いやいやいやいや、お話できただけでも幸せでしょ
ていうかまだ出航してもないし。物好きさんがいるかもしれないし
[タオル…は預けたままだったのでカーディガンを脱いでそれで軽く頭を拭く
鏡に映る自分の貧相な身体にまた溜息ひとつついて、なるようになるさ、と自分に言い聞かせる
さてこれからどうしよう
これからあのテーブルに戻ろうかとも思ったが少しどころでなく恥ずかしい
そのまま、半分濡れたカーディガンを腰に巻いてとりあえず着替えるか、ついでに風呂でも入って全身さっぱりするかとトイレのドアを開けると、両手にハンバーガーとホットドックを持って立っている保父マンがいて>>356]
…あ……
[明らかにまだ食事中だったのに、自分を案じて追いかけてくれたのだろうか。両手に食べ物を持っていてはドアを開けるのも、そもそもトイレに入るのも憚られただろうに]
(それでも、来てくれたんだ…)
[驚きと嬉しさでじわ、と涙が浮かんだが、ぐっと目尻に力を入れて耐えた。ここで泣くのは重過ぎる
自分がもし20数歳若かったら、何も考えずにその胸に飛び込んだだろう]
(401) 2014/06/08(Sun) 15時頃