣れてないと、二時間くらい──
…──いや、もっと、掛かるかな。
[読み始める直前におおよその所要時間を告げて、 クッションを使っていなければクッションを押し付ける。
読み易い言い回しや表現を使用した大衆小説だから 引っ掛かるところはない──だろう、きっと。]
(603) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[樹の幹をキューブ状に削りだしたものに 針を付けただけの時計が、パソコンの少し奥に置いてある。
南方が帰った時点で九時半を過ぎていた時計は、 今はもう十時半を回ろうとしている。
>>591怠そうに姿勢を崩すのは身体が辛い証拠だろう。 >>593ゴミは手で受け取って部屋の隅の屑籠に捨てた。]
──
[ありがとう──。 南方に言われるのは何度目だろう。 数えるほどか、初めてのような気がする。
無理をさせているこんな時に言われるなんて。]
(606) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[時間が掛かると言われて、 この状態の客人を放置して行けるほど 遊はまだ人間離れしていない。
言葉なく頷いて、大人しくしている。
少しして、雨の匂いに混じって油の匂いが鼻を掠め 床の上の畳まれた白衣に目をやった。 手を伸ばして引き寄せ、鼻を寄せる。
染み付いた油の匂い。 飛んだ絵の具。 夢の一幕を思い出す。
すぐに戻したけれど、 夢の終わりに見た故郷の風景が、淡く印象を残した。]
(608) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[途中で座っているのに飽いて、 ベランダから外を見たり床の袋を片付けたり。
それも飽きると、南方のすぐ後ろで横になった。
寒い>>600と訴えるのを聞くと 大きめのカーディガンと夏布団を取り出し掛けてやる。 空になったグラスに水を注ぎ足し、 ミネラルウォーターのボトルを隣に置いた。]
(611) 2014/07/02(Wed) 20時半頃
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[それからまた、南方の後ろから 南方とその向こうの白を重ねて見える位置で横になり いつの間にかうとうとしていた。
この部屋で、パソコンを開いたまま 自然な眠気が訪れるのは久しぶりだった。
恐らくは、南方が羽織った白衣の匂いと 朝、部屋にいることを許してくれた 人の気配があったからだろう。
声は、眠りかけていた意識を唐突に現実に引き戻す>>604]
──…
……今月、新人賞の締め切りがある。 それに……応募する。
[少し眠そうな声が、起き上がる気配と共に答える。]
(616) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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/* みなかたあああああああああああああああああああああああ
(-244) 2014/07/02(Wed) 21時頃
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/* >>=287 その時の、自分の要領がいいだけの絵が、絵画の世界に平然と在り続ける、熱量をもった、人間を圧倒する美しさという暴力の中で、ひどく、つまらなく、ちっぽけで、ありがちに見えることが、あまりにも、当然で自然に思えた。
これえええええ 好き
(-245) 2014/07/02(Wed) 21時半頃
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/* >>624 ドナルド……!!
(-246) 2014/07/02(Wed) 21時半頃
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最後は、
…────……最後は、多分、泣くんだ。
自然の厳しさと思い知って、 それでも感じる圧倒的な美しさに涙を流して、 歩き出す。 ──…未来、に向かって。
[波長の短い白光が南方の顔に陰を作る。 目の前の男が今どんな顔をしているかが見えない。
書いていない結末は、大分前から頭の中にはある。 そうあるべきと思われる筋が、漠然と。 決して映像として、実感を伴って広がる世界ではないそれを 自分の中から、出したくないのだ──。
語る声音は、珍しく重い。]
(634) 2014/07/02(Wed) 21時半頃
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/* >>=298 飛んでもいいよ
(-249) 2014/07/02(Wed) 22時頃
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[書いたとしても、きっと嘘になる、予感があった。
そんな感動を、遊は知らない。
──冬の深雪の厳しさも ──雪解けの春の輝かしさも ──夏の収穫の喜びも ──秋の実りの賑わいも ──山際から昇る朝日の染み入るような眩しさも、知っている。
故郷の地は、自然の美しさには事欠かない。
精彩な自然の描写は、遊の書く文章の特徴であり それは今、南方が読んだ未完の物語にも表れている。]
(=302) 2014/07/02(Wed) 22時頃
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[でも、わからない。
遊にとってのそれは 肌に沁み入るように、静かな情感を伴って湧いて来るもので 書こうとしているような激しい感情とは、違う。
──涙を流すほどの激情を、遊は持たない。]
(=304) 2014/07/02(Wed) 22時頃
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/* 天声考えな
(-250) 2014/07/02(Wed) 22時頃
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/* ここ二人だけもう深夜近い
(-251) 2014/07/02(Wed) 22時頃
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──、
[忘れたと言ったはずなのに。 物書きとして、足りないものを指摘されたように感じた。]
…──ない。
[しかし今、嘘をついてもしょうがない。 目を伏せて、白い光から表情を隠すように俯いた。]
(643) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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どう──…
[顔を上げて、表情の見えない男へ問う声は 不安げに揺れる。
期待は持てない。 書いた自分が良いと思えないものを 読者が良いと思うはずがない。
それでも縋るように、尋く。
賞を──取れるかどうか。]
(645) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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/* 南方今、壮絶に眠いんじゃ
今日南方寝てる? 寝たっけ?
(-254) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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──…あぁ、
[吐息に滲む落胆。
コンクールには出さない、つまり 画家という道を断念──あるいは保留するという意味の。]
南方は
[──諦めたくないんだ。
当たり前のことだ。 好きでなければ描き続けられない。 あんなに緻密に、あんなに執拗に。]
(663) 2014/07/02(Wed) 23時頃
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[その言葉は途切れて宙ぶらりんのまま 続く南方の言葉に埋もれる。
泣けもしない──と。]
……
[わかっている。 書き始めてすぐに気付いた。 これは自分が表現したいものとは違うと。
それでも賞を取るために、続けた。 今年中にデビュー出来なければ帰って来いと言われている。]
どうすればいいと思う。
[引き直されたライン上に上がり込み 答えをねだる。]
(664) 2014/07/02(Wed) 23時頃
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[諦めたくない。 来年の今頃もここにいて、 ここで生まれる言葉を綴っていたい。]
デビュー出来なかったら 来年 俺は ここにいない。
いられない。
だから──
(665) 2014/07/02(Wed) 23時頃
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[聞こえた小さな声に、固く瞼を閉じた。
故郷の朝焼けを思い浮かべる。 泣きそうなくらい綺麗だと人が言った、それを。
でも──遊が同じものを見て感じたのは、 その色彩の境目にあるかもしれない世界や、 同じ景色を見ている人間の、一人一人の物語で。
見える世界を単純に“そう”と、 受け止めることの出来ない自分を再認識する。]
(=323) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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/* 南方に難しい返事を強要する村建て
(-262) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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/* 発言回数158回とか笑うしか無いんだけど大丈夫かな? 南方もつられて75とかなってるけど大丈夫かな?
(-263) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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[得られたのは、酷く簡潔で 酷く酷薄にも思える答え。
取捨選択を間違えている。
──そう言われた気がした。]
(679) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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書くためにここにいる。 書くためにここがいる。
例えば、ものにならなくても 他のものを全部捨てた結果、駄目でも
……書きたい…… と思う。
(683) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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[家族と家を困らせたくなかった。 デビューすれば、 諦めて別の後継者を見つけてくれると思っていた。
その考え方が甘かったのかもしれない。]
(=327) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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[口にしてしまった。
愛情深い家族よりも 美しい故郷よりも 書くことが大事だと。
それと同時に、もう一つわかった。
自分が書きたいのは、やはり違うものだったのだ──と。]
(687) 2014/07/03(Thu) 00時頃
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[描きたいのは、安っぽい感動じゃない。
感動と自己陶酔を錯覚している人間の滑稽さだとか 日常の光景を異なる視点から覗いた際の違和感だとか
どちらかと言えば捻くれた、シニカルな目線。
おそらくはそれが── 間中 遊が伝えたい、間中 遊の世界。]
(=330) 2014/07/03(Thu) 00時頃
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