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78 わかば荘の薔薇色の日常
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/* >>=86 >残るのは、互いの見えないラインだけだ。]
これが「入って来てみろよ」という挑戦に見える
(-89) 2014/06/30(Mon) 14時半頃
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/* 見える ので
挑んでみるんだけど 遊が入りたがってるのかどうかはよくわからないwww
(-90) 2014/06/30(Mon) 14時半頃
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──絵だ
[玄関に戻るために南方が振り返るのと 気配に気付いて顔を上げるのと 陽光をカーテンで遮った部屋に、遊の声が響くのと。
どれが最初だっただろう。]
(116) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[カーテンがひらいた音がした。 南方は財布を手に振り返って、真顔になったあと――諦めたように息をついて、眉根を寄せた。]
待ってろつったでしょ。
[犬や猫の粗相に対するような口ぶり。 躾をしなかった本人の責任でもある事をしっているような、落胆のような、見誤ったかのような、残念がる声。 部屋のなかは、今度は間中の目にも、はっきりうつるだろう。 ここは、片付いた部屋。いや、殺風景な作業場だ。 床板についているのは絵の具。部屋本来の床板でなく、その上に一枚被せてあるのは、絶対に汚れることがわかっているからだった。 壁に立てかけておいてあるのは、キャンバス。 とりあえず、一番前にきているのは、裸像だ。 絵から滲むものは、作者の想像や心という何かではない。 ただの努力と訓練の形跡。 カップが置かれた作業台にも、絵の具がこびりついている。 のこりは、生活必需品だけ。]
(117) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[裸足が、絵の具のこびり付いた床板を踏んで、 大きなキャンバスの前で止まる。
光沢の足りない肌色は それがまだ乾ききっていないことを示している。]
──。
[表情を変えない遊の目が、じっと裸像に注がれる。]
(118) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[絵と見比べるように
ちら、と 南方を見た。]
(=89) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[見えないラインが蹂躙された事への抵抗感。 南方は、はっきりと、不快を示した。 それでも、諦めの感情も同時に強く出たのは、相手をずっと、人間扱いしてこなかった故だろう。]
(=90) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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/* 相手をずっと、人間扱いしてこなかった故
激おこwww
(-91) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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薬。 いくら?
[絵を見ている間中へ、声をかけた。 怒り、というよりは、叱るに近く、責めるような声音になった。]
(119) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[首を振る。 金はいらない──と。
苛立ちを含んだ詰るような声音の理由がわからない。 境界を越える前に感じた一瞬の罪悪感は、 現れた絵という新しい情報に上書きされた。]
(120) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[遊の目はもう南方を見ない。
画布の上の描きこまれた裸像から なにかを読み取ろうとするように 自然体で絵と向き合っている。]
(121) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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─談話室─
……、…はよ。
[眼鏡の奥の瞳、毛先のうねった頭、隣に出来る空間(>>87) ばくばくと破裂してしまいそうな心臓は、ぬるく甘い痛みではなく。]
……き …昨日。 ばーべきゅ、出れんで… ごめん、なさ、い。
[隣に座っても尚、視線を受け止めるような態度のフランクさんに さすがにもう視線は向けられず、睨むエンジニアブーツ。 朝早かったからか、今は運よく談話室には誰もいない。 誰もいないせいで、声が響くようで。
こわい。 いたい。 にがい。
鼓動さえ、漏れ聞こえているんじゃないかと。]
(122) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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(自分の手を、ぎゅっと握る)
(左手が、たった少しでも繋いでいた指先) (達久の体温を思い出す)
(卑怯な、オレ。)
(=91) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[間中が首を横に振る。 財布を作業台に放り、間中の持つ黄色の袋へ手を伸ばして、掴んだ。 表情や様子を確かめたくないせいで、間中の顔は見なかった。 いくら相手が見たところで、そこにあるのは、ただ、ただひたすらに技術を維持しようとしているがだけの、ただ上手なだけの、訓練のためだけの、絵にしがみついていたいがための絵なのだから、感想など、知る必要もない。 ただ、心の内で「あーあ」と嘆くばかりだ。 間中の手から袋が離れたなら、南方は、薬の箱を取り出して、流しへと近づいたろう。]
(123) 2014/06/30(Mon) 15時頃
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[時間にして五分に満たない時間。
その後、 不思議そうに首を傾げ 握った袋に南方が触れたのを機に、 興味を失った体で南方を見上げた。]
これ、 楽しい?
[遊の手は、あっさりと袋を手放した。]
(124) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[なんの感情も情景も広がって来ない、無表情な絵だった。
ノートパソコンの中で、 自分が作り上げたパズルゲームに似ている──と、思った。]
(=92) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[表情が読み取れない。
つまらない。]
(=93) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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ず、っと …フランクさんのこと、避けよって。 でも昨日は行こうと思とったとばってん。 風邪引いた、ぽくて、部屋に。
[いたんだと、何とか紡いでから。 徐々に眉根が寄せられていく。]
…っ、… …オレ。 フランクさん、のこと、…──好いとお、たい。
[管理人として、人として、ではないことは 声音や態度ですぐにわかるだろう。 じわじわと視界の輪郭があやふやになる。 目が熱くなる、感覚。 オレが泣き虫なことをフランクさんは、知っていただろうか。]
でも…、… 『好いとった』に、したい、ったい。
[自分勝手で、迷惑極まりのない、話。]
(125) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[ああ──
今回も駄目だな──、と。 遊はひそかに溜息をついた。]
(=94) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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あ?
[喧嘩を売っているのだろうか、といわんばかりの苛立ちの混ざる声だった。 普段は聞けば億劫がりながらも答える南方は、答えない。 答えたくない、或いは、答えられない質問でもあった。 袋を手に、中からがさがさと薬を取り出し、注意書きを読み、 残ったヨーグルトも取り出した。]
(126) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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すきに、なって
ごめんなさい。
(=95) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[こんなものしか、作らなくなってしまっても。 それでも。
絵を描くことが、楽しくないわけが、なかったからだ。]
(=96) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[絵のことはよくわからない。 練習用の絵なんて、そんなものかもしれない。
自分の中から産まれる世界を表現したくて書く小説とは、 違うのかもしれない。
そうは思っても、聞かずにいられなかった。]
──南方、上手だね
[他に、言う言葉がなかった。]
(127) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[雨が降っている。 部屋の外も、中も。
ぱたぱた、落ちる雫はエンジニアブーツに弾かれて。 か細い音を立てている。
もう何を言葉にしていいのか、わからなかった。 オレにはきっと何を謂う資格も、ない。
痛みだけが心を支配していて。 本当に、本当に自分勝手な告白だ**]
(128) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[技術にだけ縋ってきた。 楽しい、というのは、いつでも、微かに、ほんの微かな時間だけ、ふっと姿を現して、あっという間に立ち消えた。求めるも、それは滅多に現れない。 熱のこもった、深い集中とともにやって来る「楽しい」については、とんとご無沙汰だ。 曖昧な、ちいさな楽しいが、麻痺した気持ちに、時々訪れるだけ。
それは、こんな作り方をする時間しかなくなって、自分の作品に没頭するのをやめた代償でもあった。
虚しくなり、苦しくなり、それでも、どうしようもなく、離れられない。 ただひたすらに、ずっと楽しくなければ、しがみつこうとは、思わなかったかもしれない。
緩やかに頻度の減っていった「楽しい」は、欲しくても手の届かないものに変わりつつあった。]
(=97) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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/* お二人に挟まって、本当に申し訳ないアルヨー…。
(-92) 2014/06/30(Mon) 15時半頃
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[――だから今、間中の口から「楽しい?」と聞かれて、改めて、手を離すことも――やろうと思えば、案外あっさりと、出来てしまうのかもしれないなと虚しく思う。 事実、手を離す、と、離さないの妥協点が、今の仕事だ。]
(=98) 2014/06/30(Mon) 16時頃
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/* レスに困るよなぁ、ほんと申し訳ないフランクさん。
『フランクさんへの気持ちは勘違いだったんだ \ファー/』
は絶対やりたくなくてな、フランクさんにも達久にも失礼だし。 ちゃんと踏ん切りつけたいし、ってのも迷惑だろうけども。 ぐぬぬぬ、ほんと申し訳ない。
拘束しちゃう(発言を強制しちゃう) こと考えたら謂い逃げた方がよかったんかしら。 ぬむう、むずかしい、ぜ。
(-93) 2014/06/30(Mon) 16時頃
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そりゃあな。
[食後に飲めと薬箱に書いてあったので、ヨーグルトのぺらぺらの蓋を開けながら、返事をする。]
教えてるから。
(129) 2014/06/30(Mon) 16時頃
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あ
先生、なんだ。
[袋を移し替えてしまったから ヨーグルトにスプーンはついていない。]
(130) 2014/06/30(Mon) 16時頃
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