78 わかば荘の薔薇色の日常
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……多分、外にも出てない。
[見張るような形になってしまったけれども、 宇佐美が部屋を出ていった後、 暫くベランダから出て行く姿がないかは眺めていた。
だから、わかば荘の中にはいるのだろうけれども。 どこにいるのかまではわからない。 自分の知りうる宇佐美の情報を藤堂に伝えた後、 じ、と、眼鏡の奥の瞳が藤堂を見つめ。]
(78) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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[いつもなら、こんなに長くは藤堂のことを見ない。 …見ないようにしている。 ゆっくりと、視線を藤堂から逸らして 戻す。]
(=62) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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……徳仁、
[宇佐美と何かあったのか、訊くこともなく。 口にするのはいつもと同じ一方的な頼み事。]
俺さ…、 今から寝るから。
適当な時間に、起こしに来て…。
[藤堂から何か引きとめられないようなら、 いつもと同じような返答が戻ってきたのなら。 おやすみ、と瞳を眇めて部屋の扉を鍵をかけずに閉めた。**]
(79) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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[デスクトップのアイコンをクリックすると 行と文字数の表示程度の機能しかない 無愛想なテキストエディターが開く。
タイトル未定のその作品は 地方の酪農家の青年を主人公として、 青年が勤める牧場で人や動物が巻き起こす事件を 面白おかしく描いた大衆小説である。
主人公の青年は感情の起伏の激しい いわゆる“わかりやすい”性格をしており、 なにか事件が起こる度に、泣いたり笑ったりの葛藤を繰り返し 仲間達と様々な出来事を解決してゆく途上で 酪農家として人として、成長していく物語となっている。]
(=63) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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[小説はもう、ほとんど終わりまで来ている。 今書いているのは起承転結の結にあたる章で、 ストーリー全体を纏める一番重要な部分である。
今、小説の中の青年は、 台風の後の濡れた牧草地に一人佇み 雲間から射し込む朝日浴びて────…]
──……。
[──浴びて。
もうずっと── 少なくとも半月以上、何の結論にも到達出来ずに そこで立ち尽くしている。]
(=64) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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/* へえへえ 酪農意外
(-65) 2014/06/30(Mon) 11時頃
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[締め切りは半月後と、目前まで迫っている。 にも関わらず、最終章に手を付けようとすると 途端に何も言葉が浮かんで来なくなるのだ。
結局、遊は毎晩、 書き終わった章の修正ばかりを繰り返している。
書かなければ──と、思えば思うほど 書きたいことを見失う。
そもそも、真実を言えば。 遊がこの作品中で書きたいことは、 ほとんどないと言ってもいい。]
(=65) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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/* >>73 せっかく作ってくれたものだったのに失礼なことしてもーたかな。 とか、ちょっと反省。
(-66) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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[賞を獲ってデビューするために、 読みやすく感情移入しやすい題材を選び、 選考者受けする要素(ピース)を パズルのように各章に嵌め込んだだけの、 システマティックな物語。
それが──、今書いている小説の正体である。]
(=66) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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[ちなみに── 遊が狙っているのはハムスター新人賞だ。
ハムスター出版──通称公出版と呼ばれる マイナーな出版社が企画する新人賞で、 賞金の額こそ少ないものの 大賞受賞作の書籍化が約束された 貴重な新人賞のひとつである。
出版社自体がマイナーとあって 他の出版社の新人賞に比べると 作品の応募数自体がかなり控えめとなっている。
とりあえずどこでもいいからデビューをと考える遊にとっては ライバルの少ないこの賞は狙い目であり、 同時に、今回が最後の機会──でもあった。]
(=67) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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/* 理由付けと地に足ついてる感とてもいいwww
(-67) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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/* 好み。
(-68) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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/* こういう何言ってんのお前的な捏造が一番辛い。 適当にぼかしてなんとなくで押し通した方が絶対楽なのに、なぜかやたら詳しく説明したくなってしまう悪い癖。
(-69) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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/* ものすごく……どうでもいい……。
(-70) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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────……、
[──結局、 今日も青年は何の結論も得ないまま、 試される大地に放置された。]
2014/06/30(Mon) 11時半頃
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────……、
[──結局、 今日も青年は何の結論も得ないまま、 試される大地に放置された。]
(=68) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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/* でっかいどう…
(-71) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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[小説が、最終章以外 もうこれ以上いじるところのない状態に近づいた頃、 遊は短く嘆息して、片手でノートパソコンの天板を閉じた。
側面の排気口から熱風を吐き出し続けていたファンも しばらくして沈黙する。
空はいつの間にか白み、 針のような細い雨を降らせ始める──。]
(80) 2014/06/30(Mon) 11時半頃
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[時計の針が指しているのは 他人の部屋を訪問するにはまだ非常識な時間。
昨夜から着っぱなしだったリネンシャツをハンガーに掛け タンクトップを黒に変えて 上から着心地のいい白い半袖パーカーを羽織る。
ローテーブルの横には、空になった泡盛の瓶が立っている。 その横に放ってあった黄色い袋と 冷蔵庫で冷やされたアロエヨーグルトを手に 遊はふらっと自室を出た。]
(81) 2014/06/30(Mon) 12時頃
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[いつもの裸足、いつもの足取りで 誰もいない階段を下り、 104のナンバープレートが掲げられた扉の前で止まる。
コンコン──と、 無遠慮なノックが南方の部屋を襲った。]
(82) 2014/06/30(Mon) 12時頃
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/* あれだもう フランクの接続時間を遊とずらすとかどうでもいいから とりあえずこのまま天露と話そう。
(-72) 2014/06/30(Mon) 12時頃
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─前日の事─
[管理人として、バーベキューの面倒は最後まで見た。 片付けもせずにさっさと部屋に戻るお馴染みの面子に仕事をさせようにも、山篭りから帰って来た求道者の顔をした芸太がまだ肉を食っていて早々に片付けてしまうのも可哀想だったので、とっとと離脱した不届き者には後日他の仕事をあてがう事を決め、最後の打ち上げ花火を合図に、残った者達と後片付けをした。
達久から、信也の状態については聞けていただろうか。頑固に姿を表さない事を心配していた管理人に、誰かは情報をくれただろう。 だから風邪だと聞いても信也の部屋を訪れる事はせず、面倒を見てくれる他の者に任せた。]
(83) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[大の字でばったりうつ伏せに倒れていた南方の体が、驚きに、ぎくりと動いた。]
……?
[億劫そうに半身起こして、扉の方へ顔を向けた。 ちょうど寝入りばなの事だ。聞き間違いだろうか。 人が訪れるには非常識な時間だから、気のせい、または何か打つかったのかも、とも考えた。本当に誰か来たのなら緊急の事態という可能性も一応考えるも、「誰か死んだ」とか「誰か倒れた」とかそういう物騒なものしか想像は出来ない。]
(……急性アル中? いやいや、ないない……)
[人が来たのよりは、気のせいか何か打つかっただけ、というのが正解な気がした。 一応確認しようと、のろのろ起き上がって、スリッパを履いた。]
(84) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[ドアノブを掴む。 ドアを押し開けた。 南方は間中を壮絶な険相で出迎えた。 ドアを閉めた。 邪悪なものを見たゆえの、命可愛さ、保身からの行動であった。 間中を人間カウントをしていない南方にとっては、「人は来てない」で正解といえなくもなかった。]
(85) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[薫と翔平の合作ロシアンルーレットは、2
1.あたり 2.はずれ
を引き、微妙な表情で咀嚼した。]
(86) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[庭から火種が消え去り、一応の安全が確認出来ると、まだその場に人が残っていようとも早めに引き上げて自宅で眠る。
朝早く、墓地を見まわってから談話室に入ると、ここ二年、この時間には絶対にいなかった人の姿(>>75)がソファの上にあり、フランクは、眼鏡の奥のしょぼくれた目を丸くして信也を見下ろした。]
……おはよう。 珍しいな、こんな時間に。
[驚きながらも基本の挨拶を口にして、呼ばれるままに頷いてソファの上に──信也の隣に──二人分くらいの空間を開けて座った。]
……話ってなんだ。 急がないから、ゆっくり話せ。
[真っ直ぐに注がれる視線を、フランクもまた、真正面から受け止めた。]
(87) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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/* wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
しめられた
(-73) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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/*
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
(-74) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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[ドアの内側、金属音がある。 チェーンを閉めた状態で、再度ドアが開く。]
なんすか。 時間おかしくないすか。
[鼻のつまった掠れ声が、警戒も顕に訊いた。]
(88) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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─ 104号室前 ─
[静かな廊下で扉の向こうのに意識を向けていると、 聞き耳を立てずとも人の気配は感じ取れる。
ノックの直後にはしなかった微かな物音が 閉じた扉の方へ近づいて来て──]
(89) 2014/06/30(Mon) 12時半頃
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