―バースディパーティ―
[甘い匂いで目が覚めた。なんだか果物の匂い。
柔軟剤に似たような匂いがあったけれどなんだっけ?
寝ぼけた頭で辺りを見渡すと桃の箱が6つもあった。
匂いの正体はこれか。
じゃああのケーキの箱はなんだ。しかも2つも。]
……ああ、來夏ちゃん
誕生日だったんだ…。
[バースディパーティーの準備が始まると納得して。
数日前は肉を囲んで男くさかったこの部屋が、
今日はケーキを囲んで男くさくなる。
斉唱されたバースデーソングは今まで聞いた中で一番野太いものだった。]
…それで來夏ちゃん幾つに…?
…ああ、21?…若いなあ…。
[そりゃ皆が元気よくバースデーソング歌ってくれるわけだ。
手拍子しかできなかった三十路前は先程知ったばかりでプレゼントも用意しておらず。俺の分、あげるね。と自分の分にと切り分けられたベリータルトとチーズスフレを徹津の傍に寄せて即席のプレゼントにするのだった。]
(334) chiz 2014/07/05(Sat) 21時半頃