[その場から動かない永利に、思い切ってこちらから近づけば。想定よりも顔が近づいてドキリとする]
…や、全然…
すぐ、隣すし…拾ったものは、届けないとって
[たとえそれが1円でも。紙くずでも捨てたものでないのであれば。というのはポリシーではあるけれど、何故だか言い訳がましくなってしまう
それでも、近づいてみた永利の顔が先ほどより多少和んでいるようで。だから、少し油断した。ゴムの端と端を掴んで引き渡すつもりが手が触れて、明らかにビクリと震えてしまった。
永利は気づいただろうか。ここは気づかれていないことを願うしかない]
ッ…どう、いたしまして…
じゃ、俺、これで
[触れた所を右手で覆うようにしながら、ペコリとお辞儀をしてすぐ近くにある自室に逃げ込んだ
道菅を置いてきてしまったことに気づいたのは、それから数分後のことだ]
あ、あかん…全然隠せてへん気がする…
(474) 2014/06/26(Thu) 01時半頃