[シーツの海に沈めば、変わる視界。
色付いて染まる目許は天井を一度見上げ、男の姿を探して動く。
ぽつと零された問いかけに少し考えた。
髪は切ったり伸ばしたりを繰り返しながら、けれど最後に短髪だったのは高校生の頃だから、なんだかんだ10年、と]
あー…やっぱ、イイ眺め
[眼前に黒焔が立ち上る。
一度瞼を閉ざしても、その裏でも焼き付いたように残像が燃えた。
触れ合う肌も重ねる唇も、灼熱。シーツの上でうねる髪すらも炎のように揺らいだ。
戯れに、施された触を返す。耳に触れ、宿る銀色を撫でて耳朶を軽く引き、頬骨を、首筋を。
男の背中へ回した腕は、一列に並ぶ背骨の突起を辿って、一つ一つの輪郭へ指先を遊ばせながら降りて行く。
触れるか触れないか、体温と存在だけを伝えるぎりぎりの距離に掌を広げ、呼吸のたびうねる発達した筋肉の上をじわり滑らせて熱を灯した]
(@30) 2014/06/17(Tue) 08時頃