[チャルラタンのケーキは今日も変わらぬ美味しさだった。
卵酒と称して茶色い謎の調味料と卵と香辛料をつっこんだだけの汁で味覚を破壊されそうになった後である。より一層、この甘美を有難がることができた。
南方はぺろりとケーキ一切れを平らげた。
徹津の誕生日も知らぬまま参加したイベントである。
彼に渡すものもない。居ていいのかもよく分からない、主役ほどではない居た堪れなさを感じていると、その主役から、声をかけられた。]
……ん?
[主役は、チーズケーキを差し出してきた。>>354
皿に一切れ、鮮やかな黄色が、三角に切り取られている。]
ああ。腹いっぱいになっちゃった?
え。俺ほんとに貰うけど。 いいの?
[甘いものが好きな南方にとっては、二切れ目など容易い。反応は、本当に嬉しそうだったろう。徹津に「ありがとな」と笑みを返して、遠慮なくそのチーズケーキを受け取った。]
(360) gekonra 2014/07/05(Sat) 23時頃