お待たせ。
[>>289ベランダの引き戸を閉めると、隣いいかと尋ね。
了承を得られれば、そのまま横に腰掛ける。
ほんの少し躊躇った後で、やがて意を決し。
ぽつりぽつりと語り始める。]
本当は持って行こうか悩んでた。
でも、俺にはお前にもらったアレンジがあるから。
二つも面倒みられないから。
…お前が良ければ、これ、やるよ。
[手のひらに鎮座するのは、一度は枯れかけた小さなサボテン。
そいつの本来の持ち主が誰なのか、承知の上で、持ちかける。
根腐れしてしまったサボテンは、いまだに根付く様子は見せない。
治療は続けてきたものの、再び花を咲かせる可能性はとても低い。
自分ですらそう思うのだ、健康体の花をも枯らしてきたありすなら、尚更かもしれない。
彼をこれ以上傷つけるくらいなら、そのまま持ち去ってってしまおうかと、何度も考えた。
そうしなかった理由は一つ。]
(297) 2014/03/30(Sun) 23時半頃