[小さな狼の姿になろうとも毒に侵された遺体に牙を立てることは叶わない。
貴方を殺めた魔女に復讐しよう、そんな気持ちすら抱けないのは何故だろう?
口付けの感触など既に残っていない、そう……何もかも闇の中に消えてしまった。
じわじわと嫉妬さえも浸食し心に大穴を空けた"喪失感"
ふと思い出したのは、あの時の言葉>>2:62]
寂しいよ、戻ってきてよ
意地悪されてもいいんだ、一緒にいてくれたら。ねえ、お願い……
なんでもするからぁ……!
[「寂しいって泣いても戻ってきてやらないからな」
分かっている、分かっていてもそう願わずにはいられない。
嘘だと言って起きてほしい、勝手に殺すなとでも言ってこの泣き顔をからかってくれたらいい……。]
……くぅん
[遺体の頬を一舐めし踵を返し闇に消えていく
小さな狼の寂しげな鳴き声は、願いは――誰にも届かない*]
(-106) 2013/05/17(Fri) 22時半頃