(來夏は猫に好かれるのか。根が素直──なのかな。いや、それじゃ薫が好かれない理由がねえか。んー……?)
[來夏が猫を抱いていた時間は短いが、ぐにゃぐにゃした身体の動物を当たり前に抱き上げて移動して行く姿は、なんだか頼もしい。
三年前、それまでの人生を、良い事も悪い事も含めて全部吐き出して、一緒に溜まっていた感情まで吐き出すようにわんわん泣いていた來夏とは別人のようだ。]
(そういやあん時、俺は話をただ聞いて、頷いてただけだが──、まぁ、話を聞くだけで人は楽になるって言うしな。俺が直接何かして変わった──ってのは、今いる中じゃ、來夏だけかもしんねぇな……。)
[だからか、フランクは、來夏が慕ってくれるからという以上に、來夏の事を気に掛けている。]
(まだまだ、あいつも堅さが取りきれてねーが、それも少しずつ、変わって来てる。)
(375) 2014/07/01(Tue) 21時頃